エンハンスより、2020年11月10日発売予定のXbox Series X/S、Xbox One、PC用ソフト『テトリス エフェクト・コネクテッド』(Xbox Game Pass&スマートデリバリーに対応)。
本作は、2018年にプレイステーション4(プレイステーション VR対応)、2019年にPC版(Epic Games Store)、2020年5月にOculus Quest版がリリースされた『テトリス エフェクト』のすべてに、マルチプレイヤーモードを追加した新作タイトル。
『テトリス エフェクト』は、『Rez Infinite』や『ルミネス リマスター』などを手掛けた水口哲也氏率いるエンハンスの作品で、ゲームプレイに美しい映像と音楽が融合して、感情を揺さぶる新しい『テトリス』として話題を呼んだ。『テトリス エフェクト』の紹介は以前に行っているので(詳しくは以下の記事をチェック)、今回は新たに追加されたマルチプレイヤーモードを中心に紹介していこう。
なお、マルチプレイヤーモードは2021年夏に、プレイステーション4版、PC版(Epic Games Store)、Oculus Quest版にも無料アップデートで追加が予定されている。
YouTube マルチプレイ紹介動画(現在英語版のみ、日本語は自動翻訳となります)
さまざまな“コネクト(繋がる)”が詰まった新感覚のマルチプレイ
マルチプレイヤーモードの基本となるのは、“コネクテッド”、“ゾーンバトル”、“スコアアタック”の3つのルール。それぞれ、プレイ結果がランクに影響する“RANK MATCH”、オンラインでフレンドとプレイする“FRIEND MATCH”、コントローラーを持ち寄って複数人でプレイしたり、CPUと対戦や協力が楽しめる“LOCAL MATCH”が選択可能となっている。
なお、今回発売される、Xbox Series X/S、Xbox One、PCでは、クロスプレイにも対応している。
コネクテッド
コネクテッドは3人のプレイヤーが協力して(人数が足りない場合はCPUが入る)、魔物を倒すのが目的となる。
“コネクテッド”でも、テトリミノ(ブロック)を積み上げていき、横1列に並べると消えるという『テトリス』の基本は変わらないが、“コネクトゾーン”と呼ばれるシステムが存在。これはラインを消すことで、3人のプレイヤー共通のゲージがたまっていき、マックスになると自動的に発動し、3人のマトリクス(フィールド)が繋がり、“ゾーン”(※)状態となる。
※ゾーンは『テトリス エフェクト』より登場した新要素。ゾーン発動中はテトリミノが自動落下しなくなる。また、揃えたラインもすぐには消えず、いちばん下にスタックされていき、終了時に一気に消える。
“コネクトゾーン”発動中は、3人のプレイヤーが繋がったひとつのマトリクスに対して、順番にテトリミノを落としていき、終了時に揃えたライン数に応じて、魔物に攻撃が送られる仕組み。
また、“コネクトゾーン”発動中には、“MagicMino”と呼ばれる特殊なテトリミノがときどき登場するのもポイント。“MagicMino”には、ブロックを押し込む効果があるので、空間ができてしまっているところの上に落とせば、空間を埋めることができ、うまく活用することで、一気にラインを揃えられる。
もちろん、魔物もラインを消して特殊な攻撃を仕掛けてくる。攻撃には、こちらが積み上げているブロックを消したり、一定時間ハードドロップ(※テトリミノを一瞬で下まで落とすことができる機能)ができなくなったり、巨大なテトリミノを出現させたりと、魔物によって異なる、さまざまなものが用意されている。
魔物の攻撃に耐えながら、ブロックをいちばん上まで積み上げされることができれば勝利となる。コネクテッドでは、魔物3体が1セットで、3体倒すことができればクリアー。
ブロックがいちばん上まで積み上がってしまった、プレイヤーは一時的に戦線離脱となるが、BGMのリズムに合わせてボタンを押したり、仲間がラインを消すことでゲージがたまっていき、マックスになると復活できる。なお、3人同時にブロックがいちばん上まで積み上がってしまうと(復活待ちの状態も含む)、ゲームオーバー。
ちなみにコネクテッドの難易度は全5段階用意されており、クリアーするごとに新しい難易度が解放されるようになっている。
実際にプレイしてみると協力して『テトリス』をプレイするというのは新感覚でおもしろい。とくに“コネクトゾーン”発動中は、ひとつのマトリクスに対して、テトリミノを積み上げていくことになるので、ほかのプレイヤーとの協力が不可欠になる。
テトリミノは自分の番が来るまでは落とすことができないが、移動させることができたり、ほかのプレイヤーのゴーストはつねに表示されているので、「あの人があそこに落とそうとしているなら、自分はここがいいかな?」と考えたり、テトリミノを落とす位置を間違えてしまったときに、ほかの人が“MagicMino”でフォローしてくれたりすると「ありがとう!」と伝えたくなったり、自然とお互いのことを気遣える関係になれるのが、とても心地いい(※ちなみにゲーム中ではボイスチャット以外に、ムードアイコンと呼ばれる簡単なコミュニケーションを取ることができる機能も用意されている)。まさか、こんな体験を『テトリス』できると思っていなかったので衝撃だった。
ゾーンバトル
“ゾーンバトル”は1対1の対戦モード(もちろんCPUとも対戦可能)。テトリミノを消すと相手のマトリクスのいちばん下からお邪魔ブロックがせり上がってくるという『テトリス』の基本的な対戦ルールはそのままに、『テトリス エフェクト』の特徴である“ゾーン”が使用可能。
“ゾーン”はラインを消すことでゲージが少しずつたまっていき、ゲージが4分の1以上たまっていればいつでも発動可能。ただし、ゲージ多く溜まっているほど、ゾーンの発動時間が長くなったり、攻撃量のボーナスが大きくなるなどのメリットがある。
ゾーン発動中は、ほかのモードと同じくテトリミノが自動落下しないほか、お邪魔ブロックがせり上がってこないので、ピンチのときには迷わず使うのがよさそうだ。ただし、ゾーン発動中にラインを揃えると攻撃にボーナスが付与されるので、ゾーンをすぐに使うのか、いざというときのために温存しておくのか、という駆け引きがアツい!
スコアアタック
スコアアタックは、1対1でスコアを競うモード。ゲームオーバーまでに相手よりも高いスコアを獲得することで勝利となる。スコアアタックでは、ラインを消していくとスピードレベルが上がっていき、レベルが高くなるほど獲得できるスコアも上昇するが、テトリミノの落下速度も速くなる。
片方のプレイヤーがゲームオーバーになったときに、残っているプレイヤーのスコアが相手より低かった場合は、そこから2分以内にスコアを上回ることができないと敗北となるという、ちょっと変わったルールになっているのだが、これがおもしろい。なお、スコアアタックではラインを消しても相手に攻撃は行えない。
クラシック スコアアタック
クラシック スコアアタックの基本ルールはスコアアタックと同じだが、ハードドロップやテトリミノのホールドできないほか、テトリミノが地面に着くと回転などは行えず、すぐに動かせなくなるなど、その名の通り、クラシック(※NES版『テトリス』をモチーフにしているとのこと)なスタイルが採用されている。ちなみにBGMや効果音などが8bitのような、いわゆるピコピコ音になっているのも見所のひとつ。
コネクテッドバトル
『テトリス エフェクト』で週1回の間隔で行われている“Weekend Event”が開催中のみ遊べるのが、“コネクテッドバトル”(※“LOCAL MATCH”でも“Weekend Event”開催中のみプレイ可能)。これは“コネクテッド”の魔物をプレイヤーが操作できるというもの。魔物側のプレイは、3人でのプレイとは異なり、ひとりで複数人に向かっていく高揚感やいやらしい攻撃をできたときのしてやったり感など、まったく違った感覚を味わえるのでオススメ!
というようにお届けしてきた、『テトリス エフェクト・コネクテッド』のマルチプレイヤーモードのプレイリポート。『テトリス エフェクト』で『テトリス』の新たな可能性を示したエンハンスが贈るマルチプレイヤーモードも新しい体験が詰まっていた。
『テトリス エフェクト』をまだプレイしたことがない人はもちろんのこと、やり込んだ人でも楽しめるので、ぜひプレイしてみてほしい。
最後に体験会終了後に行われた、プロデューサーの水口哲也氏、ディレクターの石原孝士氏、マルチプレイゲームデザイナーの立島智央氏の質疑応答をお届けする。
――本作の開発経緯を教えてください。
水口『テトリス エフェクト』は、プレイステーション4、PC、Oculus Questと展開していくなかで、どんどんユーザーの輪が広がり、販売本数は50万本を突破しました。『テトリス エフェクト』では、『テトリス』をプレイして、ただゲームがおもしろいということだけでない進化をどうしたら遂げられるのかを考えて、音楽やビジュアルの力を使って、共感覚的な体験に変えていくということに挑戦しました。ただ、『テトリス』の楽しみかたのもうひとつの側面として、人と繋がって対戦や協力をするというものもあります。それをエンハンスなりに、どう表現したらいいのかという議論を重ねてきて、そこでトライアンドエラーをして残ったものが、『テトリス エフェクト・コネクテッド』には入っています。
――そもそもの前提として、『テトリス エフェクト』のパワーアップバージョンを制作するにあたり、同作の特徴的な要素である、新しい背景や音楽のステージを追加するという選択肢もあったかと思います。でも、そうしなかったのは、メインモードが“Journey Mode”となっているように、ひとつの物語として完結しているからでしょうか?
石原そうですね。“Journey Mode”はあの形で完結していて、何が欠けても、何が追加されてもダメだと思っています。
――マルチプレイヤーモードは対戦だけではなく、協力プレイもあり、追加要素としてはすごく充実していますね。
水口『テトリス エフェクト』で、気持ちよさや音楽の連動といった共感覚のようなことはやり切ったと思っています。今回は“コネクテッド”としての進化に注力しました。
石原今回紹介させていただいた内容が、あくまでゲーム内のひとつのモードになっているので(※)、そう考えるとすごく壮大なタイトルになったと思います。
※マルチプレイヤーモードのほかに、“Journey Mode”や“Effect Modes”もプレイ可能。
――上手な方のプレイを見ると楽しそうですね。
水口それこそ、2年前、ポートランドに“クラシックテトリスワールドチャンピオンシップ”を見に行ったときに立島くんと出会って、彼や世界中のプレイヤーのプレイを見て、感動したんですよね(※)。そういう意味では、立島くんと出会っていなければ、こういう展開にはなっていなかったかもしれません。
※立島氏は2018年に行われた“クラシックテトリスワールドチャンピオンシップ”に参加しており、3位に入賞している。
――水口さんは以前、インタビューで「いまのところ対戦は考えていない」というようなことを話されていましたが、それはやはり立島さんとの出会いが影響しているのでしょうか?
水口もちろん、立島くんがチームに参加したことも影響していますが、それだけではなく、コロナウイルスの状況も後押ししていると思いますし、さまざまなものが絡み合っているように感じています。コロナウイルス以前から構想はありましたが、現在の状況が加速されたような気がしていて。本作のアナウンストレーラーは、家でしか遊べないという状況の中で、みんなが繋がっていくということをイメージして制作しました。やっぱり、対戦よりも協力色が強くなったのは、いまのご時世が影響しているかもしれないです。
石原個人的には、対戦でも同じ空間で光に包まれながらやり取りしているうちに、なんとなく仲間意識が生まれて、負けたとしても怒りの感情とかがあまり出ないです。
――ちなみに“コネクテッド”にはさまざまな意味がありますが、まだユーザーが気付いていないであろう、意味などはあったりしますか?
水口じつは『テトリス エフェクト』のときから予兆みたいなものは入れていました、“Journey Mode”の最初のステージで流れる音楽の曲名が『Connected (Yours Forever)』になっています。これはVRやシナスタジアの体験の中で、本当にその世界の中にコネクトするというか、感覚的にも繋がって、体験としていままでとはまったく違う感動みたいなものを作ろうという想いから、『Connected (Yours Forever)』をいちばん最初の曲にしました。そして、『テトリス エフェクト・コネクテッド』では本当に世界中が繋がって、枕詞のようになっていた感じがします。そのときから何はやろうと思っていて、そこをどうやって突き詰めていくのかということはかなり議論しました。
――そうだったのですね。
水口やっぱり、ギスギスするのは避けたかったので、そうではないありかたを模索しました。マルチプレイをどういう方向に持っていくかによって、まったく気分が変わってくるので。でも、『テトリス エフェクト・コネクテッド』はすごくいいものになったと思っています。ハードのローンチはとくにたいへんにも関わらず、開発メンバーが本当にがんばってくれて。
石原今回はテレワークの影響もあって本当にたいへんでした。開発メンバーも“コネクテッド”する必要がありました(笑)。
――マルチプレイヤーモードのアイデアは立島さんを中心に考えられたのでしょうか?
水口石原を中心にみんなで考えました。
――では、マルチプレイゲームデザイナーの立島さんは、どういうことを担当されていたのでしょうか?
立島『テトリス』をたくさん触ってきている身ではありますので、まず『テトリス』としておもしろいのはどういうものなのかということと、エンハンスの作品として『テトリス エフェクト』にマッチするのかという落としどころを模索していました。
石原ほかにも、『テトリス』のコミュニティに意見を聞いてもらったりして、ブラッシュアップを重ねました。
立島あと、これからの部分になりますが、バランスの調整なども行っていきます。
水口『テトリス エフェクト・コネクテッド』のアナウンストレーラーも世界中の人がたくさん出てくるのですが、すべてリモートで録画したものを送ってもらったのですが、世界中の『テトリス』プレイヤーたちが協力しくれました。そういったこともあって、作っていてすごく楽しかったです。