ポーランドのゲーム開発会社Techlandが開発した『ダイイングライト』は、2015年にリリースされたゾンビサバイバルアクションゲーム。

 2022年1月13日には、ゲーム本編に加え、これまでのおもなダウンロードコンテンツを収録した『ダイイングライト プラチナエディション』が、スパイク・チュンソフトよりNintendo Switchで発売された。

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画像は、『ダイイングライト プラチナエディション』のもの。

 『ダイイングライト』は、壁や屋根によじ登って縦横無尽にパルクールを行うシステムや、手強い感染者(ゾンビ)とのバトル、荒廃した都市を舞台としたサバイバルが楽しめる世界観などが評価され、全世界で2000万人以上にプレイされた傑作だ。

 その『ダイイングライト』と世界観を共有する続編が、2022年2月4日についに発売となる。本稿では、シリーズの魅力はそのままに、すべての面において大幅なパワーアップを遂げた『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』のレビューを掲載。

 さらに爽快になったアクション、迫力あるゾンビとのバトルなど、本作の特徴を紹介しよう。

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 なお、本レビューはスパイク・チュンソフトから発売されるプレイステーション5版をもとに執筆している。本作はスパイク・チュンソフトがリリースするプレイステーション5版とプレイステーション4版に加え、Nintendo Switch(Cloud Version)(※)、Xbox One、Xbox Series X|S、PC版がTechlandから発売される。自分の好きなハードで、ぜひプレイしてほしい。

※Nintendo SwitchのCloud Versionは2022年発売予定。

さまざまな勢力が入り乱れる“シティ”を跳べ!

 『ダイイングライト』の世界は、感染した人をゾンビのような姿にしてしまう“THV(ハランウイルス)”の蔓延により、退廃の一途を辿っていた。

 前作の主人公クレインは、このウイルス発生の地であるハランを舞台に、自身の目的のためにゾンビや敵対勢力と戦った。

主人公エイデンが生き別れの妹を捜す物語

 『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』は、前作から約20年が経過した時代が舞台。感染はさらに拡大し、人々はいくつかの都市に身を寄せるように集まり、力を合わせて生活している。

 本作の舞台となる“シティ”も、人間が暮らす街のひとつ。シティにはさまざまな勢力の人間が生活しており、主人公エイデンは、生き別れの妹を探すという目的のため、さまざまな依頼をこなすことになる……というのが、物語の概要だ。

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 エイデンはシティに来るまでは、情報や物資を人々が集まる場所に運ぶことを生業としている“流浪人”。流浪人は高い身体能力がないと生きていけないという過酷な職業のため、エイデンは“パルクール(人間の身体能力を極限まで活用し、障害物を乗り越えるように移動するスポーツ)”を得意としている。

 このパルクールを活用したアクションが、本シリーズのもっとも大きな特徴だ。前作の主人公クレインと同様に、エイデンは壁を上ったり、屋根から屋根にジャンプしたり、高いところから飛び降りたりと、シティ内を軽快に走り回る。

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 障害物や建物には、ほぼすべて上ることが可能。「ここは無理だろ」と思えるような壁でも、エイデンにとっては簡単なボルダリング施設のようなもの。どんな壁でも突起をつかんでヒョイヒョイと上ることができる。

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 このパルクールを駆使したアクションがじつに爽快。ジャンプや壁をつかむといったアクションはR1ボタンに集約されており、ボタンを押すだけの簡単操作でダイナミックなアクションが楽しめるようになっている。

 少しメタな発言になるが、プレイヤーが立てる場所の判定(足場の判定)はかなり広く設定されているようで、鉄骨などの細い足場を歩いている最中にちょっと踏み外した(ような気がした)としても、落下せずにスイスイと移動でき、非常に親切に感じた。

 ただし、調子に乗って高いところを雑に移動しようとすると落下死することも多いので、そこはご注意を。

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シティを探索してアイテムを集めろ!

 回復アイテムなどの消耗品はお店に置いていないことも多く、自分でクラフトしなければいけない。そのクラフトに必要な素材や装備品などのアイテムは、マップを探索して自分で拾い集める必要がある。

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 素材はゴミ箱やロッカー、箱などに入っているので、いろいろな場所を探索しよう。その際に、換金できる貴重品を拾えることも多い。本作の世界において通貨は非常に貴重なので、コツコツ集めていざというときに物品を購入できるようにしておくことも大切なポイントだ。

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一見すると何も役に立たなさそうな素材アイテムだが、これが本作においては超重要。

 エイデンは周囲にある探索ポイントや敵を探し当てる“サバイバーセンス”が使用可能(プレイステーションハードではR3ボタン長押し)。これを使うと、周囲の調べられるポイントが一定時間表示されるようになる。この収集作業が非常に楽しく、横道に逸れすぎて、本来の目的を忘れることもしばしばだ。

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昼と夜で姿を変えるシティ

 昼夜の概念は前作から存在していたが、本作では前作以上に昼と夜で状況がさらに大きく変わるようになった。

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 ウイルスは紫外線に弱く、日光やUVライトに当たることによってその進行を後退させられることがわかっている。そのため、人々が住む場所には大量のUVライトが設置されている。

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 日中は日光が降り注ぐため、多くの感染者は屋内に退避し、眠っている。屋外には日光に耐性を持つ感染者もいるが、動きは鈍く数が少ない。そのため、日中は地上でも楽々と移動できる。

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 しかし、夜になると状況は一変。感染者が屋外に出現し、積極的に生存者を襲うようになる。絶叫を上げてほかの感染者を集める“ハウラー”など、日中にはいなかった種類の感染者も現れるため、夜間の移動はかなりの危険を伴う。慣れないうちは、夜は安全地帯に退避し、眠ってやり過ごすのがいいだろう。

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 このウイルスの性質は、プレイヤーの行動にも影響する。エイデンもこのウイルスに感染しているのだが、日中はつねに日光が当たるため、屋外にいる限りはゾンビに転化する恐れはない。だが、日光の当たらない屋内に入ったり、夜になると徐々にウイルスに蝕まれ、最後にはゾンビになってしまいゲームオーバーとなる。

 このゾンビになるまでの制限時間は、画面上部の“免疫力”で確認できる。紫外線が届かない場所に行くと、免疫力が減少。ゼロになるとゲームオーバーになるが、その前にふたたび紫外線を浴びれば、即座に免疫力が回復する仕組みになっている。

 夜間でも自由に行動できた前作と異なり、本作ではこの制限時間を考慮する必要がある。行きだけではなく帰りの移動時間も考えて探索しなくてはいけないため、屋内や夜間の探索が、よりスリリングになった。

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 また、本作では前作とは比べ物にならないほど、屋内での探索ポイントが増加している。とくに、“荒廃した店”や“ダークホロー”といった地点には貴重な物品が眠っているので、エイデンを強化するためにぜひ訪れておきたい。

 しかし、前述の通り日中の屋内には多くの感染者がひしめいている。屋内の探索は夜間に行いたいが、夜間は免疫力のタイムリミットを考慮する必要があり、じっくりと品定めをしている時間はない。

 ある程度自由に行動できる日中に動くか、危険だがメリットの多い夜間に動くか。その時々の状況によって、移動する時間を変えるのも、本作の重要な攻略ポイントと言えるだろう。

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感染者とのバトルは武器の改造で乗り切れ!

 シティの内部には大量の感染者が徘徊しているが、感染者の多くは高いところに上ることができない。そのため、建物の屋根などを走れば、襲われることも少ないだろう。

 しかし、ときには感染者や敵対する人間と戦わなくてはいけないこともある。そんなときは、拾い集めた武器を駆使して撃退しよう。

 本作の世界はウイルスの影響により文明が荒廃しており、銃火器などのハイテクなものは手に入りにくい。そのため、バトルはおもに刃物や鈍器などを使った接近戦を強いられることになる。

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 この武器に関する要素も前作のシステムを踏襲しており、使うたびに耐久力が減少。ゼロになると武器は壊れてしまう。本作ではひとつの武器に固執することなく、つぎつぎと乗り換えていくことが重要だ。

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武器はさまざまな場所に落ちているので、マメに探索しよう。

 また、前作にもあった武器の改造もパワーアップ。武器には、改造が施せる“スロット”が空いているものがあり、素材を消費して“MOD(改造パーツ)”を取り付けることで、炎や雷などの属性効果を付与できるようになった。

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 敵は炎や雷での攻撃を受けると一定時間無防備になるため、非常に強力だ。また、武器自体の攻撃力を上げるMODも存在するので、武器自体の攻撃力だけでなく、このスロットの有無で装備を取捨選択することも重要になりそうだ。

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改造は強力だが、改造を施しても最終的に武器はなくなってしまう。どの程度改造するのかは、終始頭を悩ませそうだ。

 また、本作には武器のほかに、さまざまな付加効果を持つ防具も新たに登場。防具には基本となる防御力のほか、スタミナや攻撃力を底上げしたり、後述する獲得経験値量をアップしたりといった効果を持つものが存在。何かに特化したセット装備を考えるのも楽しそうだ。

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アクションを行うほどエイデンは強くなる!

 エイデンは、移動を行うと“パルクールレベル”の、敵と戦うと“戦闘レベル”の経験値をそれぞれ得られる。この経験値が一定量溜まるとレベルが1上昇し、スキルを覚えるのに必要なポイントを獲得できる。また、クエストをクリアーすると、経験値を大量に入手可能だ。

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 覚えられるスキルも、パルクールと戦闘でカテゴリーが分かれている。

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 また、エイデンの体力やスタミナは、各地で“インヒビター”という薬品を集めることで上がる。インヒビターを3つ集めるとゲージが溜まり、体力かスタミナの好きなほうをレベルアップできる仕組みだ。スキルの中には体力とスタミナが一定値まで上がっていないと覚えられないものもあるので、覚えたいスキルに合わせて育成方針を定めるといいだろう。

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インヒビターはストーリーの道中で拾えることもある(ありがたい)が、基本的にはダークホローの奥深くで眠っている。なるべく集めておきたいが、入手に危険が伴うのは間違いない。

すべての面において大幅にパワーアップした最新作!

 本作は、前作で好評だったシステムを踏襲しながらも、さらに戦略的かつスリリングなゲームプレイが楽しめるようにさまざまな要素がブラッシュアップされている。

 とくに夜間での行動が顕著だ。本作同様、前作には夜間に行動すると、パルクールと戦闘で獲得できる経験値が2倍になるという特徴があったが、レベル上げ時以外には夜間に行動するメリットはなかった。しかし、本作では屋内での探索の重要度が増し、夜間に探索を行えば行うほど、エイデンが強くなりやすい。

 夜間に行動したくなる要素は増えたが、その反面免疫力という要素が登場し、メリットとデメリットの両方を用意してきたのがニクい。家に帰るまでが遠足というように、探索は帰宅にかかる時間を考慮しなければいけない。じっくりと探索したい、でもできない……。そんなジレンマを楽しめるようになったのだ。

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 さらに、装備品に防具も登場し、よりRPGテイストが増した点も楽しい。高性能な装備が手に入ったときのうれしさがより体感できるようになり、ゲーム的な魅力が増した印象だ。加えて、前作でもサイドクエスト的なイベントは存在したが、本作では装備品などの報酬が得られることも多く、前作以上についつい横道に逸れたくなるだろう。

 前作から全方位でボリュームアップした『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』。すべての要素をこなすと、プレイ時間は数百時間にも上るといったアナウンスもされており、非常にやり込み甲斐のある内容なことは間違いない。

 また、前作はかなりバトルが難しく、リトライをくり返していくような難度だったが、本作では回復アイテムが作りやすく、敵の攻撃も若干控え目な印象。そのほか、個人的に前作の改善点だと思っていた細かい要素が解消されており、非常に遊びやすいゲームへと進化していると感じた。

 前作をクリアーしたうえで本作をプレイしたほうが世界観を理解しやすいのは間違いないが、前作とのストーリーのつながりはないので、本作からプレイを始めてもまったく問題ない。前作をプレイした人も、したことがない人も、ぜひ全世界待望のゾンビサバイバルアクション最新作を楽しんでほしい。

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本作では、プレイヤーの選択によって物語の内容が大きく変化することも特徴。一度クリアーしても、選択を変えて異なるストーリーを楽しむのも一興だ。

洋ゲーライターによる動画付きレビューも合わせてチェック

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『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』概要

  • メーカー:スパイク・チュンソフト(※)
  • ハード:プレイステーション5、プレイステーション4(※)
  • 発売日:2022年2月4日発売予定
  • 価格:各8778円[税込]
  • ジャンル:アクション・RPG
  • CERO:18歳以上のみ対象
  • 備考:デラックスエディションは各10978円[税込]、アルティメットエディションは各13178円[税込]

※Nintendo Switch版(Cloud Version)、Xbox One、Xbox Series X|S、PC版もTechlandより発売予定。Nintendo Switch版(Cloud Version)は2022年発売予定。