2022年4月5日、ユービーアイソフトはiOS 、Android向けタイトル『レインボーシックス モバイル』を発表。本作は『レインボーシックス シージ』をベースに開発されたもので、本家の自由度の高さや戦略性はそのままに、操作性やモバイルに最適化した機能を多数搭載しているのが特徴だ。

 そんな本作の開発スタジオにメールインタビューを実施。『レインボーシックス モバイル』(以下、『R6M』)独自のシステムや、『レインボーシックス シージ』(以下、『シージ』)からの変更点などについて訊いた。

タクティカルFPS『レインボーシックス モバイル』開発者インタビュー。ピン機能や独自のエイム補助を搭載し、ミュート状態でも戦況をひっくり返せる

――最初に実装されるオペレーター、マップについて教えてください。

開発スタジオ『R6M』は『シージ』でもっとも人気のあるオペレーターの何人かと、銀行や国境といった人気マップをリリース時に実装します。その中には私たちの好きなものも入っており、ロンチが近づいてきたときに、より詳しい情報を共有できる日が待ちきれません。

――マップの規模やオブジェクトの配置は『シージ』と同様でしょうか?

開発スタジオ銀行や国境など、『シージ』と同じマップが実装されますが、最高のモバイル体験にするため、レイアウトやデザインは調整し、最適化しています。たとえば、レイアウトはシージのものに非常によく似ていますが、必要以上に複雑性を加える梯子やらせん階段は、除外・変更しました。また、手すりの柵のあいだから非常に正確なショットを要求される“ピクセル・ハンティング”を少なくするための変更もあります。ほかにも、レンダリング・パフォーマンスを改善するために特定の地点は調整しています。

 こうした変更点は慎重にテストしたうえで、バランス調整をしており、調整後のマップでは、プレイヤーが『シージ』で経験するのと同じく、クリエイティブな戦略やタクティクスを考える機会が提供されていることを確認しています。実際に、私たちが最後に『シージ』をプレイした時と体験が似ていて驚くほどでした。

タクティカルFPS『レインボーシックス モバイル』開発者インタビュー。ピン機能や独自のエイム補助を搭載し、ミュート状態でも戦況をひっくり返せる

――『R6M』オリジナルのシステムや独自の要素について教えてください。

開発スタジオ『R6M』は『シージ』の核となる部分に忠実でありながら、新モード、最適化されたコントロール、マップ、より早いペースのマッチ、独自のコンテンツ・リリーススケジュールなど、モバイルゲーム特有の新しいフィーチャーを持っています。スマホ・タブレット向けに特化してデザインされ、モバイルデバイスでのゲームプレイを合理化するための多くの機能を備えているのです。

 もっとも重要なコントロールの違いはふたつあります。ひとつは“タクティカル・フォーカス”の追加で、これはエイムボタンを押すことで、視野が狭まって動きがスローになり、周囲が静かになります。これにより、自分の動きや戦略的な位置取りに集中できます。もうひとつは“スプリント・ロック”、“オート・スプリント”、“オート・ヴォルティング(跳躍)”などの自動移動システムです。私がこれに助けられたのは一度ではありません。

――ボタン配置やUIのデザインで苦労した点はありますか?

開発スタジオ直感的で滑らかなゲーム体験を提供することは開発初期からのテーマでした。これを達成するためのひとつの手段として、ウィニペグ(カナダ)のHUDチームが開発したシステムを使って、プレイヤーがボタンのレイアウトをカスタマイズできるようにしました。画面上の特定のボタンを押しミスすることが多い場合は、よりタッチしやすい場所に移動できますし、サイズも変えられます。またオンスクリーンのボタン、たとえばエイム・ダウン・サイトボタンの動作をプレイヤーのスキルに合わせて微調整することも可能ですし、コーナーを覗き込むために体を傾けたとき(リーン)の挙動を複数のモードに切り替えることもできます。

 テストセッション中のことですが、ショルダーボタンを3Dプリンターで作り、スマホに装備したと話している人がいました。HUDカスタマイズにより、特定のオンスクリーンボタンの位置を変えられるので、これらのボタンを独自のカスタム・アクセサリーで操作することもできるわけです。とてもクールですよね。

タクティカルFPS『レインボーシックス モバイル』開発者インタビュー。ピン機能や独自のエイム補助を搭載し、ミュート状態でも戦況をひっくり返せる

――細かな音を聞き取るにはプレイヤー自身がイヤホンなどで対応するのでしょうか? それとも足音などを視覚化させる独自の機能などがあるのでしょうか?

開発スタジオ私たちがとくにワクワクしているのは、最高の体験をしてもらうために本作で導入しているすべての最適化要素です。もっとも重要なフィーチャーのひとつは、デバイスをミュートしたとしても周囲の音を視覚化して効率なプレイを実現する“オーディオ・コンパス”の機能です。

 オフィスでのテストプレイするとき、あるスタッフはよくデバイスをミュートにしてプレイしましたが、この機能のおかげで、彼はもっともスキルの高い開発者との戦闘においても不利だと感じる場面はありませんでした。そのときは、最後まで残ったチームメンバーとともに防衛側でプレイしていました。攻撃側はラウンドの終盤で私のカバー体勢からは見えない壁をブリーチして攻撃してきましたが、“オーディオ・コンパス”の機能が破壊を警告してくれたのです。彼は侵入してきたひとりとその部屋にいたふたりを倒し、スマホをミュートにした状態でもマッチの流れを完全に変えることができました。

――ゲーム側でボイスチャットの機能はサポートしているのでしょうか?

開発スタジオ『シージ』と同じく本作でもチームワークがもっとも重要です。本作ではボイスチャット機能をサポートしていますが、マイクを使いたくないプレイヤーがいることも認識しています。

 この理由から本作では“スマート・ピン・システム”も実装しています。1秒の差が勝敗を決める状況で、プレイヤーは敵の位置、トラップの場所などをピンで示すことによって素早くチームメイトと情報を共有できます。ドローンやカメラによる偵察能力も非常に大事な要素であり、ピンを活用して待ち伏せ攻撃を防いだり、敵の不意を突いたりできます。

タクティカルFPS『レインボーシックス モバイル』開発者インタビュー。ピン機能や独自のエイム補助を搭載し、ミュート状態でも戦況をひっくり返せる

――マッチングはグローバルになりますか? 地域ごとのサーバー内でマッチングするのでしょうか?

Caseyマッチメイキングはグローバルの専用サーバーで行います。プレイヤー間の最速のデータセンターでマッチングされ、そのグループにとってレーテンシーが最小になるサーバーが選択されます。

――快適にプレイするには、どの程度のスペックが必要でしょうか? 

Casey現状ではまだ正確なスペック情報を公開できませんが、パフォーマンスの最適化は開発期間を通じて重要でした。またスタジオでは、できるだけ多くのデバイスでゲームが動作するように、開発者が変更によるパフォーマンスの影響を理解し、コントロールするためのツールをいくつか制作しました。たとえば、HUDのテストとプロファイリングのための個別環境や、プロファイリングの詳細なレポートを作成し、制作に関わる全員に定期的に送信するツールに取り組んできました。

 前述の通り、本作ではモバイルでのプレイに最適化するため、いくつかの調整が行っています。プレイヤーの皆さんにプレイしていただける日を、いまから楽しみにしています。

タクティカルFPS『レインボーシックス モバイル』開発者インタビュー。ピン機能や独自のエイム補助を搭載し、ミュート状態でも戦況をひっくり返せる