SFテイストとTPSが好きなら、腕前が多少ヌルくても安心して楽しめる
2021年4月1日にスクウェア・エニックスから発売された、TPSタイプのCo-opシューティングゲーム『OUTRIDERS』。『Gears of War』シリーズを制作したポーランドの開発会社、People Can Flyが開発を担当しており、熱心なシューティングファンからは注目されていたタイトルだ。そんな同作をプレイしたライターが、その魅力をお伝えしていく。
なお、本ソフトのCEROレーティングはZ(18歳以上のみ対象)の指定を受けておりますが、掲載にあたっては、ファミ通.comの掲載基準に従い考慮しております。
『OUTRIDERS(アウトライダーズ)』(PS5版)の購入はこちら (Amazon.co.jp)4つのクラスのどれを選ぶかで楽しさの方向性が変わる!
最初に言っておこう。筆者は、TPSに対しては苦手意識こそないものの、腕前がすぐれているわけではない。e-sportsに夢中になっている人からすれば、ひいき目に見ても“多少動けるウサギ”程度の実力だ。ゆえに、あまりにゲームの難度が高かったりすると「これはもういいかな……」なんてそっとコントローラを置いてしまうこともあったりするのだが、『OUTRIDERS』は(けっこう難しいけれど)そうはならなかった。というか、何なら原稿を書けるだけのプレイは終わっているのに、ついプレイを続けてしてしまうほど引き込まれてしまった。本稿では、同作の概要をかいつまんで説明しつつ、くり返して遊んでしまう本作の魅力について解説していこうと思う。
本作の操作は、銃を撃つ、照準をのぞき込む、近接攻撃を行う、物陰に隠れる、ローリングで緊急回避をするというものが基本で、ゴリゴリのシューティングというよりもアクションゲーム風の作りになっている。
基本アクションに加え、“デバステーター”、“トリックスター”、“パイロマンサー”、“テクノマンサー”という4つのクラスで習得できるスキルを使って敵を倒していくことになるのだが、どのクラスを選んだかで、戦いかたはかなり変化する。各クラスの特徴をザックリ説明すると、以下のようになる。
・デバステーター
近距離攻撃タイプ。タフなので、多少のダメージを受けつつ敵に近寄り、強烈な攻撃で仕留めるような戦いかた向き。
・トリックスター
瞬時に敵に近寄ったり、一瞬で敵から離れたりして戦える近接攻撃タイプ。敵を弱体化させることも可能。
・パイロマンサー
中距離攻撃タイプ。複数の敵に対して、効果的にダメージを与えられる。敵の波状攻撃を撃退するのに向く
・テクノマンサー
遠距離攻撃兼サポートタイプ。砲台などを設置して、敵に近寄られる前に倒すことを得意としている
各クラスに8つあるスキルは、主人公のレベルアップによって解放される。スキルは再使用にクールタイムが必要になるものの、いずれも強力。しかも、装備品の効果によってさらなる強化が可能だ。戦闘中に使えるのは最大3つなので、戦う敵に応じて適切なスキルをセットするのが望ましい。
そして、本作の特徴のひとつが、各クラスが得意とするスタイルや持っているスキルで倒すことで、自身のHPがみるみる回復していくという点だ。たとえば、デバステーターなら、接近戦でゴリゴリ敵を倒していれば、多少ダメージを受けてもHPの回復量が受けるダメージを上回ってくれるので、獅子奮迅の活躍を見せてくれる。ところが、射撃戦を行った場合は、そこまでHPが回復しないので、ジリ貧になることも……といった感じだ。
ちなみに筆者は、トリックスターを選択していながら、(持ち前のチキン魂を発揮して)隠れてチクチク敵を撃っていたため、時間がかかってかなり苦労することになった(もちろん、何度か死んでいる)。ところが、後にデバステーターで接近戦を挑んだり、テクノマンサーで射撃戦を挑んだとき、そのラクさに感動! クラスによって戦いかたを変えることが、本作の攻略のカギを握っているというわけだ。また、クラスごとにスキルツリーが用意されており、そこに配されたノードをどう解放していくかも、戦いのスタイルに大きく影響してくる。
そんな主人公のクラスは、最初に決めたら後からは変更できない。その代わり、最大6人のキャラクターを作れるし、入手した装備品はほかのキャラクターに渡すことができるので、「クラスごとにレベルがある」という感覚で遊ぶことができるはずだ。
なお、ゲームを進めれば「特定のクラスだと敵を倒すのがたいへん!」といった状況も生まれることになる。しかし、大前提として本作はCo-opシューティングだということを忘れてはならない。そういうときは、いつでも切り換えられるマルチプレイで参加者を募って協力プレイをすればいいわけだ。
もしも、ソロプレイにこだわるなら、“ワールドティア”と呼ばれるゲーム難度を下げるか、レベルを上げるか、装備品を改善して挑めば、ソロプレイで楽にクリアーできるはず。ハック&スラッシュタイプの本作では、強力な装備品を入手することを目指すとキリがないので、ひとまずワールドティアを下げてプレイし、物語を進めてレベルを上げていくのもいいだろう。
ゲームのために用意されたシナリオってこういうコトなんだよ!
さて、ここで本作の物語について簡単に触れよう。主人公は、環境破壊によって荒廃した地球を脱出することになった星間移民のひとり。地球に環境が近い未知の星、“エノク”に到着し、先遣隊として星を探索し始める。ところが、エノクには“アノマリー”という、物理法則すら無視するような謎の力が存在した。アノマリーの嵐に襲われた先遣隊は、ほぼ壊滅。そこからアレコレあって主人公は致命傷を負うが、わずかな生きる望みをつなぐために冷凍ポッドに入れられる。
31年後に目覚めた主人公は、アノマリーの影響で、超常の力を持つ不死の“変異者”になっていた。そして、主人公が眠っていたあいだに、高度な電子機器が使えない状況に陥り、文明は衰退。エノクは限られた資源や食料を奪い合う、凄惨な土地になっていた。そんななか、電子機器が使えないはずのエノクの未踏の地から発信された謎の電波を受信する。その理由を探るため、主人公は冒険を始める……というのがざっくりとした序盤の流れだ。
物語を進めるにつれ、さまざまな者たちの思惑や謎が明らかにされていく。その物語自体も魅力的なのだが、未知の惑星が舞台であるため、モンスター的な原生生物も登場する世界観もSFチックでたまらない。
なお、本作のメインストーリーは複数のクエストで構成されており、ひとつひとつクエストをクリアーしていくことで物語が進む。魅力的な報酬を得られるサブクエストも充実しているうえ、“ストーリーポイントの選択”を選べば、すでにクリアー済みのクエストを何度でもプレイすることが可能だ。
強力な武器をクラフトする、終わらない戦い!
ハック&スラッシュタイプのゲームと切っても切り離せないのが、装備品の強化だ。本作の装備品には、装備品の種類、装備品のレベル、レアリティー、特性、モジュールなどのパラーメータが存在。これらを“クラフト”で強化していくことにより、より使い勝手のいい装備品にしていける。
装備品の種類やレベルなどのわかりやすい内容は、ここでは割愛。レベルやレアリティーは、素材を使うことで上げられることだけ覚えておくといい。
特性は、装備品にランダムで付与されているもので、スキルのクールタイム短縮や体力増加、ボーナス火力などの効果がある。装備品を分解したときに手に入るアイテムがあれば、効果をアップグレードすることが可能だ。
モジュールは、レア以上の装備品に装着することが可能な、特殊効果付与や各クラスのスキル効果アップなどの効果を持ったアイテム。装備品を分解することで、モジュールのみを取り出すことができ、空いているスロットに装着できる。自分の戦いかたや使用スキルに合ったものを選択することで、かなりの戦力アップにつながるはずだ。
装備品のレアリティーが高まるほど、基本性能が高く、装着できるモジュールの数も増えるため、とにかくレアリティーの高いものを集めたいところ。敵からのドロップを狙ってもいいが、素材を消費することでエピックまでは強化できるので、気に入った装備品があれば率先してクラフトを利用するのもよさそうだ。レジェンダリーが欲しい場合は……ドロップやクエスト報酬のみになるので、ワールドティアを上げ、エンドコンテンツなどでがんばるしかないだろう。
適正レベルのワールドティアに挑戦すると敵が強いこともあり、とにかく強い装備品が欲しくなる本作。かといって、(いまのところ)投げ出すほどの難度になるわけでもなく。「いざとなったらワールドティアを下げればいい」という保険は用意されているものの、レアリティーの高い装備品欲しさに、ギリギリクリアーできるくらいのワールドティアに挑戦したくなるのは、いい意味でニクらしい。そして、クラフトのおかげで装備品ドロップのムダ引きもあまりないので、クエストの周回プレイに没頭しやすい環境になり……結果、とんでもない時間が経過していることになるという始末なのである。
アクション性の高いTPSとして、ハック&スラッシュタイプのゲームとして、おもしろさはかなりのもの。SFっぽい世界観が苦手ではなく、TPSにも抵抗がない方は、ひとまず体験版(※PS5、PS4版の体験版配信は2021年4月26日23:59まで。Steam版の体験版配信終了日は未定。最新情報はストアページにて確認を)をプレイして本作に触れてみてはいかがだろうか?