2021年11月19日発売のNintendo Switchソフト『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』。先日、そのメディア向け先行体験会が行われた。気になる本作のプレイレビューをお届けする。

※記事内で使用している画像は、メーカー提供のものです。

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グラフィックの細かなこだわりに注目

 体験会用に用意されたデータは、ある程度ストーリーが進められた段階のもので、パワーアップした要素をひと通り体験できるようになっていた。

 プレイを始めてまず注目したのは、グラフィックだった。本作のグラフィックに関しては、賛否両論あるのが事実。記者自身、初公開の映像を見た際は、“否”とまではいかないが“賛”でもないというのが率直な印象だった。正直、グラフィックの期待値に対するアンケートがあれば、“どちらでもない”に票を入れただろう。きっと、『ポケットモンスター ソード・シールド』をプレイして、そのグラフィックで『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』のリメイク作品を遊びたいと思った人は少なくなかったはず。

 結論から言うと、実際に遊んでみて印象が変わった。いまなら“満足”に票を入れる。ビジュアルに目を向けた最初のきっかけは、本当にふとした瞬間。ヨスガシティの街並みを見ながら歩いていたときだった。ベビーカーに乗った赤ちゃんが視界に入ったとき、なんとなく目に留まった。なんてことはない、いわゆる“モブキャラ”だ。いままでこの手のキャラクターグラフィックにはあまり注目していなかった気がする。そう思って街中を見ると、たくさんの種類のキャラクターやアイテム、背景が目に入り出すようになった。

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 いっしょに取材に来ていた編集さんも街中のキャラクターたちや主人公、アイテムなどに対し、「かわいい~!」と言っていたので、絶賛子育て中の記者がバイアスにとらわれているだけではないらしい。やはり、本作のグラフィックは、当時のデフォルメ感を再現するという方針に沿って、ちゃんと作り込まれているのではないか。

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ラッキーのトレーナーらしき褐色のお姉さんがかわいい。『ポケモン ソード・シールド』のルリナに雰囲気が似ている気がする。

 余談だが、記者はデフォルメ調のかわいい絵柄よりも、等身の高いリアル調の絵柄が好きだ。それゆえに、このキャラクターたちに魅力を感じたことは、記者にとっては新鮮な体験だった。

 驚きポイントは背景にもあった。ゲーム内の家などに設置されているテレビだ。ゲームの中のテレビ画面が鮮明に描写されていて、Aボタンを押して調べると番組に関するテキストが表示される。ここまでならいまさら驚かないが、しばらく見ていると、画面が別の映像に切り替わる。表示されるテキストも、映像に合わせて変わっていた。このテレビも、思わず1周見てしまいたくなるほどに作り込まれており、内容や映像が気になった。

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この画像(左上)だとサイズが小さいので分かりにくいが、天気予報の画面が映されている。その手前に見える絵画も、まだ画面外に複数枚並んでいるのだが、どれも細かく描き込まれていて見ごたえがあった。

 本作では主人公の着せ替えも可能だが、その着せ替え後のグラフィックがタウンマップ上のアイコンに反映されるなど、ちゃんと細かいところまで作っているのだということを感じられる点も多くあった。

着せ替え

 本作でパワーアップした“地下大洞窟”を探検しているときにも、またふと気づく。“ポケモンの隠れ家”で野生のポケモンとバトルになった際に、バトル画面に描かれた水たまりが目に留まった。水面には野生のポケモンの姿が映っていて、そのポケモンの動きに合わせて水面に映った姿もちゃんと動く。こういった点はきちんと表現されていた。

 もちろん、現代にはよりリアルを追求したグラフィックをウリにしたゲームが多くある。本作はそういったグラフィックではないし、『ポケモン ソード・シールド』のようにスタイリッシュなグラフィックでもないだろう。ただそれは方向性が違うだけであって、クオリティや開発陣のこだわりといった面においては、本作も負けていないのかもしれない、とグラフィックに対する考えを改めることになった。プレイする際は、細かな点にも注目してみてほしい。きっと、いいところがたくさん見えてくるはずだ。

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ジムリーダーたちもバトル画面で、しっかりと高等身で動くところを確認できる。当時のファンからすると嬉しい点だろう。

“地下大洞窟”のカセキほりが懐かしすぎて地上への帰還を断念

 グラフィック面以外のプレイフィールとしては、“昔のゲームを遊んでいる感覚”はいい意味でなかった。15年ぶりに降り立ったシンオウ地方にノスタルジーを感じつつも、メニュー画面で“ポケモン”を選んだ後Rボタンを押すことで“ポケモンボックス”画面に移行できたり、オートセーブ機能があったりと、細かな操作感やシステムの便利さは現代の『ポケットモンスター』シリーズ。少なくとも体験中に不便を感じることはない。

 ピッピが“いのちのしずく”を覚えていることを確認できたので、『ポケモン ダイヤモンド・パール』発売当時には存在しなかった技もしっかり覚えられるようだ。この辺りはリメイク作品のおもしろいところだろう。当時と同じ組み合わせでポケモンバトルをしても、もしかすると結果が変わるかもしれない。

 15年前……といえば、カセキほりに夢中になるあまり“ちかつうろ”にこもりっきりの生活を送っていたファンは少なくないと思う。レアなカセキや進化の石などを掘り当てたときの快感は中毒性があった。ひさびさのカセキほりはあのころのままの操作感で、しばし仕事を忘れて感慨にふけっていた。記者が今回いちばんノスタルジーを感じた部分かもしれない。

 本作ではさらなるお楽しみ要素として、“ポケモンの石像”も発掘できるようになった。ポケモンの石像はかがやくはこに入った状態で埋まっていて、発掘するとはこが開いて中身が出てくる。どのポケモンの石像が出るのか、シンプルにワクワクする。今回はロトムとスボミー、ナエトルの石像を発掘することができたのだが、ポケモンの石像は何種類あるのか気になるところ。なかには通常とは異なる素材でできた珍しい石像もあるようなので、ぜんぶ集めるのはけっこう大変そうだ。やれやれ、これはまた地下から出られない日々が続きそうである。

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左上がかがやくはこ。はこの表面に描かれたアイコンに対応するタイプのポケモンの石像が出てくる。
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 ポケモンの石像はひみつきちに飾ることで、対応したタイプのポケモンが“ポケモンの隠れ家”に出現しやすくなる。試しにひとつ飾ってみたのだが、残念ながらその効果はよくわからなかった。同時に複数置けるので、置いたぶんだけ効果が上がるのかもしれない。このあたりも製品版でしっかりと検証したいところだ。

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 ほかにも本作でパワーアップした点としては、“ポケモンの隠れ家”が出現するようになったことがある。地下大洞窟のなかにある、“?マーク”の部屋がその隠れ家だった。ポケモンたちが生息しており、おそらくエリアに対応するタイプのポケモンが出現するようだった。このエリアはシンボルエンカウントとなっており、ここにしか出現しないポケモンもいるのだという。

ポケモンの隠れ家

 地下大洞窟では、ポケモンの隠れ家以外でもポケモンと出会うことができた。地下大洞窟のいたるところに、ディグダ(まれにダグトリオ)が出現するのだ。近づくと穴を掘って逃げてしまうのだが、その際キラキラ光る何かを落としていく。それに触れると、画面左上に表示されているカウントが1進む。

 最大値の40まで溜めるとどうなるのか気になったので、体験会の終了時間が迫る中ディグダを探してまわることに。ただ歩いているとすぐ見つかるものの、いざ探すとなると意外といない。物欲センサーに似た何かを感じつつも、時間ギリギリでなんとか40まで溜まった。何らかの効果が発動したようだが、結局それを確かめる前に時間終了となってしまった。結局あのディグダは何だったのか……。地下大洞窟の探索はまだ謎が多く、ワクワクする冒険となった。

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“スーパーコンテストショー!”での、ポケモンたちのパフォーマンスが超かわいい! 

 当時からパワーアップした要素といえば、“スーパーコンテストショー!”もそのうちのひとつだ。魅力を競う形式から、協力してショーを成功させる形式に変わっていたり、リズムに合わせてポケモンがダンスを披露する“音ゲー”の要素が取り入れられていたりと、大きく変化している。

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 なんといってもパフォーマンスをするポケモンたちが超かわいい! 見ているだけでものすごく癒される。だがこのスーパーコンテストショー!、大きな問題を抱えている。流れてくるノーツを見ていないといけないので、せっかくのかわいいポケモンたちに集中できない!! 

 そんな音ゲーあるあるが飛び出すダンス審査は、押すボタンがAボタンのみということもあって、音ゲーとしての難易度は低めの印象。ただ、ランクが上がるごとにノーツの量が増えて難易度も上がっていく。今回はウルトラランクまでしか挑戦できなかったので、マスターランクでどうなるかは残念ながらわからない。

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 コンテスト技は種類によって、ノーツ判定が一定時間失敗にならない、もらえるショーポイントが増えるなど、効果が変わる。ダンス審査中に1度しか使えないので、使うタイミングがかなり重要な気がする。ダンス審査のポイントは高くても、技審査のポイントが低くてショーが失敗してしまったこともあった。製品版でリベンジしたいところ。

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 コンテストで重要な、かっこよさやうつくしさといったポケモンのコンディションを上げるためには、ポフィンが必要。その作りかたもパワーアップしている。大まかには、『ポケモン ソード・シールド』のカレーライス作りと似ていて、材料を選んだ後はスティックを回してかき混ぜ、焦げたりこぼれたりしないようその速度を調整する。

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 リザードン級カレー職人である記者には余裕……と、そう思っていたのだが、これが意外と難しい。ポフィン作りではかき混ぜる方向が途中で何度か変わるのだが、この切り替えのタイミングが鬼門。どうしても速度が落ちるから焦げるし、だからといって勢いよく逆方向に回すとこぼれる。結局記者はまずいポフィンを2回連続で作ったところで今回は諦めることにした。ちなみに編集さんは隣でちゃんとしたポフィンを作っていた。悔しい……。

 “ふれあいひろば”でポケモンと戯れたり、懐かしのポケッチを触ってみたりと、2時間以上もの体験会があっという間に終わってしまうくらい、プレイに熱中していた。ポケッチでは“そらをとぶ”や“いわくだき”などの“ひでんわざ”を選ぶこともできたのだが、これは手持ちのポケモンではなく、野生のポケモンに手伝ってもらうというものになっており、“そらをとぶ”などのわざ自体を手持ちのポケモンに覚えさせる必要はなさそうだった(わざマシンとしてわざが残っていることは確認)。手持ちのポケモンに覚えさせるわざのバリエーションは、当時よりアップしそうだ。

p10_ふれあいひろば(集合写真)
連れ歩き_パチリス
ポケッチ(デジタルどけい)

 2021年11月19日の発売までもう少し。ただ懐かしいだけじゃない、パワーアップしたシンオウ地方での冒険が楽しみで待ち遠しい。そして、2022年1月28日発売の『Pokémon LEGENDS アルセウス』の舞台ヒスイ地方は、後にシンオウ地方と呼ばれる地。まずは『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』で現代のシンオウ地方について知っておくと、ヒスイ地方での冒険も120%楽しめるようになるだろう。個人的には、ギンガ団関連の情報を改めて整理しておきたいところだ。

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