海外で徐々に盛り上がっているWebゲームの『Wordle』を紹介しよう。本作は一種の単語当てゲームで、PCやスマートフォンなどのWebブラウザーでプレイ可能。

 ルールは簡単、6回のチャンスのあいだにお題となっている5文字の単語を当てるだけ。回答を入力すると、位置があっている文字があれば緑色、位置は違うけど別の場所に含まれる文字があれば黄土色で示されるので、それを参考に次の回答を行うという形だ。

wordle
アタリをつけるために存在しない言葉を入れるのは禁止。

ゆるく遊んでゆるくシェアする設計

 というわけで基本的には昔からある単語当てゲームとそう変わらないのだが、手軽にアクセスできる一方、スローに楽しめる作りになっているのがポイントのひとつと言えるだろう。

 お題は1日1個だけで、日付が変わって更新されるまで続けてプレイすることはできないのだが(一回のプレイの希少性を高めるための意図的な設計)、その代わりに自分の各回答の中でどのフィールドが正解だったかの“棋譜”を示す絵文字をSNSなどに簡単にシェアできるようになっている。

 そして「いやー、もうちょっと早く解けたはずだなコレ」とか「途中でマジ詰まったわ」といったコメントとともに投稿される謎すぎる灰色・緑・黄色の四角の羅列を見た人が「なんだコレ?」と調べ、サイトにたどり着いてプレイすることでまた広まっていく……という寸法だ。

 またお題は共通なので、プレイヤー同士で「今日のはムズいわ」「わかる」とかコミュニケーションできたり、他プレイヤーの“棋譜”を見て「あ、ここで詰まって一回仕切り直しのサーチやったのね」とわかるのもいい。

身内向けのプロジェクトから発展

 『Wordle』を開発したのは、ソフトウェアエンジニアのジョシュ・ウォードル氏(実はタイトルも作者の名字Wardleをもじったもの)。ニューヨーク・タイムズの記事によると、彼のパートナーが言語ゲームを好んでいたことから、当初は身内が遊べるものとして開発に至ったのだという。その後、家族用のチャットで盛り上がったことから公開を決意し、2021年10月に一般公開。11月1日の段階では90人ほどのプレイヤーしかいなかったそうだが、2022年1月2日時点ではなんと30万人が遊ぶゲームへと成長している。

 ちなみにシェア機能はもともとついておらず、これはプレイヤーたちが絵文字をいちいち並べて結果を投稿していたのを12月に公式採用したもの。その際にゲームのURLなどをくっつけることも考えたそうなのだが、3色の四角形が整然と並ぶキャッチーさが失われてチャチく(Trashy)見えることからやめたそう。

 こういったエピソードからもうかがえる通り、ゲームの基本はシンプルながら、細かいこだわりが口コミに繋がっているという印象だ。実はウォードル氏、縦横1000ピクセルのフィールド上に各ユーザーが好きに1ドットだけ置ける集団プロジェクト“Places”(現在は運営終了)などの開発を海外掲示板のRedditで手掛けてスマッシュヒットさせており、バズらせる“勘”に長けているんじゃないかと思う。

 なおプレイするには純粋な単語力というより、「EとRがどっかに入るってことはナントカer?」とか「アウトになってない残りの文字からするとphナントカか?」といったような言語勘が要求される感じ。非英語圏の人間としてはちょっとハードル高めだが、頭の体操ついでにプレイしてみるといいんじゃないだろうか。