現在放送中のアニメ『オッドタクシー』がアマゾンプライムビデオにて独占見放題配信中となっています(2021年6月現在)。

 キャラクターが全員動物ということで、あまり惹かれない方もいるかもしれません。しかしいざ視聴してみると、裏社会や芸能界の過酷さ、中年男性の孤独など、アニメではあまり描かれない要素を多数取り入れた、とても刺激的な群像劇なのです。

 おもしろいアニメを探している方はもちろん、ふつうのアニメに飽きてきた方にもおすすめ! な本作の魅力を、今回は詳しくお伝えしたいと思います。

アニメ『オッドタクシー』(Amazon Prime Video)

41歳・タクシー運転手の日常は、危険と隣合わせ!?

アニメ『オッドタクシー』アマゾンプライムで配信中。裏社会や中年男性の孤独などを描く、刺激的な群像劇【アマプラおすすめ作品】

 『オッドタクシー』の主人公は41歳のタクシー運転手・小戸川(声:花江夏樹)。東京の街を走り回る小戸川のタクシーには、ひとクセもふたクセもある客ばかりが乗車します。

 SNSでどうにかしてバズりたい大学生・樺沢(声:トレンディエンジェル・たかし)。いまいち売れないお笑い芸人コンビのホモサピエンス(声:ダイアン・ユースケ/津田篤宏)。メンバー間の人気の格差で不満が募っている、メジャーデビュー前の3人組アイドルユニット・ミステリーキッス(声:三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ)、などなど……。

 彼らがタクシーの中で交わす、一見つながりのないように感じられるいくつもの会話が、やがて練馬区で起きた少女失踪事件の真相へとつながっていきます。

声優×お笑い芸人のキャスティングがベストマッチ!

 上で挙げたキャラクターを演じるキャスト陣を見れば分かる通り、『オッドタクシー』のキャストは本業の声優とお笑い芸人が入り乱れています。こうしたキャスティングを不安視する方もいるかもしれませんが、本作に関してはこれがベストマッチ。

 お笑い芸人たちの打てば響くような自然でテンポのいいやりとりが、会話劇にリアリティをもたらしています。そうした会話の“間(ま)”を活かすために、台詞の収録はプレスコ(台詞を先に収録し、これに合わせて映像が制作されること)で行われているのだとか。

 そうした作品だからこそ発揮される、声優陣のほかの作品ではあまり見られない“演技の引き出し”にも注目。

 とくに『鬼滅の刃』の竈門炭治郎役でもおなじみの花江夏樹さんは、これまで演じてきたキャラクターとはかけ離れている小戸川の、偏屈おじさんっぷりを見事に演じ切っています。事前情報なく本作を視聴して、小戸川の声が花江さんだと気付ける人は、ほとんどいないのではないかと思います。

すべてのキャラクターの行動から目が離せない!

 そんなクセの強いキャラクターたちの運命が交錯する、練り込まれた脚本のおもしろさも本作の見どころ。

 小戸川に犯罪への協力を持ちかける指名手配犯のドブ(声:浜田賢二)。そんなドブと警察官の大門兄弟(声:ミキ・昴生/亜生)の兄がグルだったり……。

 小戸川の友人・垣花(声:山口勝平)が出会系アプリで知り合った女の子のバックにはじつは……などなど、意外な人物どうしが思わぬつながりを持っていて、こうした関係性が影響しあって、物語が思わぬ方向へと転がっていきます。

アニメ『オッドタクシー』アマゾンプライムで配信中。裏社会や中年男性の孤独などを描く、刺激的な群像劇【アマプラおすすめ作品】
『オッドタクシー』人物相関図(公式サイトより)

 脚本は映画化、ドラマ化もされたマンガ『セトウツミ』の作者で、映画『ブラック校則』の脚本も手掛けた此元和津也氏。

 此元氏がテレビアニメの脚本を手掛けるのは『オッドタクシー』が初めてとなりますが、それを感じさせないほど、毎回ハラハラドキドキさせられ、ときにはクスリと笑わされる、魅力的な展開に、グイグイと引き込まれます。

第4話『田中革命』は必見

 本作を100%楽しみたいならば第1話から視聴するのがもちろんベストですが、あまり時間がない方におすすめしたいのは、まず第4話『田中革命』を観てみる、というパターン。

 このエピソードはほかの話数と違って小戸川ではなく田中(声:斉藤壮馬)というキャラクターの視点で描かれているため話に入りやすく、なおかつこの作品のちょっとダークなおもしろさが凝縮されているエピソードなのです。

 加えて、この第4話のストーリーで重要な要素のひとつとして登場するのは、ファミ通.com読者の皆さんにはなじみ深いであろう、“アプリ内課金あり”の基本無料ゲーム。

 聡明な読者の皆さんは、ゲームへの課金のし過ぎで身を持ち崩すようなことはないかと思いますが、もし自制心のまったく効かない人間が、自分の心身の健康を投げ売ってまでゲームに没頭し続けたら……?

 このエピソードで描かれるのはゲームのことだけではないのですが、幾度かの“絶対にしちゃいけない判断”へと至ってしまう展開が、納得感のある心理描写とともに描かれる様子に思わず引き込まれます。そうなってしまう気持ちを理解できてしまうからこそ身につまされる……。

 第4話のブラックコメディぶりを楽しめたなら、間違いなく『オッドタクシー』という作品自体にも夢中になれることでしょう。

クライマックスの展開からも、目が離せない!

 これを書いている時点ではまだ完結していない本作。どんな結末を迎えるのか、まだ明かされていない謎はすべて明かされるのかと、最後まで興味が尽きません。

 一度視聴してしまえば、きっと夢中になれる、魅力の詰まった一作となっているので、まだ観たことがない方は、ぜひチェックしてみてください。

アニメ『オッドタクシー』(Amazon Prime Video)

※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。