2021年6月14日、スクウェア・エニックスはE3 2021におけるライブ配信“SQUARE ENIX Presents SUMMER SHOWCASE”において、マーベル作品の新たなゲーム化タイトル『Marvel’s Guardians of the Galaxy(マーベル ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)』を発表した。発売日は2021年10月26日、対応機種はプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、およびPC。
※PC版の発売日は10月27日となります。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とは?
地球人でありながらスター・ロード(宇宙の主といった意)を自称するピーター・クイィルと、彼の仲間たちが結成した、ガーディアンズたち。スター・ロードの仲間は、融通は利かないが戦闘能力の高いドラックス、“銀河一危険な女”の異名を持つ凄腕の暗殺者ガモーラ、アライグマのような愛くるしい姿とは裏腹に怒ると銃をぶっ放す超過激な無法者のロケット、凸凹チームの縁の下の力持ちでもある樹木巨人のグルートといった個性的なメンバーが揃っている。ときには仲間内で揉めることもあるが、全員が固い絆で結ばれている。
開発は『Thief』や『Deus Ex』シリーズなどのアイドス・モントリオール
本作の開発は、スクウェア・エニックスのグループ会社である、アイドス・モントリオールスタジオが担当。今回は、そんなアイドス・モントリオールで『Marvel’s Guardians of the Galaxy』を開発しているシニア。クリエイティブディレクターのJean-François Dugas氏とシニア・ゲームプレイディレクターのPatrick Fortier氏にビデオ会議システムによるインタビューを実施。本作がどんな作品になるのか訊いた。
Jean-François Dugas
シニア・クリエイティブディレクター
Patrick Fortier
シニア・ゲームプレイディレクター
――まずは、どういった経緯で『Marvel’s Guardians of the Galaxy』の制作が決定したのでしょうか。
ジャン数年前に行ったマーベルの面々とのミーティングがその始まりです。その時点で、すでに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のゲームというのはひとつの案として挙がっていました。
――ゲーム化にあたって、マーベル側からのリクエストは何かありましたか?
ジャンマーベルからは、「アイドス・モントリオールらしさを追究してほしい」という要望がありました。
パトリックマーベルは、作品やキャラクターをゲーム化するにあたり、それぞれのゲームメーカーが持つ特色を発揮して欲しいとつねに思っているんです。
ジャン逆に、我々は「キャラクターを自由に創作させてほしい」という要望をぶつけました。ただ、両社に共通していた想いは、「コミックや映画とは違う、新しい『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を作り出したい」というものでした。そこからさまざまな点を擦り合わせていきました。
――アイドス・モントリオールらしさはどこだとお考えですか?
ジャンアイドス・モントリオールは、『Deus Ex(デウスエクス)』シリーズを始め、壮大な世界で物語が変化していく作品を描いてきました。それが本作の物語と合致するとマーベルは考えてくれたようです。我々としても『Marvel’s Guardians of the Galaxy』はそうあるべきだと考えており、そういった部分でアイドスらしさを発揮できるのではと思っています。
――トレーラーでは会話の中でいくつもの選択肢がありましたが、それが本作の物語の変化につながる?
ジャンはい。選択肢がキャラクターごとのエピソードや、彼らの反応に影響します。物語が変化するわけではありません。本作の物語の大筋は、すべてのプレイヤーが共通して楽しんでいただけるものです。
パトリック本作の魅力は物語はもちろんですが、会話もそうです。皆さんは、主人公であるスター・ロードになりきって、個性豊かな仲間たちといろいろやり取りしていくことになります。スター・ロードはリーダーなので、チームをまとめようとするのですが、仲間たちは必ずしも言うことを聞いてくれるわけではありません。ですので、選択肢を選んで仲間たちとコミュニケーションを取りながら、物語を進めていただければと思います。
ジャンたとえば、公開されたトレーラーの中で、筋骨隆々なドラックスが仲間のロケットを、谷の対岸に放り投げようとしている場面があったと思います。最終的にガーディアンズは谷の対岸に渡ることになるのですが、選択肢によって“どうやって対岸に渡るか”が変わってきます。プレイヤーはドラックスにロケットを谷の対岸に投げさせ、スイッチを押して橋をかけるか、それとも別の方法をとるかが選べます。仮にロケットを投げた場合、そんな目に遭わされたロケットはチームに対する信頼度を下げ、戦闘で言うことを聞かなくなったり、根に持たれて後の反応に影響してくることがあるのです。
――ロケットのぼやきが聞こえてきそうですね(笑)。気になる物語について、言える範囲で教えていただけますか?
ジャンまず、本作の舞台となる10年ほど前に、全宇宙を巻き込むような大きな戦争があったという前提があります。いまでこそ平和になりつつありますが、その傷跡は宇宙の各地に残っています。そんな状況をビジネスチャンスと捉えているのが、ガーディアンズの面々です。彼らは、“何でも屋”のような仕事をしており、物語の冒頭でモンスター狩りをするのですが、そこでうっかり眠っていた邪神を目覚めさせてしまうのです。ゲーム全編を通して、彼らはその失態を挽回すべく、そして本当の意味での宇宙の守護者になるべく、行動していくことになります。
――とてもガーディアンズらしい(笑)。物語はゲームオリジナルのものですか?
ジャンその通りです。80年以上の歴史を持つコミック、そして映画からのインスピレーションも受けてはいますが、本作ではユニークで、いままで見たことのないようなガーディアンズを描くことに注力していますので、新鮮さを感じていただけると思います。とはいえ、どこか懐かしさや親しみを感じられるようなところはしっかり残しています。
仲間への指示がポイント? 気になるバトルシステム
――操作に関しては、主人公のスター・ロードのみを操作するという認識でいいのでしょうか?
パトリックその通りです。彼は探索の場面でも戦闘の場面でも、仲間に指示を下すことができます。仲間たちにはそれぞれ得意な能力がありますので、プレイヤーは状況に応じて誰に指示を下すのかなどを選択する必要があります。ここでひとつ強調したいのは、プレイヤーが仲間たちに指示を下すというそのスタイルこそ、我々がこのゲームのために選んだ物語に密に関係してくるということです。先ほど述べた通り、仲間たちが必ずしも言うことを聞いてくれるとは限りませんが(笑)。そのあたりの“らしさ”も含めて、コミックや映画などで見るガーディアンズとは異なる視点……自分がスター・ロードの立場になるというものを本作で皆さんに楽しんでいただけると考えております。
――トレーラーでは戦闘後に経験値を得ているようなシーンもあり、成長要素もあるようですね。
ジャンはい。経験値に該当する“モメンタムメーター”は戦闘をこなすことで溜まるのですが、その量は戦闘時の活躍に応じて決まるシステムになっています。プレイヤーがどれだけ仲間に指示を出して彼らを活用させたか、多様な攻撃をくり出せたか、どれだけ早く敵を倒したかが重要になってきます。モメンタムメーターが溜まると、戦闘終了後にアビリティポイントを得られます。そのアビリティポイントを消費して、スター・ロードの能力を強化していくことになるのです。
――成長についてはスター・ロードのみなのでしょうか? それとも仲間も育てられるのでしょうか?
ジャンアビリティポイントはスター・ロードだけではなく、仲間のアビリティをアンロックするために使います。スター・ロードを集中的に育成するのもいいですし、戦闘能力の高いドラックスや暗殺者のガモーラなどを育てていくのもいいでしょう。
――バトルシーンでもっとも気になったのが、カセットプレーヤーを掲げて音楽が鳴っていた場面です。ガーディアンズと言えば、スター・ロードがこよなく愛する80年代の音楽も非常に重要なファクターだと思いますが、音楽が必殺技的な要素に関連するのでしょうか?
パトリック仰る通り、チームを強化する必殺技で、戦闘中に溜まっていく“ハドルゲージ”を消費して形勢の逆転を狙うことができます。この必殺技にも本作らしい“ひとひねり”を加えているんです。技を発動すると、仲間たちがスター・ロードの近くに集まって円陣を組むんです。
――戦闘中なのに(笑)。
ジャン集まった後、仲間たちはその戦場に対して好き勝手な意見を言うのですが、スター・ロードは彼らを激励するためにスピーチを行います。そして、その内容を決めるのはプレイヤーの皆さんなのです。仲間たちの意見を聞いて、適切なスピーチができれば仲間たちの能力が強化され、戦闘を有利に進めることができるでしょう。しかし、不適切なスピーチになってしまうと“空気が読めなかった”ことになり、仲間たちは拍子抜けして戦闘に対する意欲を失ってしまうのです。
――仲間を調子づかせるのも重要なんですね? これもガーディアンズらしい(笑)。でも、ひとクセもふたクセもある仲間たちをノセるのは難しそう(笑)。
ジャン不適切なスピーチになっても、スター・ロード自身は「いいスピーチができた」と思っていますので、彼だけは強化されます。
――(笑)。
パトリックいずれの場合でも、スピーチではスター・ロードが好きな80年代の音楽をテーマに激励しているという形ですので、スピーチの内容はキラーチューンの歌詞を用いたものが多くなります。また、演説後にはその曲がかかるという具合です。
――オールドゲーマーにも響きそうなゲームですね(笑)。では最後に、トレーラーの中でグルートが見たことのない紫色のラマのような動物を抱いているようなシーンがあったのですが、あのラマはいったい……?
ジャンラマは本作において非常に重要な、カギを握るキャラクターになっています。それ以上の詳細に関しては、10月26日に発売される本作を遊んでみて、知っていただければと思います。
――なんと、あのラマは重要な存在なんですね。想像がつかないですが……プレイして確かめようと思います!