2022年6月29日に5周年を迎えた『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)。それを記念して、『アイドルマスター ミリオンライブ!』(以下、『ミリオンライブ!』)IPプロデューサーを務める狭間和歌子氏に、5年目の振り返りや今後の展開について語っていただいた。

※本インタビューは2022年5月中旬に実施しました。
※本インタビューは2022年6月16日発売の週刊ファミ通(2022年6月30日号 No.1750)に掲載したものに加筆、修正を行ったものです。

狭間和歌子氏(はざまわかこ)

バンダイナムコエンターテインメント所属。『ミリオンライブ!』IPプロデューサー、アニメを含む『アイドルマスター』の全体戦略やマーケティングを担当。

――『ミリシタ』5周年おめでとうございます。

狭間ありがとうございます。5周年を迎えることができたのは、間違いなく、支えてくださったプロデューサーの皆さまと、ここまでいっしょにがんばってきてくれた開発チームやマーケティングチーム、イベントチームなどのおかげだと思います。ですから、今回は5年間支えてくれた開発チームのコメント(※1)をメインにお届けさせてください。

※1……各スタッフのコメントは別途収録したものを掲載しています。

――まずは、多くのチャレンジがあったこの1年を振り返っていただけますか?

狭間昨年7月に発表した新プロジェクトである“MILLION THEATER SEASON”(以下“MTS”)や“セカンドヘアスタイル”を始め、多くの新しいチャレンジを着実に実現できました。とくに、ゲームの世界観をよりリアルに体感してもらうべく立ち上げたオンラインイベント“MILLION THEATER SEASON-@IR!!!!”は、オンラインであり、さらにゲーム内イベント終了に近いタイミングで開催することが高いハードルになっていました。

 タイトなスケジュールで進行してくれたライブチームはもちろんのこと、時間がない中で新しい楽曲やダンスにチャレンジしてくれたキャストの皆さま、MRや朗読劇などさらなるコンテンツで盛り上げてくれた開発チーム、多くの方々の尽力があってこそと思っています。また、応援してくださったプロデューサーの皆さまにも、感謝の気持ちを伝えたいです。

――8thライブに続いてCDの発売記念イベントも再開されましたが、再開にあたってよかった点、苦労した点を教えてください。

狭間再開は、バンダイナムコミュージックライブの皆さまの力で実現できました。開催にむけて安全性の確保やスケジュールの調整など、関係者全員がプロデューサーの皆さまにライブを届けたいという思いで問題をひとつひとつ解決してくださっていました。やっと再開したイベントで、プロデューサーの皆さまが喜んでいる姿を見て、涙を流しているスタッフさんもいました。

――9thライブの開催についても、気になっている人が多そうですが……。

狭間まずはSEASON-@IR!!!!を完走できるようにがんばっていきたいと思っています。秋葉原でのイベントも有観客で開催予定です。9thライブについても、絶賛準備中ですので楽しみにしていてください。

――楽しみにしています! さて、話は一旦MTSプロジェクトに戻して、この企画が始まったきっかけや狙いなどを教えてください。

狭間このプロジェクトは、開発チームであるバンダイナムコスタジオの柿沢開発プロデューサーが提案してくださった企画です。立案のきっかけについては柿沢さんからのコメントを紹介させてください。

柿沢『ミリシタ』では、劇場のアイドルたちがこの世界のどこかで実際に活動していそうという実感を大切にしています。アイドルたちの活動を、イベント単発でなく連続性を持たせつつ、リアル世界と連動し、より強くそれを実感していただくために、アプリ内と実際の配信ライブを一体化させ、同時期に一定期間展開する企画を立案しました。

 アイドルたちが日本各地で、3ヵ月連続で活動をすることでそのテーマ性、物語性を感じていただき、全国各地にいるプロデューサーさんたちには、彼女たちの活動を身近に感じていただけていたらうれしいです。

――ゲーム内では、初の定額課金要素となる“シーズンパス”も実装されました。プロデューサーさんたちの反応はいかがでしたか?

柿沢シーズンパスは、MTSのひとつひとつのシーズンをり楽しんでいただくために企画しました。プレミアムパス版のみとなりますが、専用色の衣装配布や返信可能なメールなどをご用意しています。メールについては、ひさしぶりの実装でプロデューサーさんの反応が心配だったのですが、よりアイドルたちを身近に感じていただけたようですね。

――MTSでは企画のひとつとして、ラジオ番組“MILLION THEATER SEASON RADIO”もスタートしました。

狭間よりプロデューサーさんが身近に感じられる媒体を使うことで、シーズンで特集されるアイドルへの親近感を深めてほしいと思い企画しました。番組のオープニングを、シーズンアイドルがパーソナリティーを務める、という世界観の掛け合いからスタートさせていたのもそういった理由からです。

 最初は声だけなので少しだけ不安もあったのですが、企画のおもしろさと、キャストの皆さんの力で好評をいただけてホッとしています。個人的には、初回放送(2021年8月16日配信)の“THEATER SEASON 食レポ!”のコーナーで大爆笑していました(※2)。

※2…百瀬莉緒役の山口立花子さんによる“やせうま”、萩原雪歩役の浅倉杏美さんによる“ぴっぴ飯”のエア食レポが行われ、山口さんの勢いとノリが全開のトークに、スタジオの浅倉さんは終始爆笑、視聴していたプロデューサーのあいだでも初回にして伝説回となった。

――MTSとともに大きな新企画として始まったセカンドヘアスタイルですが、企画誕生のきっかけや実装後の反響を教えてください。

狭間こちらは以前より、なんとか実装できるよう開発チームが模索し、やっと実現できたものです。実装後も、新たなカードを公開するたびに、たくさんの方から「アイドルの新しい一面や魅力を感じた」と、好評をいただいております。アイドルごとに髪型を予想されているプロデューサーさんもいらっしゃるようで、私自身も同じ気持ちになって髪型予想を楽しんでおりました。

柿沢もともとは『ミリシタ』をリリースした直後、2017年9月に計画立案したもので、「もっとアイドルたちの魅力をお伝えしたい」という思いで少しずつ進めていた企画でした。

 実装に際しては、プロデューサーさんの担当アイドルを少しでもお待たせすることなくお届けしたいという思いから、月に2回、4名のアイドルを登場させるセカンドヘアスタイル専用のガシャ形式とスタイリングレッスン機能を採用することにしました。ヘアスタイルのデザインは、そのアイドルの魅力を最大化できるように、コンテンツディレクターやアートディレクターが尽力してくれています。

――セカンドヘアスタイルの、今後の展開予定はどのようになっているのでしょうか?

柿沢52名揃った後のつぎの展開に関しては、サードヘアスタイルについては予定しておりませんが、プロデューサーさんにお楽しみいただける企画になるように検討・計画しておりますので、ご期待ください。

――その一方で、ゲームにはさまざまな新イベント形式が実装されました。その手応えや、感じた課題などあれば教えてください。

狭間新イベントは生配信でていねいにお伝えすることを意識しつつも、実際にプレイしたプロデューサーの皆さまの反応につねにドキドキしておりました。つぎに、誰よりもプロデューサーさんの声を注視し、その意見を反映すべく全力で取り組んでくださっている開発メンバーで、バンダイナムコスタジオのアウトゲームパートリーダー、荒井さんからのコメントも紹介させてください。

荒井新しいイベント形式をつぎつぎに提供できたことについては、昨年9月に実施したアプリ内アンケートなどでも挑戦する姿勢を評価いただき、とてもうれしく感じております。

 一方、ルールを覚えるのに時間がかかったり、バランスが悪かったりした部分もあって、改善のご要望も多くいただきました。そういった皆さんのご要望も参考にしながら、より多くの方にイベントが快適に楽しめるように引き続きバランス調整を行っています。また、仕様まわりについても遊びやすく改良予定ですので、今後もご期待ください!

――アドバンストコミュでも“聖ミリオン女学園”と並行して新たに“オペラセリア・煌輝座”のストーリーも配信されました。そのピックアップの理由や、今後の展開予定などございましたら教えてください。

狭間こちらも、柿沢さんからコメントを預かっています。

柿沢8thライブで“MTW(※3)”をフィーチャーすることになり、MTWシリーズ唯一の劇中劇が登場するオペラセリア・煌輝座を連動させよう、ということでアドバンストコミュに登場してもらいました。プロデューサーさんたちにも、あの世界観をより楽しんでもらえているようでうれしく思っています。今後の展開については現時点では未定です。

※3…『ミリシタ』のゲーム内楽曲とドラマパートを収録したCDシリーズ『MILLION THE@TER WAVE』のこと。18作品が発売されている。

――イベント関連以外では、ライブの楽曲選択画面などのUIが大きく変わりました。

柿沢楽曲数の増加とともに、選択画面の快適性が低下しているというのは開発スタッフのあいだでも問題視されていました。プロデューサーさんたちからのご要望も届いていて、改善の検討はされていたんです。

 一方で、慣れ親しんだ画面を一新していいのかという葛藤もありました。結果、一新することにしたのですが、プロデューサーさんたちにも受け入れてもらえたのではないかと感じています。

――ここからは、6年目に向けてのお話を伺います。まずは5周年記念の楽曲や衣装について、思いやコンセプトを教えてください。

狭間毎回コンセプトは、アートディレクターの田宮さん、コンテンツディレクター東さん、サウンドディレクター佐藤さんなど、クリエイティブを制作するチームが提案してくださっています。今回はその中のひとり、バンダイナムコスタジオのコンテンツディレクター、東さんからのコメントを紹介させてください。

今回、開発チームの田宮、佐藤らとともに作成した5周年コンテンツのコンセプトメッセージを発表させていただきました。

 『ミリオンライブ!』はアイドルたちの仲のよさ、温かい雰囲気が特徴のひとつだと思っていますが、そういう集団としての輝きもひとりひとりの輝きがあってこそ。それぞれが代表アイドルで、彼女たちはいつもステージでそうあろうとしているんだ、という部分にフォーカスしたもので、これをもとに5周年楽曲やMV、衣装などを作成しています。いままでとは少し違う切り口から、アイドルたちの魅力を感じていただければと思っています。

――アニメプロジェクトについても、2023年公開予定と具体的な目標が見えてきました。現時点で何かコメントをいただけませんか?

狭間先日の生配信などでの、綿田監督(※4)からのメッセージの中でもお伝えいただきましたが、(春日)未来を中心として、『ミリオンライブ!』のアイドルたちが成長していく過程を描く作品となる予定です。

 そこで、アニメプロローグイメージMV『セブンカウント』を、アニメシリーズにつながる先駆け的なものとして制作しました。まずはこの映像を観て、未来がどのようなことがきっかけでアイドルに憧れ、この道を目指すようになったのかなどを想像しながら、期待していただければと思います。

※4……綿田慎也監督。『劇場版アイカツスターズ!』、『ガンダムビルドダイバーズ』シリーズの監督を務める。

【アニメ】【ミリオンライブ!】アニメプロローグイメージMV「セブンカウント」【アイドルマスター】

――それでは最後に、プロデューサーの皆さんへ6年目に向けた意気込みをお願いします。

狭間『ミリシタ』が5周年を迎えることができたのは、プロデューサーの皆さまの支えがあったからだと、本当に感謝しています。これから『ミリシタ』は6周年、『ミリオンライブ!』としては10周年というところを大きな目標としながら、ゲームはもちろんライブ、アニメなど更なるコンテンツの展開を拡大させていきたいと思います。

 すでにゲームを遊んでいただいているプロデューサーさんにはさらにアイドルをリアルに、身近に感じてもらい、新しいプロデューサーさんにもアイドルをもっと好きになってもらえるよう、チーム一丸となってがんばって参ります。これからも『アイドルマスター ミリオンライブ!』を、応援ください!!

週刊ファミ通2022年6月30日号 No.1750では、『ミリシタ』5周年記念特集を掲載

 週刊ファミ通 2022年6月30日号(No.1750)では、『ミリシタ』5周年記念特集を掲載。5年目の振り返りやプロデューサーアンケートなども掲載しているので、こちらも要チェック!

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