スクウェア・エニックスより発売されているNintendo Switch、プレイステーション4、およびPC(Epic Games Store)用ソフト『新すばらしきこのせかい』。2021年12月10日には、アメリカ・ロサンゼルスで開催されたThe Game Awards 2021でPlayers' Voice部門にノミネートされるなど、多数のプレイヤーから支持を得ている。本稿では、そんな本作の発売から約半年が経ち、その内容について深掘りしたメールでの開発スタッフインタビューをお届け。

※本記事では『すばらしきこのせかい』を『すばせか』と略しているところがあります。

 記事の性質上、ネタバレを含んでいるものの、物語の核心部分など、プレイの楽しみを損なうネタバレには配慮しています。ちょうどNintendo Switchとプレイステーション4向けのダウンロード版が50%オフとなる年末年始セール中(2022年1月7日まで)なので、気になっている方は「これ以上は(ネタバレ的に)マズい!」というところで本記事を閉じて、プレイ後にあらためて読んでいただければ幸い。

野村哲也氏(のむら てつや)

クリエイティブプロデューサー&キャラクターデザインを担当。『FF』シリーズの多くでキャラクターデザインを手掛け、『キングダム ハーツ』シリーズ、『FFVII リメイク』などではディレクターも務める。そのほか、携わった作品は多岐にのぼる。

神藤辰也氏(かんどう たつや)

『すばらしきこのせかい』シリーズディレクター。携わったおもな作品は『キングダム ハーツ』シリーズなど。『すばらしきこのせかい』シリーズでは、世界観やストーリーなどを中心に開発全般をディレクション。

伊藤寿恭(いとう ひろゆき)

ディレクター。前作『すばらしきこのせかい』ではプログラマー兼プランナーとしてバトルデザインなどを担当。

平野智彦氏(ひらの ともひこ)

プロデューサー。『すばらしきこのせかい –Final Remix-』や『ファイナルファンタジーX/X-2 HD リマスター』、『ファイナルファンタジー デジタルカードゲーム』のプロデューサーなどを務める。

小林元氏(こばやし げん)

キャラクターデザインを担当。前作『すばらしきこのせかい』でも野村哲也氏とともにキャラクターデザインを手掛ける。携わったおもな作品は『スクールガールストライカーズ』や『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』など。

山下美樹氏(やました みき)

キャラクターデザインを担当。携わったおもな作品は『キングダム ハーツ アンチェインドχ(キー)』や『キングダム ハーツ ユニオンクロス』など。

14年分の想いが詰まった『新すばらしきこのせかい』

――発売から約半年が経ちますが、ファンの反応を見たり、あらためてゲームの内容を振り返っての感想をうかがえますか?

野村本作に限らず感想や反応は必ず見ています。本作に関しては他作品では有り得ないほど反応もよく、喜んでいただけた印象で、作れてよかったなと思います。ただ、個人的には振り返ると反省点はいくつかあるので今後に活かしたいと思います。

神藤14年の『すばせか』への想いが目一杯詰まったゲームになりました。やりきりました。完全燃焼です。

平野発売から半年経過しましたのでネタバレも解禁で話させていただきますが、最大6人をリアルタイムで同時操作できるという、ほかにはない体験がプレイヤーの皆様に受け入れられたことがうれしかったですね。

伊藤14年もお待たせしたことで、前作の熱心なファンの方に新しいキャラクターやシステムが受け入れられるか心配でしたが、多くの方に歓迎していただけたようでホッとしております。

小林ファンの方々の反応はSNSなどで積極的に追っていましたが、自分が見た限りではかなりの方が好意的に受け入れていただけていたので、すごく安心したのと同時にうれしかったです。個人的には、開発中のテストプレイなどで触った際にバトルもシナリオもすごくおもしろかったので、「これは前作ファンにも必ず受け入れてもらえるハズ!」と確信していたのですが、それでも実際に皆さんの反応を見るのはドキドキでした。

山下私は本作からの参加だったので自分のデザインが受け入れてもらえるのか不安でしたが、思いのほかいい反応をいただけて安心しました…!

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
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開発を振り返って

――『新すばらしきこのせかい』の発売前にアニメ『すばらしきこのせかい』の放送がありましたが、アニメから影響を受けた部分、または、アニメの要素を『新すばせか』に反映している部分はありますか?

神藤アニメーションの進行も、『新すばせか』とほぼ平行で行われていたのですが、状況は逐一共有されていて、アニメーションならではの解釈や表現など、こちらがハッと改めて気付かされる場面も多々ありましたね。アニメーションのラストのシーンでのグラフィティアートなどは演出含めとてもよかったので、『新すばせか』でも使わせていただきました。

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――『すばせか』と言えば、石元丈晴さんの音楽も大きな魅力ですが、『新すばせか』の音楽について、開発側からのオーダーや石元さんからの提案などもあったと思います。本作の音楽はどのようなやり取りを経て作られていったのでしょうか。また、その中でとくに印象に残っている曲があれば教えてください。

平野「石元さんへは前作を超える曲をお願いします」という発注を行っていました。そこで石元さんから、「それならば曲のジャンルごとに、より尖った方向性に伸ばしていくのはどうでしょうか?」とご提案をいただき、よりロックな曲や、よりメタルな曲が増えていった形です。その中でもいちばん印象深いのはOP曲の『NEW GAME』ですね。『すばらしきこのせかい』のイメージをアップデートするという意識で、前作の象徴でもあった『Twister』を一部取り入れつつも、より力強く緩急がついた曲になりました。この曲は正直、石元さんにいちばん苦労をかけた曲だったと思います。

――開発を担当したハ・ン・ドは『すばらしきこのせかい -Final Remix-』の開発を担当し、それ以前は『キングダム ハーツ 358/2 Days』や『キングダム ハーツ Re:コーデッド』の開発で『キングダム ハーツ』チームとも馴染みが深いスタジオですが、本作の開発においてハ・ン・ドとやり取りするなかで、印象深いエピソードなどはありましたか?

平野ハ・ン・ドさんの社内に熱烈な『すばせか』ファンの方がいらっしゃって、スクウェア・エニックス側では「今回はこうしてみようと思うのだけれど……」というラフ段階の企画に対して、「このままだと『すばせか』らしくないのでこうしてみませんか?」といったような提案をいただき、それが積みあがって企画ができあがったことが比較的よくありましたね。

伊藤個人的に、ハ・ン・ドさんとは『キングダム ハーツ 358/2 Days』からのお付き合いであり、本作のような発明が必要な作品ではとても心強いパートナーでした。とくにバトルを開発するにあたり、“『すばせか』らしさ”という禅問答のようなワードから粘り強く実装ベースでさまざまなことを試させてもらいました。そして、最終的に“『すばせか』らしい”奇抜でおもしろく、とても夢中になれるバトルにたどり着けたことは、ハ・ン・ドさんがパートナーだったからだと思います。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始

キャラクターにつけられた名前のルール、デザインについて

――以前のインタビュー(下の関連記事参照)で「本作で新たに登場するキャラクターはある共通のルールで名前がついています」とのことでしたが、ススキチ⇒鹿、シイバ⇒蝶(のペンダント)、ツグミは鶴モチーフ(公式ガイドブック+設定資料集より)、ミカギは鳳凰のイメージということは、花札がモチーフのひとりだったりしますか? また、ほかのルール、モチーフがあれば教えてください。

野村本作から登場する仲間は木花&音関係、新宿死神は花札がモチーフです。
死神は大方の予測通りです。すべてを書き出すと多いので新キャラ4人は下記の通りです。

  • リンドウ⇒(奏でる)竜胆(花)
  • ショウカ⇒桜音(音)紫陽花(花)
  • フレット⇒觸澤(フレット=ギター)桃斎(花)
  • ナギ⇒笛吹(笛)(マキ科の常緑高木)

――ファイナルトレーラーで登場し、謎キャラでしたが存在感抜群だったミカギのデザインコンセプト、小西成弥さん(@seiya0906)をキャスティングした理由を教えてください。

野村ミカギは当初ラスボスの予定でしたが、自分がシナリオにいなかったクボウを追加してもらった結果、ラスボスではなくなりました。ただ、結果的にはこちらの登場のしかたのほうがよかったなと思います。浮世離れした人ならざる者の雰囲気がよく出ていて、それは小西さんのボイスによる部分も大きいです。小西さんの起用に関しては、何人かの知人にリサーチを取って薦めていただいたんですが、声を聴いてパズルのピースがハマった感覚でした。

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――小林さんに質問です。ネクと間違われていたビイトですが、本作でのデザインコンセプトを教えてください。また、ゲームマスターであるシイバのデザインコンセプトについてもうかがえると。

小林ビイトは初期のシナリオで「自らネクに変装している」という設定でした。なのでコンセプトとしては“偽ネク”という感じでしたね。初期デザインはもう少しネクに寄せていたのですが。途中で「正体を隠して行動していて、ネクと間違われる」という風に設定が変わったので、ビイトぽいカラーなどを入れていまのデザインに落ち着きました。シイバは新宿死神のリーダーなので、渋谷勢と明確に違いを出したい、という事で“新宿=夜の街”をコンセプトにデザインを進める事になりました。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
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――続いて山下さんにうかがいます。前作では本来の容姿は公開されず、口もとがチラッとは見える程度だったシキですは、本作では初めて顔が描かれたうえ、衣装も新しくなっていると思うのですが、シキのデザインコンセプトについて教えてください。

山下シキは、まだ垢抜けないけど自分なりのおしゃれをしているという発注で、前作の眼鏡・カーディガン・ワンピース・レギンスという要素を残しつつ今風にアレンジしました。髪型も少し今っぽくショートボブにしています。

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――ご自身が担当されたキャラクターでとくに思い出深いキャラは?

小林フレットが最初にデザインしたということもあり、愛着があります。後、ビイトも思い出深いですね。前作からデザインがかなり変わっていますし、発売前後では、ネタバレの関係で紹介してもらえなかったこともあり、ユーザーの方々にどういう反応で迎えられるのかスゴく気になっていました。

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山下初めて担当させてもらったメインキャラなので、ナギに思い入れがありますね。オタクということで感情移入できる点も多く、デザインしていてとても楽しかったです。「推しが尊い」ところとか。

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――そんなナギの推しであるトモナミ様のデザインコンセプトを教えてください。

山下ナギの好きなゲームのキャラなので、本編と違うタッチで乙女系っぽく描こうというコンセプトでした。絵柄はほとんど手癖なので本編のキャラより描きやすかったです……。

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――リンドウはジュピター・オブ・ザ・モンキーのパーカー、ネクとショウカはガット・ネーロのブランドの服を着ていますが、その他のキャラクターで、「じつはこのキャラはこのブランドを着ている」といった設定、もしくは個人的にはこのブランドをイメージしている、といったものがあれば教えてください。

野村服にあえてブランドロゴを入れてる物や見た目でわかる物はそういう設定ですが、入れてない物はゲーム中に出ていないブランドを想定しています。

小林自分がキャラデザインをしていたタイミングではまだブランドのほうも決定していなかったように思います。なので、このキャラはこのブランド、というのは決めていませんでしたが、ススキチは白黒はっきりが好きなので、モノクロウの服が好きなんだろうなーと後で思いました。

山下まだブランド自体は決定していなかったのですが、ナギの服は前作にあったようなバラエティショップに売っているんだろうな、と話しながらデザインしました。

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――チャプターの題字、フレットのリマインドの絵、モトイのポエム(?)はどなたの手によるものなのでしょうか?

神藤チャプターの題字、フレットのリマインド絵などは、チームスタッフでコンペを行って制作しました。題字はさまざまなタッチが欲しかったので、あえて復数のスタッフのものを採用していますが、リマインド絵に関しては、フレットの脳内の再現として、上手すぎず下手すぎずの絶妙なラインを描いたフタッフに一任しています。モトイのポエムはシナリオ担当の石橋作ですね。モトイの薄っぺらい感じが皮肉としてよく演出されていると思います。

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【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始

――小林さんにはツイスターズのビジュアルや週刊ファミ通2021年8月12日号(2021年7月29日発売)の表紙絵も描いていただきましたが、『新すばせか』のビジュアルを描くにあたって、大切にしたポイントは? 

小林久々の続編という事もあり、前作の時に描いたイラストに少し寄せた部分はあります。セルフオマージュといいますか「“新”すばせか」感が出したかったので、キャラは異なりますが、あえて似た構図にしてみたりしました。あと、動きや勢いを感じるように意識して描きました。ゲーム中でリンドウたちは生死をかけて渋谷中を駆け回っているので、そういった必死な感じが伝わるように描きました。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
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左はニンテンドーDS版『すばらしきこのせかい』のパッケージ絵。
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週刊ファミ通2021年8月12日号(2021年7月29日発売)のイラスト

伊藤ディレクターのお気に入りバッジほか、バトルについて

――ディレクターの伊藤さんにおうかがいします。オススメ(もしくは、個人的にお気に入り)のバッジTOP5と、その理由を教えてください。

伊藤以下、TOP5から発表します。

5位 クロネコのゴーストソード

ガット・ネーロのにゃんタン系バッジはエフェクトが凝っていてどれも気に入っています。ゴーストソード系は、ボタン押しっぱなしで手軽なので好きです。

4位 ここはどこ? わたしはモチ。

バッジデザインがかわいいのと、妙なネーミングが気に入ってます(つけたのは自分ですが……)。

3位 ひこうきエンジョイ

クローキー・パニックのバッジデザインはどれも大好きです。とくにこのバッジは序盤で金策になるので助かります。

2位 アザマル

『すばせか』といえば、ざくざく斬るショックウェイブは欠かせないので1個選びました。ジュピター・オブ・ザ・モンキーの王道なバッジデザインも気に入っています。

1位 エンジェルキック

バッジデザインが好きなのと、マッシブアタックのサイキックは開発初期にバトルのスピード感などの方向性が見えたので思い出深いです。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
エンジェルキック。ターゲットに向かって跳び蹴りする。東急ハンズ1Fで入手可能。

――サイキックは47種類ありますが、それに対応するバッジはどのようにして決めていったのでしょう? また、採用されなかったけどこういう没案もあった、みたいのがあれば教えてください。

伊藤バッジは、贅沢なことに、ブランドごとにデザイナーさんが違うのですが、がっつり絵とサイキックが合いすぎてもおもしろくないので、半分ぐらいはあえてサイキックの内容を明かさず、属性のみ知らせて自由にデザインしてもらいました。結果的にデザイナーさんの個性がしっかりでて正解だったと思います。サイキックのボツ案は、サイコキネシス系が当初はフィールド上の電柱や車などを掴むというアイデアでしたが、場所で性能が偏るので見送りました。その他、前作にもあった画面上のバッジUIそのもので攻撃するなどメタ的なものも考えましたが、3Dと相性が悪いので見送りました。

――パーティが最大6人になったのは仲間になるキャラなど物語上の影響ですか? それともバトル開発側の希望で?

伊藤これはバトル班からの希望でした。前作が6スロットだったので、やり込み含めた適正な落とし所はそれぐらいの数になるという予測でした。またスロットが増えるタイミングもバトル側である程度適切なタイミングを決めてつけさせてもらいました。今作はバッジスロットがパーティーキャラとイコールですのでシナリオ側は非常にテクニカルな物語構築が必要だったと思います。おかげで物語の盛り上がりと機能開放の嬉しさが相まって面白いレベルデザインになったと思います。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始

――すでにプレイされた方、これからプレイされる方へ向けてメッセージをお願いします。

山下プレイしていただいたみなさま、ありがとうございました! そしてまだの方、世界観が少しでも気になったらぜひプレイしてみていただきたいです。『すばせか』ならではの、個性がたくさん詰まったゲームです!

小林プレイしていただいた方々、本当にありがとうございました。新しい『すばせか』を楽しんでいただけていたらうれしいです。気になっているけど、まだ未プレイという方、前作を知らない方でも、 いろいろなおもしろさが詰まった“すばせかワールド”を堪能していただけると思いますので、ぜひ一度遊んでいただきたいです。

伊藤まずは、プレイされた方、ここまで高い熱量でポジティブな反応をいただいたことは、正直なところ、いままで経験したことがないほどで、大変ありがたく光栄です。また、これからプレイされる方、本作から始めても、とても楽しめるゲームになっていますので、気楽に手に取っていただければと思います。

平野すでにプレイされた方はとくにご理解いただいているかと思いますが、2021年のリアルな渋谷、リアルに近い人間関係が描かれている内容になっています。甥っ子にプレイして感想をもらいましたが、「あぁーわかるわかる。実際こんな感じだよね」というコメントでしたので、学生の皆様にも共感いただける内容になっていると思います。ぜひ手に取ってみていただければと思います。

神藤自分たちが遊んで楽しいと思えるものに仕上がっています。やはりそうでないとゲーム作りも楽しめませんので。さまざまな要素が絡み合って生まれるこの楽しさは、『新すばらしきこのせかい』ならではの体験じゃないかなと思っていますので、より多くの人にこの楽しさを共有したいですね。

野村作品に思い入れの強い方はおそらくもうプレイ済だと思いますが、このシリーズに触れた事のない未プレイの方が多いと思います。先に書いた通り、プレイ後の感想が評判がよ過ぎて怖いくらいなので、いまの時代にこそぜひ気軽に遊んでみていただきたいです。前作が存在しますが、前作はアニメでも楽しめますし、本作から入っていただいても楽しめる作りになってます。

オマケ――前作からの謎、ココはいったい何者!?

――本作で『すばらしきこのせかい -Final Remix-』の新シナリオ“A NEW DAY”でのココの行動理由が判明しましたが、ココはミナミモトを復活させたり、死神クラスにしては大きな力を持っているように感じました。彼女は何者だったのでしょうか。結果的にネクが新宿のインバージョンの調査をさせられたり、ヨシュアの意図通りになっていると思われるので、ヨシュアともつながりが?

神藤確かにココはヨシュアとなんらか関係していないと辻褄が合わない部分もありますね。ただ、すべてを明かしてしまうのもつまらないので、皆さんいろいろと想像して楽しんでいただければと思います。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始

――ツグミが持っているにゃんタンのヌイグルミは、かつてシキが持っていたにゃんタンのヌイグルミと同じものですか? また、ツグミがにゃんタンのヌイグルミを持っているのは友だちのココが渡したからだと思うのですが、ココはシキのにゃんタンをどうやって手に入れたのでしょう? ココとシキにどんなつながりが?

神藤ツグミが持っているにゃんタンのヌイグルミはシキが持っていたオリジナルです。またなぜココを介してツグミへとにゃんタンが渡ったのかに関しては、ちゃんと設定があるのですが、今回は残念ながら全体尺の都合でその部分のシナリオをオミットすることになってしまいました。そういった各キャラクターを補足するようなシナリオが、また別の形で表現できるといいなと夢想しています。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
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【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始

――『Final Remix』の“A NEW DAY”のココとのバトルではゾウ系のノイズで、ツグミを封じていたノイズもゾウ系ノイズでしたが、この共通点は何か意味があるのでしょうか?

伊藤ここだけの話、“A NEW DAY”の最後のノイズ(ディゾナンスタピルス)は、ゾウではなくバクです。夢を食う動物です(笑)。なので、そこは関係なく、ツグミを封じるノイズがゾウなのはおもにバトルバランスなど別の理由です。

【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
“A NEW DAY”のバトルより。
【ネタバレ注意】『新すばらしきこのせかい』発売後だからこそ話せる開発者インタビュー。DL版の年末年始セールも開始
こちらは『新すばせか』のバトルより。

――ココのセリフから「ツグミは元死神で、3年前の新宿時代は能力者(参加者?)に戻っていた」とのことですが、死神から能力者になった理由、もしくは、そのあたりのことは何かで描く予定はないのでしょうか?

神藤ツグミの死神時代、また新宿消滅に関して、当時いったい何が起こっていたのかなどは、個人的にめちゃめちゃ描きたいですね! 「もっと知りたい!」というファンの皆さんの想いが大きければ、もしかしたら何らかの形で語れる日がくるかもしれません。

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