“リアルロボットもの”の先駆けでロボットアニメに大きな変革をもたらした
1979年（昭和54年）4月7日は、アニメ『機動戦士ガンダム』が放送を開始した日。本日で43周年となった。
『機動戦士ガンダム』は、現在も絶大な人気を誇るロボットアニメ『ガンダム』シリーズの初代作品となる。ファンのあいだではほかのシリーズ作品と区別するため、おもに“ファーストガンダム”と呼ばれている。
アニメーション制作は日本サンライズ（当時）で総監督は富野喜幸氏（富野由悠季氏の当時の名義）が務めた。キャラクターデザインは安彦良和氏、メカニックデザインは大河原邦男氏が手掛けている。いずれの方々も現役で活躍中のレジェンドクリエイターでアニメファン、とくにロボットアニメファンであれば知らない人はいないのではないだろうか。
物語の舞台となるのは、宇宙世紀0079（ダブルオーセブンティナイン）の地球圏。地球からもっとも遠い宇宙都市サイド3が“ジオン公国”を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできたことから、後に“一年戦争”と呼ばれる戦いが始まる。
ジオン軍の奇襲をきっかけに、偶然にも新型モビルスーツ“ガンダム”に乗り込んだ少年アムロ・レイは、生き残りを賭け宇宙戦艦ホワイトベースの少年少女たちとともに戦火の中へ飛び込んでいく……というのが大まかな内容だ。『機動戦士ガンダム』は、この一年戦争の終盤の4ヵ月を描いたストーリーとなっている。宇宙世紀を描いて世界観を共有した作品はほかにも複数あり、観ることで長い戦いの歴史が補強されていくところも大きな魅力だろう。
いまでこそ人気のシリーズだが、本放送の際には視聴率が振るわずに打ち切りになってしまったというのも有名な話だ。本作は単なるロボットアクションものではなく、モビルスーツをひとつの兵器として扱いリアルな戦争を描いた人間ドラマ。当時のロボットアニメはおもに子ども向けだったわけだが、内容的にちょっと難しすぎたのだろう。筆者も少年時代に再放送を観ているが理解できずに挫折していて、おもしろく感じたのは中学生のときだった。
しかし、打ち切りが決まってから人気が急上昇したというから不思議なもの。再放送が何度も行われて視聴率も爆発的に上がっていき、ネット情報によれば名古屋地区での最高視聴率は29.1％に達したというのだからスゴ過ぎる。劇場版三部作が公開されたころには社会現象と呼ばれるほどの大ブームになっていて、内容が理解できなかったにも関わらず筆者も観に行っている（笑）。
『ガンダム』と切っても切れない関係なのが『ガンダム』のプラモデル、通称“ガンプラ”だ。こちらも作品同様の社会現象になっていて、とにかく凄まじい人気を誇り商品棚に並んでいるということはほぼなかった。
「入荷されたらしい」との噂が広まれば模型店に大勢のファンが詰め掛けていたし、筆者も小遣いを片手に買いにいった記憶がある。小学校終わりにすぐさま駆けつけても売り切れの場合がほとんどで、運よく初めて手に入れられたのは300円の“量産型ザク”だった。そのつぎは確か“ザクレロ”だったと思う。当時の筆者には魅力を感じないモビルスーツとモビルアーマーだったが、いまとなっては思い出深い機体と言えるかもしれない。コロナ禍でガンプラブームが再燃し、現代でも入手困難になっているのは何ともすごい話だ。
今年2022年は、まさに『ガンダム』の年でシリーズの3作品が放送・公開される予定。2022年4月5日からアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の一部エピソードを全9回に再編集した『特別編』がMBS、TOKYO MX、BS11にて順次放送開始。本稿が公開されるころにはすでに1話が放送済みだが、BS11であれば2022年4月29日からスタートなので間に合う。
2022年6月3日からは劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開予定。こちらは“ファーストガンダム”の中の伝説的なエピソードのひとつをリメイクしたもの。戦争の哀愁を描く物語がすごくいいのだが、作画崩壊回として有名になってしまった経緯がある。しかし、それを逆手に取って作画崩壊ザクの面長な顔を公式設定に利用。映画版ではククルス・ドアンが機体の改修や補強を行った結果、通常のザクとは異なる形になったとしているようで情報公開時に大きな話題となったばかり。
2022年10月からは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が放送予定。こちらは前述の『鉄血のオルフェンズ』の本放送から約7年ぶりとなる新作テレビシリーズ。主人公は女性で、主人公のモビルスーツが“ガンダム・エアリアル”となることが明らかになっている。本編に先駆けて前日譚となる“PROLOGUE”が夏に公開予定とのことなので、そちらも要チェックだ。
※画像は公式サイトより
