ファミ通ドットコム内のゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍するゲームメーカーの経営陣やクリエイターを直撃。今回は、グリーグループにてゲーム開発を担うWFSが誇る4名のアーティストに話を聞いた。

 WFSは、スマートフォン向けアプリ開発を担う新スタジオとして2014年に設立。以降、『消滅都市』を皮切りに、『アナザーエデン 時空を超える猫』、『ダンまち~メモリア・フレーゼ~』、などのスマートフォン向けゲームアプリを世に送りだしている。一方で、Nintendo Switchにも参入しており、『釣り★スタ ワールドツアー』を2019年にリリース。さらには、『夏の終わりのパラドックス』などLINE向けにメッセンジャーゲームや、Facebook向けゲームアプリを提供するなど、幅広いプラットフォームで事業を展開している。2021年以降も、『シドニアの騎士』ゲーム化プロジェクトなど、期待作が多数控えている。

 なお、設立時はWright Flyer Studios (ライトフライヤースタジオ)との名称だったが、2018年にWFSに商号を変更している。

山本 祐氏(やまもと ゆう)

WFS シニアマネージャー
(文中は山本)

姫田梨瑛氏(ひめだ りえ)

WFS アートディレクター
(文中は姫田)

渡部 真氏(わたべ まこと)

WFS シニアコンセプトアーティスト
(文中は渡部)

菊池景伍氏(きくち けいご)

WFS 3D背景アーティスト
(文中は菊池)

お互いを尊敬する姿勢が、コミュニケーションを円滑にする

――まずは、みなさんどのような経歴で、WFSに入られたのですか?

山本僕は、もともと学生時代に金属工芸を習っていまして、アクセサリーを作ったり、銅を叩いて壺を作るみたいなことをしていました。ただ、「これを職業にするのはなかなか難しいな……」、と考えていたころに、工芸の分野でもCGを触る機会が増えだしたので、すごく興味を惹かれて独学で勉強していました。

――そこからゲーム業界に?

山本当時、とあるゲームメーカーが近所に引っ越してきて、アルバイトを募集していたんです。デジタルの経験がなくても、アナログ部分の知見だけで採用してもらえたので、社会勉強のために2、3ヵ月アルバイトをしようと思ったんです。そこで働くうちに、「このまま社員にならないか」、と声をかけていただいて。それがゲーム業界に入るきっかけですね。

――その縁が20年つながって、いまに至るわけですね。では続いて、姫田さんお願いします。

姫田私は、芸術系の大学に6年間ほど通っていて、絵を描いたりしながら最終的には手描きのアニメを作っていました。仕事もアニメやゲームなどのエンタメ系に志望していて、大阪の大手ゲーム会社に就職したんですね。ゲーム系ではなくて遊戯系ですが。そこで2年ほど勤務しました。

 東京から大阪に引っ越すのは大きな決断だったのですが、大学では3Dを勉強できる環境がなくて手探り状態で、会社でお金をもらいながら3Dを勉強しようくらいに考えていたんですよ(笑)。そうなると、大手のコンシューマ系に行くしかないとなって、そこで大阪の会社に受かったので、覚悟を決めて大阪に行くことにしました。

――その後、東京に戻ってきたのですね?

姫田やっぱりゲームを作りたいなという思いがありまして。当時在籍していた会社だと、ゲーム開発に移るのは難しそうだったので、学生時代にアルバイトをしていたスマートフォン系のゲームメーカーに入りました。そこで、前職時代に培った3Dの技術を使ってモデルやアートを作ったりして、その後いろいろあって2年前にグリーに移り、現在WFSに出向という形で来ています。

――わかりました。渡部さんの経歴を教えてください。

渡部僕はいま背景のリードを担当しているのですが、最初は大手アニメスタジオで背景美術としてキャリアをスタートしました。もともとゲーム業界に行きたいと思っていたので、4年半勤めたところでスマートフォン系のメーカーに転職しまして、そこでは背景デザイナーとして開発を担当しました。ゲームの立ち上げに何本か関わって、3Dについても教えていただきました。そこで6年ほど勤めて、昨年(2019年)グリーに入社して現在に至る感じです。

――では最後に、菊池さんお願いします。

菊池僕は2018年新卒入社なのですが、大学では絵画を専攻していて、そのころは「ゲーム業界に入ろう」と考えていたわけではなかったんです。それが絵を描いていくうちに世界観作りや3Dにも興味が出てきたんですね。ゲーム自体は好きだったので、「ゲームを仕事にしていきたいな」と、おのずと思うようになりました。

 就職活動にあたっては、そのころからスマートフォンのゲームでも3Dをガンガン使うようになっていて、スマートフォンでもやっていけるなという環境になっていたので、コンシューマとスマートフォン、両方の会社を受けていました。その中でグリーから、新卒向けのインターンがあるので参加しませんか、という誘いを受けたんです。

――グリーのほうからお誘いがきたんですね。

菊池2日間でゲーム開発をちょっとやってみる、といったインターンだったので、「では参加します」と。そこからいろいろと縁があったのと、2Dも3Dもやりたかったので、細かく分業して専門的なことをピンポイントにやるよりも、おもには背景を扱いながら、そのときどきでいろいろなことができたほうがいいなと判断したこともあって、最終的にはグリーに絞っていきました。

――では、最初に皆さんが所属するWFSという会社の特色を教えてください。

山本 “リスペクト”という言葉がまず念頭に浮かびます。会社のホームページでも “RESPECT(互いを尊重し、わかりあう)”、“RETRY(挑戦する、何度でも)”、“REFLECT(内省を経て、より高みへ)”という3つのバリューを掲げているのですが、僕には、WFSはリスペクトを大事にする人たちが集まっているという印象があります。

――リスペクトというと、お互いを尊重してやり取りができるということですか?

山本そうですね。組織の上下関係でも、仕事を振るほうも受けるほうも、お互いへのリスペクトが前提にあってコミュニケーションが取れているので、上から抑えつけられるというようなことはないです。お互いの意思を尊重しながら仕事に昇華できているのがWFSの特性だと思います。今日集まっているのはデザイン職のスタッフですが、エンジニアなどほかの専門職とも、お互いに対するリスペクトがすごく高いです。

――相手の仕事がわからないと、他職種の方とは距離が開きがちな印象もありますが、そういったこともないのですね?

山本はい。会社では、往々にしてそういった部分が多少なりともストレスになることはあるというのはよく聞く話ですが、WFSでは他職種の人たちとの交流がむしろ楽しいんです。自分のことをわかってもらえるし、知らないことを教えてもらえますから。知らない分野の人に対しても尊敬の熱意がものすごく高い。そういった意識が根付いているというのは、WFSの特色ですね。

姫田たとえば、できない人に対する当たりが強いと、できないことを隠したり、それがバレないように振舞う人が出てきてしまいがちです。WFSではそういったことが一切なくて、「できないことは聞けばいい」という雰囲気なんです。さらには、“人をちゃんと育てていこう”という手厚いフォロー体制がしっかりと整っています。

――できないことを素直に認めれば、まわりも助けることができるというわけですね。

姫田そういう環境があるので、できないことを恥じたり隠したりする必要もなくて、わからないことを人に聞きやすいんですね。コミュニケーションがしっかりできる会社だと思います。

渡部リスペクトということで言うと思うのは、やはりゲームはひとりの力では作れなくて、それぞれが得意なことを活かしてみんなで作っていくものだということです。その点、WFSは自分とは違うポジションの人にも尊敬の念を抱いている人が多いというところが感じられて、すごくいい会社だと思います。僕と菊池さんは同じ背景アートの担当なのですが、同じプロジェクトに入ったときに、自分にはないところですごく得意な部分を持っていることがうかがえて、キャリアに関係なく「尊敬できるな」と思いました。

――こんなところにもリスペクトな関係が……。

菊池いえいえ、むしろ僕が本当に渡部さんを尊敬していますよ(笑)。僕は3Dを何も知らないような状態で入って、いろいろな方にいろいろなことを教えていただきました。その中で、渡部さんにもアートディレクションなどをしてもらったり、データの作りかたなどを教えていただいたんです。そうやって教えてもらうことで確実に自分のスキルが上がっていくのが感じられたので、本当に尊敬しかないです。

――WFSのリスペクトな関係の一端に触れられました……。どうやらWFSでは、仕事を投げっぱなしで振られるようなことはあまりなさそうですね。

菊池あんまりないかなと思います。自分もなるべく、自分の下の世代の方と仕事をする際には、投げっぱなしにはならないようにして、いつでも話せるような状況を作るようにしています。

姫田私は投げっぱなしにされた記憶が……(笑)。そういう意味では、作業を振る人が相手を見て、どういうふうにするかは決めていると思います。手厚くフォローしたほうがいいスタッフがいればそうするし、放っておいてもよさそうなら任せておく。相手をちゃんと見ているといったところでしょうか。まあ、投げっぱなしと言っても、わからないことは聞けばちゃんと教えてもらえますからね。「これぜんぜんわからないんですよ」みたいなことをチャットでふわっと投げたら、誰かしらが助けてくれたりします。

――困っている人は放置しないのですね?

姫田エンジニアさんとかは、「ちゃんと助けてあげて」といった教育をされているのかもしれません。いまはリモートなので人を呼んで助けてもらうみたいなことはできませんけど、躓いて悩むことがあっても、チャットで困っていることを伝えると、誰かしらが手を差し伸べてくれます。

山本助ける側の取り合いになるぐらいですからね(笑)。「困っているんですけど」という声が上がったら、同時に2~3人からメッセージが飛んできて、驚きながらも感謝を返したりすることもあります。ちなみに、WFSは新卒を大事にするという意識がとても高くて、新卒で転職する人があまりいなくて、そのまま続けて勤めている人がものすごく多いです。

――あら! それはすばらしい。ある程度技術を学んだから別の会社に……、みたいなことはあまりないんですね。

山本昔は、ゲーム業界は3年周期みたいに言われることがありましたね。いまはそれも長くなってきていると思いますが、この会社はとくにその周期が長いです。新卒で入って、そのままマネージャーやシニアマネージャー、リードなどになって活躍している人が多いので、居心地がいいのだろうなあ、と思います。大事にされてきた人が上に行くので、また新しい人たちを大事にして……という流れができていると思います。

06

“納得度”やキャラの魅力など、開発にあたっての注力ポイントは……

――皆さんの人となりをさらに知るために、お好きなゲームをお教えいただけないでしょうか。そして、それが実際のゲーム作りに反映されているなんてあったりします?

山本僕が好きなのは、『スーパーマリオブラザーズ』などの任天堂さんのソフトです。子どものころに遊んでゲームを好きになるきっかけにもなりました。『ゼルダの伝説』もいまだに好きです。僕はRPGがあまり得意ではなくてアクション系が好きだったので、友だちがRPGに夢中になっていたときも、『スーパーマリオブラザーズ』シリーズをひたすら遊んでいて、この作品から受けた影響はけっこう大きいのかなと思います。

――それが仕事のこだわりに結びついたり……なんてことは?

山本こだわりですか……。いまは管理業が多いので、こだわりを反映する場面は正直少ないかもしれません。自分がアートディレクターや制作を担当していたころは、“説得力”や“納得度”をすごく意識していました。ファンタジーな世界を構築する仕事が多いので、ある意味何でもアリなのですが、あまりに荒唐無稽だとユーザーが没頭できない。空想の世界の中にも、ある程度ルールは必要なんです。

――“納得度“ですか……。おもしろい言葉ですね。

山本僕は、オーダーを受けて作ったものを直せと言われた際に、クリエイターが納得できないとよいものはできないと考えています。そういう意味では、現場の関係値としても納得は必要だと思うんです。僕らの納得が作品となって、それがユーザーの納得につながると思うんですね。少し単純な例ですが、ドアをデザインするとして、そこにドアノブが付いていなかったら、中に入れない。ドアとして納得できないですよね。ファンタジーであっても、そういった辻褄は合わせないといけないわけです。

――たしかに。プレイヤーが見て納得のできる作りにするということですね。

山本オープンワールドのゲームを作ったときには、行きたいところには行けるようにする、というのをテーマにしていました。たとえば川の真ん中に大きな石があったら、ジャンプで飛び乗って渡りたくなりますよね。“ユーザーが行きたいと思えるところには行けるようにする”、“欲求に応えられるようにする”ということをコンセプトにしていました。逆に石に乗れないのであれば、明らかに飛び乗れないような作りにするとか、石を濁流の向こう側に配置するとか、行けないことが目に見えてわかるような作りにしていました。“行けない”ことがストレスにならないようにしたんです。そういう意味でも“納得度”というのは気にしています。

――なるほど。姫田さんはいかがでしょうか? お好きなゲームは?

姫田中学生のころは『ファイナルファンタジーVIII』にすごく没頭して、100時間ぐらいプレイしていました。この作品って、主人公の考えていることが全部ダダ漏れになっていたりして、主人公を好きになれるからこそゲーム自体も好きになれたと思うんです。ですので、私は自分で仕事をするときは、キャラクターの魅力を突き詰めていきたいと考えています。

――ご自身がキャラクターからゲームに惹かれたからこそ、キャラクターの魅力を大事にしているということですね。

姫田ほかのゲームをプレイしても、だいたいお気に入りになるキャラクターがひとりはいて、それでゲームを好きになったりするんです。いまはSNSがあって、ファンの方々が自分の思いを明確にしていることも多いですよね。「この仕草が……」とか、「この表情が……」とか、「この体形の差が……」みたいにすごく細かいところを見て好きになっているんですよ。私にもその感覚がわかるので、キャラクターを作る場合は、そういうふうに好きになれる部分を詰め込んでいきたいと思っています。

――そのへんが、アートディレクターとしてのこだわりなのですね。

姫田そうですね。スタッフが挙げてきたキャラクターのモデルや2Dイラスト、モーションなどに対しても、けっこう自分で手を入れてしまうこともあります。「このほうがもっとカッコいい」、「もっとかわいい」、あるいは「もっとエロいよね」みたいな感じで、キャラクターにはこだわりを詰め込んでいます。

――渡部さんはどうでしょうか?

渡部子どものころにいちばんハマったゲームは、『MOTHER 2』です。子どもながらにずっと熱中していたのですが、ドットで描かれた世界で大冒険をして、まさに旅行をしてきたような経験ができました。ゲームって、人に何かを体験させるのが目的としてあると思うのですが、そういうのを最初に感じたゲームでした。

――その意識は、いまの仕事にも反映されている感じですか?

渡部ユーザーの視点に立ったときに、“うれしいかどうか”や“感情に刺さるかどうか”というのをすごく意識してモノ作りをしています。具体例を挙げるのは少し難しいのですが、たとえば建物をデザインするときにも、ユーザーがそれを見てIPへの愛を感じられるように……ということは意識しています。何かモチーフをひとつ入れ込むだけでも魅力がひとつ追加されるはずなので、そういったプラスアルファで少しでも愛着が湧けばいいなと思っています。

――愛着を持たせるというのは、具体的にどうこうというよりも、そういった心構えでモノ作りをする、という気持ちの問題ですかねえ。

渡部やはり、見た目がすごく綺麗なものは感情に響くと思うので、そういった部分を突き詰めていくのも大事かなと思っています。あとは、コンセプトアートなどを作る際に、ユーザーがパッと見て想像できる余地があったり、「ここに行きたいな」と思わせられるようなデザインなどは気にしています。多くの人を魅了する風景などには必ずその魅力の元となるものがあるはずなので、そういったものをしっかりリサーチしていくのも大事ですね。

――なるほど。菊池さんはいかがでしょうか?

菊池僕は完全に『ポケモン』世代です。『ポケモン』や『ファイナルファンタジーVII』などが好きでした。初めて遊んだのが『ポケモンスナップ』で、そこから『ポケモン』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズを遊ぶようになったので、僕にとってゲームの原体験はフィールドを歩くことに直結しているんですよ。最近ではオープンワールドのゲームも増えてきたのですが、フィールドをいっぱい歩けるゲームを選びがちですね。そうやって歩き回ることで、新しいところに行くことによる発見があったり、フィールドの演出などといったレベルデザイン的なものに魅力を感じます。

――そんな菊池さんが仕事をするうえでこだわっていることは何でしょうか?

菊池僕はこの会社に入ってから3D背景の作成と、レベルデザインを兼ねるような仕事も多くやらせてもらっているので、これまで自分がゲームで感じた“フィールドでの驚き”といったことは、なるべく仕掛けられるように心がけています。プランナーさんと距離が近い部分もあるので、話をしながらフィールドに発見や演出を仕込んでいっています。

07

他業種のスタッフとも円滑な関係を築くことのメリット

――みなさんが、WFSに入社して、よかったと思うのはどのようなことでしょうか?

山本僕は、最初はいちスタッフとして入ったのですが、前職でもマネジメントをしていた経験があったので、わりとすぐにマネージャーのお話をいただきました。少し現場離れしていたので不安な面もあったのですが、現場のお仕事もさせていただいたうえで、得意としているマネジメントを早い段階で任せていただけたんです。社歴などに関係なくチャレンジさせてくれる、ちゃんとスキルを見てくれる会社なんだな、というのはすごく感じました。

――社歴に関係なく、というのは転職希望者にはうれしいお話ですね。

山本あと、いちばんよかったと思うのは、エンジニアさんとの出会いですね。これまでは、他業種で尊敬できるとまで言える方との出会いが少なかったんです。とくにエンジニアさんはまったく違うことをやっているので、僕たちも何をしているかわからないですし、あちらもデザインに興味のない方が多かったので、これまでは溝のある職種かな、という印象があったんです。それが、この会社ではエンジニアさんがグイグイ来てくださるんです。

――グイグイ来る(笑)。先ほどは、職種を超えたリスペクトのお話がありましたね。

山本そもそもエンジニアとしての能力が高いというのがあるからこそだとは思うのですが、デザインに対する理解度や熱意がデザイナーに負けないぐらいある方が多いんです。僕らが作りたいものを叶えるために協力してくれるエンジニアさんがたくさんいるので、この会社に入ってエンジニアという職種を好きになりました。相手がリスペクトを持って接してくれるので、転職して入ってきた人間も相手をリスペクトできるというのはあるかもしれません。

――それはすばらしいですね。姫田さんはいかがでしょうか?

姫田山本と近いお話にはなるのですが、プランナーさんなどの他職種の方とちゃんと話ができるのはすばらしいですね。これまでの会社で関わってきたプランナーの方は、こちらのことを考えてくれる方もいれば、話し合いをしてもあいまいな感じで、結局ぜんぜん違う仕様になっていたりすることもあるんです。それがWFSでは、ちゃんと「ここはこういうふうになっているから、こうしてほしい」といった普通のコミュニケーションが取れて、進行がしやすくてありがたいです。

――プランナーさんとのやり取りがスムーズに進むと、ご自身のクリエイティブにもいい影響が出るのですか?

姫田出ると思います。「どうしてこれを作るんだろう」みたいにモヤモヤしながら作業をすることがないので、納得していいものを作っていけるんです。WFSでは、どうしてそういう作りかたをするのかを聞けば答えてくれますし、こちらの提案も受け入れてくれるので、職種を問わずお互いに意見を出し合えるんです。そこもすごくいいところです。

――渡部さんはいかがでしょう?

渡部僕は、モノ作りを仕事にしていくからには、「もっと高みを目指したい」、「成長していきたい」と思っています。技術的に尊敬できる人が同じ環境にいないと、一定以上の成長ができないと思うんです。WFSは自分にはない才能を持っている人がたくさんいて、それぞれにプロダクトの品質を高めるための努力をしていることが感じられるので、入社してよかったと思います。「自分ももっとがんばらないと」という、モチベーションにつながりますね。

――人材が豊富ということですね。渡部さんも尊敬される先輩としてご活躍中ですね。菊池さんはどうでしょうか?

菊池この会社に入ってよかったと思うのは、いろいろなことを任せてもらえるところですね。僕は新卒入社で3年目になりまして、内定者時代のアルバイトも含めると4年くらい在籍しており、その時期から4つ、5つのプロダクトを経験させていただきました。そこを体験できたのは大きいと思います。大事なところは絶対にクオリティーを高めないといけないので、くり返しディレクションをしてもらって、何度も何度も作り直して……という、そういう経験も、この会社に入ったからこそできたことだと思います。

――では、社内でスキルアップのために取り組んでいることを教えてください。

山本大きい単位だと、定期的に勉強会を開いています。とくにエンジニアさんはしっかりとやっていて、他社の方が勉強会に来てくださったときに、「すごくレベルが高いね」とおっしゃっていただけることも多いです。デザインのほうでは、最近は少し期間が開いてしまっているのですが、有名な方をお呼びして講演会を開いてもらったり、社内のスペシャリストが経験談を発表して、それを若手が聞いたり……といったこともやっています。

――大小さまざまな規模の催しがあるのですか?

山本ミニマムな単位だと、WFSは、コンフルエンス文化というか仕事を残す文化が強くて、自分で作ったものや、アートディレクターからフィードバックをもらった成果物などは全部資料化されて、それを誰でも自由に見られるようになっています。あとは、最近だと多くの会社で行われていますが、上長との1対1での話し合いや情報交換、反省会などは頻繁に行っています。

――反省会もあるのですね。

山本リードを含めて若い子と数人で話し合う反省会も、月に1回行っています。そこではよくも悪くも振り返りをしていて、たとえばうまくいったものでも、ベテランから「じつはこういうやりかたもあったんだよ」という別アプローチの話をしたりします。そうすることで、つぎの仕事でより視野を広げられるようにしているんです。

菊池勉強会などもありますが、先輩たちが自主的に作ったシェーダーについてのフィードバックを個人的にいただく機会もあったりするのはうれしいです。あとは、「勉強しよう」みたいなチャットもときに立ち上がって、そこで自分の作ったものを投げると、いろいろなフィードバックをもらえます。そういうのも助かっています。

08

失敗を恐れない“リトライ”という精神

――先ほどもお話に上がりましたが、WFSが掲げている3つのバリュー、“リスペクト”、“リトライ”、“リフレクト”について教えてください。リスペクトについては、WFSの特色にもなっているということでしたが、そもそも3つのバリューを掲げた経緯は?

山本いまのスタジオ本部長の影響も大きいのかもしれないです。いまの本部長は、新卒でグリーに入社したのですが、自分が新卒で入社して本部長になるまで育ててくれた会社や、当時の先輩方への尊敬の念がものすごく強い方なんです。それでおのずと“リスペクト”の文化が培われていったのではないでしょうか。

――そういう人がトップに立っているからこそ、おのずとそういった雰囲気が伝わっていくのですね。

山本下の立場の者にもすごくフランクで、ものすごく尊敬値が高いんです。そういう人が中心にいるので、その人の元で育つスタッフにも尊敬が根付いていて、そこで育った人がいまマネージャーなどになって、新しいスタッフがまた、その人たちを尊敬して……となっています。僕は40歳くらいで入社したのですが、若い子たちが仕事もすごくできて、上の人間を尊敬している。そして上の立場の人も若い子たちを尊敬していてと、この構図はすごいなと感動しました。

――ふたつ目のバリューである“リトライ”についてはいかがですか?

山本“リトライ”ですごく印象が強いのは、僕が入社したときに開発本部長だった、現在グリーの取締役であり、WFSを立ち上げた荒木英士さんがお話してくれた失敗談です。外から見ているときは成功例しか知らなかったのですが、荒木さんは、「じつは会社に迷惑をかけたことがある」という話をしてくれたうえで、「それでも挑戦を続けたし、挑戦させてくれる会社なんだ」と。「それがあっていまの俺がある。山本さんが外から捉えていた荒木英士は成功しているように見えたでしょう?」と話してくださったんです。

――それは重みがありますね。

山本「失敗を恐れないでほしい」、「失敗したからといって諦めたりしないでほしい」、「絶対につぎのチャンスがありますから」というふうに言われて、それがものすごく印象に残っています。確かにこの年になって転職をすると、できて当然と思われるのが怖くもあったのですが、そういうふうに言ってもらったことで、挑戦しやすい気持ちにもなりましたし、「そういうリトライできる環境があるんだな」というのを実感できました。いまもそういう姿勢でやれているのは、その言葉のおかげですね。

――実際に失敗からうまくリカバーしたことも多いのですね。

姫田私が以前関わった2Dアニメーションを使ったプロダクトでは、仕様がめちゃくちゃだったせいでものすごくしんどいことになってしまったこともありましたね。そのプロジェクトは何とか形にしたのですが、その反省を活かして、その後3D空間でアニメーションを作る環境が社内で構築されたんです。同じようなやり直しが発生しても、以前のように行程の最初まで戻ってやり直すのではなく、軽度の巻き戻しで済むような環境を作ることができました。

――ああ、それは“リトライ”でもあり、“リフレクト”でもあるのかしら。

姫田リフレクトに関して言えば、TA(テクニカルアーティスト)チームの存在も大きいです。全プロダクトを横断的に見てくれているのですが、その苦労したプロダクトのときは、やはりTAの方々もたいへんだったみたいで、「つぎは何かあったら、序盤からすぐ相談してほしい」と言ってくれて、おかけでその後は壊滅的な仕様を組むこともなくなりました。“同じ間違いをくり返さない”というのも、全体として意識していることだと思います。

――同じ失敗をくり返すのはよくないですね。

姫田ちなみに、うちのTAチームもすごくしっかりしていて、世間的に3Dアニメーションツールのマルウェア(※)が問題になったときも、早い段階でTAチームが対応してくれたんですね。もともと策が練られていたことに加えて早期に対応策を実施してくれたからこそ社内への侵入を防ぐとともに、個々人はツールを更新するだけで対策できて、余計な心配をしなくて済みました。

※マルウェア……不正かつ有害に動作させることを意図して作られた、悪意あるソフトウェアや悪質なコード

――クリエイティブに専念できる現場というのはいいですね。

山本TAの人たちが日々言っているのは、「開発者が本職に専念してもらうために僕らがいる」ということです。これも、職種を超えたリスペクトが根付いているからこそなのかもしれません。

09

キャリアの幅を広げたいという人はWFSの門戸を叩いてほしい

――WFSで働くことで、どのようなキャリアパスを描けるか教えてください。

山本最近のゲーム会社って、キャリアステップがマネジメントとスペシャリストのコースに分かれていることが多いと思うんです。でも、業界全体を見渡してみると、モノ作りを続けたいという人が多いので、マネジメントコースに行きたがる人があまりいないんですよね。この会社はそのへんも汲んでくれていて、プレイングマネージャーという形で現場に関わりを残させてくれるんです。自分もマネージャーをしながら、現場の仕事をやらせていただいています。

――確かに、現場にこだわる開発者は多いように思います。それはうれしいですね。

山本マネジメントをやりながら現場の仕事をすることもできますし、スペシャリストになってからもリードでセクションの管理に挑戦できます。それで管理が楽しくなったらマネジメントコースに移るということもできるんです。コースチェンジやジョブチェンジに対してわりと開けていて、どちらか一方を選んだらもう一方を諦めるというのではなくて、ある程度の年齢や立場になっても可能性を閉じない環境がありますね。

――新卒入社の菊池さんにとってはいかがですか?

菊池新卒すべてに言えるかどうかはわからないのですが、「こういうことをやりたいんです」というところに対して、「とりあえず任せてみようかな」といった空気は感じます。挑戦しやすい環境ではあると思いますね。

――最後に、現在転職を考えているクリエイターに向けてひと言お願いします。

山本先ほど菊池からもあった通り、わりと個人の想いを仕事につなげてくれる考えのある会社で、やりたいこと、なりたい自分を大切にしてくれる職場だと思っています。キャリアをより伸ばしたい、キャリアの幅を広げたい、近しい職業にチャレンジしたい、という人に対してはウェルカムな会社なので、そういう方はぜひいっしょにチャレンジしたいです。

姫田現場の身からすると、いまは3Dのモーショナーに来てほしいです。この会社はモーションやモデルをしっかり作れる現場があるので、そういったものを作るのが好きな人はぜひ仲間になっていただきたいです。

渡部向上心を持った人とぜひいっしょに働きたいなと思っています。あとは新しい技術を学びたい人、情熱とやる気があってチャレンジができる人ですね。そういう人こそいっしょに成長できると思うので、ぜひそういった人と働きたいです。ゲームが好きで、情熱を持っている人を、お待ちしています!

菊池若い方でもいろいろと任せてもらえる環境があるので、やりたいことがあって、うちの会社でそれが実現できそうだと、少しでも感じたのであれば、チャンスはありますので、ぜひ来ていただきたいです。

――ありがとうございました。

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株式会社WFS

●代表取締役社長:井坂友之
●設立年月日:2014年2月21日
●従業員数:500名(2020年9月30日時点)
●事業内容:コンテンツ事業、ソリューション事業、プラットフォーム事業

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『アナザーエデン 時空を超える猫』は、2017年4月にサービスを開始したWFSの代表作の1本。2Dグラフィックによる壮大な物語が展開されるシングルプレイRPG。
『アナザーエデン 時空を超える猫』公式サイト
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社員食堂の一角には『アナザーエデン 時空を超える猫』のビジュアルをデコレートした自動販売機も。購入できる中身は一般的な商品。