いまから23年前の1997年(平成9年)12月23日は、プレイステーション用ソフト『グランツーリスモ』が発売された日。

 『グランツーリスモ』はSCE(当時)から発売されたドライビングシミュレーターで、現在でも続く人気シリーズの記念すべき第1作となる。“レースゲーム”は3D技術の発展とともに急成長を遂げてきたジャンルだが、その流れの中でも本作はまさに規格外の存在。界隈で革命を巻き起こした作品と言っても過言ではないだろう。本作登場以降のレースゲームではリアル志向のタイトルが増加するなど、多大な影響をもたらしたのは間違いない。

初代『グランツーリスモ』が発売された日。マシンの挙動やボディーの映り込みまでリアルに再現。本物のクルマ好きをも夢中にさせた究極のドライビングゲーム【今日は何の日?】

 当時はまだ架空の車種を扱ったゲームが一般的で、実在する車両を収録したゲームそのものが珍しい時代。それゆえに、トヨタや日産、ホンダなど、実在する自動車メーカーのクルマを100車種146グレード以上も収録していたのは途轍もない偉業だった。実際、ずらりと並ぶ名車の数々に多くのゲームファンたちが驚かされたはず。

 しかし、それ以上に衝撃的だったのは、クルマの挙動を現実に近いレベルで忠実に再現してしまった物理シミュレーション。独自に開発された物理エンジンによって実現した挙動はゲームらしい派手な走りができないため、筆者のような素人は「んんー?」と思ってしまいがちだが、逆に本物のクルマ好きなどは唸ってしまうほどのリアルな再現度。憧れの高級車なども好きなようにチューニングして走れるので、クルマ好きほど夢中になってしまったのではないだろうか。ターボ車の過給音などをはじめとするサウンド面が非常に凝っていたのも凄まじかったリアル過ぎて、個人的には若干ゲーム難度が高かったのが印象深い。

初代『グランツーリスモ』が発売された日。マシンの挙動やボディーの映り込みまでリアルに再現。本物のクルマ好きをも夢中にさせた究極のドライビングゲーム【今日は何の日?】

 そして何より、グラフィックの美しさが革命的。当時は「こんなにリアルなゲームがあるのか!」と度肝を抜かれる思いをしたゲームファンも多かったはず。ガレージの床に映り込むマシンやボディーから照り返す光など、光沢を感じられる表現には思わずうっとり。周囲環境の映り込みの再現自体が相当珍しいものだったこともあり、当然ながらユーザーからは大絶賛された。筆者などは、あまりの美しさにレースのリプレイをくり返し見てしまった覚えがある。T-SQUAREの安藤まさひろ氏が音楽を担当していて、名曲揃いだったのもドライビングを盛り上げてくれた要素のひとつだろう。

 本作は国内外で好評を博してシリーズ化。プレイステーション本体の世代が上がるごとに、さらなる衝撃をもたらせてくれた。プレイステーション5でもすでに『グランツーリスモ7』の発売が決定している。プレイステーション4の『グランツーリスモSPORT』時点ですでに実写レベルだったので、今度はどうなってしまうのかそれも気になるところだ。

これまでの今日は何の日?