2022年3月4日にプレイステーション5、プレイステーション4で発売が予定されている世界的な人気シリーズ最新作『グランツーリスモ7』。本稿では、発売に先立って本作PS5の先行プレイ版を体験したクルマ&バイク好きのライターがその凄みを語っていく。

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五感の「触覚」をゲーム性に持ち込んだインパクトは強烈!

 レースゲーム、および『グランツーリスモ』シリーズのようなリアルドライビングシミュレーターは……制作されている方々にはたいへん申し訳ないのだが、PS4の発売あたりからやや進化の幅が小さくなっているような気がしていた。もちろん、グラフィックは美しくなってきたし、クルマの挙動を制御する物理演算もより精度の高いものになってきたという事実はある。しかし、いちプレイヤーとしては初代『グランツーリスモ』を初めて見たときほどの驚きはないし、美しくなったグラフィックを見ても「正常進化の範疇だなぁ」という感想しか抱かなかったのだ。

PS5版『グランツーリスモ7』最速レビュー。衝撃的なゲーム体験が令和の時代にまた味わえた!
画面はメチャクチャ美しいが、段階的に進化しているので……強烈に驚いたかと言われるとそこまででもない。スゴイのは間違いないのだが……。ただ、PS5版はこの作り込みなのにロード時間はバカみたいに短かったのはわりと衝撃。

 そして『グランツーリスモ7』である。映像を見ればPS5スペックの美しさだと思ったし、もはや実写と比較しても遜色のないリアリティーだとは感じたものの、衝撃を受けるほどではなかった。そう、コントローラを握って遊ぶまでは……。

 『グランツーリスモ7』が筆者に衝撃を与えたもの、それはズバリ“感触”だ。PS5のDualSense ワイヤレスコントローラーで本作を遊んだときに得られるステアリングフィールは、実際にステアリングを握ってクルマを運転しているとき本当にそっくりだったのだから!

 たとえば、コーナリング中にグリップが抜けて滑り出す瞬間の感覚などは当たり前のように再現してくるし、タイヤが乗ったのは縁石なのか、それよりわずかに外側のランオフエリアなのかという差も感触でわかる。

 また、実際にクルマを運転したことがある人なら、タイヤが路上にある水たまりに入った感触や、高架式高速道路の路面を繋ぐギャップなどを走ったときに伝わる感触はお馴染みだと思う。これらを作中で味わったとき、間違いなく「これこれ、この感じ!」と思うほど、そっくりなフィーリングをフィードバックしてくれるのだ。また、筆者はアクセルやブレーキをアダプティブトリガーで操作したのだが、ここから伝わってくる感覚も優れていて、クルマの挙動を把握するのにひと役買っている。

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日本の首都高速をモデルに作られているコース、東京エクスプレスウェイ。路面を繋ぐギャップを通過したときの“ガタン!”という感覚がヤバイくらい実車そのもの。
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雨天のレース時は信じられないほど路面が滑る! コースによっては水溜まりができることもあるのだが、そこに突っ込んだときにコントローラから感じる感触も強烈だ。
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ダートコースの難しさは、コントローラへのフィードバックが正確だからこそ、より強烈に感じる。ラリードライバーって化け物なんだなと痛感。

 これまでのゲームは人間の五感のうち“視覚”と“聴覚”でのみ楽しむものであり、残りの三感のうち味覚と嗅覚に訴えかけることはなく、触覚も演出程度だった。ところが、本作ではデュアルセンスの機能を最大限に活かして、触覚に訴えかけるということをこれまで以上に真剣に取り組んで来たのである。その結果、「これまでの振動は何だったのか?」と思うレベルで、ゲームを遊ぶ際に触覚の重要性を高めることに成功した。

 こと、リアルドライビングシミュレーターである本作において、ステアリングから伝わる感覚は単なる演出ではなく、クルマをコントロールするために必要な情報のひとつになる。つまり、これはもう知覚機能が新たにひとつ開いたようなもの。大きなブレイクスルーを迎えたと言っても過言ではなく、久々にゲームを遊んでいて「これはヤベエ……!」と思わされることになった。

ステアリングコントローラがなくても充分楽しめる!

 そして、もうひとつ伝えておきたい点は、コントローラを傾けるだけでステアリング操作ができるということ。「センサーはデュアルショック4から入っていますけど?」という感じではあるが、コントローラの傾け量とステアリングの切れ角のマッチングが絶妙で、運転にほとんど違和感がないのだ。これがイマイチだと、結局は左スティックをチョイチョイっと弾くようにしてステアリングを操作することになるし、そうなってくるとカメラをクルマの背後から見る第三者視点で遊んだほうが便利……となるのがこれまでのレースゲームの常だった(※個人的見解です)。

 しかし筆者は、デュアルセンスを傾けてステアリング操作を行うスタイルで本作を始めてからというもの、つねにドライバーズビューでプレイし続けている。もちろん、実際のステアリングを握るよりはサイズ的に小さいし、固定もされていないので“厳密にはちょっと違う感”はあるのだが、逆に言えばその程度の違和感しか持たないほど操作性がいいのだ。

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コントローラを傾けてステアリング操作をしたいなら、ステアリング操作タイプを“モーションセンサー機能”に。PS4のデュアルショック4では試せていないが、デュアルセンスではムチャクチャいい感じだった。
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ドライバーズビューでプレイし続けているので、「このコーナーはイン側のエイペックス(クリッピングポイント)がピラーで見にくいな!」という、実際に走らないとわからないようなリアルな気付きも!

 正直、『グランツーリスモ7』の発売にあたり、最新のステアリングコントローラを購入しようかと考えていたが、デュアルセンスでプレイしてからは見送ることに決めた。それくらい、本作とデュアルセンスの相性が抜群にいいのだ。最新のステアリングコントローラ事情に疎くて申し訳ないが、フットペダルにフィードバック機能がないなら、デュアルセンスでプレイしたほうがいいのではないかと思うレベル。

 もちろん、アダプティブトリガーよりもフットペダルのほうが微妙なアクセルワークが容易にできるようになるのは間違いないので、一長一短なのは承知しているが、まずはデュアルセンスでプレイすることをお勧めしたい。

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本作はさまざまな種類のステアリングコントローラにも対応している。ゲーム中でどのコントローラを使うかが設定可能で、持っているものに合わせたベストなドライビングフィーリングを得られる。

 半導体不足の折、欲しくてもPS5を買えないという方も少なくないと思うがあえて言い切ろう。『グランツーリスモ7』はPS5で遊ばないと、真の姿が見えて来ないタイトルだと思う。ロードが驚くほど早く、ゲーム中にストレスを感じることが一切ないことも含め、PS5版であることはとても重要なのだ。

『グランツーリスモ』シリーズの良さは継承し、さまざまな要素も追加している!

 “感触”や操作性の素晴らしさは筆者に深く刺さったが、それ以外の部分でもしっかりパワーアップしている本作。語り尽くせぬほどにいろいろとあるのだが、以下ではとくに筆者が気になったポイントに絞ってレビューしていこう。

 筆者は本作をダウンロードしてプレイしたのだが、ダウンロード中のかなり早いタイミングで新要素の“Music Rally”をプレイできるという気配りがされていた。「これを遊んでダウンロードが終わるのを待っていてね」ということである。なんとも親切。

 このMusic Rallyというモードは、簡単に言うと“BGMとコースとクルマが決まっているアーケードモード”のようなイメージだ。いわゆる一般的なアーケードモードと大きく異なるのは、このモードではBGMに合わせて所持ビートが減っていくという、古き良きレースゲームのタイムエクステンド式ならぬ“ビートエクステンド式”になっているということ。

 とはいえ、いにしえのそれらと大きくプレイ感が変わるという感じでもないので、気軽に楽しめる。もちろんダウンロード終了後も、いつでもMusic Rallyで遊べるので、気が向いたときに音楽に合わせて走るのがいいだろう。

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画面中央上部に大きく表示されているのが所持ビート。これがゼロになる前に、つぎのエクステンドゲートを通過すればいい。

 気になるグラフィックの面だが、これはもう非の打ち所がない出来。オープニングでは実写映像からCGへと移り変わっていくシーンがあるのだが、ぶっちゃけどこからCGなのかよくわからなくなるレベルだ。おかしな話ではあるが、「これはクルマが綺麗すぎるからCG」みたいな判断基準になってしまう。ただし、“スケープス”モードで撮影する写真はクルマを意図的に汚すことなども可能。こうなってくると実写かCGかの自信がなくなってしまうほどだ。

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クルマにさまざまな汚れのエフェクトを追加し、流し撮りモードで撮影した写真。ただ単に綺麗な写真が撮れるというわけではないのがイイ。

 作り込みという面で言えば、実在サーキットのクオリティーもおそろしく高いし、ドライバーズビューで見られるインテリアもほぼ本物。グラフィックの面で言えば現時点で最高峰の作品と言っていいだろう。収録台数は420車種超なのでシリーズ最多と言うには及ばないが、「これだけ細かく作っていたら仕方ない」といった感じ。おそらく今後も徐々に収録車種は増えていくと思われるので、筆者がかつて乗っていた国産のクルマがいずれ収録されることを祈るばかりだ。

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サーキットのリアリティーも凄まじい。本作では天候変化も物理演算されているため、流れる雲もその場所で発生し得るようなものになっているらしい。
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“レジェンドカー”という施設では、歴史に名を残す名車を購入できる。ただし、目玉が飛び出るほどの資金が必要になるので、メチャクチャ頑張らないと入手できなさそう。コレクションフルコンプへの道のりは厳しいのだ。

 本作はこれまで通り“カーライフシミュレーション”を謳った作品なので、さまざまなレースに出走し、プレゼントカーを獲得しながら資金を貯め、自分好みのクルマをコレクションしていくという流れはそのままだ。序盤はやれることが限られているものの、新たな施設のカフェでもらえるメニューブックをクリアーしていけば、走れるサーキットやレースが増えたり、チューニングショップやブランドセントラル(各メーカーの新車購入ができる施設)などの新たな施設(機能)が解放されていくという設計。

 「いきなりやれることがたくさん合って困る」みたいなことにはならないので、これまで『グランツーリスモ』シリーズに触れてことなかった人でも安心だ。

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とりあえずカフェに通い、言われた通りのことをしていけばゲームについて学べる。
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いま乗っているクルマについて、コメントをくれる人もいる。もちろん1台ごとに詳細な説明が用意されているのはこれまで通りだが、「カフェに来たついでにちょっと聞いておくか」みたいなことができるのは地味にうれしい。

 そして、「グランツーリスモと言えばコレ!」というひとつに挙げる方も多いと思われる、ライセンスモードもゲームを進めると早い段階で解放される。筆者の感覚だと、ライセンスモードでオールゴールドを獲得するのはそれなりにタイヘンだが、「無理!」という感じではなく、「やり甲斐がある!」程度に仕上げられているといった印象で、レースゲームが得意であれば比較的ラクにオールシルバーは狙えそうな気がする。

 また、本作が『グランツーリスモ』初体験でも、お手本となる走行が見られる“デモンストレーション”が用意されているため、ブロンズを獲得するのもそこまで難しくないだろう。出場するレースによってはライセンス獲得が条件になるものもあるが、オールブロンズでも問題ないため、「オールゴールドを目指すんだ!」的なコダワリさえなければ、ライセンスモードがゲームプレイを止める足枷にはならないといった感じだ。

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走らせるクルマが決まっているライセンスモードでも、画面右下にあるトラクションコントロール(TCS)だけは調整可能。標準は3だが、タイヤの滑りが気になるようなら多少タイムに影響するリスクを承知で5などに設定するのもアリ。
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筆者は国際A級のオールゴールドに挑戦中。クルマのスピードが速くなるほど難しいものも増えてくる印象で、そろそろ妥協しようかと……。

 ちなみに、ゲームを進めると解放される要素として“ミッション”モードというものもある。これは、ライセンスモードよりさらに多岐にわたる限定されたシチュエーションをドライブしてトロフィー獲得を目指すモードで、こちらにはデモンストレーションはなし。自分でベストな走りを考えられる中級者以上の遊びとなっているのだが、こちらもライセンスモード同様、夢中になって遊んでしまった。

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「走行中に自分で燃料消費量を調整しながら、低燃費かつ速く走れ!」という、ユニークなミッションも! コースのどこで燃料をたくさん使うか考えないとゴールドトロフィーの獲得は難しい。
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うまくドリフトをさせるのが目的のミッションはけっこう苦戦したもののひとつ。総じてミッションモードではワンランク上のテクニックを要求されるものが多いので、まずはライセンスから挑戦するのがいいかも。

 音にも相変わらずすさまじく開発コストを割いている様子。クルマごとの排気音の違いなどはしっかり反映されているし、吸排気のチューニングパーツを装着することで、もともとの音がガラリと変わる感覚も味わえる。実際に乗ったことのあるクルマが多い人ほど、「そうそう、こういう音だよね」という気持ちになれそうだ。また、対応ヘッドフォンで遊ぶと、3Dオーディオで楽しめるということなので、予定していたステアリングコントローラ代はそちらに回そうかと検討中だったりもする。

 そしてBGMもやたら豊富。本作には、保存したリプレイを選択したBGMにマッチした形で再生する“ミュージックリプレイ”という機能があるのだが、これがまたいい感じ! 『グランツーリスモ』の場合、イイ走りができたときはリプレイを鑑賞する人も多いと思うのだが、これにバリエーションが増えたのは素直にうれしい。

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再生時に通常リプレイとミュージックリプレイを選択可能。その違いを動画以外で伝えるのは難しいのだが、実機で見てもらえば「なるほどこう違うのか」とわかってもらえるはず。

 このほかにも、「洗車とオイル交換もできる!」とか「リバリー(塗装)もメチャこだわれる!」とか「セッティングパーツが豊富でメチャクチャ奥深い!」とか……。「これまでのシリーズ作にあった要素をすべて」とは言わないまでもかなりの数がパワーアップして収録されている。また、先行プレイ時には時間が合わずプレイできなかったのだが、これでオンライン対戦もできるのである。控えめに言って最高なのかよ。

 クルマ好きであれば、年単位で遊べることが確約されているのが本作。くり返しになるが、とくにPS5で遊んだときの衝撃度は半端なものではないので、ぜひとも体験していただきたい。

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 最後にひとつアドバイス。今後PS5を購入する予定があるなら、本作はダウンロードのPS5版を買ったほうがいい。それを買っておけば、PS4版でも遊ぶことができるからだ。ちなみに最初にPS4版を買った場合は、アップグレード時に追加で課金が必要になる。また、ディスク版を買った場合だと、PS5のデジタル・エディションしか買えなかったという状況になったとき、本作を買い直すハメになってしまう可能性も。そんな理由から、購入はダウンロードのPS5版がお勧めだ。

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