2021年2月18日にリリースされた『NieR』シリーズ最新作にして初のスマートフォン向けタイトル『NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)』。本稿では、『NieR』シリーズ担当編集者がサービス開始から約半月ほどプレイしたプレイレビューやサービス開始後の情報などをまとめてお届け。なお、ネタバレには配慮していますが、まっさらな状態でプレイしたい方はご注意ください。
ついに1000万ダウンロードを突破
サービス前は事前登録が100万人いくかいかないか、なんてことが話題になっていたのの、サービス前日には100万人を無事達成。公約通り純金ママの制作が決定しました。そして迎えたサービス開始日。人気スマホゲームやオンラインものによく起こりがちなサービス開始日にサーバーダウン……からのメンテ祭りなんてこともなく順調な滑り出し。その後はApp Storeセールスランキングにて1位を獲得したり、300万ダウンロードを突破したり、と思ったら光の速さで500万、そうこうしているうちに1000万ダウンロードを突破。順風満帆&前途洋々すぎるスタートとなり、何かとお騒がせな『NieR』らしからぬ船出に(Twitterで“ママ100回タップ”というワードがトレンド入りするところは『NieR』らしいと思いました)。
ちがう。そのワードじゃない…
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— 齊藤陽介 Yosuke Saito (@SaitoYosuke_Z)
2021-02-19 15:44:20
『NieR』シリーズを感じさせる要素の数々
そんな『NieR Re[in]carnation』だけれど、ゲームの中身は『NieR』らしさ全開。不条理な世界に映える吉田明彦氏デザインのキャラクター、残酷な世界に響きまくる切なく美しい岡部啓一氏の音楽(サントラが4月21日に発売決定!)、そしてヨコオワールドやヨコオ節などと言われる、悲しい未来が広がっている世界観や、救いがないようでやっぱりない物語(たまにある救いが極上のご褒美。でもそれがさらなる悲劇につながる恐れがあるから油断ならない)、ゲームの当たり前を逆手にとった仕掛けなど、それらがしっかり用意された期待に違わぬ『NieR』っぷり。何より“reincarnation”(意味は調べてください)な展開がいかにも『NieR』シリーズっぽいじゃないですか。ちなみに、reincarnationを分解して、それぞれ意味を調べていくと、いろいろと想像が膨らむ単語になっているのは興味深いところ……。
バリエーションに富んだ多様な物語(でもほぼ悲劇)を味わえる作品
本作の物語は、大きく分けてふたつの柱で構成されており、ひとつは檻(ケージ)と呼ばれる異界を舞台にした白い少女の物語と、もうひとつは武器に眠るさまざまな物語群。
檻(ケージ)では、少女が失ったものを取り戻すべく、ママといっしょに中世のお城のような建物の中を進んでいく。『不思議の国のアリス』のように不可思議な異界を進むことになった少女と、見た目のかわいらしさに反して愚痴っぽいママとのやり取りはなんとも微笑ましい。
一方の武器に眠るさまざまな物語群は、絵本のようなグラフィックと朗読で魅せる“ウェポンストーリー”となっており、武器の数だけ物語が……悲劇があり(悲劇に限らないかもしれないけれど、人を殺めるための武器の記憶にそもそもハッピーエンドはあまり期待できない……)、シリアスな内容に。絵本好きで悲劇マニアの方にはとくにオススメとなっております。
そんな本作の物語の多くは、今回が本格的なシナリオ制作は初となる『NieR』シナリオ班が担当していることも明らかに。このシナリオ班は、2017年に『NieR』関連作品のシナリオプランナー募集により採用された方々で、結果的にシナリオなどを書いたことがないばかりか、ゲーム開発の経験もない面々ばかりになったとか。そこでここ数年はヨコオ氏からさまざまなレクチャーを受け、シナリオを書く準備をしていたとのこと。そんなシナリオ班が手掛ける物語がどんな仕上がりになっているのか、期待と少しの不安もあったわけですが、そこはヨコオ氏がスパルタ方式でバッチリ鍛え上げたということで、本作にはいい塩梅の心に残る残酷物語が展開されており、ヨコオチルドレンが順調にスクスクと育っていることがうかがい知れます。
登場するキャラクターたちの物語は、高難易のクエストやキャラクエストなどをクリアーすることで、また違った側面の物語が解放される。それらの物語はまた趣きが異なって新鮮。物語のテイストもクスリと笑えるものもあり、バラエティーに富んでいます。個人的にはメインクエスト 四章:流水の『錆』(※ゲーム中はかねへんに青)のハードをクリアーした際に見れるアケハねえさんのキャラストーリーEXがツボでした。
ヌルヌル動き、敵味方入り乱れるバトル
バトルは3Dグラフィックで描かれ、キャラクターが『NieR:Automata』っぽくスタイリッシュなモーションでヌルヌル動く。しかもキャラクターや武器によってモーションが変わり、ターンのタイミングによってはキャラクターが入り乱れるように戦うので、めまぐるしい攻防がくり広げられ、見ているだけでも爽快。バトルフィールドも雰囲気がさまざま、そしてどこも美しい……。
強化して主人公たちのさらなる物語を解放していきたい!
本作に登場するキャラクターはどれも魅力的だ。
心優しい王子とその王子を守る機械兵、義体の狩人、殺しの鍛錬ばかりを積んできた暗殺者、家族を顧みず山に挑み続ける冒険家、施設に囚われた夫婦、それぞれに背負うものがあり、戦う理由がある。キャラクターたちの生き様が心に刺さる物語になっているので、キャラクターの過去や行く末も気になるところなんだけれど、キャラクエストなどで描かれているのもうれしい。
ゲーム的には、個々のキャラクターや武器、装備品であるメモリー、補助的存在のオトモを強化し、パーティーの総戦力を高めて、各種クエストをクリアーしていくことで、たくさんの物語に出会うことができる作り。また、アイテム集めなどに必要な周回を効率よくこなすには、強いキャラクターや武器を入手し、それらを強化するのがが欠かせない。現在、『NieR:Automata』とのコラボキャンペーン期間中で(3月31日まで)、コラボの武器、解放できるキャラはなかなかの強さなので、できるだけ入手しておきたいところ(何より2B、9S、A2の本作オリジナルの衣装がステキ! そしてA2さん、そろそろ筆者のところに来てくれていいんですよ……)。また、コラボ期間中はログインボーナスとしてエミールヘッド、ジェムが最大2300個手に入るコラボ記念ミッションが開催中日なので、始めようと思っている人は、お早めに。
ちなみに、武器や装備品などには、これまでの『NieR』シリーズのつながりを想像させるものも。物語的なつながりがあるかどうかは謎だ。
なお、現在は新たなイベントクエスト「記録:狂妄の巣」も開催中。同イベントクエスト中はF66x(形而上の女囚)がピックアップで新登場し、フレンリーゼの新コスチュームも登場。3月13日まで。
【イベントクエスト「記録:狂妄の巣」開催】
イベント報酬に「フレンリーゼ(守護たる狩人)」が登場!クエストで専用メダルを集めて、交換所で限定報酬を獲得!
#リィンカネ #NieR #ニーア https://t.co/ADiecCxPDg
— NieR Re[in]carnation (@NieR_Rein)
2021-02-28 12:12:57
3月9日スタートの新章には新キャラも!
さらに3月9日(火)には新章「炎砂の章」が実装されるとのこと。公開された予告PVには新キャラらしき少年も。果たしてどんな救いのない物語が待っているのか楽しみですね(赤い目をしながら)。
イベントや新章の実装も急ぎすぎず、遅すぎずの丁度いいペース。4月22日には『NieR Replicant ver.1.22474487139...』が発売されるので、それに合わせてイベントやキャンペーンもあるはず。もうしばらくは“お祭り感”を楽しめそう。
ここまで、『NieR』は悲劇の物語、救いのない話などと書いてきたけれど、当然、それだけじゃない。たとえ、胸がえぐられるような話であっても、何か、こう、余韻が残るというか、心がほのかに温かくなるような部分もあって。バッドエンドだけれど、100%そうかと言われると、そうじゃない。いろいろと複雑な気持ちにさせてくれる物語。
そんな『NieR』の世界を手軽に体験できる『NieR Re[in]carnation』はシリーズ初心者の方にもオススメです。