2021年10月29日より公開される、吉浦康裕監督の新作長編アニメ『アイの歌声を聴かせて Sing a Bit of Harmony』。本作はポンコツAIとそのクラスメイトたちを描いた物語で、キャラクター原案には気鋭のマンガ家・紀伊カンナ先生、共同脚本には『コードギアス』シリーズや『SK∞ エスケーエイト』の大河内一楼さんが参加しています。

 現在アマゾンプライムビデオでは、そんな吉浦監督映画の原点ともいえる『イヴの時間 劇場版』を配信中。そこで今回は最新映画に先駆けて、『イヴの時間 劇場版』の見どころをチェックしていきましょう。

『イヴの時間 劇場版』(アマゾンプライムビデオ)

 そもそも本作は、吉浦監督(スタジオリッカ)と映像コンテンツプロダクション・DIRECTIONSが手がけた新感覚ロボット・アニメーション。人間とアンドロイドの微妙な距離を主軸に描かれており、もともとは1話15分~25分の短編連作でした。

 ウェブ上で2008年~2009年にかけて全6話を公開したところ、シリーズ総再生回数が300万回を突破。その全6話を劇場尺に編集して追加修正を加えたのが『イヴの時間 劇場版』なのです。

 まず物語を語るうえで外せないのが人間型ロボット、通称“アンドロイド”の存在。本作はアンドロイドが実用化されて間もない時代が舞台となり、人びとは自分たちとほとんど外見の差がないアンドロイドを“家電”同然に扱っていました。

 そして主人公である高校生のリクオも、アンドロイドを便利な道具として利用するひとり。ある日リクオ宅で働く女性型ハウスロイド・サミィの行動記録の中に命令した覚えのないログを発見し、親友のマサキとともに彼女の動向を探ります。その結果、辿り着いた先は……喫茶店“イヴの時間”。

アニメ『イヴの時間 劇場版』ロボットと人間に違いはあるのか? ハウスロイドの足取りを追って辿り着いた先は……【アマゾンプライムビデオおすすめ】
スタジオリッカ『イヴの時間』公式サイトより

 パッと見はふつうの喫茶店に見えますが、イヴの時間には他にはないルールがひとつ。それは“人間とロボットの区別をしない”という、ロボット工学三原則に触れるルールだったのです。

【ロボット工学三原則】

  • 第一条.ロボットは人間に危害を加えてはならない。
  • 第二条.ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
  • 第三条.自己をまもらなければならない。

 つまりイヴの時間では、ロボットたちは人間から命令されることもなければ、人間との識別用につけられた頭上のリングも必要ありません。人間同様に何かしらの悩みを抱え、喜怒哀楽を浮かべながら各々の時間を過ごしていくアンドロイドたち。その姿は、ロボットと言われなければわからないほどじつに人間らしいのです。

アニメ『イヴの時間 劇場版』ロボットと人間に違いはあるのか? ハウスロイドの足取りを追って辿り着いた先は……【アマゾンプライムビデオおすすめ】
スタジオリッカ『イヴの時間』公式サイトより

 果たしてロボットと人間の違いは、いったいどこにあるのか。そもそも何が違うのか。本作を通し、他者とのかかわり合いを考えさせられるはずですよ。

※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。

『イヴの時間 劇場版』(アマゾンプライムビデオ)