宮崎氏インタビュー(一部抜粋)を特別に公開!

 2022年2月25日の発売までいよいよ1ヵ月を切った、全世界待望のダークファンタジー・アクションRPG『ELDEN RING(エルデンリング)』。本作の発売に先駆け、『エルデンリング』の情報を総まとめした企画ムック “The Overture of ELDEN RING(ジ オーバーチュア オブ エルデンリング)”がKADOKAWAより現在発売中です。

 本書は昨年11月に実施された『エルデンリング』のネットワークテストでプレイできた内容を元に、本作の情報を総まとめ。このほか、フロム・ソフトウェアがこれまで手掛けた『Demon’s Souls』以降の、ダークファンタジータイトルのアートワークをまとめた特集企画、およびファブリックポスター、ステッカーなどの付録が楽しめます。

 ここでは、本書の注目ポイントのひとつである『エルデンリング』のディレクターを務める宮崎英高氏へのインタビューを一部抜粋して掲載。『エルデンリング』に期待している方はぜひ、ご一読ください。
(インタビュー日時:2021年12月20日)

宮崎英高氏(みやざきひでたか)

 フロム・ソフトウェア代表取締役社長、ディレクター。氏の手掛けるゲームはいずれも世界中で高い評価を得ている。“GoldenJoystick Awards 2018”において、LifetimeAchievement Award(生涯功労賞)を受賞。

大規模なゲーム制作における開発体制の進化

――まず、現在の開発状況をうかがえますか?

宮崎そうですね。ほぼ完成していまして、最後の調整を行っている段階です。

――宮崎さんの中で、本作の手応えはいかがでしょうか。

宮崎本作に限った話ではなく、いままで作ってきたすべてのタイトルでもそうだったのですが、開発末期から発売までの間は、どうしても不安のほうが大きくなってしまいますね。なので、あまり好きな時間ではありません(笑)。

 ただ、本作を作るにあたり「シンプルな冒険感みたいなものがあるといいな」と考えていて、そこはある程度実現できたのではないかと思います。未知の大きな世界があって、脅威と謎と、出会いとドラマと、神話があって、そういったところを手探りで探索していく感じですね。

――すでにネットワークテスト版の段階でもその点はかなり感じられ、ワクワクした部分でもありました。

宮崎そう言ってもらえると、少し安心します。本作で、とくにユーザーさんに感じて、楽しんでほしい部分なので。

――本作において宮崎さんがディレクター業を行うにあたって、いままでの作品と異なった点はどういった部分でしょう?

宮崎それは、大きく2点あると思います。1点目は、ジョージ・R・R・マーティンさんとコラボレーションさせていただいたということです。彼には、ゲーム本編よりも前の時代の、本作の世界観のベースとなる神話の執筆をお願いしたのですが、そうした、何らかの前提というか、原作がある状態でのゲーム制作は、私には初めての経験でした。とても新鮮でしたし、刺激的でしたね。

 2点目は、本作が過去にないほど大きなタイトルであることから、スタッフに任せる部分が増えたことです。これは当初から想定していたことで、むしろ、信頼して任せられる人材が何人も育ってきたことが、「本作のような大きなタイトルを、このタイミングで作ろう」と決めた大きな理由なのです。そして彼らは、信頼に応えてくれました。

――ほかには開発の人数自体の多さも、本作を制作できたことに起因するのでしょうか。

宮崎開発人数や期間についても、本作は弊社としては過去最大になると思います。ですが重要だったのは、単純な人数の多さというよりは、やはり信頼できるスタッフが育ってきたことだと思います。

――メンバーに任せた部分で、あがってきたアイデアが宮崎さんにとって意外性のあるものであったり、新鮮であったりと、影響を受けたことはありますか?

宮崎もちろんたくさんありますよ。たとえば、黄金樹のビジュアルについての提案であるとか。そういったことは、チームで協働しながら何かを作っていく醍醐味だと思いますし、私がゲーム制作を楽しいと感じる、大きな要因でもあります。

――任せる部分が多くなったことで、宮崎さんのディレクターとしての仕事内容も変わりましたか?

宮崎基本的にはいままでと変わっていませんね。上流となるコンセプトおよびゲームデザインと、ゲーム全体の方向性を定義するいくつかの個別要素、アートワーク、レベルデザイン、モーション、テキストなどは、できるだけ直接ディレクションしています。ただ、たとえばレベルデザインなどは、ある程度固まった後は、スタッフに任せる部分が多くなったりはしていますね。今作ではとくにマップが大きいですから。

――開発において、技術的な部分でいままでのタイトルと異なる部分はありましたか?

宮崎そうですね。本作以前から継続している試みではあるのですが、スタッフがゲームをおもしろくすることに多くの時間を割けるよう、自動化できるところは自動化しています。一部のアセットや配置、AIベースの作成や、一部のデバックなどですね。もちろん、最後は人の手で調整したほうがよいものも多く、実際にそうしています。

 また別の観点でいえば、プレイテストでのデータ取得を強化し、調整や改善を、感覚だけではなくデータに基づいて判断できるように、といったことも重視しました。チームの人数も大きくなり、また任せる部分も増えてくる中で、必要なことだったと思います。

――自動作業と手作業、2種類を組み合わせて、本作の圧倒的な物量と広大で深みのある世界を作られたのですね。

宮崎まあ、そうなのですが……。正直な話をすると、予定よりも自動化できる部分が少なく、気合いで何とかした部分も多かったですね。ただ、それによりよい意味で癖のある、フロム・ソフトウェアらしい部分も生じているので、苦労した価値はあったのかなと思っています。

『エルデンリング』の情報を総まとめしたムック“The Overture of ELDEN RING”より宮崎英高氏のインタビューを一部公開!

オープンなフィールドを採用した理由と、それに伴う“快適さ”の向上

――オープンなフィールドを採用されたということは、いわゆるいままでの“ソウル” シリーズ以上に“探索” に重きを置いた作品を作りたかったという出発点だったのでしょうか。

宮崎この文脈では、“探索”というよりは、最初に申し上げた“冒険感”のほうがより近いですかね。“探索”でも間違いではないのですが、作り込まれたダンジョンを隅々まで探索する、といった類ではなく、もっと広がりのあるものをイメージしているので。

――ネットワークテストを経験して感じたことですが、それはイコール“自由度”でもあるのでしょうか。

宮崎はい、そうです。“自由度”は、本作のキーワードであると思っています。攻略の自由度であり、物語進行の自由度であり、戦術の自由度であり、キャラクタービルドの自由度ですね。

『エルデンリング』の情報を総まとめしたムック“The Overture of ELDEN RING”より宮崎英高氏のインタビューを一部公開!

 この続きはぜひ、現在KADOKAWAより発売中の“The Overture of ELDEN RING”でお楽しみください。

『エルデンリング』の情報を総まとめしたムック“The Overture of ELDEN RING”より宮崎英高氏のインタビューを一部公開!

【商品情報】
■書名  The Overture of ELDEN RING
■仕様  オールカラー・A4判・128ページ
■価格  価格:1650円(本体1500円+税)/電子書籍版は1320円(本体1200円+税)
■付録  『ELDEN RING』 B2ファブリックポスター/『ELDEN RING』 A3綴じ込みポスター/DARK FANTSY ステッカー
■その他 電子書籍版は「BOOK WALKER」をはじめ、各電子書籍ストアでも配信開始。

※電子版にELDEN RING B2ファブリックポスター、DARK FANTSY ステッカーは収録しておりません。また、『ELDEN RING』 A3綴じ込みポスターは画像として収録しております。

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