発売目前! 社長兼CEOのいまの心境は……?

 2020年11月12日、世界中のゲームファンが待ち望んだプレイステーションの次世代機、プレイステーション5(以下、PS5)が発売される。“Play Has No Limits”(遊びの限界を超える)をテーマに、従来のゲーム機を遥かに上回る性能と、いままでにないアイデアを取り入れて開発されたPS5。

 このハードの発売を記念して、ファミ通.comでは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)の社長兼CEOを務めるジム・ライアン氏にインタビューを実施した。短い時間ではあったが、PS5の発売に対する想いや、“Play Has No Limits”に込めた想いなどを訊いたので、最後まで目を通して欲しい。

プレイステーション5

ジム・ライアン氏

ソニー・インタラクティブエンタテインメント社長兼CEO。

ジム・ライアン

ついに発売を迎えるプレイステーション5への想い

――PS5が発売を迎えての、率直なお気持ちをお聞かせください。

ライアンとてもうれしいですし、興奮しています。それに、5年以上にわたって多くのチームメンバーとPS5を開発してきたので、無事に発売日を迎えることができそうで安心もしています。2020年は、私の人生の中で、いちばん難しかった年になるでしょう。

 PS5をリリースするのはたいへんなプロジェクトでしたが、新型コロナウィルスが感染拡大したことで、それがさらに難しいものになりました。それでも発売できたのは、ひとえに尽力してくれたチームメンバーのおかげです。私は、彼らのことを誇りに感じていますし、2013年に発売したPS4よりも、PS5のローンチでの出荷台数を増やせたのはすごいことだと思っています。

 あと、ひとつ言えることは、世界規模のパンデミックの真っただ中でこれほどのコンソールをローンチすることは、二度とやらないだろうということですね(苦笑)。

――コロナ禍の中で、PS5がリリースできたことは、本当にすごいことだと感じています。

ライアンこれは私自身、不思議に思っているのですが、全員が在宅勤務だったにも関わらず、かえってチームの一体感が強まりました。

――困難を乗り越えようとする中で、チームワークが高まったのかもしれませんね。PS4よりもPS5の出荷台数を増やせたとお話していましたが、PS5は世界中で予約が殺到し、需要が大幅に供給を上回りそうな状況です。

ライアン品薄の状況にあることは弊社でも認識しており、可能な限りの増産に努めています。現時点で言えることは、私たちはこの会計年度の中で、PS4よりもPS5を多く売りたいと計画していますし、それにコミットしているということです。

――では、PS5の供給は、今後順調に行われるのでしょうか?

ライアンはい。PS5のストックそのものは、12月以降も入ってきます。

――それを聞いて安心しました。これほどまでにPS5の需要が高まっている理由を、どのように分析していますか?

ライアン興味深い質問ですね。理由はふたつあると考えています。ひとつ目の理由がですが、PSだけではなく、次世代の新しいコンソールがリリースされるときは、必ず需要が上がります。

 さらにPS5は、超高速のSSDや、より改善されたCPUとGPUを内蔵し、新機能の3Dオーディオ、ハプティックフィードバックを搭載したDualSenseワイヤレスコントローラーなどを導入しました。これにより、ゲーミングのフィーチャーが高まるだろうし、ゲームの体験も非常によくなると確信しています。これらも需要が高まった要因だと思います。

 ふたつ目はゲームです。弊社のローンチだけでも、『Marvelʼs Spider-Man: Miles Morales (マーベル スパイダーマン: マイルズ・モラレス)』や『Demonʼs Souls(デモンズソウル)』など、これまでリリースしてきたコンソールの中で、PS5ではゲームの数、質ともに最高のものを用意できました。

Marvelʼs Spider-Man: Miles Morales (マーベル スパイダーマン: マイルズ・モラレス)
Demonʼs Souls(デモンズソウル)

――PS5は、同時発売タイトルのほかにも、国内外の開発メーカーが手掛ける話題作や、注目作が目白押しです。今後、新作の発表はどのように行われるのでしょうか? やはり“State of Play ”のような配信イベントが中心になるのでしょうか?

ライアン新型コロナの感染・拡大を防ぐことを考えると、これまでのようにイベントで触って体験してもらうことは難しいと思います。プレイステーションのコミュニティーに新作のタイトルやアップデートを発表するのは、デジタルコミュニケーションが中心になるのではないでしょうか。

 ただ、ゲームはソーシャルな活動です。新型コロナが流行する前の通りにやれるかというと、完全にもと通りにならないかもしれませんが、新しいゲームを発表してみんなで楽しむといった人と人とのつながりは、なくしてはいけないと思っています。

――期待しています。ところで、先日公開されたPS5のテレビCMには、“Play Has No Limits”(遊びの限界を超える)というメッセージが込められていました。このメッセージを選んだ理由を教えてください。

ライアン今回、プレイステーションでは初めて、グローバルで共通のキャッチコピーを打ち出しています。我々はグローバル企業なので、それに相応しいものを考えようという決断のもとに、この“Play Has No Limits”というキャッチコピーを考えました。

 “Play Has No Limits”は、これまでのプレイステーション、その中でもとくにPS5が象徴しているもの、そのものだと思います。そして、プレイステーションのコミュニティーの一員になれば、それがPS4であっても、PS5であっても、体験できる楽しさやワクワク感に、リミットはまったくありませんという意味でもあります。

――“Play Has No Limits”は、まだまだ現役のPS4のユーザーに対するメッセージでもあるのですね。

ライアンそうです。これはプレイステーション全体のメッセージで、PS5だけのメッセージではありません。

――PS5では、PS Plus コレクションなど、魅力的なサービスが発表されています。ほかにどのようなサービスを考えているのか、教えてください。

ライアン2020年度のPS5の戦略は、意図的にシンプルでクリアなものにしていて、PS5のフィーチャーとゲームだけにフォーカスするようにしています。もちろん、PS PlusやPS Nowのすばらしさ、ビジネスにおけるこれらのサービスの重要性は認識しています。日々、研究を進めていますが、現時点で発表できることはありません。

――来年以降の発表を楽しみにしておきます。

ライアンそうですね。次回。お話しするときに。

――11月12日、PS5がいよいよ発売されますが、これからPS5を体験する人に、メッセージをお願いします。

ライアンまず、この場をお借りしてお礼をお伝えしたいです。何年にもわたり、プレイステーションに尽くしてくれた日本のファンの皆様、ありがとうございます。ファンの方々のために、PS5で驚くような喜びを、2020年度だけではなく、それ以降も提供していきたいと考えています。

――――ありがとうございました。期待しています!

ファミ通.comのPS5特集記事

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