Blizzard Entertainmentが、同社のアクションシューティングゲーム『オーバーウォッチ』のキャラクターであるマクリーの名称を変更することを発表した。またこの方針を受けて、9月から予定していた新たなストーリー展開を一旦延期し、代わりにフリー・フォー・オール(FFA)マップを9月に投入するという。

 これは、カリフォルニア州から訴訟を起こされている、セクハラなどが横行していたとされる労働環境問題に起因するもの。マクリーの名前の由来である元スタッフのジェシー・マクリー氏は直近で『ディアブロ4』のリードデザイナーを務めていたが、この件に関連した海外誌KOTAKUのスクープ記事が出た後に退職している。

 その記事によると、マクリー氏は問題の中心として名前が挙がっているアレックス・アフラシアビ氏が同社のファンイベント“BlizzCon”で過去に確保していた一種の飲み会部屋“コスビー・スイート”(※)の一員だったとされ、ビル・コスビーの写真を囲んで撮られた集合写真や、“自分は連れてこられた女性全員と結婚できる”という趣旨のアフラシアビ氏の発言に対して「“ヤれる”の間違いだろ」(You misspelled fuck)と返したグループチャットの履歴などが明かされている。

(※性的暴行事件で訴訟され服役経験があるコメディアンのビル・コスビーに由来する。ただしペンシルベニア州最高裁では過去の審理が公正でなかったとして有罪評決が破棄され保釈されている)

 こうした経緯を受けて、『オーバーウォッチ』のファンコミュニティから対処を要求する声が挙がっていたほか、オーバーウォッチリーグの実況がマクリーの名前を呼ぶことを避けるといった事態にも発展しており、今回のキャラクター名変更という判断に至った形となっている。

2021年8月27日午後1時55分追記: 『オーバーウォッチ』公式サイトで、日本語訳された声明文や今後の方針等についてのQ&Aが掲載されている。ローカライズ版でのテキストや音声についても変更作業が行われる予定となっており、新名称や変更時期は未定。暫定的な呼称は“カウボーイ”になるという。