ファミ通.comの編集者&ライターが2021年夏のおすすめゲームを語る連載企画。第11回で取り扱う作品は、いろいろな意味で話題の恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルタイプのゲーム『ドキドキ文芸部プラス!』(Doki Doki Literature Club Plus!)です。

【こういう人におすすめ】

  • いろいろな意味でドキドキしたい方
  • これまでにない体験をしたい方
  • 刺激の強い表現に耐えられる方

世界三大三代川のおすすめゲーム

『ドキドキ文芸部プラス!』(Doki Doki Literature Club Plus!)

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PS5、PS4、Xbox One、PC(Steam)
  • 発売日:2021年7月1日(Xbox One、PC(Steam))、2021年10月7日(Nintendo Switch、PS5、PS4)
  • 発売元:Serenity Forge(Xbox One、PC(Steam))、PLAYISM(Nintendo Switch、PS5、PS4)
  • 価格:Steam 1520円[税込]、Xbox One 1750円[税込]、Nintendo Switch、PS5、PS4 パッケージ版 4200円[税込]、Nintendo Switch、PS5、PS4 ダウンロード版 1980円[税込]
  • パッケージ版:あり(Nintendo Switch、PS5、PS4)
  • ダウンロード版:あり

Doki Doki Literature Club Plus! - Launch Trailer

『ドキドキ文芸部プラス!』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『ドキドキ文芸部プラス!』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『ドキドキ文芸部プラス!』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)

PCを持っていて遊ぼうと思っている人は、この記事を閉じて無印版を遊んでほしい

 まず最初に、“DDLC”こと『ドキドキ文芸部!』(Doki Doki Literature Club!)は、ネタバレをされずに、何も知らない状態でプレイするのが、いちばんおもしろいゲームだと思っている。

 今回、『ドキドキ文芸部プラス!』を紹介するにあたって、具体的なネタバレはしないけれども、ゲームの紹介として、どういうものなのかは多少は内容やシステムに触れざるを得ないため、それすらもネタバレだと感じる人は、この記事を読むことなく、ゲームをプレイすることをオススメする。できれば、PCの『ドキドキ文芸部!』を。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】

 さて。記事を閉じずにこの文章を読んでいるということは、“説明にともなう多少のネタバレはやむなし”と思っていただいていると考えていいだろうか。改めて、ゲームの説明をしよう。

 『ドキドキ文芸部!』は2017年にPCで発売されたビジュアルノベルタイプのゲーム。開発を手掛けるのはアメリカのTeam Salvato。海外のクリエイターが日本のギャルゲーをイメージしたゲームを作るのは興味深い。

 なぜこのゲームがそんなに話題になったのかと言えば、見た目はいわゆるギャルゲー風ながら衝撃の展開があり、その内容が実況動画などで取り上げられて大きく広がっていった、というものなのだが、詳細な内容はぜひプレイして確認してほしい。

 その2017年の『ドキドキ文芸部!』リリースから早4年。今回は、追加要素を加え2021年に7月1日にリリースされた(Nintendo Switch、PS5、PS4版は2021年10月7日発売予定)『ドキドキ文芸部プラス!』のレビューというか、どういったものなのかを伝える紹介を兼ねたレビューをお届けしようと思う。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】

 なお、まず事前情報として2021年8月15日現在の『ドキドキ文芸部プラス!』は、公式で日本語対応をしているのだが、正直ローカライズなどが粗い部分がある(詳細は後述)。また、よく家庭用ゲーム機に対応させたものだと、いろいろな意味で感心する一方、家庭用ゲーム機への対応でよくなった部分もあれば、演出の力が薄まってしまった部分もある。

 これは本当にしょうがない部分ではあるのだが、もし『ドキドキ文芸部!』に興味があって、スペックを満たしたPCを持っている人は、PC版の『ドキドキ文芸部!』が無料で配信されており、かつ、有志による優れた日本語化のパッチ(MOD)が、こちらも無料で手に入るので、それを使って遊ぶことをオススメする。

 「MODとか難しいことわかんない」って人もいるだろう。でも、Steamのコミュニティページなどで丁寧に解説がされているので、それを参考にすれば大丈夫。このMODを適用する経験は、きっとプレイに役立つだろう。

『Doki Doki Literature Club!』Steam配信ページはこちら

『ドキドキ文芸部!』のゲームの流れ

 前段が長くなってしまったが、改めてゲームの紹介をしよう。

 『ドキドキ文芸部!』は、モニカ、サヨリ、ユリ、ナツキの4人の女の子が所属している文芸部に新入部員として所属することになった主人公が、彼女たちとのコミュニケーションを楽しむゲーム。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
左からサヨリ、ユリ、モニカ、ナツキ。
【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】

 大事なのが選択肢と、本作ならではの要素である詩の作成だ。文芸部では、自分たちが作った詩をお互いに見せ合うことになるため、詩を作る必要がある。と言っても、作りかたは簡単。並んだ単語の中から詩に使うものを選んでいくだけで詩が完成する。なお、そのときに選んだ単語によって、どの女の子好みの詩になるのかが決まっていくという仕組み。

 かわいい固有名刺から形容詞、擬音、哲学的な用語、陰鬱なものなどなど、いろいろな単語があるが、まずは好みで選んでオーケー。ちなみに、筆者が自由に選んで作った初めての詩は、ユリ好みのものだった。うーむ。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
選んだワードに応じてちびキャラが喜ぶので、誰向きの言葉を選んだかがわかる。

 この詩の作成と、途中に現れる選択肢によって物語が進行していく……のだが、みんなで文化祭を目指して活動していた過程で、とある展開が発生し、それを機に物語は新たな一面を見せ始める。ということで、その詳細は遊んでみてのお楽しみ。くり返しになるが、なるべく前知識を入れない状態で遊ぶのがこのゲームを楽しむ真骨頂になるので、実況動画なども見ずに、まずプレイしてみることをオススメしたい。

 クリアー(エンディング)までのプレイ時間は、人によって変動するものの、筆者の場合は3~4時間程度。なお、このゲームの注意書きには、“このゲームにはお子様向けではない内容、および刺激の強い表現が含まれています”といった表現があるように、刺激に弱い人には衝撃が強すぎる部分があるので、そこは十分注意していただきたい。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
ゲーム起動時に表示される一文。グラフィックとのミスマッチ……。

『ドキドキ文芸部プラス!』の追加要素は?

 そして、ついに公式日本語化対応が行われ、追加要素が入った『ドキドキ文芸部プラス!』についても紹介しよう。

 本作は“プラス”の名の通り、新規CG、コンセプトスケッチなどの画像100点以上(フルHDに対応)と、13曲の新曲を追加。これらは、ゲーム内に用意された画像、音楽モードから視聴できるようになっている。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
音楽の視聴モード。プレイリストも作成できる。

 そして、もっとも大きいのがサイドストーリーの追加(公式ページの説明では6話のサイドストーリー)。これは、『ドキドキ文芸部!』の前日譚などが描かれるもので、サヨリたちがどういった経緯で文芸部に入部するのかといったエピソードや、サヨリとユリ、ナツキとモニカといった、彼女たちの交流が新規CG付きで描かれている。

 これは本編を補足する、まさにサイドストーリーとなっており、『ドキドキ文芸部!』や登場するキャラクターが好きな人ほど、最後まで読むべきと言える、いわゆるファンディスク的な内容だ。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
サイドストーリーの画像。上段右の新規イラストは発表時に公開されたもので、もちろんそれ以外にも新たなイラストがある。

 なお、そのほかの追加要素としては、画像や音楽の視聴モードの画像からわかるように“メール”といった要素もある。内容は触れないが、さらに深く本作を知りたい方は、このあたりまで楽しめるはずだ。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
音楽や画像の視聴は、画面左下のメニューから選ぶ。

 一方で、前述の通り、公式で対応した日本語化は、2021年8月15日時点では、有志の日本語化パッチ(MOD)よりも劣るものになってしまっている。具体的には、直訳したような表現や、キャラクターの呼称が統一されていない部分があったり、詩などのフォントが内容やキャラクターに関係なく、同じものになってしまっていたりと、とてももったいなく感じる部分が多い。

 これについては、PLAYISMが調整した日本語が、2021年10月7日のアジア版リリースに合わせて公開される予定とのこと。それまではプレイを我慢するか、前述の通りPCを持っている人は『ドキドキ文芸部!』+日本語化パッチ(MOD)をプレイすることをオススメしたい。

【DDLC】『ドキドキ文芸部プラス!』レビュー。恋愛アドベンチャー風だけど、そうではないノベルゲームをあまりネタバレせずに、追加要素とともに紹介する【夏のおすすめゲームレビュー】
詩の表示例。キャラによって詩の内容は大きく変わるのだが、どの詩も雰囲気関係なく、この丸文字になってしまうのは残念。アップデートに期待。

 ということでお届けしてきた“夏のおすすめゲームレビュー”『ドキドキ文芸部プラス!』だが、このゲームはなかなかにネタバレなしのレビューが難しい(もちろんネタバレ前提で書くレビューもいいと思うが)。過去には『ダンガンロンパ』やら『極限脱出 9時間9人9の扉』やら、いろいろなアドベンチャーゲームのレビューをネタバレなしで、「とにかく遊んで!」と書いたものだが、『ドキドキ文芸部!』もまさにそれ。

 ギャルゲー風の見た目(にしては、ギャルゲーよりはかわいくないと思う人もいるだろう)や、“文芸部”といった題材に二の足を踏む人がいるのもわかるが、アドベンチャーゲームが好きな人や、新たなストーリーテリングにワクワクする人には、絶対に遊んでほしい1本。終盤のネタバレを知る前に、ぜひ自分の手で、みずからPCを操作して、最後の瞬間を体験してほしい。

夏のおすすめゲームレビュー記事をチェック