Modus Gamesが配信する、ホラーアクションアドベンチャー『リマザード:ブロークン ポーセリン』。本作は3部作構成が予定されているホラーアドベンチャー『リマザード』の第2部にあたるタイトル。主人公ジェニファーが新たなメイドとして雇われたホテル“アシュマン・イン”を舞台に、狂気と悪夢が入り混じるサバイバルが展開される。

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 Xboxプラットフォーム版(Xbox One/Xbox Series X|S)とPC版の配信に加え、プレイステーション4版とNintendo Switch版の国内展開は3gooが行い、12月3日には本作の単体のデジタルダウンロード版及び、第1部『リマザード:トーメンテッド ファーザーズ』とセットになったお得なパッケージ版『リマザード ダブルパック』が、Nintendo Switchとプレイステーション4で発売される。

 今回は、プレイステーション4版を最後までプレイしたレビューをお届けしよう。なお、先行して配信されていたPC版ではバグが多かったようだが、今回プレイしている限りではバグに遭遇することはなかった。3gooによると、プレイステーション4版とNintendo Switch版の配信/発売時に合わせて、PC版の配信時に問題となっていた不具合の修正を行い、チュートリアルを追加した状態でプレイが開始できるよう、最終調整を行ったとのことだ。

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悪夢か現実か。複雑怪奇なストーリー

 本作の大筋のストーリーは、第1部である『リマザード:トーメンテッド ファーザーズ』より過去の話にあたる。前作で描かれた出来事の手がかりとなるストーリーが、本作にて描かれていく。

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 過去の物語であることに加え、冒頭には第1部のあらすじを映像として確認することもできる。とはいえ、物語を完璧に理解するためには、やはり第1部をプレイしておくのがベストだろう。

 というのも、本作では主人公のジェニファーが働くホテルでさまざまな恐怖体験を味わうことになるのだが、ストーリーの途中には前作の主人公であるローズマリーの話も挟まれていくのだ。ふたつの物語は密接なつながりがあり、終盤にかけて大きな驚きも待っているため、ぜひ第1部からプレイしてほしい。

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 本作の物語は、主人公のジェニファーがトラブルを起こし、ジェニファーの身元引受人でもあるステファノに咎められるところから始まる。トラブルの原因や、友人であるリンゼーと口論の原因など、最初はわからないことだらけだ。ジェニファーの境遇や舞台となるホテルは冒頭時点では情報が少なく、プレイ中に入る過去の物語で少しずつ解き明かされていく。

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 登場人物たちの背景の不透明さは、物語の理解を遠ざけてしまいがちだが、ゲームとしてはうまく機能しているように思える。キャラクターどうしの関係性に加え、舞台となるホテルの情報の少なさも、孤独感をもたらし、後に迫るホラー演出をより恐ろしいものにしている。

 どこからか聞こえてくる口笛の音や、鏡に映る気味の悪い存在は、安心・安全というものを徹底的に奪っていく。情報がないぶん、信頼できる人物や安全な場所もわからず、つねに襲いかかる恐怖に身構えることになるだろう。

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 突如としておぞましい姿に変貌し、襲いかかってくる追跡者たちの存在も見どころだ。ほんの数分会わなかっただけで人格が変わり、襲いかかってくる追跡者たち。なぜジェニファーは襲われるのか、その理由が明かされるまではとにかく逃げ続けるしかない。

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 殺そうとしてきたキャラクターがふつうに接してきたりと、どこまでが現実で、どこからが夢なのかが分からない、悪夢のような展開が物語の大きな魅力だ。ストーリーは難解ではあるが破綻はしておらず、エンディングまで見ると散りばめられた情報がひとつの答えを映し出してくれる。

 ゲームとしてはやや独特な、映画的なストーリー構成になっていて、ホラーやサスペンス好きの人はとくに楽しめるだろう。

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小さなホテルを最大限に利用した謎解きと逃走劇

 ストーリーパート以外では、謎解きと追跡者たちからの逃走が展開される。ホテルの引き出しや棚にはさまざまなアイテムが配置されており、これらを集めて合成することで、探索者たちから逃れる術を手に入れていく。

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 目的は、ホテルからの脱出や友人であるリンゼーを探すことになるが、道中には追跡者たちが待ち受けている。一度逃げたら終わりというわけではなく、敵もつねにホテル内に存在しているのがポイント。

 物音を立てれば気づかれ、一度発見されれば見失うまで追い続けてくる。いつ、どこから襲われるかわからない恐怖感に耐えつつ、先へ進むための謎を解かなければならないのだ。

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発見されたら逃げるしかない。アイテムを使えば一時的に怯ませることも可能。
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ロッカーやタンスに隠れるとQTEが発生する。成功すれば敵はこちらを見失う。

 あえて追跡者がいる部屋に忍び込み、電話をかけなければいけない場面などもあり、謎解き中も緊張感が走る。ホテル内という限られた空間で常時敵の存在を警戒し、謎を解かなければいけないので心休まるときがない。

 一方的に追われるだけでなく、ステルスアクションを使った反撃も可能ではある。ただし、ステルスアクションで敵がダウンしているのはほんの数秒程度で、すぐに復活していまう。基本的には逃げる立場であることには変わりない。

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金庫や電話など、謎解き要素のインタラクト中も敵は動き続ける。発見された状態では探索や謎解きは不可能だ。
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物音を立てて身を隠し、背後から襲えば一時的にだが敵を倒せる。

 狭い空間での逃走や謎解きは恐ろしくはあるが、プレイヤー次第では少々物足りない印象を受けるかもしれない。というのも、追跡者の攻撃自体は簡単に避けられることに加え、こちらのほうが足が速く逃げる、隠れるといった動作も難なく行えてしまうからだ。また、システム的に致しかたない部分ではあるが、常時追跡者がいる関係上謎解きはどうしてもトライ&エラーになる。そのため、失敗するほどに没入感や恐怖が薄れてしまうという傾向もあり、世界観や雰囲気の形成が見事なだけにもったいないと感じてしまった。

 プレイ中はストーリーの展開やホテルの雰囲気に飲まれ、恐ろしさを感じるのは確かなので、ゲームがうまい人ほど本作を楽しめるのかもしれない。

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どこから追跡者が出てくるかわからないホテルの探索自体は、恐ろしくいちばん楽しい瞬間でもある。

3作目の展開にも期待

 ホテル全体の雰囲気やストーリーの展開は極めてクオリティーの高い『リマザード:ブロークン ポーセリン』。

 ネタバレを控えると詳しく言及ができないのだが、第2部の結末から第3部がどうなるのか、非常に楽しみな内容になっている。エンディングを迎えた時の衝撃や、パズルのピースが埋まっていく感覚は絶妙なので、第1部をプレイした人はぜひともプレイしてみてほしい。また、第1部をまだプレイしていない人は、パッケージ版の『リマザード ダブルパック』がお得なセット価格でフル体験できるので、おススメだ。

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