ファミ通.comの編集者&ライターがゴールデンウィーク期間に遊べるおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。ライター・原常樹がおすすめするタイトルは、スマートフォン向け学園×青春×物語RPG『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』です。
※本記事は『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』のネタバレが含まれます。
【こういう人にオススメ】
- かわいい女の子に癒されたい
- 「青春」という言葉に弱い
- 透明感のある世界観や音が好き
原常樹のおすすめゲーム
『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』
- プラットフォーム:iOS/Android
- ジャンル:RPG
- 価格:基本プレイ無料/アイテム課金制
- 運営:Yostar
- 公式サイト
女の子たちがヒャッハーする!? 絶妙なバランスの世界観
筆者がオススメしたいタイトルはスマートフォン向けRPG『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』(以下、『ブルアカ』)。2022年2月には配信1周年を迎え、『ブルアカ』の愛称で多くのユーザーから親しまれている作品です。
作品の舞台は学園都市・キヴォトス。学園都市といえば、現代日本においてはつくば研究学園都市や宮崎学園都市などが有名ですが、このキヴォトスという学園都市に関しては規模が尋常ではなく、集まっている学園の数は1000にも上るという国家規模。非常にスケールの大きい舞台です。
物語の主役となるのは、ヘイロー(天使の光輪のようなもの)を頭上に宿した生徒(女の子)たち。
抜けるような青空、広大な学園都市、仲睦まじく登校する生徒たち──オープニングの映像からもなんだか清らかな空気感が感じ取れます。ですが、そんな美しいイメージの中にも毒のある二面性を忍ばせているのがこの『ブルアカ』という作品。
じつは本作の舞台であるキヴォトスは治安が最悪! 当たり前のように銃火器が流通し、かわいらしい生徒たちも当たり前のように撃ちまくります。なかには笑顔でガトリングガンをぶっ放すような女子も……。
詳細が明らかになるにつれて、筆者が持っていた透き通るような第一印象も硝煙の匂いで上書きされていきました。いやいや、まさか、こんなにもヒャッハーな世界観だとは!
では『ブルアカ』は、とことん血なまぐさい作品なのか……というと、それもまたちょっと違います。
というのも、ヘイローを持った生徒たちは多少銃弾を浴びたぐらいではビクともしないほどに頑強。言ってしまえば、銃弾が飛び交うドンパチですら“ケンカ”の延長線のような程度で済んでしまうんです。
彼女たちのスクールライフはカオスだけれども決してヘビーにはなりすぎない。そんな不思議なバランスの上に成り立っているのが彼女たちの青春なんです。
さて、本作におけるプレイヤーの立ち位置はどこかというと……ズバリ“先生”。
本作でいう“先生”は連邦捜査部“シャーレ”の一員で、教職というよりもなんでも屋と言ったほうが近いポジションです。ひたすらトラブルを解決すべく東奔西走することになるため、その負担は尋常ではありません。もちろん、戦闘に巻き込まれるのも日常茶飯事です。
戦闘に巻き込まれることで、自然と本作のRPGとしてのおもしろさも見えてきます。
戦闘に参加するのは、6名の生徒たち(実際に戦闘に参加するストライカー4名+スキルなどで支援するスペシャル2名)。基本的に戦闘はオートで進行し、プレイヤーができるのは着弾点の指示も含めたEXスキルの発動ぐらい。非常にシンプルな操作感です。
しかし、このEXスキルの役割が非常に重要。EXスキルは各キャラクターにひとつずつ備わった必殺技のようなものなので、どのスキルをどんなタイミングでどこに発動するか、それだけでも大きく戦況が変わってきます。奥が深い……。
EXスキルは常時3種類がストックされており、使うたびに残る3名の生徒のEXスキルと入れ替わります。切り札となるEXスキルをここぞというタイミングまで温存するか、それともガンガン使って入れ替えていくか、この判断も大事!
バトルが作り込まれているからこそ、生徒たちの育成にもかなりの深度があります(サービス開始直後から1年2ヵ月ゆるっと遊んできた筆者でもまだまだ育てきれていないキャラクターが多数)。育成ゲームが好きなユーザーにとってはここも見過ごせないポイントではないでしょうか。
とはいえ、始めたてのプレイヤーはどこに楽しみを見出せばいいのか。
筆者はズバリ“メインストーリー”を推したいと思います。
開発陣のこだわりが詰まったメインストーリー
メインストーリーを読み進めるためにはある程度のバトルが必要になるものの、そこまでガチガチな育成は必要ありません。もちろん、まったく育成せずに進められるかというとそうではないありませんが、決して敷居は高くないはず。
テキストもライトな筆致なので、まるで軽めの小説を読む感じでサクサクと読み進められます。
ちなみに生徒たちに負けず劣らず“先生”のキャラクターも濃いので、筆者はプレイヤーの分身というよりも“ひとりの登場人物”として楽しませてもらっています。
現時点で公開済みメインストーリー
- Vol.1 対策委員会編 “アビドス高等学校”を舞台にしたストーリー
- Vol.2 時計じかけの花のパヴァーヌ編 “ミレニアムサイエンススクール”を舞台にしたストーリー
- Vol.3 エデン条約編 “トリニティ総合学園”を舞台にしたストーリー
- Vol.4 カルバノグの兎編 “SRT特殊学園”をめぐるストーリー
メインストーリーはオムニバス形式。各ストーリーによって異なる学園の生徒にスポットライトが当てられ、シナリオのテイストも一様ではありません。
たとえばVol.1“対策委員会編”は、悪徳金融カイザーローンにお金を借りたことで火の車になってしまったアビドス高等学校の対策委員会のメンバーが奮闘するという内容。廃校の危機に追い込まれた女の子たちがドタバタ活劇の末に活路を見出し、黒幕に迫っていくというヒロイックな展開が見どころです。
借金の返済に追われるアビドス高等学校の生徒たち。いかに追いつめられているとはいえ、美少女たちが金策のために銀行強盗をしれっと提案するところがまた『ブルアカ』らしいというか……。
Vol.1がストレートに熱い内容なのに対して、Vol.2は廃部の危機に陥ったミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部が“最高のゲーム”を作るべく奔走するという日常感あふれるストーリーに。ゲーム開発部の面々が魅力的だからこそのほんわかしたおもしろさがあります。一方で、廃墟の中で眠っていた正体不明の少女・アリスとの邂逅という作品の根幹に関わりそうな要素も……。
基本的に『ブルアカ』のメインストーリーはライトかつカジュアルなテイストに溢れています。
前述のとおり、生徒たちはかわいい見た目に反して頑強ですし、窮地に陥ったとしてもそこまでシリアスな状況にはなりません。たとえるならば“ギャグマンガの登場人物のような安定感”がつねにあるわけです。
ところが、本作のメインシナリオはそんな認識を逆手に取り、根幹すらも変えてしまうような展開を用意していたりもします。詳しく書くとネタバレになってしまうのでここでは割愛しますが、彼女たちは丈夫ではあるけれども決して“不滅の存在”ではないということは大きなポイントになってきます。それをとあるストーリーで一気に突きつけられるというか……。
どんなに破天荒な子たちであっても、それぞれが等身大の悩みを抱えて葛藤し、身近な人たちを想いながらも、限りある青春を全力で走り抜けている──。そんな本質に気づいたときに“彼女たちが見せてくれる日常がいかに尊いか”という実感が改めて押し寄せてきます。まさに“スマートフォン向け学園×青春×物語RPG”という看板は的確で、『ブルアカ』のメインストーリーには“青春”の価値をいま一度考えさせてくれるほどのパワーが備わっていると筆者は感じました。
“かわいさ”を極限まで引き出すBGM&メモリアルロビー
作品の持つ透き通ったイメージ、そして生徒たちのかわいさを際立たせているBGMも注目すべき要素のひとつです。
BGMの多くはフューチャーベース、なかでも日本発祥の“Kawaii Future Bass(カワイイフューチャーベース)”の流れを感じさせるキャッチーなナンバーが揃います。日常シーンはもちろん戦闘シーンで流れる音楽にも近未来かつかわいい空気感がしっかりと息づいていて、「もしかしてこの音楽ジャンル自体が『ブルアカ』と表裏一体の存在なんじゃないか!?」と思えるほどに相性がバツグン!
また、BGMとともに作品の癒し要素になっているのが“メモリアルロビー”機能です。
本作では、生徒の信頼度をあげることで“絆ストーリー”が解放され、特定の絆ストーリーを見ることによって入手できるのがこのメモリアルロビーです。ここで垣間見える生徒たちの一面がまたかわいくて!
筆者のいちばんのお気に入りは、イズナ(百鬼夜行連合学院)のメモリアルロビー。あまりに無邪気な笑顔とBGM「Han-nari」の心地よい旋律が疲れきった心を浄化してくれます……。愛くるしい……。
世界観に負けないような強い個性を持った生徒たちが揃う本作ですが、彼女たちが絆ストーリーやメモリアルロビーで覗かせる表情はまたひと味違ってドキッとさせられます。『ブルアカ』はここまで“ギャップ”の見せかたがうまい作品なのかと、改めて唸るしかありません。
三白眼で制御不能の狂犬として知られるツルギ(トリニティ総合学園)が誰よりも乙女な内面を秘めているというのも高ポイント。声優・小林ゆうさんによる怪演も相まってハートを鷲掴みにされました。
ここまで紹介してきたように老若男女問わずに“青春”を謳歌できるのが『ブルアカ』。改めてオススメしたいと思います! もし一度この世界観を体感して、より深くRPGとしての醍醐味を味わいたくなった方は“総力戦”や“戦術対抗戦”といった“やり込み”にもぜひチャレンジしてみてください!