JP GAMESが手掛けるスマートフォン向けアプリ『The Pegasus Dream TourTour(ザ ペガサス ドリーム ツアー)』が、2021年6月24日より配信を開始する。

羽生結弦選手がアンバサダーに就任! 世界初の公式パラリンピックゲーム『ザ ペガサス ドリ ーム ツアー』が本日(6/24)より全世界で配信

 本作は、世界初となるパラリンピックを題材とした公式アプリ。単なるゲームではなく、ゲーム体験を通じて持続的に社会課題解決に貢献していき、パラリンピックをブランディングすることを目的とした作品だ。理想の未来を描いた仮想の街“ペガサスシティ”を舞台に、さまざまなパラリンピック競技に参加することができる。

 開発を手掛けるのは、『ファイナルファンタジーXV』などを手掛けた元スクウェア・エニックスの田畑端氏が率いるJP GAMES。

 本記事ではアプリの概要を、配信に先駆けて実施された説明会の内容を交えて紹介していこう。

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近未来を舞台に個性を尊重し合える街での生活と競技シーンを描く作品

 まずは、JP GAMESのサステナブル事業部でCo-Producerを務める門田瑛里氏より、本作の概要や理念が説明された。

 パラリンピック公式ゲームである『The Pegasus Dream Tour』の目的は、ゲーム体験を通じて持続的に社会課題解決に貢献していくこと。そこで、理想の未来の実験場としてオンライン仮想都市“ペガサスシティ”を舞台とした、近未来都市でのアバターRPGを展開することにしたという。

羽生結弦選手がアンバサダーに就任! 世界初の公式パラリンピックゲーム『ザ ペガサス ドリ ーム ツアー』が本日(6/24)より全世界で配信

 本作では、プレイヤー自身の写真を撮り、そこから“Mine”というパラアスリートのアバターを生み出していく。

 “Mine”はプレイヤーの操作するキャラクターというだけに留まらず、みずからの意思で行動して、世界中のMineと交流してフレンドなどを増やしていけるようだ。 基本的にはオートで動くMineに行動を指示して、ペガサスシティで日々活躍するMineをサポートをするのがプレイヤーの役割になる。

 大きな目標はもちろん、パラスポーツグランプリに参加して金メダルを取ること。自分の分身がパラアスリートとして成長していく姿から、ユーザー自身がエネルギーを受け取れるようなイメージを想定しているという。

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 舞台となるペガサスシティにも強いこだわりがあるようで、IPCの掲げる理念のもとに作られた、ソーシャルグッドなデザインになっている。シティにはさまざまな施設があり、Mineはここでトレーニングや食事、ほかのMineとの交流などをして成長していく。

 なお、ペガサスシティ自体も進化を予定しており、Mineのがんばり次第でライブ会場やスタジアムなどが拡張されていくようだ。

羽生結弦選手がアンバサダーに就任! 世界初の公式パラリンピックゲーム『ザ ペガサス ドリ ーム ツアー』が本日(6/24)より全世界で配信
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 スポーツ部分は誰でも簡単に遊べるオート式で、全5競技が登場予定。スポーツ自体は自動的にMineが動いてくれるので、作戦の指示やボールの選択などがプレイヤーの役割になる。また、8月には車いすバスケをはじめ新たな競技の追加も予定されているようなので、今後のアップデートも期待できそうだ。

 オート操作以外にも、マニュアルプレイで遊べるオンラインボッチャなど、やり応えのありそうなコンテンツの存在も確認できた。

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 そんな本作だが、開発段階では協力団体から話や意見を聞いて、ブラッシュアップしていった経緯も門田氏から語られた。アスリート目線での意見ももらい、競技シーンや車いすなどのデザイン、フォームなども変更していったという。

 公式ゲームということもあり、実在するパラアスリートが9名、ゲームに登場することも明らかにされている。アスリートとの対戦はもちろん、ストーリーも用意されているようだ。いまを強く生きるパラアスリートの姿をフィーチャーしており、ゲームの中ではアスリートたちの素顔も垣間見えるという。

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 以前から発表されている通り、ペガサスシティの市長代理は、あのドラえもんが務めている。おなじみのひみつ道具はもちろん、本作で登場するオリジナルの道具も用意されているようだ。ほかにも、熊本のゆるキャラであるくまモンがカメラマンとして駆け回るなど、コラボ関連も積極的に行っているのが本作の特徴。

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 また、本作のアンバサダーにはフィギュアスケート選手の羽生結弦さんが就任することも明らかに。今回のアンバサダー就任に際して、「この度、『The Pegasus Dream Tour』のアンバサダーに就任しました。個人的にもゲームが大好きで、アスリートとして、パラスポーツの熱気をゲームで体感できるというのはとても楽しみです。僕もゲーム内に登場する予定なので、ペガサスシティでぜひお会いしましょう!」
とコメントした。

 なお、羽生選手がゲームに出演するのは、これが初とのこと。ペガサスシティでは羽生選手とスナップ写真も撮れるというからファンにとってはうれしいところ。

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 ペガサスシティや登場する道具のデザインについては、本作のアートディレクターである石崎晴美氏より詳しい解説があった。

 最初に紹介されたのは、ペガサスシティのデザインや理念について。多様な人々が集まる渋谷を表現するように、人が集まりたくなる、活気のある街に作り上げたことが石崎氏より語られた。

 道や階段はすべてバリアフリー設計になっており、車いすはもちろん、どんな人でもスムーズにすべての場所に行けるようになっている。

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 また、ペガサスシティは大会やイベントが実施された際、街の雰囲気が変わるようになっているようだ。

 看板などシティのアセットはさまざまなデザインを載せることにも対応しており、どんなIPとコラボしてもラッピングを変えられるようになっている。

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 ユーザーが実際に使用するMineのデザインは、アスリートのデザインやアートを担当するGODTAIL氏が描きおろしたデザインをベースに作成。顔の形、鼻や目のパーツを数値化してアバターに取り入れている。

 デザインだけでなく、義足や義手を付けた際の動きを忠実に再現することにもこだわっているという。

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 車いすや義足などのギアは、アスリートの意見を取り入れてブラッシュアップしたデザインになっている。

 当初デザインしたギアをアスリートに見てもらった際、「初心者向けでプロの使う車いすではない」と意見され、アスリート向けに細かく調整を加えていったようだ。

 ギアは競技シーンだけでなく日常的に装備することもでき、リアルに近いものだけでなく、ファッション性も重視した近未来なデザインの物も登場している。開発陣はギアを気軽に身に着けるイメージで使用する物と捉えており、好きなデザインから義手や車いすを選べるようにしたという。

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田畑氏の目指す社会貢献のためのゲーム作り

 今回の発表に際し、国際パラリンピック委員会理事を務める山脇康氏や、ファーストスポンサーであるブルヂストンからも期待を寄せる声が上がった。

 山脇氏は、世界でまだ認知度の低いパラリンピック、パラスポーツを知ってもらうための方法を模索していたようで、本作の話を聞いた際にすごいことが起こると直感したという。

 『The Pegasus Dream Tour』のパラリンピックに対する関心の高さ、熱意、制作意欲を聞き、意気投合。「多くの人がパラスポーツを知るキッカケになり、未来社会の実現につながることを期待している」とコメントを残した。

 ブリヂストンからは、オリンピック・パラリンピック推進部 障害支援課長の鳥山氏が代表して登壇。

 なぜブリヂストンがゲームのスポンサーになったのか、その理由として本作の“パラリンピックの目指す多様性のある共生社会を作る”、というビジョンに非常に強い共感を得たことを挙げた。「若い世代の方々が、ゲームを通じて多様性や共生社会について、ビジョンとして感じてもらいたい」と、ゲームに対しての期待を寄せている。

 最後には、JP GAMESの代表である田畑端氏より、パラリンピックのゲームを作るに至った理由、その理念や取り組みが語られた。

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 これまでスクウェア・エニックスでエンターテインメント色の強いRPGを開発してきた田畑氏が、なぜJP GAMESを立ち上げたのか。

 その理由のひとつは、より発展的に進歩・進化したゲームビジネスを続けていくこと。もうひとつが、ゲームによって世の中をよくする、ゲームそのものがソーシャルグッドな行為につながる、社会の課題を解決するキッカケにする、社会貢献のためのゲーム作りを軸として進めるだと田畑氏は語った。

 田畑氏の目指す社会貢献のためのゲーム作りとして、もっとも適していたのがパラリンピックを題材とした『The Pegasus Dream Tour』だったというわけだ。長年ゲームクリエイターを続ける中、取り組んでいきたいと考えていた仕事のために、JP GAMESを立ち上げて『The Pegasus Dream Tour』の開発を始めるに至ったのだという。

 パラリンピックだけでなく、世界中の課題でもある多様性のある共生社会を作るという目的。その解決の一端を担う可能性を秘めた『The Pegasus Dream Tour』に、田畑氏をはじめとするJP GAMESの開発陣や、パラリンピック理事や各企業も期待を寄せていることが今回の発表会で感じ取れた。

 ふだんのゲームとはまた違った視点で、楽しみながら多様性社会が抱える問題や理想の未来を垣間見える『The Pegasus Dream Tour』は、ぜひ多くの人にプレイしてもらいたい。