圧倒的パワーvs裏を掻く知恵!

 フォワードワークスから2021年6月8日に配信予定の、スマホ向け非対称型対戦サバイバルアクションゲーム『にょろっこ』。女優の本田翼さんが製作総指揮として携わり、フォワードワークスと日本マイクロソフトがそれを全力サポートして開発するという、かつてない形で世に贈る作品だ。

 しかもこちらのタイトルは、配信が6か月間に限定される。その期間内にさまざまなイベントを豊富に詰め込んだ"にょろっこ祭"が開催され、連日お祭り騒ぎが楽しめるという、斬新な運営を打ち出している。

本田翼さんプロデュースのスマホアプリ『にょろっこ』先行体験レビュー! 追う側の圧倒的パワーのおかげで新鮮なプレイ感覚が味わえた
夕日に照らされる団地など、ノスタルジックな光景の中で鬼ごっこを遊ぶ。童心がよみがえるタイトルだ。

 今回はそんな『にょろっこ』のバトルを、リリース前に体験させてもらえる場を用意していただけた。ただ、筆者としては楽しみであるとともに、事前に非対称対戦ゲームと聞いて思うところがあった。

 非対称対戦ゲームと言えば、ひとりの“追う側”と複数の“追われる側”に分かれる。追う側はキャラクター性能面で優れているとはいえ、その能力にはクールタイムがあったりと、つけ入る隙がいくらでもある。最終的には追われる側の数を活かした陽動などに対処しきれず、悔しい思いをさせられることが多い。

 今回もそんな感じかなぁ……などと思っていたのだが。

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空を飛び、上空から広範囲をお見通し。

 問答無用で飛んでいる。障害物とかお構いなしである。

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弾数無限、リロードなし、クールタイムなしの射撃。

 しかも延々と、遠くまで届く射撃ができる。相手に追いつく必要すらない。

 ここまででも「えっ、追う側が強すぎない?」と思わされたわけだが。

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仲間がいる!?

 そう。本作では追う側の"ビジター"チームが、ふたりなのである。仲間がいてくれるだけで吹き飛ぶ孤独感と、この圧倒的な安心感よ。

 これまでの非対称対戦ゲームの追う側とはまったく異なるこのプレイ感覚と、それに対抗する追われる側"キーパーズ"でのプレイ時の“ふつうにやっても勝てない”感。そのどちらにも、これまでにないおもしろさを感じることができた。今回はその感じた魅力をお伝えしていこう。

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全体的にかわいいグラフィックとなっているが、追われるときの無力感はこれまでの非対称対戦ゲームの比ではなかった……。

 なお、今回の体験プレイや画面撮影はすべてテスト環境で行なわれたものとなっている。実際の正式サービス開始後の画面とは、仕様や画面構成などが異なる場合があるので、ご了承いただきたい。

基本ルールを知るほど強まる、ビジターの優越感

 まずは本作の基本的なルールとシステムを解説しておこう。本作ではふたりのビジター、6人のキーパーズの各チームに分かれ、10分間の制限時間内で対戦する。

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ビジターとはいわゆる天使などの、人智を越えた存在たち。無邪気に下界に遊びに来た彼らがしかけてくる鬼ごっこを、地上の人間たち(キーパーズ)が迎え撃つわけだ。

 操作は画面左下の仮想レバーで移動、画面右下の各種ボタンをタップすることでダッシュや射撃などのアクション、画面のほかの部分をタッチ&ドラッグするとカメラ移動と、シンプルな形式だ。

 勝利条件も分かりやすい。ステージには“鐘”が配置されており、キーパーズ側はこの鐘を計7つ鳴らすことで勝利となる。

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鐘は一定時間突き続け、鐘に重ねて表示されている緑色のゲージが最大に達すると“鳴らした”ことになる。突く場所がひとつの鐘ごとに4ヵ所ずつ用意されており、多人数で突くとより早くゲージが溜まる。

 ビジターはキーパーズに射撃などでダメージを与え、体力をゼロにすることで魂を吸い取ることができる。魂を吸われたキーパーズは風船になり、ステージ中央のエリアに幽閉されてしまう。

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風船になって囚われると、味方にスタンプを送るくらいのことしかできない。たすけてー。

 風船になったキーパーズは、ほかのキーパーズが隣接して救出すれば復活できる。救出されずに一定時間が経過すると、ゲームから脱落する。魂を吸われるのが4回目だった場合も、その場で脱落となる。

 キーパーズ全員を脱落させれば、ビジター側の勝利だ。また、時間切れの場合もビジター側の勝利となる。 

 さて、これらの勝利条件を踏まえたうえで、ビジター側の空から見た視界をご覧いただきたい。

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鐘の周辺、丸見えじゃないか。

 かなり広大なステージに鐘が置かれているため、決め打ちで待ち伏せをすることは難しい。しかしそれを差し置いても、上空からお見通し、なおかつ遠くまで届く射撃があるビジターに対して、鐘を鳴らす行為には相当なリスクがある。

 しかもビジターは空を飛びっぱなしというわけではなく、画面右下のボタンを押すことで、地上に降りてふつうに歩行することもできる。空にいると発見されやすいが、地上に降りればキーパーズと同じく物陰に隠れることもできる。

 そう、キーパーズ側も物陰に隠れつつ、鐘に近付けばいいのだ。そう思うのがふつうかと思う。だが、本作ではその頼みの綱となる障害物が……。

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邪魔な木があるなぁ。撃ってやろう。
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よし、消えた。

 キーパーズが隠れることができる木や茂みなどは、ビジターの射撃で壊すことができるのだ。射撃が無限にできる仕様上、木や茂みを移動のついでに一掃することには、ビジター側にとってなんのデメリットも生じない。むしろ対戦終了のリザルト時に壊した障害物の数がポイントに換算されるので、得しかない。

 このように隠れる場所を奪われるキーパーズ側にとって重要になるのが、一定距離内のビジターのいる方向がおおざっぱではあるが分かるレーダー表示と、"自販機"で売っている便利なアイテムだ。

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キーパーズの周辺に矢印で表示されるレーダーで、最寄りのビジターがいる方向がざっと分かる。ちなみにビジター側にはこのレーダーがないが、使用制限がある“スペシャル罠”のコショウなどを使えば、キーパーズの位置が分かる。

 自販機では一定時間姿を消したり、高速で移動できるようになったりといった、強力なアイテムが買える。ただしアイテムを買うには当然お金が必要で、ステージに点在するお金を集めているところをビジターに見つかってしまう可能性もある。

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お金を集めるには目立つところを走り回らないといけないし、自販機で買い物をしているときも当然無防備になってしまう。
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だが、それだけのリスクを負うにふさわしいくらいにアイテムの効果は貴重。

 レーダーでビジターの位置を把握し、対処できるアイテムを用意して、ここまでやっても五分五分になるかどうかといったところ。そしてなによりビジターがふたりであるという点が、バトルをより掻きまわしてくれる。

 従来の非対称戦闘ゲームでは、追う側はひとりである場合が多い。ひとりだからこそ、複数人いる追われる側は陽動に成功すれば、多数のメンバーが安全に行動できるようになるのだ。本作では、その常識が通じない。

本田翼さんプロデュースのスマホアプリ『にょろっこ』先行体験レビュー! 追う側の圧倒的パワーのおかげで新鮮なプレイ感覚が味わえた
それぞれが鐘の警戒をしつつ、ひとりが遊撃に出てキーパーズ狩り、もうひとりが救出に来るキーパーズの迎撃など、役割分担ができるわけだ。ずるい。

ビジターは性能もえらいことになっている!

 このように、基本ルールの面からはビジターの安定感がひしひしと伝わってくる。そしてそのビジター自身の性能も、なかなかとんでもないことになっている。

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今回プレイしたバージョンの使用可能キャラクターは、キーパーズ、ビジターともに各4名。キーパーズはご覧の通り、平均型、スピード型、体力型、ダッシュ多用型と分かりやすい分類になっている。
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キーパーズ、ビジターともに、“バッチ”を装備することで基礎能力をカスタマイズできる。速度特化、鐘を鳴らすことに特化など、いろいろなビルドができそうだ。

 ビジターにはそれぞれ独自の武器と、4つのなかから選べる“罠”が用意されている。その武器の性能が、下記のように優秀なのだ。

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天使ちゃんの武器はガトリング。連射速度が速く射程も結構あり、それがリロードも弾切れもなく永遠に撃ち続けられるわけだ。
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座敷童は、爆発する鞠(まり)を投げつける。連射速度は遅いが爆発による範囲攻撃が可能で、威力も高い。
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ゾンビ(由来は河童)は地上での移動速度が速め、さらに射撃のキュウリで相手の速度を下げる。
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蚊は空中での移動速度が速めという能力に加え、射撃を当てた味方ビジターの速度を上げる。

 先述のとおり、ビジターの射撃には制限がない。そんな射撃に、ここまで強烈な能力が加わっているわけだ。使用制限があるとはいえ罠も強力で、ビジター側がキーパーズ側に対して圧倒的優位に立つ存在であると、改めて実感できる。

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罠は相手を拘束する“落とし穴”、踏んだ相手の速度を下げる“まきびし”、踏むと爆発する“爆弾”、範囲内では速度が下がる煙を発生させる“発煙筒”の4種類。いずれも使いやすい効果ばかりだ。
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鐘の周りに落とし穴。キーパーズが引っかかったら、遠くからでも余裕をもって射撃できるというわけだ。たぶん強い。

圧倒的な戦力差、だからこそロマンがある

 このように本作のビジターは、狩る側にふさわしい安心安定の性能を誇る。キーパーズ側はその力に怯えつつ、正攻法を避けて慎重に動くことを要求される。なんという格差、なんという不平等かつ理不尽だろう。

 だが、それがいい。筆者としては非対称対戦ゲームの追う側とは、このように分かりやすく圧倒的であったほうがいいと思う。圧倒的な相手だからこそ、それを知恵を絞って打ち負かすのが楽しいのではないだろうか。

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ビジターは空からすべてお見通しと見せかけて、じつはそうでもない。空から団地を見ると、こう見えるが……。
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団地の入り口付近に、このように空からは完全に死角になる隠れ場所がある。空からの視点がある本作ならではの駆け引きだ。

 これも改めて言っておくと、今回の体験プレイでは“一度捕捉されたらまず逃げ切れない”感もひしひしと伝わってきた。ゲームに不慣れといった要素を差し引いても、一度キーパーズがアイテムなしでビジターに見つかると、その射程距離や移動速度からしても逃げきることは非常に難しいのではと感じた。

 だが、それもまたいい。“見つかったら終わり”だなんて、まるでホラー映画みたいで最高ではないだろうか。この緊張感が非対称対戦ゲームのおもしろさと独特の理不尽さを、改めて思い出させてくれそうだ。

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キーパーズ側も画面右下のボタンでダッシュはできるが、走れる距離は短く、再使用可能になるまでのクールタイムもある。アイテムなしでビジターから逃げ切るのは難しい。

 これらに加えて、ビジター側でプレイする際にも仲間がおり、どちらのサイドでプレイする場合でもチームプレイが楽しめるのもまた魅力になりそうだ。

 ビジター側では圧倒的なパワーを持ちながら仲間までいるという“負ける気がしない”感を、キーパーズ側では相手がふたりいるという点を踏まえ、裏を掻くためのより高度なチームプレイと達成感を味わえると思う。

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追う側になるとマルチプレイなのにひとりぼっち、そんな寂しいことは本作ではナシ! いや、こうして追われる側になるとシャレにならないんですけどね……。

 正直なところを言うと、ビジター側が強すぎるのでは? バランス的に大丈夫なのか? などとも思えた、今回の体験プレイ。しかし今回の体験プレイは2vs6の本来の形式のプレイではなかったため、その辺は検証できなかった。実際に一般プレイヤーが参加し、2vs6バトルを研究していくことになる正式リリースのその日以降まで、その辺はまだまだ分からないところだ。

 本作の配信期間は6ヵ月のみ。濃密なこのお祭り期間の間なら、むしろビジター側が強すぎる状況になったとしても、それもまた祭りを楽しむスパイスになるかも知れない。どんなカオスな祭りになるか、ぜひリリース後には皆さんも参加し、自身で確かめてみてほしい。