Koch Mediaは、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC用ソフト『Dolmen(ドルメン)』を2022年5月20日より発売を開始した。

 『Dolmen』はSF×コズミックホラーをベースにした高難易度アクションRPGで、ソウルライクなシステムを導入したタイトルだ。一瞬の油断が命取りになる敵との戦いやアクション性、コズミックホラーの不気味な雰囲気が漂うダンジョンの探索など、高難度アクションやSFホラーが好きな人にはたまらない要素が多く盛り込まれている。

 本稿では、そんな『Dolmen』のプレイレビューをお届けしていこう。

 ※プレイはプレイステーション5版を使用しています。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
『Dolmen』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『Dolmen』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)

スタミナ管理の概念に独自要素を取り入れたハイスピードアクション

 ゲームを始めると、まずはキャラクターメイクをすることになる。選べるのはプレイヤー名、性別、クラスとスーツの配色の4項目。

 クラスはリクルート、シャープシューター、バウンティハンター、タンカー、ハイブリッドの5つがあり、それぞれ初期ステータスや武器に違いがある。ただし、ステータスの違いは微々たるもので、取り返しのつかない要素ではない。最初に使ってみたい武器を選んで、クラスを選んでも問題ないだろう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
選んだクラスによって初期武器が異なる。選ばなかったクラスの武器も後から作れるので、気軽に選んでオーケー。
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
色のカスタマイズ画面は、全身か部位ごとに細かく配色を変えられる。カラーは拠点となる宇宙船でいつでも変更可能だ。

 キャラメイクが済んだら、さっそく冒険がスタートする。本作でプレイヤーに与えられる任務は、レヴィオン・プライムという惑星に存在する、人知を超えた力を持つ謎のクリスタル“ドンメル”を持ち帰ること。

 降り立った惑星にはまともな生存者はほとんど残っておらず、危険なエイリアンたちが支配している最悪の状況。肉腫に覆われた施設や薄気味悪い地下空間、謎の実験が行われていた施設などホラーテイストのダンジョンを攻略していくことになる。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 ゲームの基本的なプレイサイクルは、いわゆるソウルライク系のシステム。どこから敵が襲撃してくるかわからないダンジョンを進んで、奥地にいるボスを撃破していくのが目標だ。回復手段も限られる中、強力な敵や多彩なギミックを回避して緊張感のある探索が続いていく。

 敵に倒されたら、その時点で持っていた経験値はすべてロストするおなじみの要素も。再び倒されたポイントまで死なずに戻ることができれば、残っているデータを回収して経験値を取り戻せる。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 アクション操作については、同ジャンルのプレイ経験がある人には定番の形式。R1で小攻撃、R2で大攻撃、シールドを持っていればL1でガードができる。近接武器は2種類装備できるため、状況に応じて切り換えて使うことも可能だ。

 アクションは重々しい打撃感よりもスピードを重視したテイストで、全体的に攻撃モーションは素早い。両手持ちの大剣でも高速で斬り込めるので、一瞬の隙を狙ってスピーディーに攻撃できた。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 また、L2を押すと装備している銃を一瞬で構えられる。銃に弾薬などは必要なく、スタミナとはべつに用意されたエナジーゲージを一時的に消耗して撃ち込んでいく。

 銃を撃って減ったエナジーは時間経過で回復するため、実質弾は無限で撃ち放題。装備変更に余計な手間もいらず、近距離・遠距離攻撃を手早く切り換えられるのでハイテンポな戦闘が堪能できる。複数の敵を相手取る際や、一体だけ敵を引き寄せたいときなどにも銃は便利なので、どのクラスを選んでも活用することになるだろう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 盾を装備していれば、敵の攻撃タイミングに合わせてガード(L1)を押すことで、相手の体制を崩すジャストガードも使える。ただ、ジャストガードは成功しても敵が一時的に怯むだけなので、リスクに対して見合うリターンがあるかは微妙なところ。

 積極的に狙うよりは、咄嗟に盾を展開して、ジャストガードになったらラッキー、くらいの気持ちでいたほうがいいかもしれない。少なくとも今回プレイしている限りでは、ジャストガードを狙わないと倒しにくい敵に出会うことはなかった。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 高難度アクションには欠かせない回避は、スピード感があり、かなりの好印象。前方へのローリング、左右へのステップ、バックステップが可能で、それぞれ回避行動中は無敵時間も発生する。

 前方へのローリングはボス戦で重宝するが、通常の敵相手だと左右のステップがかなり強力だった。ステップが素早く回避しやすいことに加え、硬直時間もほぼなくすぐに攻撃に転じられる。敵の攻撃をステップで回避し、即座に反撃するテンポのよさが心地いい。操作に慣れてくると、うまく動けているなと実感しやすいのもポイントだ。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 ここまで紹介してきた要素は比較的定番のものだが、その中でも特筆すべきはスタミナとはべつに用意されたエナジーゲージだ。銃を撃つ際に消費するこのゲージは、じつはそれ以外にも複数の役割を担っており、ダンジョン探索の難易度上昇とアクション性の高さに結びついてくる。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
赤ゲージがHP、緑がスタミナ、青がエナジー。銃を撃つと一時的にゲージが減るものの、時間経過で回復する。

 エナジーの重要な役割のひとつが、HP回復だ。本作ではアイテムではなく、エナジーゲージを消耗することでHPを回復していく。回復時のモーションや硬直もなく、エナジーゲージさえあれば攻撃中や被弾時でもすぐにHPを回復できるのが強みだ。

 ただし、回復を使用するとエナジーゲージが大幅に消費され、時間経過でも戻らなくなってしまう。ゲージがないと銃も連射できなくなるため、回復をすると攻撃の手数が減ってしまうのが難しいところ。

 エナジー自体は、バッテリーを消費することで回復が可能。バッテリーは休憩ポイントに触れると残量が戻る仕組みだ。使用時は一時的に硬直が発生するため、戦闘中は隙を狙って使わなくてはならない。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 もうひとつ、エナジーの重要な使い道になるのが△ボタンを押すと発動するエナジーモード。

 本作の装備枠にはリアクターというものがあり、それぞれ炎や氷などの属性を持っている。その属性がエナジーモードに入ると発現し、装備したリアクターの属性を攻撃に付与したり、追加攻撃が発動するようになるのだ。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
炎のリアクターを装備すると、身体が赤く燃え上がる。

 エナジーモードは単なるパワーアップだけでなく、スタミナ代わりに使えるのもおもしろいポイント。通常は攻撃をするとスタミナを消費するが、エナジーモードに入るとスタミナ代わりにエナジーゲージを消費してアクションを行えるようになる。

 高難度のアクションでは、攻撃時のスタミナ管理が重要になるのをご存じの人も多いだろう。攻撃をしつつ、相手の反撃を回避するだけのスタミナを残しておくのは、この手のアクションゲームでは必須のテクニック。

 しかし、本作の場合はエナジーモードに入ることで、スタミナ不足を補うことができる。一時的とはいえ、スタミナゲージが2本ある状態になれるので、多少のゴリ押しや高機動を活かした動きが輝くのだ。この爽快感がたまらない。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
攻撃中、後1アクションでスタミナが切れるタイミングでエナジーモードを発動。
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
スタミナが切れても攻撃を続行してスピーディーにボスを撃破!

 基本のアクション操作に加え、エナジーモードのオンオフを切り換えることで独自の戦闘スタイルを切り出せるのが本作の魅力。慣れてくるといろいろと応用も効かせられるシステムで、うまく操作できると十分な手応えも得られる。

 死亡時の経験値ロスト、多彩なギミックのあるボスなど緊張感を高める要素も盛り込まれているため、高難度アクションが好きな人はとくにハマるだろう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 敵を倒しながらダンジョンを進み、奥に潜むボスを攻略。無事に宇宙船まで帰還して、獲得した経験値でレベルアップしてつぎのステージに挑むのが一連の流れとなる。レベルアップ時のステータスは自由に割り振れるので、自分好みのプレイスタイルを追求して進めてみよう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 そのほかにも本作のおもしろいポイントはあるのだが、先にアクション部分についての所感も伝えておきたい。

 エナジーモードを使ったハイテンポの戦闘は非常に魅力的なのだが、一方で敵の行動はやや大味に感じる部分が多かった。とくに序盤はその傾向が顕著で、道中の敵の追跡範囲の狭さや、ボスの攻撃も単調で初見でもあっさりと倒せてしまう。

 序盤はあえて難易度を落としている可能性もあるが、同ジャンルに慣れていると最初はやや単調で退屈に感じるかもしれない。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
序盤は遠距離から銃を撃つだけで大抵の敵を倒せる。一番効率的な戦闘方法だが、正直この戦法は退屈。

 本作の印象が変わってくるのは、中盤に入ってから。手応えのある敵が増えてきて一筋縄ではいかなくなり、ボス戦も緊張感が出てくる。後半になるとようやくボス戦でトライ&エラーをくり返すいわゆる死にゲーらしさも味わえ、一気におもしろみが増していく。

 中盤以降から遊べる幅も増え印象が変わってくるゲームなので、これから始める人は序盤の印象で止めずにぜひ最後まで進めてみてほしい。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

自由度の高い装備作成システム

 ある程度進めると楽しめる要素のひとつとして挙げられるのが、装備作成だ。武器や防具は、ダンジョン内で拾ったり敵からドロップした素材などを使って作る仕組みで、多彩な装備が登場する。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 また、惑星内にいる数少ない生存者に出会えば、貴重な武器素材などをわけてもらえることも。ボスがいる場所に直行するだけでなく、寄り道をする楽しみも多い。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 装備作成で特徴的なのが、作るのに必要な素材と併せてボーナスで好きな素材を投入できること。

 収集したレア素材を装備に投入することで、シンプルに装備ステータスをアップしたり、特定の属性に対して特化した防御性能を発揮させられるようになるのだ。同じ装備でも投入した素材次第でステータスが変わってくるため、自分で好きな性能を追求できるのが装備作成の魅力となっている。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 この要素のおかげで、寄り道をして素材集めをする楽しみが増していく。中盤以降は作れる装備の幅も増え、特定のポイントでレア装備などもゲットできるようになる。思わぬ場所でレア素材が手に入ったりもするので、探索・発見の喜びも十分に味わえるだろう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 また、装備の中にはボスがドロップする素材を使って作るユニーク武器も存在する。本作では一度倒したボスにも、ドルメンの欠片というアイテムを使って再度チャレンジできる仕組みで、ボス戦のみのマルチプレイも可能だ。

 ボスがいるポイントの前にはリスポーン・マルチプレイをするための機械があり、これに触れることで何度でもボスに挑める。ソロで勝てなければ仲間を募ってもいいし、装備集めで周回をするのにもマルチは便利だ。

 ちなみに、ボスのリスポーンに必要なドルメンの欠片は、道中の敵を倒すとランダムでドロップする。ふつうに敵を倒しながら進んでいれば不足することはないため、気兼ねなくボスに挑めるだろう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 多彩な武器の中から、好みの物を見つけてトコトン追求したステータスに鍛え上げる。装備作成の幅広さは、本作の大きな魅力だ。

 作れる武器もユニークな物が多いが、ダンジョン内でも思わぬレア装備が拾えたりと、探索や発見をくり返す楽しみにも満ちている。武器のビジュアルもカッコイイので、さまざまな武器を作って試してみよう。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

世界観の構築が見事! アップデートでの改善にも期待

 ハイテンポな戦闘、素材を集めて装備を作る探索要素など、やり応えを感じる部分の多い『Dolmen』。とくにエナジーモードを使ったスピーディーな戦闘は、慣れてくるほどに操作が気持ちよくなるいいシステムだった。

 攻略していくことになるステージも、コズミックホラーの雰囲気を強く感じられる。敵がいないはずなのに不気味な音が聞こえたり、嫌な雰囲気の機械音が響くなど、ただ探索しているだけでもゾクリとする場面も多い。

 壁に埋めつけられた巨大なタマゴ、極太ビームを撃ってくる謎生物、巨大な目玉が大量についた怪物など、頭がクラクラするような奇妙な世界観の作り込みは一見の価値アリだ。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 探索の途中に発見できるデータでは、レヴィオン・プライムで起こった事件などについて知ることもでき、プレイヤーが立ち向かう恐ろしい敵の正体を垣間見れる。

 とくに中盤以降は、おぞましいビジュアルをした敵も登場してホラーテイストも強く感じ取れた。倒した後に悲鳴を上げて爆散する敵など、なかなかお目にかかれないインパクトの強い存在も登場して、『Dolmen』の世界に強く惹き込んでくれる。

『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG
『ドルメン』プレイレビュー。ハイテンポの戦闘や装備作成の自由度が魅力のSF×コズミックホラーの高難度アクションRPG

 世界観の構築が見事なだけに、こちらが銃を撃っても棒立ちし続ける敵などもったいないと思う部分もあったが、それらはアップデートでの改善に期待したい。

Dolmen(ドルメン)

  • プラットフォーム:プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC
  • 発売元:Koch Media/Prime Matter
  • 開発:Massive Work Studio
  • 発売日:2022年5月20日
  • ジャンル:アクションRPG
  • 価格:4950円[税込]
    ※PC版は4100円[税込]
  • CERO:15歳以上対象
  • 備考:Xbox Series X|S、Xbox One、PCはダウンロード専売
『Dolmen』PS Storeサイト 『Dolmen』Microsoft Storeサイト 『Dolmen』Steamサイト