2021年4月10~11日の2日間、東京ビッグサイトにてアナログゲームの祭典“ゲームマーケット2021春”が開催された。今回も数多くの新作が発表・発売されていたわけだが、その中でもとくに注目となる1本を紹介しよう。

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ゲームマーケット2021春は感染症対策を行いつつ、2日間で述べ1万2500人の参加者を集めた。

 今回もおもしろそうなアナログゲームがたくさんあり、アレもコレもと思わず爆買いしてしまったのだが、その中でもこの1本!としてセレクトしたのは、DOMINA GAMESの『Bread Rondo』(ブレッドロンド)という1~2人用の対戦カードゲームだ。

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『Bread Rondo』のパッケージ。

 本作はDOMINA GAMESの『Blade Rondo』(ブレードロンド)とMAGIの『まじかる☆ベーカリー』シリーズによるコラボレーションタイトル。ゲームのベースは『Blade Rondo』で、これに『まじかる☆ベーカリー』シリーズのキャラクターや世界観などの世界観を乗せたものになっている。単にフレーバーを差し替えただけではなく、世界観に併せて“パンを焼く”という仕組みがゲームに搭載され、カード枚数もシェイプされて初心者でも遊びやすくなった。

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『Bread Rondo』の内容物。

 ゲームの舞台となっているのは、魔法がすべてを支配する、とある世界のとある国。街いちばんのパン屋を営んでいたアナタは、うっかり禁断の魔導書を読んでしまい、夢の世界に囚われてしまう。心の中にいる仲間の力を借りて、魔導書の呪いに打ち勝とう!なんていうお話。

 冒頭て説明したとおり、本作は対戦カードゲームだ。いわゆる『マジック:ザ・ギャザリング』や『遊戯王』に代表されるような、カードを出し合って相手の体力をゼロにすれば勝利! というおなじみの仕組み。本作はその対戦カードゲームのおもしろさを、ギューっと濃縮したものになっている。どのくらい濃縮されているかというと、手札として使えるカードは24枚しかない。これをシャッフルして10枚ずつ配布し、さらにここから5枚を選んで手札にする。この5枚だけで対戦を行うのである。

 たったの5枚なのだが(一部のカードを除いて)使ったカードはまた手元に戻ってくる、というのがポイントだ。いわば手札がコンピューターRPGでいうところの戦闘コマンドのようなもので、どの攻撃方法で戦うのかを選んで(カードをプレイして)相手の体力を削っていくことになる。

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プレイ中の様子。

 本作のキモとなるのは、カードが12種類の全24枚(1種につき2枚)という点だ。この10枚配られた時点ですでに最初の駆け引きが始まっているのである。たとえば手元に同じカードが2枚あった場合、相手にはこのカードがない、ということになる。それを考慮したうえで配られた10枚から手札として残すカード5枚は何にするのか。

 「自分の手元にこの2枚があるということは相手もわかっているから、その対策をしてくるはずだよな。だからあえてこの2枚は使わず、相手の対策を無駄にして……と思ったけど、やっぱこのカードは有効だし残しておくべきか……いや待てよ……」

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手札として使うカードは、この12種類だけ。

 ある程度やり込んでくると、この手札作成タイムが本作のおもしろさの半分くらいを担ってくると言ってもいい。カードを置く場所を確保できない場合は、カード5枚セレクトするところだけで遊ぶこともできそう。選んだ5枚をお互い公開し、「こっちにそのカードが1枚もなかったから、ちょっと怖かったんだよね」「あれ、あのカードは2枚とも手札に入れなかったの?」とか、上級者ならこの感想戦で何時間でも遊べるかもしれない。

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遊んでいるときのカード配置はこんな感じ(片方のプレイヤーのみ)。10面ダイスや6面ダイスも使う

 また、オリジナル作である『Blade Rondo』にはなかった要素が、パンを焼きあげて戦いに使うことができる、という点だ。ゲーム中、焼いたパンを使うと戦いが有利になる。パンを使って相手にダメージを与えたり、食べれば体力回復にも使える。上手に焼くことができればさらに効果はアップ! このパンをどう使っていくかも本作のおもしろポイントのひとつだろう。

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パンのカードはランダムに1枚引いて裏側にして配置。焼き上がるまでどんなパンかわからない。
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パンカードは全部で8種ある。

 購入した翌日、早速遊んでみたのだが、短時間で熱い駆け引きが楽しめて、つい何度もプレイしてしまった。1プレイ15分程度なのだが、体力が半分くらいなくなった時点で一気に勝負が付くこともある。5ターンめあたりからコスト5の強力なカードを相手が持っていればそこで一気に勝負は付く場合もあるので、1ターンすらも無駄にできない。

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アナログの対戦カードゲームは未体験の人と対戦。2勝2敗のいい勝負だった。もう1回やれば筆者の勝ち越しだったに違いない!?
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ひとりで遊ぶときは少しルールが変更されるが基本的には同じ。次々に現れる敵カードを倒していく、というもの。

 さて、最初のほうで説明させてもらったとおり、本作はDOMINA GAMESとMAGIによるコラボタイトルである。コロナ禍ないま、ボードゲーム業界が元気になるようなものを何か作ることはできないだろうか……とMAGI側から声をかけて本作が生まれたという(詳細はコチラを参照)。ゲームマーケットではいつもDOMINA GAMESとMAGIのブースは開場と同時にスタートダッシュで大行列ができるので、そんな二社が手を組んだならばそりゃもう注目せざるを得ない。

 本作はゲームマーケット2021春で先行発売され、一般販売は4月22日を予定している。期待どおりの……いや、それ以上のおもしろさとなっているので、ぜひ遊んでみてほしい。

 『Blade Rondo』の価格は2700円[税抜]となっている。

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『Blade Rondo』紹介ページ