iOS、Androidにてサービス中の『聖闘士星矢 ライジングコスモ』(『聖闘士ライコス』)。本作はその名の通り、車田正美先生が手掛ける人気マンガ『聖闘士星矢』を原作とした、スマートフォン向け3DRPGだ。

 本記事では開発・運営を手掛けるTencent Games(テンセントゲームズ)のスタッフへのインタビューをお届け。ゲームデザインについてや、今後の展開などについて詳しくお聞きした。

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クン・ヒー

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発チームスタッフ。『聖闘士星矢』の熱烈なファンでもある。

日本でのリリースが何よりも楽しみだった

――まずは、『聖闘士星矢 ライジングコスモ』が開発することになった経緯を教えてください。

クンきっかけは、『聖闘士星矢』が、世界中に多大な影響力のあるマンガのひとつであるということです。独自の調査により、近年の人気マンガ以上に『聖闘士星矢』ファンは世界各国にたくさんいることが判明しました。その結果、世界的に新たなゲームが望まれているだろうと判断し、『聖闘士星矢』の新作ゲームを制作しました。

――中国のみならず、ワールドワイドで展開しようとした理由を教えてください。

クンテンセントゲームズは昨今、世界的にゲームを展開することを重視しており、世界各国で認められるようなタイトルを制作することに力を入れています。コンテンツの制作にあたって、私たちは優秀な開発チームを持っていますし、たとえば日本専門のリリースチームなど、各国専門のチームも設けています。世界中にいる大勢の『聖闘士星矢』ファンのために最高のゲームを作る。そして、我々が目指す世界進出という目標。『聖闘士星矢 ライジングコスモ』は、両方の目標に合致したタイトルなのです。

――日本の視点から見ると『聖闘士星矢』はもちろん人気作品です。ただ日本人の感覚としては、中国で人気があるのかはピンと来ないのが正直なところです。具体的には、どれほどの人気があるのでしょうか?

クン『聖闘士星矢』はマンガはもちろん、アニメも昔から存在していました。日本の方々が触れてきたように、開発チームメンバーのほとんどが、子供のころから『聖闘士星矢』に触れています。たとえば、私は小さいころ、『聖闘士星矢』のアニメを見るために学校が終わるとすぐ家に帰っていましたし、中学生になってからは『聖闘士星矢』の原作マンガを読み始め、全巻集めるほど大ファンです。どれくらい人気なのかというと、開発チームの中にも『聖闘士星矢』のファンが多数いるほどです。最初にプロジェクトが提案された際には、メンバーから多くの支持を得たおかげもあり、開発は非常に順調に進みました。

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発者インタビュー。中国発の『聖闘士星矢』愛で、日本のファンを唸らせたい。新たな施策や大会などの新情報も!
12月より、海皇ポセイドン編がスタートした。

――実際、日本でのサービスを開始して、どのようなお気持ちなのでしょうか。

クン開発当初、私たちは『聖闘士星矢』の日本における高い知名度と、膨大なファンの数を重視していました。そのため、日本でのリリースは本当に楽しみなことでした。ただ、本作が日本のプレイヤーたちを満足させられるのかが心配だったのが、正直なところです。ですが、『コード:ドラゴンブラッド』など、ハイクオリティなゲームをリリースした経験のある海外リリースチームが協力してくれたおかげで、チーム全体が自信を持てるようになりました。

 また、日本リリースチームのアドバイスを受け、UIおよびゲームの遊び方を、日本ユーザーの習慣に適用したデザインに変更しました。そして、日本向けに特化したスペシャルなイベントを定期的に開催し、『聖闘士星矢 ライジングコスモ』を日本のプレイヤーの皆さんがより楽しめる作品に仕上げました。本作が『聖闘士星矢』の故郷で、さらなる人気を得ることを楽しみにしています。

――本作の開発において、特に気を使ったところはありますか?

クン『聖闘士星矢』は日本における少年マンガの代表作のひとつであり、壮大な世界観と、熱血精神が宿る作品だと思っています。私たちはゲームを制作する上で、物語の中の“友情”や“絆”といった要素を再現するこだわりました。そのため、私たちは各シーン、キャラクターやスキル、さらにはサウンドエフェクトに徹底的に作り込みました。そして、それらすべてを融合させ、原作のような熱血バトルを再現しました。また、グラフィックはハイクオリティの美しい3Dモデルを採用しました。原作の逞しくも美しいビジュアルで、ゲームを楽しんでもらいたかったのです。

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発者インタビュー。中国発の『聖闘士星矢』愛で、日本のファンを唸らせたい。新たな施策や大会などの新情報も!

――たしかに、『聖闘士星矢』はカッコよさもありながらも、美しい面も兼ね備えていますよね。

クンええ。もっとも大切にしていたのが、ゲームという立場でありながら、『聖闘士星矢』の世界を再現することでした。映像演出にもこだわりましたし、ストーリー進行も臨場感を大事にしています。ただ、本作はゲームですから、一部の演出はマンガ、アニメとは大きく異なっています。そこはファンの皆さんに受け入れてもらえるのか心配な部分でしたが、概ね好評なのでいまは安心しています。

――ストーリーは原作再現をしながらも、途中選択肢があったりとゲームらしい要素もありますよね。

クン本作はゲームなので、やはりプレイヤーに一定の自由度を提供する必要があると考えました。ストーリー中には、プレイヤーに複数の選択肢を提供して、自分好みのストーリー展開を楽しめるようにしました。もちろん原作再現を重視しているので、ある程度結果は決まっているのですが。

――豪華声優陣の起用にも驚きました。

クン日本リリースチームが日本市場をリサーチし、“ファンにいちばん納得してもらえるだろう”と判断した声優陣を起用しました。また、『聖闘士星矢』の原作の雰囲気をお届けしたい、という思いから、メインストーリーはフルボイスも実現しました。なお、我々は声優の皆さんというのは、作品にとってかけがえのない存在だと思っています。今後、声優さんとプレイヤーが交流できるようなプロモーションなども検討していますので、ぜひご期待ください。

――それは楽しみです。ちなみに、監修の車田プロダクションとのやり取りはいかがでしたか?

クン車田プロダクションさんは、厳格な監修をしてくださいました。それぞれのキャラクターデザインは修正に修正を重ねて、開発チームと車田プロダクションの双方が満足する最高のデザインになったと思います。また、メインストーリーに関しても、幾度となく打ち合わせをして、何度も何度も修正しました。そのおかげで原作の再現度を守りつつも、ゲーム進行のテンポを妨げない、ドラマ性とスピード感の両立が実現できました。車田プロダクションさんの全面的なご協力のおかげで、より完成度の高いゲームにできたことに感謝しています。

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発者インタビュー。中国発の『聖闘士星矢』愛で、日本のファンを唸らせたい。新たな施策や大会などの新情報も!

対人戦を重視したバトルシステム

――『聖闘士星矢 ライジングコスモ』は、もちろん『聖闘士星矢』という原作がありつつも、キャラクターの性能がかなり個性的です。たとえば、ゴールドセイントたちは強力ですが、使う場面を選ぶような尖った性能で、ブロンズセイントたちのほうが使いやすかったりしますよね。こういった設計にした理由を教えてください。

クン本作のゲームシステムは、戦略性の高さが魅力になるように設計しました。日本のリリースチームの経験上、高い戦略性を持つゲームは、幅広い日本のプレイヤーから支持され、ヒットする要因のひとつだということが分かりました。そこで、キャラクターごとにバトルでの立ち回りに独特なポジションを持たせることにしたのです。たとえばブロンズセイントでも、その特徴を活かした戦い方が可能としました。また、比較的入手しやすいブロンズセイントが使いやすい性能ということは、初心者プレイヤーでもメインストーリーを進行させやすく、さらにPvPなどのコンテンツにも気軽に参加してもらうというのが狙いです。

――たしかに。星矢を筆頭に、メインの5人は入手しやすく、かつどのコンテンツでも活躍できますよね。

クン仰る通りで、ブロンズセイントの中には、星矢、紫龍、氷河、一輝、瞬がいます。彼らはPvPモード含めた、あらゆるゲーム内コンテンツにおいて活躍できる存在です。これは、ゲームデザインの時点から緻密に狙っていたことです。やはりメインキャラクターの5人ですから、活躍してほしいじゃないですか。また、ある程度の強さを誇るキャラクターが入手しやすいというのは、微課金・無課金のプレイヤーでもPvPを楽しめるように設計したかったからです。もちろん、課金すればPvPの楽しさがより増すでしょう。

 そして、『聖闘士星矢』は熱血マンガですから、“プレイヤーに本当にコスモを燃やすようなバトルをくり広げてもらう”システムを構築することがとても大事でした。そのため、私たちはキャラクターひとりひとりに心を込めて属性やスキルをデザインし、それぞれのキャラクターの特徴を100%発揮できように仕上げました。ビジュアルの観点からも、原作の中で見せた強大な威力を、最大限に表現することに注力しています。もちろん、すべてのキャラクターのスキル発動アクションは、車田プロダクションの監修を経て、承認を得たものです。

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発者インタビュー。中国発の『聖闘士星矢』愛で、日本のファンを唸らせたい。新たな施策や大会などの新情報も!

――PvPパーティに必須級の強さを誇る“山羊座・シュラ”を、配布キャラクターとして参戦させたのは、一種のバランス調整を狙ってのことなのでしょうか? たとえば、全プレイヤーがある程度の強さを誇ることで、すぐに対人戦を楽しめるというような。

クン日本のリリースチームのアドバイスを受けて、初回特典の10連ガチャで、SSR“山羊座・シュラ”が確定入手できる要素を入れました。これは、私たちが日本バージョンのために特別に設けた特典です。『聖闘士星矢』は日本で生まれた作品ですし、日本でもリリースできたことに感謝を込めて、日本のプレイヤーの皆さんに恩返しがしたいと思ったからです。

 そしてご質問のとおり、“山羊座・シュラ”の配布はPvPにおけるバランスを考えた結果でもあります。ゲーム内でシュラのポジションは、単体攻撃に特化したSSRキャラクターであり、シュラがパーティにいれば、ほかのSRやRのキャラクターと組み合わせることで微課金・無課金のプレイヤーでも、PvP対戦を楽しむことができます。また、多くの『聖闘士星矢』ファンは、ゲームのストーリーの体験をとても重視しているというデータがあります。強力なシュラを使うことで、メインストーリーをサクサクと読み進めて欲しい、という狙いもありました。

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発者インタビュー。中国発の『聖闘士星矢』愛で、日本のファンを唸らせたい。新たな施策や大会などの新情報も!

――本作はストーリーやギルドによる協力プレイなど多彩なコンテンツがありますが、ゲーム的にはPvPの対人戦コンテンツがメインと言えるでしょう。なぜ、対人戦をメインに据えたのか教えてください。

クン本作はもちろん『聖闘士星矢』ファンをターゲットにしていますが、もうひとつのユーザーターゲットが、スマートフォン向けの戦略性のある対戦ゲームを求めている人たちです。プレイヤーが好みの聖闘士を活躍させながらも、戦略性のあるPvP対戦システムを構築していますので、すべての聖闘士の魅力を引き出せたと思います。原作ではキャラクターたちに力の差がありますが、ゲームデザインとしては対戦のバランスを重視し、プレイヤーが“コスモを燃やす”ような、熱いPvPバトルを楽しんでもらいたかったのです。

――ゲーム内イベントでも、PvPイベントは特に人気だと思います。今後も対戦コンテンツの追加などは予定しているのでしょうか。

クン実際、日本では30~40%のプレイヤーが、PvPモードに興味があるというデータがあります。近い将来、PvPモードをさらに充実させて、日本国内において各種のチャレンジ大会やトーナメントを開催する予定です。また、世界規模でのPvPトーナメントの開催を予定しています。より熱いバトルが楽しめるようにしますので、ぜひ続報にご期待ください。

――今後の展開などを、お話できる範囲でぜひ教えてください。

クン今年の12月から海皇編をリリースします。また、2021年の年明けごろに、冥王編を追加します。メインストーリーの進行とともに、真心を込めてデザインをリファインしたキャラクターたちが登場します。それと、先ほど言ったように、日本国内において“聖闘士大会”の開催を準備しています。有名なゲーム実況者や著名ユーチューバーなどとも連携を取っている最中ですので、大きな盛り上がりに期待しています。そのほか、日本国内のエンターテイメントやブランドなどとのコラボレーション企画が進んでいます。それと、近い将来に日本の文化や祝日に合わせて、日本向けのイベントやコンテンツの提供も予定しています

――では最後に、『聖闘士星矢 ライジングコスモ』の遊んでいるプレイヤー、そしてこれから遊ぶ新規プレイヤーへ向けてメッセージをお願いします。

クン私たちは心を込めて『聖闘士星矢 ライジングコスモ』を作り上げました。今後も皆様に楽しんでいただける、多くの良質なコンテンツを提供していきたいです。『聖闘士星矢』のファンである皆様が、本作を通じて、かつて燃えていたコスモを再燃させることができたらうれしいです! これからも『聖闘士星矢 ライジングコスモ』へのご支持をよろしくお願いいたします!

『聖闘士星矢 ライジングコスモ』開発者インタビュー。中国発の『聖闘士星矢』愛で、日本のファンを唸らせたい。新たな施策や大会などの新情報も!