2021年7月2日更新のPS Blogにて、カプコンのローカライズディレクターであるジャネット・スー氏による『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』の紹介記事が公開。

 本作のローカライズ(翻訳)について、さまざまな秘話が明かされている。

『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』――大いなるローカライズの冒険(プレイステーション ブログ)

 2021年7月29日発売予定の本作は、ニンテンドー3DS向けに発売された『大逆転裁判』の1作目と2作目をセットにし、プラットフォームを据え置きハードに移した作品。『逆転裁判』の主人公・成歩堂龍一のご先祖である成歩堂龍ノ介が主人公となり、明治時代の日本から大英帝国・倫敦へ海を渡って、弁護士として活躍する法廷アドベンチャーゲームだ。

 これまで海外では発売されておらず、本作が『大逆転裁判』シリーズ初の海外展開となる。海外で発売する際に必要になってくる作業が、その国に合わせたローカライズ(翻訳)だ。

 ブログ内では、『大逆転裁判』のローカライズに、“Authentic, yet Accessible”(本格的でありながら、親しみやすい)を掲げて進めた翻訳作業について、具体例を交えながら詳しく説明。

 ユーモアやジョークがふんだんに盛り込まれた『大逆転裁判』の翻訳作業について、“いったい何故こんなシナリオにしてくれたんだ、巧さぁぁぁぁぁん?!? ><;”との感想も赤裸々に語られている。

『大逆転裁判1&2』ローカライズのヒミツがPS Blogでアレコレ公開。翻訳もヴィクトリア朝に合わせて古式ゆかしく
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フェニックス・ライトは成歩堂龍ノ介とどんな関係?

 中でも注目なのは、『逆転裁判』シリーズファンが気になっている(と思われる)“成歩堂龍ノ介”と“Phoenix Wright(フェニックス・ライト)”の関係性に言及している部分。

 かんたんに説明すると、これまで『逆転裁判』シリーズは、海外で発売される際に『Phoenix Wright: Ace Attorney』(『Ace Attorney』シリーズ)として舞台設定やキャラクター名に変更が加えられており、日本での主人公だった“成歩堂龍一”は、“フェニックス・ライト”として親しまれていた(舞台設定もアメリカということになっていた)。

 そして『大逆転裁判』の成歩堂龍ノ介は、成歩堂龍一のご先祖様というわけで……海外ファンからしてみると「フェニックス・ライトのご先祖様はリュウノスケ・ナルホドーなの?」と、若干混乱をきたすかもしれない設定になっているのだ。

 この点について、記事内では……

 今度もアメリカ人にする選択もありましたが、「大逆転裁判」のストーリーにとって、龍ノ介の国籍と彼が日本人であることはとっても大事なことだったから、私の趣向もありますがRyunosuke Naruhodoのままにすることが当然だと思いました。私がアジア系のアメリカ人として生きてきたこともあるからかもしれませんが、多文化の国に住んでいるフェニックスに日本のルーツがあるという設定に違和感を感じませんでした。

出典:2021年7月2日更新 PlyaStation Blog

 と、成歩堂龍ノ介はそのまま“Ryunosuke Naruhodo”に。フェニックス・ライトさんもそのまま日本にルーツがある(龍之介を先祖に持つ)フェニックスさんのままにすることとしたと明かされている。

 そのほか、ブログ記事中では“漱石の「I love you」翻訳(の翻訳)”、“とうもろこしで花占い”、“ヴィクトリア朝の英語らしさ”などローカライズに込められた工夫の数々が語られているので、『大逆転裁判』ファンやゲームローカライズに興味のある方はぜひ読んでみてはいかがだろうか。

 ちなみに、『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』には英語テキスト・英語音声も収録されていて、プレイヤーは日本語と自由に選択可能。工夫の凝らされた翻訳を味わってみるのも楽しいかもしれない。

The Great Ace Attorney Chronicles - E3 Trailer