Behaviour Interactive開発による非対称型対戦サバイバルホラーゲーム『Dead by Daylight』が『リング』とコラボ! 新チャプターが2022年3月に配信されることが、本日2021年12月15日に明らかにされた。

 鈴木光司氏の小説『リング』は、KADOKAWAより1991年に刊行されるや、“見たら7日後に死ぬビデオ”などが話題を集めセンセーションを巻き起こしたサイコホラー。1998年には日本で長編映画化され大ヒットを記録。北米やヨーロッパでは『Ringu』として広く知られている。

 2022年に配信される新チャプターは、「鈴木光司氏の小説と、高い評価を受けた映画化作品にインスパイアされたこの新チャプターでは、不気味で陰鬱な世界を舞台にしたサイコホラーの傑作と『Dead by Daylight』の歪んだファンタジーが融合し、無限大のスリルとゲームプレイの幅広さを生み出します」(リリースより)とのこと。

 今回の発表に合わせて公開された、Behaviour Interactiveのゲームディレクター・マシュー・コート氏とKADOKAWAのプロデューサー・今安玲子氏のコメントは以下の通り。

Behaviour Interactive ゲームディレクター・マシュー・コート氏
 「日本が生み出した『リング』シリーズの重要性と、世界の文化に与えた影響は誰もが認めるところです。この作品を『Dead by Daylight』に登場させるにあたり、歴史に残るストーリーに参加する機会をいただき、大変光栄に思っています。この新チャプターでは、ただでさえ手に汗握るゲームに加わった、心臓が止まりそうになるほどの強烈な恐怖体験をお楽しみいただけます」

KADOKAWA プロデューサー・今安玲子氏
 「Behaviour Interactive及びDead by Daylightチームとのコラボレーションは私たちにとっても大変楽しみな取り組みです。偉大なる先人のキラーたちに負けない恐怖を降り注ぐために、霧の森にかの存在を送り込みます。心臓の覚悟を。震えて待っていてください」

【DbD】『リング』が『Dead by Daylight』とコラボ!新チャプターが2022年3月に配信決定。ネタバレギリギリをマシュー・コート氏に直撃

 『リング』新チャプチャーの詳細が判明するのは少し先のことになるようだが、ファミ通.comでは、その詳細をうかがうべく、Behaviour Interactiveのゲームディレクター・マシュー・コート氏とKADOKAWA プロデューサー・今安玲子氏を直撃。メールインタビューを敢行した。

『リング』という物語の真のファンは興奮するサバイバーに

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マシュー・コート氏。2019年の東京ゲームショウでの写真から。

――『リング』とのコラボが決まったときの率直なご感想をお教えください。

マシューまさに夢が叶った気分でした。ただ正直なところ、少し怖くもありました。もっとも怖く、もっとも不穏な物語のひとつであるだけでなく、非常によく練られたパワフルな作品であるため、『Dead by Daylight』のチャプターを原作に敬意を表しつつ制作するのは間違いなくチャレンジングなことになると感じたからです。

――『リング』のどのような点を魅力に感じていますか?

マシューいまや世界的なホラー現象となった『リング』。この有名なフランチャイズのおかげで、私たちの頭の中に巣くうイメージは、深く悩ましいものであり、率直に言って忘れることはできません。『Dead by Daylight』は、私たちがファンの皆さんにほかの文化の恐怖や悪夢を紹介するための方法です。

たとえば、“Binding of Kin”チャプターでは北欧のフォークロアを、新チャプター“Portrait of a Murder”ではラテンアメリカの伝統を紹介しています。ですから、世界中のプレイヤーの皆さんに、この珠玉の日本文化を深く味わっていただくことは、私たちにとって名誉なことであり、非常にエキサイティングなプロジェクトです。また、『リング』チャプターでは、我々がこれまであまり触れてこなかったサイコロジカルホラーにも挑戦しています。

――今回、『リング』とコラボすることになった経緯をお教えください。2018 年に実施したインタビューでは、マシューさんは「新チャプチャーは『リング』の影響を受けた」と発言されていましたが、『リング』とのコラボはマシューさんの念願のひとつだったのでしょうか?

マシュー私たちのチャプターの多くは、伝説的な物語に根ざしています。『Dead by Daylight』は、素晴らしいホラーの世界への私たちからのラブレターです。私たちにとって、可能な限りオリジナルのソースを手に入れることはつねに重要なことです。

 『リング』は、私にとってコラボレーションしたい作品の上位に入っていました。ですから、この日本の傑作をベースにした新チャプターは、まさに夢が叶ったと言えます。

――『リング』を『Dead by Daylight』でゲーム化するにあたって、とくに注力した点をお教えください。

マシューネタバレしない程度に言うと、チャプターの物語的な側面が非常に重要になってくると思います。『リング』には不安を掻き立てるような要素が多く盛り込まれているので、物語的にはとても大きな可能性を秘めていると思います。

 また、今回のチャプターは、鈴木光司氏の高い評価を得た小説と最初の映画化がベースとなっていることも忘れてはなりません。私たちの目的は、日本のオリジナルストーリーにできるだけ忠実であることですから、ストーリーテリングの面でもそこが重要となります。既存の芸術作品にもとづいてチャプターを制作する場合、私たちの挑戦は、創造物へオマージュを捧げつつ、『Dead by Daylight』のタッチを加えて、この新しいコンテンツが私たちの世界観と一致する、完璧なバランスを見つけることです。

――詳細が判明するのはもう少し先になりそうですが、現状の範囲で構いませんので、どのようなチャプチャーになるのか、お教えいただけないでしょうか。あの有名な「観ると、7 日後に死が必ず訪れる呪いのビデオ」というモチーフはゲームには反映されたりしますか?

マシュー既存の作品をベースにチャプターを制作する際には、そのIPに関連する中心的な要素をリストアップします。そうして、「どの要素が必須なのか?」「ファンが期待しているものを提供するために、絶対に組み込まなければならない要素は何か?」を我々の中で問いかけます。その後に、それらがどの程度実現可能か、また我々のゲームの中でつじつまが合うかどうかを検証します。

 「それによって何かおもしろいことが追加されるのか?」「プレイヤーに何か新しいものを提供できるのか?」、それらの答えがイエスであれば、採用すべく検討します。呪いのビデオは『リング』という物語の大きな部分を占めていますので間違いなく検討される要素ですが、残念ながらいまはまだその詳細を明らかにするには早すぎます。

――このチャプターのキラーはどのようなキラーになりますか?

マシュー私たちが決定を下す際の重要な要素は、つねにゲーム性です。霧の中に招き入れる新しいキラーが誰であっても、プレイして楽しい、対戦して楽しいものでなければなりません。キラーの選択肢を検討する際には、そのキャラクターの物語や背景のストーリーが判断材料になることが多いです。

 たとえば、最近のキラーPinheadでは、映画の中で中心的な要素となっている鎖をキラーパワーの一部として使わないという選択はあり得ません。『リング』の場合は、典型的なスラッシャーとはまったく異なるサイコロジカルホラーですから、ほかの(『Dead by Daylight』の)キャラクターにはない特徴やゲームプレイの仕組みとなることをプレイヤーの皆さんは期待できます。

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――新サバイバーはどのような感じになるのでしょうか?

マシュー私が言えることは、「間違いなくファンの皆さんを失望させない!」ということです。新しいサバイバーには、きっと皆さん驚くと思います。『リング』という物語の真のファンは興奮するでしょうし、あまり(物語を)知らないプレイヤーは間違いなくもっと知りたいと思うでしょう。いまのところ、私が言えることはそれだけです。読者の皆さんに推測してもらいましょう

――最後に、『リング』とのコラボを心待ちにしている日本のゲームファンにメッセージをお願いします。

マシュー心の底から「アリガトウゴザイマス!」と言いたいです。日本の『Dead by Daylight』ファンは、私にとって特別な存在です。いままでも多くの方々と直接お会いする機会があり、彼らがどれほど情熱的で熱烈な存在であるかを知っています。この特別な日本のレジェンドが、『Dead by Daylight』の世界になじんでくれることを願っています。

『リング』シリーズの新たなる挑戦。新キラーは美しく品格がありつつも怖い存在でいてほしい

――『リング』が『Dead by Daylight』とのコラボレーションに至った経緯と理由を教えてください。

今安偉大なるキラーたちの活躍を目にし、我々の子もいつか名を連ねたいと夢見ていました。開発会社であるBehaviour Interactiveはカナダの会社ということもあり、コンタクト方法を社内のゲームに関わる人たちに相談し、過去に開発スタッフにインタビューを行っていたKADOKAWA Game Linkageの⻄岡さんに辿り着きました。

 ⻄岡さんといっしょに企画書を設えてBehaviour Interactiveのゲームディレクターであるマシュー氏に直接送りました。『リング』は増殖し不特定多数を狙う呪いのウィルスの物語です。物語の中では“7日間”というタイムリミットで家族を救えるかという心的恐怖が描かれます。『Dead by Daylight』のサバイバーを“フックにかける”などの物理的な攻撃に『リング』の世界観がマッチするのかなどワクワクを携えて提案してみました。

 すると、すぐに返信があり「ぜひやろう!」との回答がきたのです。メールをしてみたものの、こんなにすぐにつながれるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです。チームで歓喜しました。

 初めてのリモートミーティングでマシュー氏が「メールが届いてすぐに、オフィスフロアに行き、みんなに“これをやろう!”と言ったよ」とおっしゃっていて、それだけで『Dead by Daylight』チームのスピード感ある空気が伝わってきました。

 私たちチームにとって、海外発ゲームとのコラボレーションは前例がないことでしたので、すぐに社内でチームを作り、小説、映画の関係者にもお話しをし、進めていきました。

 ミーティングを重ね、マシューさんはじめ、どの部門の方も本当に『Dead by Daylight』が好きで、楽しんでこだわって仕事をしているのを感じます。『リング』についても、小説版も映画版も非常に深い理解を持って取り組んでくださり、すぐにコアな部分の詳しい話をすることができました。

 たとえば、小説と映画の違いをどう捉えるかや、『リング』における精神的な恐怖をどう描くかなど、当初私たちが課題としていたこともどんどんと提案してくれ、お互い多くを語らずとも共有できる部分が多かったです。

 『Dead by Daylight』チームの姿勢にとても感銘を受けましたし、だからこそ、ここまで多くの外部IPを迎え、ファンに支持を得ているゲームなのだなと改めて納得もしました。

――世界的なホラーキャラクターが集まっているゲームに『リング』が仲間入りすることはどんな気持ちですか?

今安Behaviour Interactive及び『Dead by Daylight』チームとのコラボレーションは私たちにとってもたいへん楽しみな取り組みです。⻑年、夢見てきたことですので非常に光栄です。まだ完成前ですが、日々のやり取りの中でBehaviour Interactive から届くアイデアは、期待が膨らむものばかりです。早く世界中の人にプレイしてほしいです。『Dead by Daylight』を通して、世界中で『リング』ワールドに触れる機会が増えてもらえることを願っています。

【DbD】『リング』が『Dead by Daylight』とコラボ!新チャプターが2022年3月に配信決定。ネタバレギリギリをマシュー・コート氏に直撃

――『リング』コラボで登場するキラーはもちろんあの人だと思いますが、どんなキラーになることを期待していますか?

今安美しく品格がありつつも怖い存在でいてほしいと思います。海外で活躍する先人キラーたちとは少し違い、静かな恐怖をお届けすることを得意としております。そのあたりの扱いは、『Dead by Daylight』チームを信頼しております。

――『リング』コラボが登場する 2022 年は『リング』にとってどんな年になりますか?

今安このチャプターの発表を皮切りに、また、まだ発表していないものも含め、たくさんの展開が控えています。間違いなくシリーズ史上一番の賑わいになると思います。

――日本の『リング』ファン、ホラージャンルのファンに向けてメッセージをお願いします。

今安小説『リング』刊行から30年、映画『リング』から22年。『リング』シリーズの新たなる挑戦です。今回、日本発のIPとして、初めて霧の森へ参戦いたします。どうぞ、お手柔らかにお願いします。震えて待っていてください。