2021年6月24日にコーエーテクモゲームスより、Nintendo Switch、プレイステーション4、PC(Steam)にて発売を予定している、『戦国無双』シリーズ最新作『戦国無双5』。

 本作は“新・戦国無双、始動――。”と銘打たれるように、これまでの『戦国無双』シリーズのイメージを一新し、織田信長と明智光秀をメインに据えた、シリーズの新機軸となる意欲的なタイトルだ。

『戦国無双5』鯉沼Pにインタビュー。初代『戦国無双』を信長と光秀をメインに、イチから描き直す! デザインを一新した狙いや、物語のコンセプトなどを訊く
『戦国無双5』鯉沼Pにインタビュー。初代『戦国無双』を信長と光秀をメインに、イチから描き直す! デザインを一新した狙いや、物語のコンセプトなどを訊く

 本記事では『戦国無双5』のプロデューサーを務める、鯉沼久史氏にインタビューをおこなった。どのような経緯で“新・戦国無双”としてスタートしたのか、そしてゲームの具体的な部分についてなどをお聞きした。

鯉沼久史(こいぬま ひさし)

コーエーテクモゲームス取締役社長。『戦国無双』と『戦国無双2』でディレクターを務め、『戦国無双3』以降はプロデューサーとしてシリーズを統括。『戦国無双5』でも引き続きプロデューサーを務める。(文中は鯉沼)

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戦国初期から物語をやり直すチャレンジ

――『戦国無双4-II』などもありますが、シンプルなナンバリングタイトルとしては、2014年に発売された『戦国無双4』から数えると、『戦国無双5』は約7年ぶりのシリーズ新作となります。発表されたいまのお気持ちをお聞かせください。

鯉沼この7年間、次回作を作るのならばどうしようかと、社内でも議論を重ねていました。じつはこの7年間、『戦国無双』の続編のプロジェクトを立ち上げては、ストップをくり返してきたのです。それがようやく今回、形となった『戦国無双5』を皆さんに発表することができましたので、とても嬉しく思っています。

――プロジェクトを練りに練っていた期間があったので、発表までに7年掛かったと。

鯉沼2004年にプレイステーション2で『戦国無双』を発売し、そこから『戦国無双2』、『戦国無双3』とシリーズが続いていきました。おおまかにシリーズを分けて、戦国前期・中期・後期のようなイメージで3作品のストーリーを描いています。そして『戦国無双4』は、その集大成とも言える、一種のお祭りのようなコンセプトで制作しました。1度フィナーレを迎えているということもあり、“では『戦国無双5』はどうするのか?”というのが、すごく大きな課題だったのです。どういう形でお届けすれば、プレイヤーの皆さんに喜んでもらえるのか、開発側としては答えの出せない日々が続いていました。

――そこで、世界観の一新というチャレンジに踏み切ったのが『戦国無双5』なのですね。

鯉沼はい。『戦国無双』シリーズは『無双』シリーズですから、アクションの爽快感はもちろん好評をいただいているのですが、それと同時にストーリー性というのも大きな評価を得ています。そこに注目し、初代『戦国無双』に遡り、世界観を一新してもう1度、戦国時代前期を描いてみる、というのが今回の『戦国無双5』にたどり着いた答えでした。

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――世界観を一新されるということは、たとえば“真・戦国無双”みたいな、ナンバリングではない別の形もあったと思います。

鯉沼はい、もちろんその名の通り“真・戦国無双”も考えていました。ですがシステムの部分はシリーズを踏襲しています。また、コーエーテクモゲームスは『信長の野望』もそうですが、織田信長のイメージ像というのは大きく変えずに統一しています。『戦国無双5』の織田信長に関しても、若いころではありますが、イメージとしてはこれまでの織田信長と大きく変えませんでした。インパクトもありますし、新しいタイトル名を作るよりも、ナンバリングタイトルにすべきだろうと決断しました。もちろん、社内でも議論は強く重ねた結果です。

――以前のインタビューで「ガラリと変えたい」という発言もありましたが、なぜ、一新しようと決断したのでしょうか?

鯉沼初代『戦国無双』は、『真・三國無双』が好評なので、『三國志』に対して『信長の野望』があるように、戦国時代もやりましょう、という流れで作ったタイトルでした。おかげさまで『戦国無双』も好評を得ることができましたが、シリーズ化のことはあまり考えていなかったため、ストーリーの時代の遷移と、キャラクターやシステムの積み上げで、なんとかナンバリングを続けてきた側面もあるんです。ほかの無双シリーズは同じ様な方式を続けながらも、ターゲットをグローバルに拡げることで、数多くの新しいユーザーを獲得していますが、『戦国無双』は日本の“戦国時代”を題材にした、日本のマーケットが中心のタイトルのためその流れを作ることが難しかった。前作までで、シリーズをやめるしかない結論のほうが勝っていたのですが、何とか今後も続けられる形で再度チャレンジしてみようと思い切って踏み込んだのが経緯です。そこまでやらないと、『戦国無双5』を立ち上げるのは難しかったのが正直なところです。

――戦国時代も描ききっているので、もし同じスタイルで描くとなったら、また同じことのくり返しになってしまうのではと?

鯉沼もちろん、これまで通りのスタイルも大事です。ただ、同じキャラクター性で、同じシチュエーションで、同じストーリーで、皆さんに本当に楽しんでもらえるのだろうか? というのが、大きな壁でした。

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――なるほど。もちろんモデルは戦国武将ではありますが、これまでのキャラクターデザインからガラリと一新したことにより、どちらかというとまったく新しいキャラクターたちに見えます。

鯉沼じつはキャラクターのイメージや、骨格的な部分は変えていません。変更しているのは髪型やメイク的な部分、あとは衣装などのキャラクターデザイン。と言っても、年齢による体型の違いや多少性格を変更している場合もあります。たとえばこれまでですと、お市などは、身体的にも精神的にも段階を経て、大人になっていく過程が描かれていたため、シリーズごとにキャラクター性の違いがありました。そういった大きく変わっているキャラクターもいれば、近しいキャラクターもいるというような描きかたにしています。

 根本的な部分は変わっていないので、時代が変わったことにより、従来のキャラクターたちがどう変化していくのか? という部分も楽しみにしていただきたいです。とはいえ、仰る通り雰囲気はガラリと一新していますので、どこまで受け入れてもらえるのかな、と思いつつチャレンジしています。

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織田信長
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明智光秀
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羽柴秀吉
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徳川家康

――総プレイアブルキャラクターは27人と、『戦国無双4-II』の56人と比べると大幅に減ってしまった印象があります。これはやはり、すべてをイチから作り直すからこそ、減ってしまったのでしょうか。

鯉沼もちろん、『戦国無双4-II』から単純に上乗せしていく方法もあると思います。ですが、『戦国無双5』は初代『戦国無双』をイチから作る、というのがコンセプトです。『戦国無双』はメインとなる15名の武将で物語を描きました。戦国時代初期を、より厚みのある武将たちで描き直したい、というところから登場武将数も厳選したというのが正直なところです。ですので、プレイアブルキャラクターの選出は物語がベースになっています。

 また、初代『戦国無双』はたしかに戦国初期が主軸ではありましたが、信長の時代というのは比較的薄めに描いていました。もちろんそれは、当時の技術的な問題や、コストなども絡んでいるのですが。そこをしっかりと厚く濃く、今回は描いています。

――ではグラフィックですが、これまでも『戦国無双』はリアル的でありながらアニメチックな、中間的なグラフィックでキャラクターを描いていましたよね。それを踏襲しながらも、今回“墨絵”の表現を取り入れられていますが、なぜ取り入れることにしたのでしょうか?

鯉沼すべてを一新するということから、改めて日本的なビジュアル表現は何がいいのか、イチから見直しました。いろいろと議論を重ねた結果、イラスト調のグラフィックでありながらも、墨絵の勢いを取り入れるというビジュアルスタイルに決まりました。ダイナミックかつ、繊細な部分の表現も目指していますし、ひと目見てこれまでの『戦国無双』とは違うビジュアルにできたと思っています。

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柴田勝家
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――また、今回対応ハードにプレイステーション5、Xbox Series X/Sが含まれていませんが、次世代ハードへの対応の予定はありますか?

鯉沼『戦国無双5』は次世代ハードの発表が始まる前からスタートしたプロジェクトということもあり、今回は予定していません。PC版は発売日はあとになると思いますが、Nintendo Switch、プレイステーション4、PCでのリリースとなります。いまのところ予定はしていませんが、今後の展開次第ではどうなるのか、という感じです。

――発表を受けて、鯉沼さんはファンの反応をどう感じていますか?

鯉沼世界観を一新するというところで、これまでのファンの方々でも驚いている人が多いとは思いますし、「えっ、なんで変えたの?」と、残念がるファンの方がいることも承知しています。ただ、新しい設定や新しい物語で楽しんでみたい、という方もいると思います。無くなる部分もありますが、それを超える表現やおもしろさを詰め込んで、皆さんに楽しんでもらえたらと思います。実際、社内のテストプレイでも「ファンからの声は懸念されるが、それを超える設定や物語のおもしろさがある」という声を聞いていますので、自信を持って新生・戦国無双を皆さんにお届けしたいです。

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主役となったのは、表の信長と、裏の光秀

――今回は織田信長と明智光秀が主役となっています。なぜこのふたりをメインにしたのでしょうか?

鯉沼戦国時代初期をイチから描くとしたら誰をメインにしようかと議論したところ、やはり「織田信長だよね」という結論にいたりました。ただ、初代『戦国無双』も話の中心は一応、信長でした。そこをより厚く濃く描こうとしたときに、やはり明智光秀も欠かせません。表の信長、裏の光秀というコンセプトで描くことに決めました。

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――これまでは真田幸村が、いわゆる主人公格として描かれていましたよね。

鯉沼初代『戦国無双』は信長に関連しない物語を描く予定も当初なかったですし、戦国時代は大名ばかりが有名で、武勇のある武将というのが当時あまり有名ではありませんでした。たとえば『真・三國無双』における、趙雲のような立場で、有名かつ一騎当千してくれそうな武将といえばと考えたら、だいぶ戦国後期に活躍した真田幸村しかいなかったんです。だったら、有名どころとして「伊達政宗を出そう」と決まったり、どちらかというとストーリー性より、『無双』らしさを重視したキャラクター選出でした。今回は信長の若き時代から、歴史をしっかりと描くというところから、幸村ではなくストレートに信長が主人公格に決まりました。

――真田幸村は大坂夏の陣で活躍したことが有名ですし、たしか初代『戦国無双』では川中島の戦いからスタートするという、『無双』色の強い物語でしたよね。扱いとしても難しかったのでは……。

鯉沼そうなんですよね(苦笑)。戦国時代ファンからは「登場させるなら真田幸村より、親父の真田昌幸にすべきだろ!」という声も多かったです。

――そうだったんですね(笑)。ちょっと脱線してしまいましたが、信長にお話を戻しまして。大河ドラマ『麒麟がくる』が、先日最終回を迎えました。今回、信長と光秀が主人公格というのは狙っていたことなのでしょうか?

鯉沼いえ、本当にたまたまです。プロジェクト自体は『麒麟がくる』の発表前から動いていました。

――なるほど。『戦国無双』シリーズの信長と言えば、魔王的なミステリアスな雰囲気を持つキャラクターとして描かれていました。今回、映像などを見る限り、かなり爽やかな信長像に見えます。

鯉沼ストーリー展開に合わせて、キャラクターをデザインし直しました。いわゆる“うつけ”と呼ばれている、大名になる前の、若武者的な織田信長になっています。これまでもストーリーに合わせて性格が変わるキャラクターはちょこちょこ居ました。今回はそこに大きく舵を切ったというイメージです。

――たとえば『戦国無双5』の信長が成長していくと、これまでのような織田信長になるんでしょうか……?

鯉沼ストーリーの展開を通して、やはりキャラクターは成長していきます。これまでの『戦国無双』で描いてきた織田信長と、まったく同じということにはならないと思いますが、“うつけ者”と呼ばれる存在から、一国を担うしっかりとした大名に成長していくとか、そういった過程を経て、これまでの信長とはまったく別物というわけではなく、同じ“織田信長”として受け入れてもらえるように描いています。

――担当声優さんが同じ武将もいれば、違う武将も居ますよね。たとえば織田信長ですが、島﨑信長さんが演じることになっています。これまでは小杉十郎太さんが演じられていましたが、これはやはり信長が若いころだから、という感じなのでしょうか?

鯉沼はい。『戦国無双 ~真田丸~』でも、幸村の少年期と青年期で担当声優さんが変わっていたようなイメージだと思っていただければ。我々としても、できるだけ同じ声優さんに演じてほしかった気持ちもあるのですが、逆に先方さんのほうから「若いころならば別の人のほうがいいのでは?」と提案をいただくこともありながら、今回のキャスティングが決まっていきました。

――ちなみに織田信長と、島﨑信長さん。“信長”つながりで、狙っていたとか……?

鯉沼今回描く若いころの織田信長像に、島﨑信長さんがたまたまピッタリだっただけで、名前由来で狙っていたわけではありません(笑)。ちなみに島﨑さんは今回、キャラクターとしてしっかり確立された織田信長を演じるのは、『戦国無双5』が初めてだと喜んでいました。

――ついに“信長”役と(笑)。これまで発表されたキャラクターですと、たとえば新規参戦の斎藤利三は、明智光秀に関わりの深い武将ですよね。また、柴田勝家や羽柴秀吉など、織田家に仕えるキャラクターが居て、信長視点から見れば敵側であろう今川義元など、織田家を中心にしたメンバーになっています。やはり参戦キャラクターというのは、織田信長と関わりの深いキャラクターが選ばれているのでしょうか?

鯉沼やはり信長の時代をしっかり描くことがコンセプトですから、そこが厚くなっています。基本的にはストーリーを描くために必要な大名や武将が登場していきます。

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今川義元
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斎藤利三
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濃姫

――となると、今後の参戦キャラクターが予想しやすそうですね(笑)。

鯉沼たしかに! 「あの人が出るんだろうな~」と、皆さん思うかもしれません(笑)。

――また、オリジナルキャラクターのくノ一“みつき”が参戦します。これは、これまで真田家に仕えていたキャラクター“くのいち”の、信長サイドのようなキャラクターなんでしょうか?

鯉沼“くのいち”とはまた異なった役割のキャラクターですが、『無双』シリーズらしいファンタジー的な歴史ロマンを語ってくれるキャラクターです。みつきは、信長をなぜか自分の父親と信じて育った甲賀忍者なんです。戦国時代をイチから描くことは念頭に置きつつも、『無双』らしさも重視しています。

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みつき

――ちなみに、『無双OROCHI』シリーズは『真・三國無双』や『戦国無双』などのキャラクターが入り乱れるタイトルですが、今後『戦国無双4』までのキャラクターはどうなるのでしょうか? たとえばふたりの織田信長が存在するとか……。

鯉沼うーん、そこはいまのところあまり考えてなくて……『無双OROCHI』シリーズのプロデューサーと今後相談かなと……(苦笑)。

アクション性は踏襲しつつも進化

――続いてシステムについてですが、これまで通りの『戦国無双』シリーズらしく、シナリオごとにステージを攻略していくものなのでしょうか?

鯉沼はい。シナリオを描くにあたって、ステージを攻略していくこれまで通りの形がベストだろうと決めました。遊びかたに関しては、これまでと変わりありません。

――ではアクションも、これまで通りの『戦国無双』であると。

鯉沼もちろんです。ただ、一騎当千の爽快感を味わえるこれまで通りのアクションに加えて、本作独自のアクションもいくつか用意しています。これまで培ってきたシステムを、より昇華させたシステムで遊べると思っていただければと。

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――現状で、具体的にお話できる新アクションはありますか?

鯉沼必殺技である、無双奥義はもちろん用意されています。また、無双極意や無双奥義・皆伝といったシステムも『戦国無双4』から踏襲されている要素です。ただ、今回の無双奥義・皆伝はくり出した演出の最後に、イラスト風のキメカットが入るという、ド派手な演出になっています。もちろんこれ以外にも新アクションはあるのですが、こちらについては続報をお待ちください。

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新たな無双奥義・皆伝の演出

――また、時代が進むにつれて、敵が新たな戦術を駆使してくるそうですが、どのようなイメージなのでしょうか?

鯉沼たとえば日本の歴史を見ても、最初は刀や槍の戦いから、弓や鉄砲が出てきて戦いの形が変わったりしました。『戦国無双5』でも、ストーリーが進むにつれて時代が進んでいき、新たな技術や戦法が使われていく、というようなイメージです。本作はいままで以上に長く深く物語を描きますので、その時代における争いの形がゆっくりと変わっていくわけです。兵種の追加はもちろんのこと、同じ兵種の敵であったとしても、別の戦術を使ってきたりと、ステージが進むにつれて敵が手強くなっていきます。

――『無双』シリーズですからド派手な攻撃で、一般兵たちを一網打尽にできるアクションは基本だとは思いますが、お話を聞くとこれまで以上に一般兵も脅威になりそうですね。

鯉沼もちろん敵ばかりが強くなるわけではなく、それを打破するための新アクションなども段階を経て覚えていったりします。武将との闘いだけでなく、一般兵との闘いも、手応え、やり応えというのはこれまで以上に感じていただけるのではないでしょうか。

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羽柴秀吉の独占公開実機画像

まだまだ新作タイトルの発表がある!?

――『戦国無双5』もω-Force(オメガフォース)の開発ですよね。ω-Forceと言えば、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』が300万本を超えるヒットを飛ばしました。やはり培われた部分もあったのでしょうか。

鯉沼Nintendo Switchで描く『無双』の在り方というのは、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』が示してくれたように思います。同じω-Forceではありますが、『戦国無双5』とは開発チームが別です。その中でも、学べるところは踏襲しようとか、この部分では『戦国無双5』では超えていこうというような、いい目標になったかと思います。

――ああ、ひとつのブランドであるω-Forceと言っても、その中でも多数の開発チームに分かれているわけですものね。

鯉沼はい。ω-Forceだけでも結構なスタッフ数ですから。老舗なブランドになってきましたが、じつはω-Forceはかなり若い世代に任せている部分もあります。どちらかというと、学生時代に『無双』シリーズをすでに遊んできたスタッフたちがメインに開発しているんです。ほかのブランドやチームも、徐々にそういった傾向にありますね。

――もうそう考えると、コーエーテクモゲームスのブランドというのは、ひとつの会社が多数あるような感じに見えますね。シブサワ・コウ、Team NINJA、ルビーパーティー、ガスト、midasと……。

鯉沼いやこれはプロデューサーではなく、コーエーテクモゲームスの社長としての意見なんですが、もうブランドというか、ひとつひとつの会社なんだよなあと思ってます(笑)。昔の規模から考えたら、もう。

――社長の鯉沼さんとしてお聞きしたいのですが、ファミ通.comに届いた2021年の年賀状メッセージに“そして、このほかも皆様に驚きや、「やっとか!」と思っていただけるような、とっておきの新タイトルの発表が複数控えています。”と書かれていました。『戦国無双5』がそれにあたると思うのですが、ほかにもタイトルが……?

鯉沼はい、『戦国無双5』以外にも、いくつか新タイトルを発表できるかと思います。アプリもありますし、パッケージタイトルもまだまだありますよ。

――そちらも楽しみにしています! それでは最後に、読者の方々へメッセージをお願いいたします。

鯉沼17年間続けてきた『戦国無双』シリーズですが、今回『戦国無双5』にて、もう1度初代『戦国無双』を新しい設定で描き直します。ストーリー、キャラクターを一新し、またイチから戦国時代を舞台にした一騎当千のアクションが楽しめるタイトルになっています。これまで遊んでいただいていたファンの皆さんには、新生した『戦国無双』をぜひ手に取って遊んでいただきたいですし、初めて遊ぶ方にもうってつけのタイトルになっています。ぜひ、続報に注目しながら発売をお待ちいただければと思います。

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