長期休暇といえば、話数の多いアニメの視聴に挑戦するチャンスです。それも、これから新シリーズが始まる作品ならば、一気に最新話まで楽しめて、一石二鳥。

 そんな条件に当てはまるアニメって何があるのでしょう? そう、それこそが今回ご紹介する『プリパラ』なのです!

 2014年から2017年にかけて放送、さらに続編の『アイドルタイムプリパラ』もあわせれば、15クールの全191話という長大なボリュームがある本作。加えて、2021年夏には待望の続編となるWebアニメ『アイドルランドプリパラ』が、同名のアプリゲームのリリースと併せて配信される予定となっています。

 女の子をメインターゲットにしたアニメですが、アイドルを題材にしたアニメやゲームの歴史においても、間違いなくターニングポイントのひとつと言える作品ですので、まだ触れたことがない多くの方へ、この機会に視聴していただきたいと願って止みません。

 なお本作は“dアニメストア”などの動画配信サービスにて見放題での視聴が可能。“dアニメストア for Prime Video”といった関連サービスでも見放題になっているので、イッキ見するならこれらのサービスの利用がおすすめです。

『プリパラ』(dアニメストア)
『プリパラ』(dアニメストア for Prime Video)

『プリティーリズム』、『キラッとプリ☆チャン』と同シリーズの女の子向け作品

【GWおすすめアニメ】歴史に名を刻んだ“神アイドルアニメ”『プリパラ』を観よう!
画像は公式Twitterより。

 『プリパラ』は『プリティーリズム』シリーズに続く、女の子向けのアニメとアーケードゲームを同時展開する“プリティーシリーズ”の一作。

 現在、このシリーズの最新作は2018年に登場した『キラッとプリ☆チャン』となっており、これを機に一度はコンテンツの展開をひと段落させた『プリパラ』。しかし、その根強い人気から2019年10月にはアーケードゲームが復活するなど、現在まで話題に事欠きません。

 ちなみに『プリパラ』のゲームはアーケードだけでなく携帯機や家庭用ゲーム機でもリリースされており、こちらの最新作はNintendo Switch用ソフト『プリパラ オールアイドルパーフェクトステージ!』となっています。

アニメ『プリパラ』あらすじ

 アニメでは、声の大きさがコンプレックスの小学5年生の女の子・真中らぁら(声:茜屋日海夏)が、女の子なら誰もがアイドルになれる夢のテーマパーク“プリパラ”で、“神アイドル”を目指す物語が展開。

 らぁらは南みれぃ(声:芹澤優)や北条そふぃ(声:久保田未夢)といったアイドルたちとトモダチになり、のちに3人は“SoLaMi SMILE”というユニットを結成。ライバルのDressingPaféをはじめ、たくさんのアイドルたちとの交流の中で、成長していきます。

 プリパラへの立ち入りを禁止しようとする小学校の校長先生や、プリパラを才能を持つものだけが特権的にパフォーマンスを行える場所にしようとする紫京院ひびき(声:斎賀みつき)など、考えかたが異なる人々との対立なども描かれつつ、らぁらとその仲間たちのひたむきさは、次第にさまざまな人たちを変えていくことに。

 続編『アイドルタイムプリパラ』では、真中らぁらと新キャラクター・夢川ゆい(声:伊達朱里紗)のW主人公による物語が展開。プリパラが流行っていない街に転校してきたらぁらが、ゆいと出会い、この街のプリパラをいちから作り上げていくことになります。

 この『アイドルタイム~』から登場した男子プリパラ(通称“ダンプリ”)のアイドルである“WITH”の3人も、いまやシリーズに欠かせない人気キャラクターです。

【GWおすすめアニメ】歴史に名を刻んだ“神アイドルアニメ”『プリパラ』を観よう!
WITH(画像は公式Twitterより)

ハイテンション&カオスな作風ながら、落涙必至の感動エピソードも満載

 そんな『プリパラ』の基本的な作風は、ハイテンション&カオス。強烈すぎる個性を持ったキャラクターたちのやり取りが、とにかく賑やかで楽しく、ときとして「突っ込んだら負け」的な意味不明さもともなって、いつも視聴者を笑顔にしてくれます。

 南みれぃの“アイドルとしてのキャラ付けのために語尾に「ぷり」を付けている”という設定を踏まえての、紫京院ひびきが“過去のトラウマから“語尾を聞いてしまうと具合が悪くなる”という作中定番のネタがあるのですが、こういった荒唐無稽な設定が納得できるのは、それぞれのキャラクターを丁寧に掘り下げられる、長編アニメならではと言えるでしょう。

 そうしてキャラクターたちがみんな生き生きと描かれるからこそ、彼女たちのがんばりが実ったときの展開は、涙を誘います。

  • 『プリパラ』(1期)第37話『奇跡よ起これ!ミラクルライブ
  • 『プリパラ』(2期)第84話『ポップ・ステップ・ぷりぷりぷり!
  • 『プリパラ』(3期)第105話『ガァルル、目覚めるでちゅーっ!!
  • 『アイドルタイムプリパラ』第35話『未知とのミーチル

 上記は、そこまでらぁらたちを見届けてきたならば落涙必至の感動エピソードの中でも、とくに筆者にとって思い出深いおはなしです。

 どのエピソードも、彼女たちの成長を経て行われるライブシーンによって、感動はさらに大きいものに。プリティーシリーズの3DCGによるライブシーンのクオリティは、同時期のテレビアニメ作品と比較して常にトップクラスですが、これが見事なストーリーと掛け合わされたときの“エモさ”は凄まじいものがあります。

仮想世界でのアイドル活動、多様性描写における先駆的な作品

 2014年に放送がはじまった『プリパラ』ですが、そこで描かれる世界観や価値観はとても先進的なもので、いま観てもまったく古びていません。

 たとえば“プリパラ”は仮想世界にあるような設定になっており、いわゆる“VR空間”を想起させます。現実の自分とは少し違う、理想とする姿になれるというのも、“アバター”を使うことでなりたい姿で人と交流ができる、『VRChat』やVTuber(バーチャルYouTuber)文化を思わせる部分。

 プレイステーション VRの発売や、VTuberのキズナアイさんの活動開始が2016年、『VRChat』のサービス開始が2017年であることを思えば、『プリパラ』がいかに時代に先駆けていたかがわかります。

 また、キャラクターたちのあらゆる個性が受け入れられていくストーリー展開は、多様な生きかたを尊重する大切さが、当時よりも多くの人に意識されているいまだからこそ、よりいっそう目を見張るところです。

 女の子のための場所であるプリパラで、身体的には男の子であるレオナ・ウェスト(声:若井友希)もアイドル活動ができていたり、トモダチをつくることを嫌っていた紫京院ひびきが、そのままらぁらたちと互いを尊重し合える関係になったり――。

 カオスな展開に気を取られがちですが、そういった、あらゆるものを受け入れる懐の深さこそが、『プリパラ』という作品の根底にある、普遍的な魅力につながっていると言えるでしょう。

全191話を履修して待望の新作に備えよう

 冒頭でも書いたように、そんな『プリパラ』シリーズの約3年ぶりとなる新作アニメシリーズ『アイドルランドプリパラ』が、夏にはスタートする予定となっています。同時期に展開予定のアプリゲームについても、続報に期待したいところ。

 最新作から視聴してもきっと楽しむことができると思いますが、やはりここまでのストーリーを知っていれば、おもしろさも感動もさらに大きくなることは間違いありません。

 まだ『プリパラ』に触れたことがない方は、いまこそぜひ、その魅力のトリコになってください。

『プリパラ』(dアニメストア)
『プリパラ』(dアニメストア for Prime Video)