糸井重里氏が贈る名作RPG

 1989年(平成元年)7月27日は、ファミリーコンピュータ用ソフト『MOTHER(マザー)』が発売された日。リリースされてから32年目となる。

 『MOTHER』は、任天堂から発売された人気RPGのシリーズ第1作。コピーライターやエッセイストなど、マルチで活躍する糸井重里氏がディレクション、ゲームデザイン、シナリオを手掛けたことで知られる作品。発売から30年以上経った現在もファンからの熱烈な支持を受けている名作のひとつと言っていいだろう。テレビCMで流れた“エンディングまで、泣くんじゃない。”、“名作保証”といったフレーズはあまりにも有名だ。

『MOTHER』がファミコンで発売された日。「エンディングまで、泣くんじゃない」のキャッチコピーも有名な糸井重里氏によるRPG【今日は何の日?】

 1989年ごろのRPGと言えばファンタジー作品が主流だったが、本作では当時の現代風のアメリカが舞台となっている。ビルや家といった建築物がリアルなスケールで描かれていて、斜め見下ろしの立体的な表現だったのも珍しかった。とくに街とフィールドが地続きで繋がっていたのには驚かされた人も多いはず。そんな世界の中で主人公の少年たちは、宇宙人や超能力、ポルターガイストなど、現代でもしばしば話題になるような怪現象の謎に迫っていく。

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 糸井重里氏がシナリオを担当しているだけに、ゲーム中のセリフやテキストもかなり印象的な表現が多い。『ドラゴンクエスト』シリーズの堀井雄二氏が手掛けたシナリオはよく“堀井節”などと言われているが、本作も負けず劣らず“糸井節”が炸裂しているため、さまざまなフレーズがファンの思い出に深く残っているのではないだろうか。セリフを言い出したら枚挙にいとまがないと思われるので、そのへんはほぼ日が2020年12月に発売した『MOTHER』シリーズの全部のことばを収録した本、“『MOTHER』のことば。”を見てもらうといいかもしれない。

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 また、“『MOTHER』のことば。”を含む、“HOBONICHI MOTHER PROJECT”(ほぼ日『MOTHER』プロジェクト)の1冊として発売された『MOTHER』シリーズが好きな35人の漫画家・作家による『MOTHER』をテーマにした公式トリビュートコミック『Pollyanna』(ポリアンナ)もおすすめ。

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 筆者的にはもう「ギーグからの こうげきのしょうたいが つかめない!」しかない。エンディング直前のことなので詳しくは書かないが、ラスボスと1時間超の激闘を2回もくり返したため、苦い思い出とともに心に刻まれてしまっている。何で気づかなかったんだろう……。

『MOTHER』がファミコンで発売された日。「エンディングまで、泣くんじゃない」のキャッチコピーも有名な糸井重里氏によるRPG【今日は何の日?】

 ムーンライダーズの鈴木慶一氏と、当時任天堂の田中宏和氏が手掛けた楽曲も名曲揃いで人気が高い。中でもフィールドで流れた『Pollyanna』や、ゲーム中で重要な役割を果たす『エイトメロディーズ』は『MOTHER』の代表曲と言ってもいいのではないだろうか。この楽曲を聴くといまでも当時の冒険が思い出される人も少なくないはず。ちなみに、『エイトメロディーズ』は小学生向けの音楽の教科書に掲載されたりもしたらしい。ボーカル入りのアレンジバージョンも非常に素敵だ。

 シリーズは本作『MOTHER』のほか、『MOTHER2 ギーグの逆襲』、『MOTHER3』が発売。1作目と2作目をセットにした『MOTHER1+2』も発売された。

『MOTHER』がファミコンで発売された日。「エンディングまで、泣くんじゃない」のキャッチコピーも有名な糸井重里氏によるRPG【今日は何の日?】
これまでの今日は何の日?

※画像は一部『MOTHER 1+2』のものです。