『メイド イン ワリオ』シリーズは、歴代の任天堂ハードの特性を活かした、シンプルなのに型破りなプチゲームと、キャッチーなキャラクターが数多くいることでファンの人気を集めてきたシリーズだ。

 2021年9月10日にNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)用として発売の最新作、『おすそわける メイド イン ワリオ』では、いままで以上にこのキャラクター性を大きく押し出し、前作までとは似て非なる楽しみの幅を見せてくれている。さらに、収録された200以上ものプチゲームはすべて新作なうえ、みんなでワイワイ遊べるお膳立てや、世界のプレイヤーとランキングを争い、自分の腕前を試すモードも取り揃えている。

 では具体的にどんなゲームなのかを、感想を交えつつお伝えしていこう。

『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
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 また、9月9日発売の週刊ファミ通9月23日号では、本作で操作するキャラクターの固有アクションなどを解説している。

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振り返れば長い歴史がありました

 『メイド イン ワリオ』とは、マリオのことを勝手にライバル視している冒険家、ワリオと、彼が社長を務める会社“ワリオカンパニー”の個性的なスタッフたちが考えたプチゲームに挑戦するゲームだ。“プチ”というだけあって1ゲームは5秒ほどの短さ。画面に表示される指令に従い、ゲームを瞬時にクリアー。このサイクルを直感でつぎつぎとこなしていくというシロモノだ。いわば直感のわんこそば!

 プチゲームはバリエーションが豊富で、ユーモアや小ネタがたっぷり。マジメに集中しているのに、プフッと笑えて気抜けするくだらなさがあり、クセになるのが大きな魅力だ。最新作からひとつふたつ、例を挙げてみよう。

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制限時間(画面左下の導火線が尽きて爆弾が爆発する)までに、指令をこなせ! これは、ボーボーのわきげを処理するプチゲーム
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ひとゲーム5秒程度なので、いかに迅速に対応するかが問われる。ワンミスが命取りになることも
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みごとクリアー。このバカバカしい感じがサイコーだ。この調子でさまざまなプチゲームに挑戦していく
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パックを剥がす。だがパックの主が美女とは限らない。たまにパックの主が手を添えて、剥がしにくくなるようにフェイントしてくるのも小憎らしくてイイ

 初代『メイド イン ワリオ』がゲームボーイアドバンスで発売されたのは2003年(なんと今年で18年目。もうそんなに!)。それ以降に発売されたシリーズ関連作品はじつに9作品にもなる。

 2004年発売の『まわる メイド イン ワリオ』(ゲームボーイアドバンス)ではカートリッジに搭載された回転センサーを活用して、ゲーム機ごと画面を回転させながらプレイしたり、2006年発売の『おどる メイド イン ワリオ』(Wii)では、Wiiリモコンを“作法棒”と呼び、“お作法”、つまり全身を使ったポージングやアクションでプチゲームをクリアーしたりが筆者にとっては印象深い。

 そして2018年に発売された前作、『メイド イン ワリオ ゴージャス』(ニンテンドー3DS)では、タッチスクリーンによる直感的な操作はもちろん、本体を回したり、マイクを駆使したりなど、集大成的なプチゲーム群に興じた。

 あらためて言うのもナンだが、『メイド イン ワリオ』は、任天堂の歴代ハードの特色を大きく取り入れた、斬新な操作方法で我々を楽しませてきてくれたゲームシリーズなのだ。

いつでも気軽に2~4人で遊べる

 では、満を持して登場する最新作、『おすそわける メイド イン ワリオ』ではどんなことができるのか。

 まずその名の通り、Joy-Conを誰かにおすそわけして、ひとつのプチゲームをふたりでいつでもプレイすることができるのだ。これにより、役割を分担して効率をアップさせたり、力を合わせて標的にアタックしたりなど、ひとりでプレイするときとは遊びかたにも変化が生まれ、息の合ったプレイが求められたりすることになる。また、“バラエティ”モードでは最大4人でプレイできる(こちらについては後述する)。

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少年のレロレロが過ぎるあまり、アイスが崩れそう。そっと支えるだけでいいのだが、ふたりでワーキャーしてしまうのも手伝い、意外に力加減がむずかしい
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たるんだヒモをピンと張るのにまごつきつつも、どちらかがクラッカーを鳴らしたらプチゲーム的にはクリアー。だけどこの場合、アシュリーが先に鳴らしたから勝ちで、ワリオの負け? そういうルールを作って遊ぶのもアリ!
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メニュー画面。ストーリーを進めることで、バラエティなど、ほかのモードが遊べるようになる

推しキャラを操作する楽しさ

 本作がこれまでのシリーズと一線を画すのは、ワリオとともに作品の世界に華を添えてきた魅力的な仲間たちを操作してプチゲームをする、というところ。ゲーム内で二頭身にデフォルメされた彼らの姿もキュートで、推しがいる方にはたまならいだろう。

 操作できるキャラクターは15体以上おり、スタンダードなものからひとクセあるものまで、それぞれ使い勝手の異なる固有のアクションを持っている。そのため、操作するキャラクターによって、プチゲームの攻略方法が若干異なってくるおもしろみが生まれているのだ。

 以下にその例をご紹介。詳しくは、公式サイトでも確認できる。

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カンフー少年のヤング クリケットはAボタンでジャンプする。長押しでさらに高くジャーンプ!
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双子のくのいち、カットとアナ。ぴょんぴょん飛び跳ね続け、カットは右方向に、アナは左方向に手裏剣を投げる
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魔法使い見習いのアシュリーはほうきで空を飛び、ステッキを向けた方向に魔法が放てる
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木からりんごを落とすのにも、キャラクターによってクリアーのしかたが変わる。エイティーンボルトなら、座っているその場所から枝を狙ってディスクを当てる
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空を自在に飛びながら、下方向にビームを出してモノを吸い込むオービュロンは、木の上を移動しながらりんごを揺さぶる

 操作で使うのはどのキャラクターも、左スティックとAボタンのみとシンプル。固有アクションは、“ストーリー”モードでひとりずつ覚えていけるのはもちろん、プチゲームに突入する直前のいわゆる間奏パートや、メニューの“キャラルーム”で随時確認できるので安心だ。

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ゲームの中に吸い込まれた仲間たちをひとりずつ集めながら、元の世界を目指すというストーリーが綴られる
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バグを取り払いながらマップの先へと進んでいく
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練習用のステージやギミックを実際にクリアーして、そのキャラクターの操作を理解しよう
『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
間奏パートでは、使用するボタンと動作を確認できる

 プチゲームでは、基本的にひとゲームごとにキャラクターが交替する仕組みになっていて、これがハプニング性をいやでも高める。

 これまでの『メイド イン ワリオ』に必要だった、“何をすればいいのかを直感する力”に、“キャラクターの使い勝手”と“その場の状況判断”が加わったからだ。プレイヤーに依存するほかの力はともかく、キャラクターの使いかたにどれだけ習熟しているかも実際のプチゲーム攻略には大きくモノを言うので、友だちや家族と膝を突き合わせるとき、とくに初めて遊ぶ人にはやさしくレクチャーしてあげてほしい。

『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
プチゲームを遊ぶときには複数のキャラクターでチームを作る。するとそのキャラクターが交替で登場するのだ。“ストーリー”モードを進めると、全員を選ぶこともできる

 とはいえ、ほんわか遊ぶぶんには、お気に入りのキャラクターだけでもゴリ押しでなんとかできる。だが、マジメにスコアを極めたければ、プチゲームとキャラクターの相性を考慮したほうがより高みを目指せるのだ。

 相性は“ずかん”モードで、苦手~得意の5段階評価がなされていて、これがじつにありがたかった。というのも、正直、「あんまり使いたくないなあ」と敬遠していたキャラクターも、適材適所で使えば楽にクリアーできることがわかり、ちょっと見直したりできたからだ。

『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
プレイしたことのあるプチゲームをとことん遊び込める。連続でクリアーし、ゲームがスピードアップした状態で、ミスをしないように保ち続けるハラハラ感がたまらない

 ちなみに筆者は、はじめアシュリーばかりを選んでいたのだが、だんだんオービュロンとウマが合ってきたので、いまは断然オービュロンびいきだ。

 彼は頭上へのアプローチはからっきしだが、UFOから真下に発する吸い込みビームがけっこう万能だからだ。また、設定としては地球侵略を企む宇宙人として初代『メイド イン ワリオ』から登場しており、当時は「テハジメにニポン語をベンキョーしてマス」などと語っていたが、本作のプロフィールには「地球のカルチャーにとても詳しい」と書かれるまでになっていた。これには、「シリーズを重ねて地球暮らしも長くなったんだなあ」と笑ってしまった。おまけに、彼の周辺に出没するウチューうさぎもかわいい。

 そういうお気に入りのキャラクターに“さしいれ”をしたり、自分好みにカラーリングしたりしてカスタマイズをし、愛情を注げるのも本作の魅力のひとつだろう。

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さしいれをしたり、髪や洋服のカラーを変えたりなど、キャラクターのことはキャラルームで行う
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さしいれをするとキャラクターはレベルアップし、“やくしょく”が上がる。すると“ワリオカップ”でのベーススコア(後述)や、カラーリングのバリエーションなどが増える
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さしいれはコインを消費してショップで購入するか、“ガチャコロン”と呼ばれるシリーズおなじみのマシンを回すことで入手できる
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キャラクターによってさしいれには好みがあり、好きなもほど“やくしょくポイント”が多く増える
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コインは、ストーリーやワリオカップを遊んだり、ミッションを達成すると入手できる

みんなで遊ぶバラエティモード、世界ランキングに挑むワリオカップ

 ひとりでとことんプチゲームに挑み、MAXスピードにまで高まった状態でゾーンに入る快感に浸るのもいいけれど、みんなで遊ぶとまた格別の楽しさがある。それを叶えてくれるのがプチゲームを使った対戦や、ここだけのオリジナルゲームが10種類収録されたバラエティモードだ。

 バラエティモードに収録されたゲームのうち筆者のお気に入りは、“ふうせんパーン”や“ゲームパック パニック”だ。最大4人で遊べるが、ふたりでだけでも盛り上がれるので、誰かといっしょに対戦するとなったら、これらをオススメしたい。また、Nintendo Switchなので遊ぶ場所やスタイルを選ばないが、このモードのゲームは、4人ともなればTVモードにして大きな画面で遊ぶのが見やすくていい。

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バラエティモードで遊べる10種類のゲーム。味のあるタイトルバックのイラストを見ているだけでもワクワクする
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“ふうせんパーン”。交替しながら画面左側でさまざまなプチゲームに挑む。それ以外の人が風船に空気を送り、破裂したときに左側にいた人が負けとなる。ゲームはクリアーしたものの、交替するギリギリで風船が破裂したときには、その運のなさに大爆笑した
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“ゲームパック パニック”。まずはエアホッケーの要領で、つぎに挑むプチゲームが描かれたパック(画面右にある円状のもの)を押し合ってゴールに入れる。このとき、描かれているのが苦手なプチゲームなら、わざとゴールを狙わないというのも戦略のひとつ
『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
ゴールした人がそのプチゲームをプレイするのだが、ほかの人は画面を揺らしたり、葉っぱで隠して見づらくするなどの邪魔ができる。いちばんに☆を10個集めた人の勝ち。

 そして、このモードを遊ぶときにこそ、いろいろなキャラクターを扱えるようになっておいたほうが有利だ。なぜなら、時間経過でランダムに操作キャラクターが変わるなど、意図的にキャラクターをとっかえひっかえして遊ぶものが多いからだ。残念ながらこのモードはオンライン非対応だが、みんなが集まったときに、手間をかけずにパパッと楽しめる手軽さはとてもいい。

 なお、オンラインに対応しているのはワリオカップというモードで、“ランキング”に参加するには、Nintendo Switch Onlineへの加入(有料)が必須となる。これは週替わりで提示される“おだい”に挑戦し、世界中からアクセスしているライバルプレイヤーとハイスコアやベストタイムを競うというもの。スコアにはベースとなるポイントがあり、さしいれによってやくしょくが上がったキャラクターは、このベーススコアが上昇するのだ。こちらはソフトの発売日前で未開催のため、簡単なご紹介まで。

『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
たとえばこの週のお題は、頭を使うプチゲームを15ラウンドこなして、そのベストタイムを競うというもの。チャレンジ期間中ならば何度でも参加できる
『おすそわける メイド イン ワリオ』レビュー。キャラが変われば操作も変わる! 直感+判断力が問われるようになって、さらにハラハラ!?
上位ランクに入れば、コインに加えてレアなさしいれもゲットできる。また、フレンドだけに絞ったランキングも見られる

 どのモードも、過去のシリーズで試されていた直感力と、それが試されるバカバカしいシチュエーションの楽しさに加え、キャラクターが入れ替わることで生まれる混乱がさらに笑いに輪をかける。長引くおウチ時間に、「ちょっと」を「いっぱい」、「ワハハ」と笑って遊べる本作はとてもマッチするだろう。

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※1台のNintendo Switchで最大4人までプレイ可能。Nintendo Switch Lite 本体1台でプレイする場合は、2人プレイをすることはできません。Nintendo Switch(またはNintendo Switch Lite)本体2台とソフト2本があれば、ローカル通信で2人プレイができます。