バンダイナムコエンターテインメントの『テイルズ オブ』シリーズと、コーエーテクモゲームスの『アトリエ』シリーズは、どちらも長い歴史を持つRPGシリーズ。昨年(2021年)11月、両シリーズの最新作である『テイルズ オブ アライズ』(PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、Steam 向けソフト。2021年9月9日発売)と、『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士』(PS4版/Nintendo Switch版は2022年2月24日、Steam版は2022年2月25日発売予定)がコラボレーションすることが発表され、RPGファンを沸かせた。

 そしてこの度、ついにコラボレーション企画が本格始動。バンダイナムコエンターテインメントの『テイルズ オブ アライズ』と、コーエーテクモゲームス ガストブランドの『ソフィーのアトリエ2』と『BLUE REFLECTION TIE/帝』(PS4版/Nintendo Switch版は2021年10月21日発売、Steam版は2021年11月9日発売)のキャラクターデザイナー陣によるコラボイラストが公開となった。

『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け

 このイラストでは、『テイルズ オブ アライズ』のヒロインであるシオン、『ソフィーのアトリエ2』の主人公・ソフィーとキーキャラクターであるプラフタ、『BLUE REFLECTION TIE/帝』の主人公・星崎愛央が夢の共演を果たしている。

 ソフィーの花飾りをシオンが、シオンの髪飾りをソフィーが身に着けているほか、プラフタがアルフェン(『アライズ』主人公)の仮面を手にしていたりと、ここでしか見られないシチュエーションが描かれているのが見どころだ。

キャラクターデザイナー4名が語り合う、それぞれの魅力

 3タイトルのコラボイラスト制作にともない、キャラクターデザイナー4名の対談も行われた。

インタビュー参加メンバー
・『テイルズ オブ アライズ』アートディレクター/キャラクターデザイン担当:岩本稔氏
・『ソフィーのアトリエ2』キャラクターデザイン担当:NOCO氏、ゆーげん氏
・『BLUE REFLECTION TIE/帝』監修・キャラクターデザイン担当:岸田メル氏

『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け
左から、ゆーげん氏、NOCO氏、岩本氏。岸田氏はリモートでの参加となった。

 今回のコラボに関して、ゆーげん氏は「『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~』の企画が動き出した約8年前に、すでに地位を確立していた『テイルズ オブ』とコラボできて感慨深い」、岸田氏は「子供のころからずっと存在してきた『テイルズ オブ』とこういった形でコラボさせていただくのは光栄。自分はニッチな方向のデザインをすることが多いが、『アライズ』はいまの時代の王道ファンタジーのデザインだと感じるので、まぶしいなあと感じる」とコメント。NOCO氏も「『アライズ』がシリーズ初プレイだったが、グラフィックもキャラクターデザインも、RPGとしてのゲーム体験もすばらしく、楽しませていただいた」と称賛した。

 これを受けて岩本氏は、「恐縮しかない。藤島康介先生、いのまたむつみ先生が作ってきた実績があってこそで、自分はその歴史の上に立って、身の引き締まる思いで(『アライズ』を)作らせていただいたので、そのように言ってもらえてうれしい」と回答。また岩本氏は、ガストブランド作品のイラストレーター陣のデザインに強くひきつけられているとのことで、「今日のインタビューで得るものを得て帰りたい」と意欲を示した。

 今回の参加者の中で、岩本氏はバンダイナムコスタジオの所属だが、ほかの3名はフリーで活動している。これを受けて、ゆーげん氏が「ガストブランド作品では、わりと自由にデザインしていいと言われることが多いが、岩本さんはどうか」と質問すると、岩本氏は「(スタジオ所属なので)どんなストーリーにしよう、どんなキャラクターにしよう、という初期段階の会議から参加する。会議の場で絵を描いて、それを議事録にすることもあり、そうしているうちに、『アライズ』ではキャラクターデザインを担当することになった」と、スタジオ所属デザイナーならではの経験を話す。また、「『アライズ』はグラフィック表現を前作から各段に向上させるつもりだったので、“こんな表現もできる”ということを示すデザインを取り入れた」とも語った。

『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け
『アライズ』でシオンが着ている衣装の細やかなレースなどは、技術が進化したからこそ表現できるもの。また、『アライズ』では3Dモデルを後ろから見ることが多いので、メリハリの効いたシルエットを意識しているという。
『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け
『アライズ』では、グラフィック担当者からの意見をデザインやイラストに反映させることもあったという。たとえばキサラは、最初もっとゴツい鎧を着ていたが、「3Dモデルにして動かしてみると、ちょっと女性らしさが出てこない……」ということで、デザインを変えることにしたそうだ。いっそビキニアーマーにするという案もあったが、さすがに露出が激しすぎるので、ビキニのボディラインを意識しつつデザインを調整し、いまの形になったとのこと。またリンウェルは、モルフォ蝶をモチーフにデザインされているのだが、「モルフォ蝶の羽・鱗粉の光の反射、質感を取り入れてみたい」という挑戦が3Dモデルやシェーダーに盛り込まれており、それがイラストにも反映されている。

 一方、ゆーげん氏らのデザインについて、「(スタジオ所属ではないからこそ)デザインに縛りがなく、繊細でありながらパワフルな力がある」と岩本氏。そのデザイン(たとえば、ゆーげん氏の絵の特徴である、虹色のように光る塗りかたなど)に、モデラーを始めとする開発スタッフが応えているのがすごいことで、3Dモデルにも魅力があると語った。

『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け
近年は3Dグラフィックに力を入れているゲームが多く、キャラクターも3Dで表現されるため、「イラストレーターというよりはキャラクターデザイナーという気持ちで取り組んでいる」と、ゆーげん氏。3Dモデルを監修する際は、「腕はこういう形で、指はこう」と細かく指示するというよりは、「キャラクターから感じる柔らかさだったり、フリルが翻るさまだったりが、そのキャラクターの魅力である」ということを伝えるそうだ。そうすることで、スタッフがキャラクターのよさを知ったうえでモデリングしてくれるという。
『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け
3Dモデルに関して、大事なのはやはり「顔」だというNOCO氏。『ソフィーのアトリエ2』において、ソフィーの3Dモデルは新たに作り直されているのだが、「前の印象を残しているけれども、新しいと感じられる」顔にするため、かなり細かく監修したとのこと。また、ボディラインについてもそれぞれイメージがあり、たとえばラミゼルとエルヴィーラというキャラクターは、ふたりとも出るとこが出ているデザインではあるが、体つきは異なり、3Dモデルにもその違いが表れているという(ラミゼルのほうが細く、エルヴィーラは全体的にグラマラス)。
『テイルズ オブ アライズ』、『ソフィーのアトリエ2』、『ブルーリフレクション TIE/帝』のコラボイラストが公開! キャラクターデザイナー4名による特別対談もお届け
『BLUE REFLECTION TIE/帝』では、ライティングを始め、さまざまなところに意図的に青色、紫っぽい色を入れており、「それが統一感を生んでいる」と岸田氏。ふだん、趣味でゲームをプレイする際にも、全体の色調やアートワークを気にしているそうで、「統一感があったり、世界観に深みがあると引き込まれますよね」とのこと。ちなみに岸田氏も、3Dモデル監修の際にいちばん注力するのは「顔」。

 今回のコラボイラストに関しては、岩本氏は「女子会みたいな雰囲気のイラスト。(女子会は)シオンにとっては珍しいことなので、その雰囲気に戸惑いつつも、楽しんでいるような絵にしたい」とコメント(※)。また「女性らしい、丸いフォルムを意識した」とのことなので、『アライズ』のほかのイラストと比べると、また違った印象を受けるかもしれない。
※対談実施時は、コラボイラストは制作途中だった。

 NOCO氏は「ポニーテールのソフィーはかなり貴重」と、ヘアアレンジしたソフィーのかわいさをアピール。ゆーげん氏は「プラフタは仮面をつける予定だったが、仮面をつけちゃうと誰だかわからなくなりそうだったので、後ろにいる球体にかぶせたりした」と制作秘話を明かしつつ、「せっかく4人のデザイナーが関わるので、それぞれのよさが出て、“かわいいってこれだよね”となるといい」と語った。

 岸田氏は「『BLUE REFLECTION TIE/帝』は、ほかの3作品とは世界観が違うので、その違和感をあえて残したほうがおもしろいのかなと考えた」、「なるべく(キャラクターが)くっついて、仲よさげにかけたらいいな」と回答。その言葉通り、シオンと愛央の距離感はとても近しく描かれている。『アライズ』をプレイしてからコラボイラストを見ると、ここに描かれているシオンに対して抱く感情が変わるのは間違いないので、未プレイの人はぜひ遊んでみてほしい。

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コラボ企画はこれだけではない! 特別なコラボコンテンツの制作が進行中

 『テイルズ オブ アライズ』と『ソフィーのアトリエ2』にて、互いのタイトルをモチーフにした特別なコラボコンテンツの制作が進行中。詳細は2022年2月22日放送の“発売直前!『ソフィーのアトリエ2』生放送”にて公開予定とのこと。