日本時間2021年6月14日午前2時から開催予定の“Xbox & Bethesda Games Showcase”を間近に控えて、メディアなどを対象としたバーチャルプレブリーフィングが開催された。

 その概要は、6月10日午後10時に更新されたXboxの公式サイトXbox Wireの記事に詳しいが、Xbox Headのフィル・スペンサー氏やHead of Xbox Game Studiosのマット・ブーティー氏といったXboxビジネスゆかりの方々はもとより、CEOのサティア・ナデラ氏も登場してのこのブレブリーフィングは、マイクロソフトが考えるゲーム戦略を改めて伝えるために用意されたもの。その思いは、Xbox Wireの記事タイトル“Bringing the Joy and Community of Gaming to Everyone”(ゲームの楽しさとコミュニティをすべての人に)に端的に表れている。

 このタイミングで、こういったバーチャルプレブリーフィングを行ったのは、「6月14日の“Games Showcase”は、とにかくタイトルがてんこ盛りで方針などを説明する時間が取れないから、改めてXboxにおけるゲーム戦略をお伝えしておきますので、心の準備をしておいてくださいね!」という地ならしというか、“予習”みたいな意味合いがたぶんにあるのではないかと思われるが(違っていたらごめんなさい)、1時間以上にもおよぶ映像をじっくり視聴させていただくと、ここ数年のXboxのゲーム戦略がうかがえて、たしかに興味深い。

Xboxのクラウドゲーミングサービスは日本でも2021年内にスタート。6/14のブリーフィングを控え、Xboxゲーム戦略の現状と今後の展望が開示
プレブリーフィングでは、エンタメ市場において、ゲームがいかに好調かが語られた。
Xboxのクラウドゲーミングサービスは日本でも2021年内にスタート。6/14のブリーフィングを控え、Xboxゲーム戦略の現状と今後の展望が開示
コンソールはもちろん、PCやスマホなど、さまざまなデバイスで楽しめるXboxプラットフォーム。

 Xboxのゲーム戦略における目標を要約すると、プレブリーフィングの冒頭でフィル・スペンサー氏が口にした、「デバイスに限定されずに、どこにいようと関係なく、多額のお金を使わず、個人向けの娯楽に参加できること」に尽きるかと思う。“個人向けの娯楽に参加できること”というのは、字幕のコメントをそのまま転載したものだが、“ゲームを楽しめること”と言い換えても問題ないかと思う。そして、その目標を実現するためのカギとなるのが、以下の3つだ。

  • クラウドゲーミング
  • Xbox Game Pass
  • クリエイター

 ここ数年のXboxの動きを見ていると、「まあ、それはそうだよね」という感じだが、念のために簡単に補足しておくと、クラウドゲーミングとは、PCやスマホで、手軽にXboxのゲームなどが楽しめるサービス。“Project xCloud”との名称で準備が進められてきたが、4月にXbox Cloud Gamingとの名称になることが発表された。Xbox Game PassはいうまでもなくXboxのサブスクリプションサービスのこと。Xbox Game Passの全世界での利用者が1800万という数字を聞くと、ニーズの高さを改めて実感する。実際のところ、Xbox Game Passに加入することによって、ゲームをプレイする機会が増えたユーザーは相当多いようだ。

 そして、このプレブリーフィングで、Xbox Cloud Gamingが日本でも2021年内にサービスインすることが明らかにされている。

 さらに、「Xboxは通信業者と協力し、プレイヤーたちがコンソール機、ならびにXbox Game Passを一括で買うのではなく、安価な月額にて提供するXbox All Accessなどの新しいサブスクリプションモデルの実現に取り組んでいる」や「Xboxではコンソールを必要とせず、テレビやモニターに直接ゲームをクラウドからストリーミングできるデバイスの開発に取り組んでいる」など、クラウドゲーミングとXbox Game Passに代表されるサブスクリプションサービスへのマイクロソフトの取り組みは、今後も継続されるようだ。

Xboxのクラウドゲーミングサービスは日本でも2021年内にスタート。6/14のブリーフィングを控え、Xboxゲーム戦略の現状と今後の展望が開示

 “クリエイター”という項目がわかりにくいかもしれないが、これは、“クリエイターに最大限の裁量を与える”くらいの意味かと。まあ、マイクロソフトが、“クリエイターファースト”を貫いているのは、初代Xboxのころから変わらない方針かもしれない。

 ちなみに、クリエイターつながりで少し牽強付会に話をつなげてしまうと、ここ数年マイクロソフトがすぐれた開発スタジオを積極的に傘下に収めているのはご存じの通りだが、「各スタジオにはそれぞれ独自の開発スタイルがあり、それぞれの流儀に自由に任せている」(マット・ブーティー氏)とのこと。こんなコメントを聞くと、「各スタジオが伸び伸びと自由に作った、個性的なタイトルが多数期待できそう」と、ファンならずともワクワクしてしまうというもの。しかもプレブリーフィングでマット・ブーティー氏は、3~4ヵ月に1本は新作を出したい、といった趣旨の発言をしていたが、今後Xbox Game Studiosからコンスタントにソフトがリリースされることが期待できそう。

 なにはともあれ、6月14日の“Xbox & Bethesda Games Showcase”では、多数のXbox Game Studiosが発表されるだろうことは間違いない。

 そんなわけで、プレブリーフィングの内容を要約した、Xbox Wireの記事から気になるポイントをピックアップして以下に紹介しよう。こういった情報を頭に入れつつ、“Xbox & Bethesda Games Showcase”を見ると、うなづけるところも多々ありそう。

 なお、プレブリーフィングで公開された映像は、後日再編集されて一般に公開される可能性もあるとのことだ。

Xbox Game Passは私たちがどのようにゲームを発見し、人と繋がり、そして遊ぶかを変えていく

  • Xbox Game Passのメンバーは平均で3割近くの多様なジャンルのゲームを楽しみ、4割近く多くのゲームタイトルをプレイしている。メンバーの9割はXbox Game Passがなければプレイしようと考えなかったゲームタイトルをプレイしたことがあると回答している。
  • Xbox Game Passライブラリに収録されたパートナーのゲームタイトルは平均で8倍以上のエンゲージメントを獲得している。
  • Xbox Game Passライブラリに収録されている場合、されていない場合や追加ダウンロードコンテンツの購入などに関わらず、Xbox Game Passメンバーの消費額は非メンバーより5割近く多いことが判明している。
  • Xbox Game Passは新たなゲームを発見する場所として、そして仲間と繋がり、コミュニティを形成するプラットフォームとしてゲームの販売を大きく促進している。
    • Xbox Game Pass UltimateでEA Playとのパートナーシップを開始して以来、Xbox Game PassメンバーはEA のサブスクリプションサービスに大きな関心を寄せている。Xbox Game Pass Ultimateへの収録以前と比べ、EA PlayはMicrosoftプラットフォーム上でのプレイ時間が2倍以上伸びる結果になった。パートナーシップの結果、EAの錚々たるラインアップはXboxプラットフォーム上で数百万人もの新しいファンを獲得することができた。
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  • スクウェア・エニックスの新作タイトルである『OUTRIDERS(アウトライダーズ)』はXbox Game Passに収録されており、発売週にはXboxでのデジタルタイトル売り上げ1位を獲得、4月におけるデジタルタイトル売り上げトップ10に入った。Xbox Game Passは本作を何百万ものプレイヤーに紹介するのに役立った。
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  • MLB: The Show 21』は発売週においてXboxプラットフォーム上でのもっとも大きなスポーツゲームタイトルに輝き、Xboxにおけるスポーツタイトルの歴代ベスト2位となった。Xbox Game Passは『MLB: The Show 21』を数百万人ものメンバーに向けて発信することでプレイヤー層の大幅な拡大に貢献。本タイトルは4月におけるXboxでの有料ゲームの販売本数において堂々の1位となった。
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XboxとXbox Game Passがより多彩なスクリーンに登場

  • Xboxは世界中のテレビメーカーと協力して、インターネットに繋がっている各テレビでコントローラー以外の追加アクセサリなしでXboxのゲーム体験を直接楽しめる取り組みを続けている。
  • Xboxは世界中のより多くのプレイヤーがデバイス、地域、経済状況を問わず、より没入的で楽しいゲームを体験できるよう、Xbox Game Passにおけるサブスクリプションサービスの新たな形を模索している。
  • Xboxは通信業者と協力し、プレイヤーたちがコンソール機、ならびにXbox Game Passを一括で買うのではなく、安価な月額にて提供するXbox All Accessなどの新しいサブスクリプションモデルの実現に取り組んでいる。
  • Xboxではコンソールを必要とせず、テレビやモニターに直接ゲームをクラウドからストリーミングできるデバイスの開発に取り組んでいる。
  • 日本、オーストラリア、メキシコ、そしてブラジルのXbox Game Pass Ultimateメンバー向けのクラウドゲーミングは今年中(2021年)に正式サービスを開始する。
  • 本日より数週間以内にEdge、Chrome、Safariなどのブラウザを介したクラウドゲーミングがXbox Game Pass Ultimateメンバーに向けて提供が開始される。これにより、さまざまなデバイス上でも簡単にXboxのタイトルを楽しめるようになる。
  • Microsoftのデータセンター内でこれまでさまざまなサービスを提供してきたハードウェアから最新世代であるXbox Series Xへと切り替える作業が最終段階に突入した。切り替えが完了次第、プレイヤーたちはより高速なロード、改善されたフレームレート、そしてXbox Series X|Sに最適化されたゲームを体験することができるようになる。
  • 今年(2021年)の後半にはPC向けのXboxアプリにクラウドゲーミングを直接追加するのに加えて、コンソール体験にクラウドゲーミングを統合することでタイトルのダウンロード前にクラウド上でゲームタイトルをプレイする事前体験機能などを実装する。
Xboxのクラウドゲーミングサービスは日本でも2021年内にスタート。6/14のブリーフィングを控え、Xboxゲーム戦略の現状と今後の展望が開示

驚異的なゲームを供給し続けること

  • 世界中の23ものスタジオがXbox向けのゲームを開発しているいま、Xbox Game Studiosは四半期ごとにファーストパーティータイトルを1作Game Passに収録することを目標としている。RPG系、シューティング系、ストラテジー系、アドベンチャー系に加え、さまざまなゲームタイトルがファーストパーティースタジオによって開発されており、魅力的なXbox専用ゲームコンテンツを継続的に提供する。
  • インディーゲーム開発者向けに提供されているID@Xboxプログラムは発足から20億ドル以上の売り上げを達成しており、これまでに2000以上のタイトルが発表され、今後も数多くのタイトルが発表される予定だ。ID@XboxのモデルはID@Azureにも引き継がれており、インディー開発者がクラウドベースの体験を生み出す支援を行っている。こうしたプログラムは多様な声や意見をゲーム開発の世界に届けてくれる。