カプコンとOculus StudioおよびArmature Studioの提携により開発中のVR版『バイオハザード4』。発表されるや大きな話題を集めた同作が、正式タイトル『Oculus Quest 2版 バイオハザード4』として、ついに2021年10月21日午後11時より配信開始されることが明らかとなった。
本作は、オリジナルの『バイオハザード4』をVRの視点・操作で体験できる作品。『バイオハザード4』の世界を疑似体験できるミニゲームのようなタイトルではなく、オリジナルのゲーム内容をすべてそのまま遊ぶことができる。
筆者にとっても、『バイオハザード4』は当時何度も楽しんだタイトルだったのだが、今回VR版として体験することで当時の思い出に浸りつつも、VRならではの新たな要素を新鮮な気持ちで楽しむことができた。
オリジナルが非常におもしろいタイトルなので、VRになって楽しくないわけがない! 当時『バイオハザード4』をプレイした人にはぜひ遊んでもらいたいほどのクオリティだったので、本稿にて詳しい内容を紹介していこう。
以下、掲載している画面は先行体験版のものです。
基本的なシステムはそのままにVR向けの要素を楽しめる『バイオ4』
ゲームをスタートすると、まずはVR用の細かい設定をすることになる。利き手や立ってプレイするか座ってプレイするかの設定、また移動方法も自由に選択が可能。
スティックを動かして移動する従来と変わらぬ移動方法から、VRゲームではおおなじみの指定した場所に移動するテレポーテーション式にするかも選べる。VRに慣れていない人は、テレポ式で移動するのがオススメかもしれない。
設定が終わると本編がスタート。イベントシーンのムービーは、目の前に映像が表示されるシアターモードのような状態で見ることになる。ムービーはスキップも可能だが、VRプレイの合間のちょっとした休憩ポイントにもなっていた。
VR版になって大きく変化したのが、武器の扱いかただ。ナイフは右胸、ハンドガンは左腰に装着されており、これらをトリガーボタンを押しながら掴むことで使用できるようになる。ちなみにショットガンなどの大型武器は左肩、右肩には回復アイテム、左胸でグレネードの類を手に持てる仕組み。
スティックだけで武器を選択するクイックセレクトモードもあるのだが、せっかくのVR版なので身体から武器を手に取って、よりリアルな体験を味わうほうが楽しめるだろう。
ちなみに上記は左利きの設定(筆者が左利きのため)。右利きの場合は各種装備の位置が反対になる。
ここまでの解説が終わったら、後はいつも通りの『バイオハザード4』だ。周囲を自由に散策してハーブを集めたり、カラスを撃って宝石を集めながら進めていくことになる。筆者はそれなりにVR慣れをしているというものあるが、テレポ式の移動方法であれば、まったく酔わずに長時間散策しても問題はなかった。
アイテムの取得方法もVRならではで、接近したら手でつかんでアイテムを回収していく。オリジナル版プレイ当時、たくさん集めた宝石やコレクションアイテムの数々を実際に手に取り、集めていくのは絶妙な嬉しさがある。
散策をしていると、当然ながら遭遇することになるのが本作の敵となるガナードたち。ガナードは寄生体に寄生された人間なのだが、ザックリと説明するなら『バイオハザード4』におけるゾンビだ。こちらを発見すると独特な言語とともに、農具などを持って攻撃を仕掛けてくる。
ガナードに発見されたら逃げるか、銃やナイフを使って応戦していく。序盤だとハンドガンがメイン武器になるのだが、戦闘についてはVR版とオリジナルでは大きくプレイスタイルに違いが出てくる。
VRゲームで銃を撃ったことがある人ならわかる通り、コントローラーで狙うよりもはるかに精度が高くなるのだ。簡単に頭を狙えるので、ガナード一体を相手にするなら非常に簡単になった。
一方で、もともとがTPSのゲームということもあり、四方から迫ってくる敵の対処はFPS視点になりやや難度が増している。気が付いたら真横に敵がいることも多く、反応が遅れがちになってしまう。
この辺りは一長一短で、まったく新しいゲームバランスになっているので、むしろ新鮮な気持ちでプレイできるはずだ。『バイオハザード4』はホラーよりもアクション寄りのゲームだったが、VRになると臨場感で恐怖が増すのもいい。
そして、戦闘において臨場感が増すとともに、難しさを感じるのが銃のリロードだ。弾がなくなった際は右の腰にある弾薬を手に持ち、リロードを挟む工程が発生する。目の前から迫る敵を夢中で撃っていたら弾が切れてしまった……そんなときに咄嗟にリロードの判断ができず、対処が遅れるなんてことも。
ただこれは決してマイナスの要素ではなく、慣れてくるとむしろ高速でリロードできて心地がいい。新しい操作感だからこそ、従来とは違ったゲームプレイが求められ、慣れ親しんだはずの『バイオハザード4』も、もう一度新鮮な気持ちで楽しめるのだ。
ハンドガン以外だと、ショットガンは一発撃つごとにコッキングを求められたり、スナイパーライフルはちゃんと顔を近づけるとスコープを覗けたりと、VR用に操作が一新されている。
スナイパーライフルは訓練を積んだレオンと違い、伸ばした手がプルプルと震えて照準が定まらなかったりと、プレイヤー自身の腕前も反映されていくのがおもしろいところ。個人的にはライフルは扱いにくくなったが、ハンドガンの精度が高まって敵との戦いがやりやすくなったと感じた。
そのほか、グレネードはしっかりと腕を振って投げる必要があったりと、細かい部分での操作感がいずれも楽しめるのがVR版の特徴。
ちなみに、敵が投げてくる武器をナイフで弾き落とす要素も健在なので、操作を極めてカッコよくガナードを倒してみてほしい。
細かい要素でファンを楽しませてくれる良質なVRゲーム
おもな操作感や戦闘の所感は以上の通りなのだが、そのほかにもVR版ならではの要素を紹介していきたい。
VR版の要素としてプレイしていて非常にうれしかったのが、トラップの解除とタイプライターの存在だ。
オリジナル版をプレイしたことがある人にはおなじみだが、本作では序盤にトラップにかかった犬を救助することができる。助けると後々のボス戦で手助けしてくれるのだが、このトラップの解除も本作の場合はひと味違う。
両腕を使ってトラばさみを引き離して、犬を救助することができるのだ。ちゃんと助けたという実感と、走り去っていく犬を目で追いかけられるので、より強く愛着が湧いてくる。
そして、これは完全なオマケ要素に近いが、ゲームの進行状況をセーブするタイプライターも自分で文字を入力できてしまう。人差し指だけで入力するたどたどしい手つきだが、自分で好きな文字を入力してセーブできるというのが、何とも言えぬ嬉しさがあった。
レオンのサポートを担当するハニガンとの通信も、自分で通信機を持って会話できたりと、細かい部分でもプレイヤーを楽しませてくれる。
『バイオハザード4』では欠かせない武器商人との取引も、購入画面が完全に一新。気になる武器を選択し、土台に乗せてからアタッシュケースに入れて購入したり、逆に自分の所持する宝石などを手に取りながら売買できる。
集めたコレクションアイテムを売ってお金にするのは、本当に取引をしているような実感を得られるのがいいところ。左側に所持金が硬貨として並んでいるのも雰囲気的にグッド。
プレイするほどに紹介したい要素が出てくるほど、完成度が高い『Oculus Quest 2版 バイオハザード4』。今回は序盤のプレイのみとなったが、終盤に出てくる敵のことを思うと、アクションだけでなくホラーゲームとしても十分に楽しめそうだ。
VRの視点だと村や建物の様子を隅々まで確認でき、より深く『バイオハザード4』の世界に入り込めるので、ファンの人にはぜひ一度プレイしてみてほしい。