Crytekより、2021年3月5日に発売されるOculus Quest、Quest 2向けVRゲーム『The Climb 2』。

 本作は、アルプスや山々や峡谷など、雄大な自然界を舞台にロッククライミングが楽しめるスポーツゲームだ。臨場感の溢れるVRでのクライミングはスリル満載で、文字通りの意味で手に汗握る体験が気軽に楽しめるようになっている。

 前作の『The Climb』から道具を使ったアクションなども追加され、さらにエキサイティングなタイトルにパワーアップした『The Climb 2』。その魅力を本記事にてお伝えしていこう。

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『The Climb 2』Oculus Storeページ

より気軽にスリリングなアクションが体験できる『The Climb 2』

 本作の特徴は何といっても、命綱なし、自分の手だけを頼りに断崖絶壁の山などを登っていくクライミングだ。プレイヤーはコントローラーを駆使して崖や足場を掴み、数少ない道を辿ってゴールを目指していくことになる。

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 基本的には手で崖を掴み、つぎに掴める場所へと腕を伸ばす動作をくり返していく。しかし、時にはジャンプをして崖から崖へと飛び移るような動作も求められる。

 飛び移った先でタイミングよく掴める場所に手を伸ばさなければ、そのまま崖下へと落下してしまう。一度ミスすれば、待ち受けるのは高所からの落下。その恐怖と戦いつつ、上を目指して登っていくアクションは身体を熱くしてくれる。

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 また、前作から引き続きスタミナの概念は健在。片手で崖などを掴んでいるとスタミナを消費し、最終的には手を放してしまう。勢いよく進んでいるとスタミナ切れで落ちてしまうので、時には休息することも大切だ。

 ただし、スタミナ関連の要素が面倒だという人は、カジュアルモードでプレイすればスタミナは無限になっている。気軽に遊びたいならカジュアルで、よりリアルでハードなロッククライミングを楽しみたいならプロフェッショナルモードで遊ぶ形になるだろう。

 難易度選択や、チュートリアルでの解説が非常に親切になっているので、前作未経験の人も快適に遊べるはずだ。

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選べるタイプは5種類!全15ステージの絶景に挑め!

 本作でプレイできるクライミングのステージは、全部で15個。アルプス、湾岸、峡谷、都市、北方と5つのタイプにわかれており、各タイプごとに3つのステージが用意されている。

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 ステージによって景色が大きく変わるのはもちろん、個性的なギミックも待ち構えていた。天井に配置された不安定なはしごや、ロープを使った高速移動。上に登るだけでなく、横への移動や降下する場面も多く、前作以上にスリリングでアクション性が増しているように感じた。

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はしごを一段ずつ掴んで進んでいく場面では、急にはしごが傾くサプライズも。
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道具を使った新しいギミック。取っ手を両手でつかむと、自動的に進んでいく。
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降下した先に本当に足場があるのか、不安で仕方がない!

 前作と比べるとグラフィックもパワーアップしている点も注目だ。登っている最中には、大自然の美しさと恐ろしさを同時に体感できるだろう。ふと周囲を眺めれば美しい景色が、下を覗けば確実な死の気配が待ち受けているので、一息つけるポイントについたらぜひ周囲を見渡してみてほしい。

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 いくつかのステージをプレイしたが、今回とくに楽しめたのが都市のステージだ。高層ビルのわずかな隙間などを掴み、ビルからビルへと飛び移りながら上層を目指していくのだが、これがじつに恐ろしい。

 自然の景色と比べ、日常的に見る機会の多い風景である都市では、落下した際の恐ろしさが想起されやすく、思わず足がすくんでしまったほど。ゲーム中に足が震えるという珍しい体験ができるので、ぜひ一度プレイしてみてほしい。

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先に進むには、ジャンプで飛び移って足場を掴むしかない場面。
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下を覗けばはるか遠くに地面が……。

 ちなみに、クライミング中に道が分からなくなったら、いつでもヒントでルートを確認できる便利な機能もついている。あまり悩まず、気軽に登りたいという人にはうれしい機能だ。

 もっとも、提示されたルートが正気の沙汰とは思えない場面も多々あるので、正解が分かっていても進みたくないこともあるが……。

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 グラフィックの進化や新たなギミックの登場、細かなUIの変更で前作以上に快適でエキサイティングな体験が可能になった『The Climb 2』。個人的な体感としては、急激な視点変更などもないため、VR酔いをほとんど気にせずプレイできた。

 今作ではプロフェッショナルモードでステージをクリアーすると、グローブやリストバンドのデザインも変更できるなど、やり込み要素も充実している。非同期のマルチプレイでタイムアタックにも挑戦できるので、最速最短でのロッククライミングを目指してみるのもおもしろいだろう。

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 都市のステージをはじめ、人間の本能を呼び起こす恐ろしさや、登場時の絶景を眺めたときの達成感は何とも味わい深い。実にVRらしいタイトルになっているので、Oculus Questユーザーにはぜひプレイしてほしい。

 『The Climb 2』は3月5日より配信開始で、価格は2990円[税込]。また、前作を未プレイの方に向けて、『The Climb 1 & 2 Duo Pack』も同時に発売を開始。こちらは、3月5日午前3時~3月13日午前3時(日本時間)までの期間限定販売で、価格は3990円[税込]となる。内訳は『The Climb 1』が990円[税込](通常価格2990円[税込]のところ、67%OFF)で、『The Climb 2』が2990円[税込](通常価格)というお得なセットだ。

 また、『The Climb 2』を単体で購入した場合でも、3月13日(日本時間)までの期間中は、『The Climb 1』を50%OFFで購入できる。

ズバリ本作の見どころは?プロデューサーを直撃

 『The Climb 2』の発売に合わせて、本作のシニアプロデューサーを務めるFatih Ozbayram(文中:Ozbayram)と、レベルデザインなどを担当したMatthias Otto氏(文中:Otto)にインタビューを実施した。

 本作の見どころや『The Climb 2』でパワーアップしたポイントなどを紹介してもらったので、併せて掲載していこう。

Fatih Ozbayram氏

Crytek
『The Climb 2』シニアプロデューサー

Matthias Otto氏

Crytek
『The Climb 2』レベルデザイナー

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――前作のリリース時と比べてVR機器のスペックも向上しましたが、今作でクオリティーがアップしたポイントを教えてください。

Ottoゲームプレイの部分では、追加のアイテムや道具が登場しました。鉄棒を掴んでスライディングをする、スピード感のあるアクションが体験できるようになっています。今回はロープやコンテナ、はしごといったアイテムを使えるようになりました。固定された岩場だけでなく、揺れ動くアイテムを使った移動が追加されているので、前作とはまた違ったスリリングな体験ができるかと思います。

――UIもやや変わったように感じましたが、こちらはいかがでしょうか?

OttoUIのナビゲーションはもっと簡単にしようと、使いやすくアップデートしました。チュートリアルについてもただ説明を見ているだけでなく、能動的に進められるように改善しています。また、手にチョークをつけるチョーキングなど一部難しかった動作は、今回新たに触れる人でも快適にプレイできるように工夫を加えました。

――新たに導入したVR酔いの対策などはありますか? 前作は酔ってしまうことが何度かあったのですが……。

Ozbayram本作は社員やその家族にもテストプレイをしてもらい、VR酔いについてもチェックしました。前作では身体が自動的に回ってしまう場面が多く、それがVR酔いの一因になっていたと思います。今回は勝手に身体が回る動きを止めるようにしました。自分の意思で身体を動かせるようになったことで、VR酔いは軽減されていると思います。

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――Oculus Quest 2の登場によって、前作から変わった点はありますか?

OttoOculus Quest 2は解像度が高いので、対応できるように改良しています。より詳細にディテールが見えるようになっているので、細かい部分にまで気を配って作成しました。グラフィックのクオリティーが向上したことで、風を感じるような雰囲気など、よりリアルに感じられるようにパワーアップできたと思います。

――前作との大きな違いはありますか?

Otto大きく違うのは、都市のステージが登場したことでしょうか。前作でも基本的には自然界が舞台でしたが、今回は人工的な構造物を登っていけるのが特徴になっています。

――都市のステージは実際にプレイしましたが、足がすくむほどスリリングでしたね。

Otto都会の景色を我々は見慣れていますので、高さの想像がつきやすく恐怖心を煽りやすいのだと思います。落ちるのでは、という恐怖は強く感じやすいステージになっていますね。都市はただ登るだけでなく、ビルからビルに移る動作やジャンプテクニックが要求されるので、ステージとしての難度も全体的に高くなっています。

 以前はさほど要求されなかったジャンプのテクニックですが、今作は高難度のステージだと求められる場面が多くなりました。 

Ozbayramじつは私は高所恐怖症なのですが、都市だとどうしても想像力が強く働いてしまい、脳への刺激がすごかったです。眩暈を起こすほどの状況でした。

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――ありがとうございます。最後に、これから本作をプレイする方に向けてメッセージをお願いします。

Ozbayramまず、前作の経験者に向けてひとつお伝えしたいことがあります。前作をプレイしていると既視感を感じるシーンがあるかもしれませんが、移植した舞台はなく、全ステージを一から作っています。今作では新たな体験が待っていますのでお楽しみに!

 今回初めて『The Climb 2』をプレイする方は、手に汗握るロッククライミングの体験を楽しんでください。高所恐怖症の方は気を付けてプレイしてくださいね。『The Climb』、『The Climb 2』のセット販売もしますのでそちらもぜひ。

 VRを始めてプレイする人にも、『The Climb 2』はスターターとしていいゲームになっていると思います。旅行するのも難しい時勢ですが、本作で自然界の素晴らしい景色を堪能してください。

Otto手を動かすだけのゲームですが、ずっとプレイしていると全身が汗をかくような臨場感のあるゲームに仕上がりました。ぜひ一度体験してみてください!

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