THQ Nordicは、Nintendo Switch用ソフト『タウンズメン キングダムリビルト コンプリートエディション』を、2022年5月26日より発売開始した。本作は、『タウンズメン』本編に有料追加コンテンツ“海辺の帝国”が収録されたセット商品にあたる。
『タウンズメン』は領主となって街を大きく発展させるシミュレーションで、突発的な災害への対処、資金調達、領民たちの税金管理など多彩な要素が入り組むやり応えのあるゲームだ。特定の目標を達成するシナリオモードや、自分で好きなように町を作るエンドレスモードなどを、多彩なマップを使って楽しめる。
本記事では、そんな本作のプレイレビューをお届けしていく。筆者は町づくりシミュレーションのプレイ経験があまりなかったのだが、本作は初心者でも遊びやすい親切な作りで、すぐに町づくりの楽しさに気づくことができた。同ジャンルに初めて触れる人でもプレイしやすい環境なので、注目してみてほしい。
資金調達から食糧管理まで領主としての手腕が試される町づくり
まずは、本作の基本的なプレイ内容を紹介していこう。いくつかモードはあるが、いずれも町を発展させるという目標に違いはない。人が暮らすための家、食料を作るための施設、盗賊に対処するための見張り塔など、さまざまな施設を作りながら町を大きくしていくのが基本的な流れだ。
開始時点だと、町はほとんど発展していない。最低限の食料と水、住民も少数のみだ。そんな状況から、どのように町を作り上げていくかがプレイヤーの腕の見せどころとなる。
町づくりで活躍する施設は豊富にあるが、ここでは代表的なものを紹介していこう。
まず欠かせないのは、人（タウニー）を増やす家だ。一部例外を除き、作った施設は労働者を任命することで初めて稼動するため、町が大きくなるにつれ必要になる人口も増えていく。
食料を得るにも、建物を作るための木材や石材を集めるにも労働者なので、つねに人手が足りなくならないよう人口を調整しなくてはならない。
人が集まればそのぶん水や食料の消費量も増えるので、今度は食料を調達できる漁師小屋や小麦を取れる農場、それを加工する風車やパン屋が必要になってくる。
この段階を踏んで必要なものが増えていくのが、町づくりの難しいところ。人手が足りなくて家を増やすと食料が足りず、食糧不足を補うための資金も減る一方で……とつぎつぎに課題が出てくる。すべてをすぐ解決することはできないので、先の展開を読んで事前に準備を進める領主としての先見性が求められるのだ。
プレイ時当初は人と施設のバランスが崩れて苦戦したが、慣れてくるとやり応えがあり楽しくなってくる。安定して発展させるのは難しいのだが、それゆえにうまくできたときの達成感も大きい。
ゲーム中はリアルタイムで時間が経過していき、そのあいだタウニーたちは決められた役割をこなし続けてくれる。食料不足、施設の劣化などは待ったなしで訪れるので急いで対処が必要なのだが、それ以外にも考えることは山ほどあるのが町づくりのおもしろいところ。
時間経過によって四季が変わったり、突発的な事件が発生するので、それらの問題にどう対処するのか、領主としての手腕が試されるのだ。
たとえば冬になると小麦が収穫できなくなるため、準備不足だと冬の到来で食料不足に陥り、住民に怒られながら春まで耐え忍ぶことになる。秋のうちに小麦を大量に収穫したり、お金を貯めておき冬は商人から買い取るなど、季節の変化に対応するのも領主の仕事。
季節の変化や通常の町運営だけでもたいへんなのに、火災や病気、干ばつに雪崩、盗賊の襲撃など町にはさまざまな困難が降りかかる。
火災や盗賊の襲撃など一部の問題は事前に施設を作っておくことで対処できるが、最初はそんな施設を作っておく余裕がないのが正直なところ。当然これらの問題を放置すると住民の不満が溜まり、ストライキを起こしたり町から出て行ってしまう。
事件は突発的に起こるため、コレだけやれば大丈夫という絶対的な攻略法があまりないのだが、それがよいところでもある。安定したプレイングではなく、選んだマップやその場の状況に応じた対処が求められるので、毎回手探りで考えながら進められるのが町づくりの醍醐味だ。
一時的に税金を大幅に上げて無理やり資金を集めたり、最小限の人数で運用してみたりと、自分なりの運営方法を考えながら遊んでいるとやめどきを見失うほどハマれる。
決められた正解がないため最初は難しく感じるのだが、町づくりにつながる複数の要素をすべて把握すると途端におもしろくなっていく。
うまく運営できているかの指針として、全体幸福度を見てみるとわかりやすい。食料や町の景観、各種問題への対処が住民の不満として現れ、全体幸福度に影響してくる。この幸福度が高ければ生産性も向上して町づくりが早く進むが、逆に低ければストライキが発生してしまう。
住民の機嫌を取るために税金を下げたり、幸福度が高いときはギリギリまで税率を引き上げたりと、住民の感情をコントロールしていくのもおもしろい。
とにかくやることが多く慌ただしいのだが、一度町づくりの楽しさに気づくと抜け出せなくなるほどハマること請け合いだ。
最初は見る余裕があまりないが、住民たちは仕事をして帰りに酒場により、ときには娯楽施設で遊んだりとちゃんとした生活を町の中でおくっている。ある程度進み余裕が出てきたら、町の様子を見て回ってみても楽しめるだろう。
施設だけでなく道路を敷いてインフラを整えたりして、最初は小さかった町がどんどん立派になっていくのを眺めると大きな達成感を味わえる。時間経過を5倍速にする機能もあり快適に遊べるので、町づくりが好きな人にはぜひとも触れてみてほしい。
初心者にやさしいキャンペーンモードも搭載！大ボリュームのコンテンツを遊び尽くそう
本作にはいくつかのモードがあるのだが、個人的にありがたかったのがキャンペーンモードの存在だ。これはいわゆるチュートリアルモードで、ひとつずつ町づくりの仕方を教えてくれる。筆者は町づくりのプレイ経験に乏しかったのだが、キャンペーンモードのおかげですぐにゲームシステムを理解でき、楽しくプレイできるようになった。
濡れ衣を着せられて田舎に追放されてしまった貴族として、町を統治していくシナリオもあるので物語を楽しみつつ町づくりを学べるので、初心者の人はまずキャンペーンモードから遊んでみてほしい。
そのほか大きなコンテンツとなるのが、シナリオモードとエンドレスモードだ。
シナリオモードは、特定の条件が設定された町を使って目標を達成していくコンテンツ。簡単なものだと市場を使った資金集めを目標にしたシナリオ、難易度の高いものだとマップ自体が町づくりに向いていなかったり、災害に見舞われやすい地域でプレイすることになる。
エンドレスモードの場合は、その名の通りひたすら町を発展させていく。シナリオモードと同じくマップが大量に用意されているため、好きな土地を使って町づくりを進められる。
マップによっては農業ができない、建築できるスペースが少ないなど地域ごとの特色があるため、それらの状況に対して有効な手立てを考えながらプレイしていくのが楽しいモードだ。ただ、最初からエンドレスモードに手を出すと難しすぎて痛い目を見るので、町づくりに慣れていない人はシナリオモードからプレイすることをオススメしたい。
コンプリートエディションでは、有料DLC“海辺の帝国”も収録されているため、シナリオモード、エンドレスモードともに更なる追加マップもプレイ可能。“海辺の帝国”では地中海を舞台にしたマップ、シナリオが用意されており、美しい海岸都市を作り出せる。
また、通常とは違った外見の施設も建てられるようになるため、本編の町づくりでもビジュアルに違いを出せてより一層楽しめるのだ。“海辺の帝国”も併せるとかなりのボリュームなので、本作だけで何十時間でも遊び尽くせるだろう。
慣れるまでは町づくりに対して退屈なイメージがあったのだが、知識が増えてくるとやり応えが出てきてどっぷりとおもしろさにハマってしまった。冬は小麦が収穫できないなら、そのぶん高く売れるのでは？ など模索して正解を見つけ出すのが楽しい。
マップによって町の運営方法がまったく異なり毎回新鮮な気持ちで遊べるので、じっくり長時間遊べるゲームをお探しの人にオススメだ。
タウンズメン キングダムリビルト コンプリートエディション
発売元：THQ Nordic
開発元：HandyGames
対応機種：Nintendo Switch
発売日：2022年5月26日発売
価格：3480円［税込］
ジャンル：シミュレーションゲーム
CERO：全年齢対象
