ユービーアイソフトより発売中の『ウォッチドッグス レギオン』にて、2021年7月6日より新DLC“ブラッドライン”が配信開始された。

 本DLCでは、『ウォッチドッグス』の主人公“エイデン・ピアース”と『ウォッチドッグス2』の人気キャラクター“レンチ”が、プレイアブルキャラクターとして登場。ふたりを中心に展開する新たな物語と併せて楽しむことができる。

 本稿では、ひと足先に“ブラッドライン”をプレイした筆者によるプレイレビューをお届けする。

 なお、DLCで展開されるストーリーのネタバレは基本的に含まないが、事前に公式より公開されていた範囲の情報や、物語冒頭の内容には多少触れるので「何も知らないまっさらな状態でDLCを遊びたい!」という人は注意してほしい。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!

シリーズファンならアガること間違いなしのストーリー

 DLC“ブラッドライン”の目玉といえば、なんといってもシリーズの過去作からエイデンとレンチのふたりが登場することだろう。シリーズを通して遊んでいるプレイヤーなら、このふたりの登場で昂らないのは嘘というもの。

 しかも、“ブラッドライン”では、ただプレイアブルキャラクターとしてふたりが追加されるだけではなく、このふたりを中心に展開される新たなストーリーを、ひとつのキャンペーンとして楽しむことができる。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
シブさマシマシで帰ってきたエイデン。いつまでもブレない言動にしびれる。
『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
ビジュアルのインパクトも抜群なレンチ。『ウォッチドッグス2』を未プレイでも見覚えがあるという人も多いのでは?

 このストーリーがまたニクイ内容で、エイデンがしっかりと歳をとってシブいオヤジになっていたり、甥であるジャクソンが登場したと思えばエイデンとの複雑な関係が描かれたりと、過去作をプレイ済みのプレイヤーなら冒頭からグッと心を掴まれるものになっている。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
少年だったジャクソンもこんなに立派に。

 物語はどちらかというとエイデン中心に描かれている印象。レンチも持ち前の軽薄な雰囲気だが憎めないキャラクター性とコミカルな言動で、しっかり場をかき乱……活躍してくれる。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
レンチは初登場時から“らしさ”全開で楽しませてくれる。

 なお、“ブラッドライン”で展開される物語は、『ウォッチドッグス レギオン』本編のような体制との戦いではなく、エイデンがひとりのハッカーとして受けた依頼をこなすという、物語の規模としては小さなところからスタートする。

 その後の展開については触れないが、その始まりかただけ見ても本編のキャンペーンを終えたプレイヤーたちも新鮮な気持ちで楽しめるものになっているのは伝わると思う。操作キャラが固定される点も含めて、どちらかというと過去作のキャンペーンモードに近い雰囲気だと言えるかもしれない。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
スカウトはできず、エイデンとレンチのふたりを操作して物語を進めていく。

 ここまで“シリーズファンなら”という前提での話が多かったが、そうでなければ楽しめないということはまったくない。

 善良ではないが芯の通った格好よさのあるエイデン。言動は軽いが、端々にやさしさや人間味を感じ取れるレンチ。大きくタイプの異なるふたりだが、どちらも非常に魅力的なキャラクターなので、ふたりのことを知らなくても遊んでいるうちにすぐに好きになれるはずだ。

爽快な戦闘が楽しめるエイデンと、からめ手が楽しいレンチ

 ここからは、物語ではなくプレイアブルキャラクターとしてのふたりについて説明していこうと思う。

 エイデンとレンチの基本的なキャラクター性能は、それぞれが登場した『ウォッチドッグス』と『ウォッチドッグス2』での活躍をもとに『ウォッチドッグス レギオン』のシステムに合わせて落とし込まれている印象。

 エイデンは、テイクダウン後にスローモーションでエイムを行い射撃できる“フォーカス”や、タイミングのいいリロードを行うことで一定時間銃の威力を上がる“ガンスリンガー”によって、戦闘で優位を取りやすい。

 範囲内の電子機器を一斉に停止させられる“システムクラッシュ”も合わせると、ドローンなどの無力化も比較的簡単に行うことができ、とにかく戦闘で攻めまくれる性能になっている。

 戦闘が楽しいせいで、ついつい戦う必要もない敵にちょっかいをかけまくって返り討ちにということもままあったが、これはただ筆者が考えなしだっただけなので、基本的に戦闘はかなり有利に進められるはず……!

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
ドローンや車両が大量にいるタイミングで使う“システムクラッシュ”は快感!

 一方レンチは専用デザインの貨物ドローンを呼び出せる“セルゲイ召集”で屋根の上から敵地に潜入したり、範囲攻撃をしながら近くの電子機器にハッキングを仕掛けられる大型ハンマー“レディ・スマッシュ”の存在など、テクニカルな動きがしやすい性能になっている。

 かといって真っ向からの戦闘が苦手というわけではなく、ヒットさせると相手をテイクダウン可能な怯み状態にできるグレネード“ニンジャボール”が使用できるので、少人数との戦闘なら問題なくこなすことができる。むしろ人間とのタイマンに限れば負ける要素がないほど強かったりする。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
セルゲイは催涙グレネードを撃つこともできるので、移動に戦闘に大活躍。

 ここまでの内容を見て、エイデンとレンチが使えるのはうれしいものの『ウォッチドッグス レギオン』本編と比べると、操作キャラクターが固定されていて自由度が低く、楽しみが減っているのでは? と思うかもしれない。しかし、アクションにおいてそれぞれの個性が強いため、ふたりだけでもなかなか飽きは来ず、物語もキャラクター性がしっかりと反映されたものが楽しめるので、その点でとくに不満は感じなかった。

 むしろ、本編よりも“ブラッドライン”のゲーム性や物語の方が肌に合う人もいるかもしれない。そう思うほどには完成度が高いDLCだと感じた。

 ちなみに、エイデンとレンチはそれぞれが登場したシリーズ作の印象的な衣装をまとって本作にも登場しているが、着替えさせることももちろん可能。このふたりで『ウォッチドッグス レギオン』のバラエティー豊かな着せ替えを楽しめるのも、このDLCの魅力のひとつかもしれない。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
エイデンのシブい格好良さをぶち壊すのも自由自在?
『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
フォーマルな雰囲気のレンチ。なんてことも。ちなみに、やっぱりマスクは外すことができない。
『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
エイデンやレンチでのロンドン観光も楽しい。

ここから『ウォッチドッグス レギオン』を始めるのもアリ!

 あくまで『ウォッチドッグス レギオン』のDLCである“ブラッドライン”だが、じつはこのDLC、本編とは独立したメニューからキャンペーンをプレイできる仕様になっている。簡単に言えば『ウォッチドッグス レギオン』というゲーム内からアクセスできる別のゲームというような感じだ。

 そのため、本編を未プレイの状態でもすぐに“ブラッドライン”にアクセスしてエイデンとレンチが活躍するキャンペーンを楽しむことができる。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
“ブラッドライン”専用のメニュー画面。

 最初から遊べるとは言っても、「本編を遊ばないとシステムがわからず困りそう」と思うかもしれないが、“ブラッドライン”はそういったプレイヤーにもやさしい作りになっている。具体的に言うと、ゲームを進める過程で、キャラクターの固有能力だけでなく、基本的な遊びかたもその都度しっかりと教えてくれる作りになっていて、本編を未プレイの場合でもつまずくことなく楽しむことができる。

 もし過去作をプレイ済みなら、ハッキングなどのゲームの根本は理解していると思うので、なおさら問題ないだろう。

『ウォッチドッグス レギオン』新DLC“ブラッドライン”プレイレビュー。超シブくなった“エイデン”と憎めない“レンチ”がイイ!
基本的なシステムからしっかりと教えてくれる。

 しかも“ブラッドライン”のストーリーは『ウォッチドッグス レギオン』本編のキャンペーンよりも時系列は前。物語の繋がりで考えても、先にプレイしてしまっても問題ない仕様となっている。

 ちなみに、“ブラッドライン”をプレイするためには、ゲーム本体に加えて、単体の“ブラッドライン”かシーズンパスを用意すればオーケー。シーズンパスの場合は『ウォッチドッグス レギオン』本編でもエイデンとレンチを仲間にすることができるので、このふたりで心行くまで暴れたい場合はこちらがおすすめだ。

 最新作の中で、『ウォッチドッグス』と『ウォッチドッグス2』のキャラクターが活躍するキャンペーンを遊ぶことができるという、シリーズファンからすればある種、夢のようなDLCである“ブラッドライン”。

 しっかりとしたキャンペーンも用意されているうえ、メニューも独立しており、『ウォッチドッグス』シリーズの新作と言っても過言ではないような作りになっている。ぜひエイデンとレンチ、歴代人気キャラクターふたりが共演し活躍する姿を実際にその目で確かめてみてほしい。