『アトリエ』シリーズ25周年タイトルとして、PS4、Nintendo Switch、Steam向けに2022年2月24日に発売される『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』(Steam版は2月25日配信予定)。本作は、『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~』(2015年発売)から始まる“不思議”シリーズの4作目で、スピンオフではない、まぎれもない『ソフィーのアトリエ』の正式な続編となる。

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 本作の錬金術の調合システムには、“不思議”シリーズでおなじみのパネル調合を採用。また、バトルは最大6人が参加するコマンド入力式になっているなど、システムの基本は“不思議”シリーズのものを踏襲している。

 今回の先行レビューでは、ゲームの柱ともいえる3要素である採取、調合、戦闘がどう変わったのか、その魅力と手応えをお伝えしよう。なお、ストーリーやキャラクターなどについては、発売直前の総合レビューで改めて語る予定なので、ネタバレを気にせずに読んでほしい。

採取……気づけばカゴがいっぱいになるほど、つぎつぎと採取したくなる仕掛けを用意!

 物語を進めたり戦闘に勝ったりするには、アイテムの調合が欠かせない。その材料となる素材は、おもにフィールドを探索する際に“採取”して手に入れることになる。この流れは前作までと大きく変わることはなく、フィールド上で光るオブジェに近づき、□ボタン(Nintendo SwitchはYボタン)を押せば採取は完了となる。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
採取ポイントは多数あるので、素材を探し求めてひたすら迷い歩くということはない。しかも、どのマップで何が採取できるのかという情報も、ワールドマップで移動先を選ぶ際に確認できるため、「調合の材料が見つからない、足りない」とプレイの足止めをされることなく、テンポよく進められるのはうれしい限り。

 とくに本作では、調合に必要なレシピを発想するためのトリガーとして、特定のアイテムの採取がキーとなることも多いため、目についたものはすべて拾う精神で進めたい。アイテムを保管しておけるコンテナは、9999と大容量なので安心だ。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
『アトリエ』シリーズで、しばしばプレイヤーの頭を悩ませるのがカゴの容量。この容量は、キャラクターのレベルアップなどで得られるアビリティポイントを消費して、“カゴ容量アップ”のアビリティを修得すれば増やせる。序盤から手軽に増やせるのもありがたい。

 そんな採取での注目要素はふたつある。ひとつ目は、特定の採取道具があると行える“大採取”。これは採取時にミニゲームが発生し、品質アップや錬金成分(後述)を付与するなどのボーナスが得られる特別な採取方法だ。採取道具の調合時に“大採取LV”の効果を上昇させると、ボーナス獲得のチャレンジ回数が増える。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
たとえば草刈り鎌を使った大採取であれば、まずはどの素材を狙うかを選び、その後、ルーレットのように流れるボーナスマスを目押しで選ぶ。品質アップのボーナスをゲットできれば、序盤から高品質のアイテムを調合できるようになり、冒険がグッとラクに。

 ふたつ目は天候操作の要素。これは、フィールド上に配置されている“夢空の秘石”で特定のアイテムを使うことで、その場の天候を晴れ・雨などに変更できるというもの。これにより、たとえば水を凍らせて新たな道を作るといったことなどが可能だ。さらに、徘徊する魔物や採取物にも変化が生じる。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
天候操作は、この装置(夢空の秘石)で行う。同じエリアでも180度違う顔を見せるので、いろいろ試してほしい。

 エリアによっては天候操作を起こさないと先に進めない場所もあり、ちょっとしたパズル感覚が味わえるのがおもしろい。ランドマーク探し(指定数のランドマークを見つけると、アビリティポイントを入手)の要素も含めて、徐々に世界が広がる感覚がこれまでのシリーズよりも色濃く感じられた。

 ちなみに、フィールドははかなり広いが、“転晶石”と呼ばれるワープポイントが各地に配置されており、これを調べて解放しておくと、以降はワールドマップから直接そこに跳べる(いわゆるファストトラベル)。これにより、移動関連のストレスをほぼ感じないはずだ。

調合……ピタッと調合パネルが埋まり、いいアイテムが完成したときの達成感は格別!

 つぎに語るのは、“不思議”シリーズで継承されてきた“パネル調合”。この調合では、錬金釜に配置されたマスの上に、材料を構成している属性つきの錬金成分(属性は火・氷・雷・風・光の5種類)のピースをパズルのように配置していく。配置した錬金成分の数によって、完成するアイテムにさまざまな効果が発現するという仕組みだ。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
材料は複数の錬金成分から成るものが多く、それぞれパズルのピースのようにひとつひとつ形が違う(たとえば写真の“うに”は雷属性2、火属性2を持つ)。基本的に、これらのピースが重ならないように、すべての材料を配置していく。

 調合パネルいっぱいに材料を配置できたときの達成感は格別だが、それ以上に熱いのが“リンク成分”を使った新要素。素材の錬金成分の中にはリンク成分(★マーク)が含まれていることがあり、同属性のリンク成分を上下または左右に隣接させると、リンクが形成される。このリンク数に応じて、同じ属性の効果レベルの上限が上昇する仕組みだ。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
たとえば、序盤のレシピで調合できる爆弾“フラム”。効果を上限まで引き出せば、冒険中盤まで活躍できるアイテムへと強化できる!

 また、このリンク形成時に見逃せないのが、友好度上昇によって仲間が修得する“協力スキル”の存在。たとえばラミゼルならば、火属性のリンク数が3以上になると協力スキルが発動し、完成品の品質がアップするなどの恩恵が得られる。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
協力スキル発動時はカットインが入る。リンクをたくさんつなげられたときの気持ちよさは、この“パネル調合”の醍醐味だ!

 さらに、今回の調合では、ソフィーだけでなくプラフタも調合できる。レシピはふたり共通のものと、専用のものがそれぞれ用意されているので、どちらか片方だけで調合するのではなく、バランスよく調合を担当して錬金Lvを上げていきたい。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
ソフィーとプラフタのどちらが調合するかは、調合前に選べる。また、調合中にボタンひとつを押すだけでも交代が可能。このちょっとした気配りも、ストレスフリーな作りでうれしい。

 ちなみに、物語が進むと、錬金釜の一部のマスに錬金成分の配置ができなくなって、材料をはめ込むのが難しくなる“リバースパネル”も登場する。使いこなすことは難しいが、より強力なアイテムが調合できる。シリーズをやり込んできた上級者にとっては、これが解放されてからが本番とも言えるだろう。

戦闘……考えれば考えるほど楽しさが増す戦略性と、スピーディー&派手な演出が見どころ

 “不思議”シリーズの最新作だけあり、本作は3作目『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』の“コンビネーションバトル”の進化系ともいうべき“マルチリンクターンバトル”を採用している。戦闘には最大6人が参加し、パーティー編成の際は、前衛の“アサルトチーム”と、後衛の“バックアップチーム”を選ぶ。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
敵シンボルと接触する(または、杖でスイングする)と、戦闘にシームレスに移行。流れるように進む戦闘は感動ものだ!

 攻撃はアサルトチームが担当するが、テクニカルポイント(TP)を消費すれば、バックアップチームと連携する特殊コマンド“ツインアクション”、“サポートガード”をくり出せる。このTPは、戦闘の一部の基礎コマンド(攻撃やガードなど)を実行すると蓄積。

 ツインアクションとサポートガードのどちらにTPを使うべきかを、現状から先読みしていく“詰将棋的”なバトルは、戦闘がリアルタイムで進行する“秘密”シリーズとは違う方向性で、おもしろさと進化の可能性を感じさせられた。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
ツインアクションは、前衛メンバーと後衛メンバーが、交代しながら連続で行動するというもの。スキルを使うか、アイテムを使うかを選択できる。消費MPが通常時より軽減されるので、MP10のスキルは、ツインアクション時は消費MPがゼロになるというメリットも!
『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
サポートガードを利用すると、受けるダメージを減少させられる。

 さらに、マルチリンクターンバトルの集大成とも言うべき要素が、デュアルゲージ(DG)が100%以上のときに発動できる“デュアルトリガー”だ(DGは、TPを消費する特殊コマンドの実行で溜まる)。これによってトドメを刺したときの掛け合いは、いままでのシリーズにはなかった演出となっており、必見だ。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
“デュアルトリガー”はキャラクターの組み合わせでいくつか種類があり、威力も演出もド派手。なお、DGは100%までは戦闘終了後もつぎの戦闘へ持ち越せる。

 また、戦闘開始時に一部の魔物が“オーラ”をまとうという点にも注目。この状態の魔物にはダメージを与えにくくなるため、いかに素早くオーラを破壊(ブレイク)できるかがカギとなる。

 オーラはさまざまな攻撃で削ることができるが、オーラの弱点属性を突くことで大きく削れる。オーラの数値をゼロにすればブレイクが可能。ブレイクさせると、相手の被ダメージが上昇するうえ1ターン行動不能になる。さらに、ブレイクさせたキャラクターは、TP獲得&追加行動ができるようになる。これを利用すれば、一気に形勢を変えることも可能だ。

『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
魔物の横に表示される数字がオーラの数値。弱点属性で攻撃したり、オーラを削れるスキルを使ったりしてブレイクを狙う。

 さて、今回はシステムを中心にレビューをお届けしたが、最後に、本作に収録されていてうれしかった、ちょっとした便利要素を紹介しよう。

  • その1 会話のメッセージ早送り機能
  • その2 戦闘中に戦闘スピードを変更できる機能(1.0、1.5、2.0の3段階)
  • その3 依頼の採取物や討伐対象などが、ミニマップや対象物の上にアイコンで表示される機能
『ソフィーのアトリエ2』先行プレイリポート。採取・調合・戦闘それぞれに、かゆいところに手が届くシステムを用意! 止めどきが見つからない
依頼の採取物や討伐対象などは、エリア選択時にもアイコンが表示されるため、すぐに目的の場所に行ける!

 これらはけっして派手ではない要素だが、長時間遊ぶ作品だけに、プレイすればきっとありがたみに気がつくはずだ。

 なお、レビューではPS4版とNintendo Switch版をプレイしたが、若干Nintendo Switch版のロードが長いくらいで、演出や操作感に違いは感じられなかった。どのプラットフォームでプレイするかは、好みに合わせて選んでほしい。