2021年7月16日公開の細田守監督作品『竜とそばかすの姫』。本稿では最新作の公開に先駆けて、現在アマゾンプライムビデオで配信中の映画『時をかける少女』に注目してみました。

 1967年刊行の筒井康隆氏によるSF小説を原作にした本作。これまで何度も映像化されてきた作品ですが、細田監督の『時かけ』はココがすごかった!

『時をかける少女』(アマゾンプライムビデオ)

 細田守氏が映画監督として独立し、オリジナルアニメを手掛ける原点となった『時をかける少女』は、2006年を舞台にした長編アニメーションです。1967年に刊行された筒井康隆氏による原作小説と同名のタイトルとなっておりますが、中身は別物。本作オリジナルストーリーとなっています。

 本作での主人公紺野真琴が“タイムリープ”の力を手に入れるところから物語は展開。

 何があっても大丈夫。また戻ればいい――。タイムリープを幾度となく繰り返し、何気ない日常を満喫する真琴ですが、あるとき自分にとってかけがえのない時間がそこにあったことに気づいて……。

 「未来で待ってる」

 果たして物語の先にある切ない結末とは? ぜひご自身の目でお確かめください。

 また、本作が原作とまったくの無関係ということではなく、紺野真琴は小説の主人公だった芳山和子の姪として描かれています。ちなみに、小説の主人公である芳山和子も、真琴から“魔女おばさん”と呼ばれる叔母として本編に登場。

 突然タイムリープの能力を身に着けてしまい困惑する真琴に対して「(タイムリープは)そう珍しいことじゃない。真琴ぐらいの年の女の子にはよくあることなんだから」とアドバイスを送っています。

 和子の背景を知っているだけで、この場面の見かたが大きく変わってきませんか?

映画『時をかける少女』紺野真琴は原作主人公の姪? 2006年を舞台に新たなヒロインが“時”をかける……!【アマゾンプライムビデオおすすめ】
Amazonより

 本作のキャスト&スタッフも豪華メンバーが勢ぞろいで、まず主人公の真琴を演じるのは女優・仲里依紗さん。

 ちなみに仲さんは、2010年公開の実写映画『時をかける少女』でも主演を務め、和子の娘・芳山あかりを演じていました。しかも、この映画内でタイムリープしたあかりと出会う青年・涼太を演じたのは、実写映画公開3年後の2013年に結婚することとなる、俳優の中尾明慶さん。映画公開から約3年の“時”を経て、ふたりが結婚したと思うと何だか感慨深いものを感じますね。

 さて話は戻り、細田版『時をかける少女』のキャラクターデザインを務めるのは『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる貞本義行さん。美術監督は『天空の城ラピュタ』や『もののけ姫』などを手がけてきた山本二三さんが担当しています。

 さらに本作の主題歌と挿入歌には、シンガーソングライター・奥華子さんが歌う『ガーネット』と『変わらないもの』を採用。『ガーネット』は“あたしとあなた”の歌、『変わらないもの』は“僕と君”の歌――それぞれの歌詞が、真琴目線と物語のキーパーソンであるキャラクター目線であるように受け取ることもでき、映画の結末を知った後にその歌詞を読み返すと切なさMAXです(ハンカチ必須)!!

 Time waits for no one.(時は人を待たない)。配信が終わる前に、ひと夏の不思議な青春物語をぜひチェックしましょう。

※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。

『時をかける少女』(アマゾンプライムビデオ)