2022年3月28日(月)に配信予定の『LOST JUDGMENT(ロストジャッジメント):裁かれざる記憶』追加ダウンロードコンテンツ(DLC)“海藤正治の事件簿”(対応ハードはPS5、PS4、XSX|S、Xbox One)。

 いち早くそのすべてをプレイした筆者が、ストーリー的なネタバレは控えめにシステムや内容などを解説していく。「絶対に! 1ミリも!物語のネタバレを食らいたくない!」という人は、本稿の最後に記した筆者の率直な感想まではすっ飛ばしてご覧いただきたい。

※記事中の画面写真はプレイステーション4版の開発中のものです。

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主人公となった海藤が挑む事件とは……!?

 “海藤正治の事件簿”は、その名の通り海藤正治を主人公に据えた『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』のスピンオフドラマだ。時系列としては、本編が終了してからのストーリーになっており、本編主人公である八神隆之が出張中に海藤正治が調査を受けた事件の顛末が描かれる。

『ロストジャッジメント』DLC“海藤正治の事件簿”先行レビュー! 海藤さんを主人公にしたストーリーが満を持して登場!!
八神とはメッセージアプリを通じてちょっとだけ会話をしたりもする。

 筆者のペースでストーリー進行を中心にプレイしたところ、エンディングまでにかかった時間は7時間ほど。海藤が挑む神室町で起きる事件は、本編に匹敵するほど骨太なストーリーでありながら、ときおりコメディ的なエッセンスを感じさせる部分もあり、あっと驚く展開あり、アワワワとなる場面ありで……“THE 龍が如くスタジオ”といった仕上がりになっている。また、事件を通じて海藤の過去もしっかりと描かれることになる点も注目ポイントだ。

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海藤の回想シーン。ちなみに、若いころの海藤を操作するパートも用意されている。

 なお、本作のストーリーは完全に独立したものになっているうえ、システムのチュートリアルもしっかりしているので、何なら本編より先にプレイしても問題はない。とは言え、「これは本編を知っていたほうがいいだろうな」というシーンが要所要所に用意されているので、特別なこだわりがなければ順当に本編を遊んでから“海藤正治の事件簿”を遊んだほうがいいだろう。

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少なくとも、登場人物の個性や関係性は知っておいたほうがいいだろう。パリッとしたスーツを着ている海藤に違和感を持つくらいの感覚なら……大丈夫だと思われる。

パワフルでワンダフルな海藤のアクション!

 本DLCは海藤が主人公ということもあり、作中のバトルも八神のものとはガラリと変わったものになっている。使用できるスタイルは“カチコミ”と“テッパン”の2種類だが、そこには海藤というキャラクターの個性が活きており、どちらも八神に比べれば若干パワー寄りになっている。

 最初から使えるカチコミはバランスの取れたバトルスタイルで、『龍が如く』シリーズで言うならば桐生の喧嘩アクションのようなもの。さまざまな武器を使えるうえ、回避や反撃なども可能となっている。

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素早い連続攻撃をしたいなら、カチコミスタイルがいいだろう。
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タイミングよくボタンを押せば、敵の攻撃を弾いてくれる。この“ハジキ”を覚えれば、カチコミスタイルでの戦いがかなり楽になるはず。

 また、ゲームを少し進めると習得するテッパンは、武器攻撃や投げ攻撃、タフさを強化したようなスタイルだ。攻撃中に自動で路上の武器を拾って行う攻撃や掴みかかっての攻撃、さらに敵の攻撃を耐えてからの反撃などを得意としている。

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スクーターなどの大型武器を拾って振り回すことができるのもテッパンスタイルの特徴だ。
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強敵にも通用する“EX・気合い耐え反撃”は、ガード中に出せるEXアクション。アクションゲームがあまり得意でない人にもオススメの技。

 なお、海藤も八神と同じようにバトルで獲得したSpを使用してスキルを習得していける。ただし、一部のスキルには解放するための条件が設定されているものも。なかでも、“思い出スポット”を発見することで習得できるスキルはそれなりの数が用意されているため、本編をプレイして、海藤の思い出がありそうな場所に当たりを付けておくことも重要だ。

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調査アクションの“海藤アイ”を使うと思い出スポットが見つかる!?

海藤の調査アクションにも注目!

 本DLCでも、海藤が事件を調査していくなかで、チェイスや尾行、調査アクションを行う。チェイスや尾行のシステムは基本的に本編のものと大差ないが、調査アクションに関しては八神のものと海藤のものでは一線を画しているのだ。

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おなじみのチェイスをすることも。障害物を回避するときの動きは八神と違うものの、基本的なシステムは同じと思っていい。

 海藤の調査アクションでは、ドローンを除いて集音器などのガジェットを使用しない。海藤の目と耳、そして嗅覚といった、野性的な感覚を活かした調査アクション “ワイルドセンス”によって、事件解決に必要なヒントを見つけ出していくことになるのだ。なんたる野生児! 以下では、使用する機会が多いそれぞれの能力について解説しよう。

 まずは“海藤アイ”。目で見て気になるところを調べるものなので、本編における八神のサーチモードとあまり変わりはない。とくに気になるポイントを注視することで、何らかのヒントを得られるところも同様だ。

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気になったところは注視して調べよう。ヒントが欲しいときは八神と同様に“考える”を使えばいい。

 “海藤ノーズ”は、海藤の鋭い嗅覚に頼った調査方法。このモードに切り換えると周囲がモノクロになり、匂いを発するものが色付きのモヤのように表示され、視覚的にわかるようになる。さっと見回しただけでは気にならないようなところに何かがあることも少なくないので、ひと通り視覚で見たらつぎは海藤ノーズを使って調査するといいだろう。

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調査すべきところには、こんなモヤが! 街中を歩いているときに海藤が鼻を「スンスン」と鳴らしたときは、何らかの匂いを嗅ぎつけている場合がある。
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“海藤ノーズ”を使えば、街のあちこちで“松金の代紋”や“血塗られた代紋”を発見することも。いずれも収集要素のひとつになっているので、率先して探してみよう。

 そして“海藤イヤー”は、わずかな音をも察知できる能力。このモードに切り換えると海藤ノーズのときと似た形で周囲の景色が色褪せ、壁を隔てた先にいる人物の会話や、雑踏の中にいる猫の声などをキャッチし、視覚的に見つけ出すことができる。

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色褪せた景色のなかに、調べられるポイントが! 注視して調べてみると……。
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龍が如くスタジオの作品では探す対象の代名詞、猫でした。猫を見つけるとさまざまなアイテムをもらえるので、街中で猫の鳴き声が聞こえたら海藤イヤーモードで探してみては?

 なお、調査を進めていけば八神のような変装やスティールを行うことも。さすがにアスレチックのようなアクションは行わないが、海藤に探偵事務所の調査員としての能力がしっかりと備わっていることがわかるシーンも随所に用意されている。

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コインを投げて敵を引きつけ、不意を突いて倒してしまおう。

“海藤正治の事件簿”の総括! けっきょくどうなの?

 さて、ここまでネタバレに配慮した形でのストーリー、海藤のバトルスタイル、調査アクションについて述べてきたわけだが、結論から言えば、「『ジャッジアイズ』シリーズのファンで、より深く作品世界を楽しみたいならぜひ!」といった感じだ。

 それなりのペースでストーリーを進めるだけで7時間。さらにバトルスキルの育成や、猫・代紋などの収集要素などを含めると、プレイ時間はゆうに10時間を超えるはずだ。DLCとしては少々お高めの設定ではあるものの、本編からの流用ではないムービーシーンもたっぷり用意されているし(というか、流用シーンなど皆無!)、バトルや調査も本編と同様に楽しいので、コスパを考えれば悪くないはずだ。

 ストーリーに関しては皆さんの好みもあるだろうから、こればかりは「プレイしてみてください」としか言えない。だが、少なくとも筆者はエンディングまで一気に遊んで楽しめた。そして、エンタテイメント性や疾走感、物語の芯に据えられたテーマなどは、質こそ異なるものの、本編と変わりがないレベルの出来になっていると感じる。また、登場するキャラクターもそれぞれいい味を出しており、「最初は嫌いだったけど好きかも……」なんて人物もいたりして、作り込みもしっかりしているなあ、という印象だった。

 というわけで、『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』が楽しかったのであれば、間違いないと思っていいかも。これが筆者個人としての総括だ。