2021年9月2日~3日の2日間にわたり開催されている国内最大規模のインディーゲームの祭典“BitSummit THE 8th BIT (ビットサミット ザ エイト ビット)”。1日目となる9月2日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表の吉田修平氏が、プラチナゲームズの新作シューティング『ソルクレスタ』を紹介するコーナーが放送された。

 本コーナーには、プラチナゲームズより、本作の総監督・チーフゲームデザイナーの神谷英樹氏、スタジオヘッドを務める稲葉敦志氏も登場。吉田氏とともに『ソルクレスタ』の誕生秘話や未公開の最新情報について語った。

 本記事では、その模様をお届けする。

自分たちのおもしろいと思うものを追求して生まれた『ソルクレスタ』

 まずは、吉田氏の「2020年の4月1日に発表されたときには、すでにプロジェクトが進行していたのか」という質問に対して神谷氏が回答。発表時点では、制作は細々と始まっていたものの、正式なプロジェクトとしては承認されていなかったようで、「作りたいという熱意で進めている状態でした」と答えた。

 ゲームの企画自体は3年前から考えていたとのことで、「いまある3機の戦闘機を合体させて組み替えていくシステムのシューティングゲームを思いついたときに、1980年代に登場した『ムーンクレスタ』、『テラクレスタ』の有名な2タイトルが頭を過り、先人たちが残したこのタイトルを絡めることでより世界観を広げられるだろう」と妄想が止まらなくなったそう。とくに『テラクレスタ』のストーリー性に惹かれたようで、「侵略軍に対して人類が立ち向かうストーリーの流れで最後の戦いを妄想していたら、ストーリーものが沸き上がり、『クレスタ』シリーズと自分のアイデアを結び付けて企画書にまとめて、稲葉のところに持っていって話をしました」と企画段階の経緯を話した。

 それに対して、稲葉氏は「ふたりでよく悪だくみのような話をするんですけど、この企画書を見たときに、自分たちのタイトルじゃないもので新作を作ることに対して正直驚きました」、「ふだんだったらめんどうくさいと思うんですけど、『クレスタ』シリーズをリアルタイムで遊んでいて愛着もあり、すごくおもしろそうだという気持ちが大きかったです」と当時の印象を口にした。

名作STGの魂を受け継ぐ最新作『ソルクレスタ』をSIE吉田修平氏が紹介! ドラマチックな物語が繰り広げられる“ドラマティックモードも明らかに【BitSummit THE 8th BIT】

 また、神谷氏は、お互いにクラシックなスタイルのシューティングゲームを作りたいという想いと、プラチナゲームズの自社IPとしてリリースしたいという悲願があり、「『クレスタ』シリーズの力を借りるのか、それともオリジナルで出すべきなのか」を最初に稲葉氏に相談したとのこと。そのときに稲葉氏から「『クレスタ』シリーズのほうがおもしろい」と即答で言われ、おもしろいものをやるほうが優先順位が高いと決心したというエピソードも明かされた。

 『クレスタ』シリーズの権利元であるハムスターの承諾を得るプロセスについて聞かれると、もともと神谷氏は、ハムスターが展開する『アーケード・アーカイブス』がお好きのようで、配信番組に出演していたり、ハムスターの代表取締役・濱田倫氏とのお付き合いがあったものの、「勝手に『クレスタ』という冠をつけてこのようにしましたと持っていくのが失礼に当たらないかという不安もあり、前日は夜も眠れなくらいでした」と、かなり緊張していた様子。

 結果としては、その場で即決でOKをもらえたようで、稲葉氏は「このプロジェクトは、濱田さんのやさしさでできているようなものです。逆に僕らのIPで続編を作りたいと持って来られても、いい気はしないでしょうから、それを優しく受け止めてくれた濱田さんはすごい方だと思いました」と感謝の気持ちを表した。

名作STGの魂を受け継ぐ最新作『ソルクレスタ』をSIE吉田修平氏が紹介! ドラマチックな物語が繰り広げられる“ドラマティックモードも明らかに【BitSummit THE 8th BIT】

 続いては、機体を合体させるという根幹の部分が、『ソルクレスタ』でどのように進化させたかという話題に。まず神谷氏は、「『ムーンクレスタ』では明確に1号機から3号機が連なり、攻撃力が増していくとアグレッシブな表現がされていて、さらに『テラクレスタ』では、合体する機体が増えてパワーアップのバリエーションが増え、フォーメーションの遊びが付け加えられていた」と『クレスタ』シリーズの特徴を説明。そのうえで「合体というテーマを大事にしつつも、それをより有効活用させて遊びに取り入れるにはどうしたらいいかを考え抜いたシステムになっています」と語った。

 また、「機体を組み替えることで性能が変わるというシステムと、フォーメーションを組んで攻撃力が増していくシステムの使い分けが難しく、まずは撃って敵を倒すことに集中するところから始まるとは思います。しかし、短いサイクルでくり返し遊んでいく中で、こういう技が使えるようになったと実感できるはずです」とのことで、くり返しプレイしながら成長していき、遊びの深さを追求できるゲームになっているようだ。

名作STGの魂を受け継ぐ最新作『ソルクレスタ』をSIE吉田修平氏が紹介! ドラマチックな物語が繰り広げられる“ドラマティックモードも明らかに【BitSummit THE 8th BIT】

 さらに、シナリオを神谷氏が担当していることについて聞かれると、「シナリオも本作の隠し玉なんです!」と明かし、本作の最新映像を公開。シューティングとして遊べるモードとは別に、キャラクターが登場して物語が進行する“ドラマティックモード”が発表された。

 難易度もイージーからベリーハードまで選べるとのことで、ストーリーを楽しみたい人はできる限り難易度を下げて楽しむといった遊びかたができるという。

 事前にプレイしていた吉田氏は、「シューティングパートでは緊張感がありつつも、ストーリーパートではその緊張感が和いで、さらに物語の先を見たいということがモチベーションに繋がって楽しめる」と手触りのよさを話した。さらに、「アーケードシューターはコアなユーザーが中心の市場だが、『ソルクレスタ』は幅広いユーザーが楽しめる作品」であると伝えると、神谷氏も「マニアックな趣味の方はもちろんのこと、昔に流行ってたからやってみたいと思う人たちに向けても開発しています」と思いのうちを明かした。

 そして、気になる発売日について聞かれると、神谷氏の口から2021年12月9日となることが発表された。

名作STGの魂を受け継ぐ最新作『ソルクレスタ』をSIE吉田修平氏が紹介! ドラマチックな物語が繰り広げられる“ドラマティックモードも明らかに【BitSummit THE 8th BIT】
名作STGの魂を受け継ぐ最新作『ソルクレスタ』をSIE吉田修平氏が紹介! ドラマチックな物語が繰り広げられる“ドラマティックモードも明らかに【BitSummit THE 8th BIT】
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 コーナーの終盤では、吉田氏が『ソルクレスタ』の裏話をおふたりに聞いた。

 「プラチナゲームズとしてのオリジナル作品を出したかったのか」という質問に、稲葉氏は「おもしろいと思ったら世に出したいといういちばんの欲求があり、自分たちのオリジナルタイトルを出したいという想いが設立当初からあって、神谷とも15年以上言い続けていました。ようやく少しずつ日の目を見せれるようになってきた感じです」と思いの丈を話し、神谷氏も「初めてBitSummitに参加してから、ずっと自社のゲームを持ってきて参加したいと言っていて、その悲願がやっと叶いました」と喜びを語った。

 『ソルクレスタ』の誕生秘話については、「正確にオリジナルタイトル第一弾として正式に決まったのは、先日発表した“プロジェクト G.G.”なんです。これは社内全員に企画コンペのような募集をかけるもので、その募集作品のなかで、大人げなく勝ち取ったのが『ソルクレスタ』になります」と稲葉氏が話すと、続いて神谷氏も「稲葉に話をして、こっそりプロジェクトに出したのですが、いかんせん才能が溢れてしまって(笑)。自分のやりたいものに素直に作家性を出すことがいいと思っていて、好きなもので勝負しました」と冗談交じりに誕生秘話を明かした。

 自社発売で苦労していくことを聞かれると、おふたりとも「やったことがないことがだらけで大変ですが、毎日が充実していて楽しいです」と答え、最後には「まだまだやりたいことがたくさんあって、神谷と日々話し合ってます。ですが、まだまだ人で不足ですし、プラチナゲームズでおもしろいことがやれるんじゃないかという人は、ぜひ応募してほしいです!」と意気込みのコメントで、コーナーを締めくくられた。

※[2021年9月2日23時修正]ゲーム名の表記に関して、一部誤りがありました。お詫びして訂正します。

ファミ通で“BitSummit THE 8th BIT”の模様を配信

 ファミ通では、“BitSummit THE 8th BIT”の模様を2日間に渡っての配信を予定している。気になる方はチェックしてみてはいかが?
■1日目

■2日目

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※画面は配信番組をキャプチャーしたものです。