2019年にセガより発売された、エムツー開発による“メガドライブミニ”。その中の1本として、メガドライブ版『ダライアス』が収録されている。このメガドライブ版『ダライアス』というのは、本来発売していない作品である。じつはもともとファンメイドで作られていたタイトルだったが、それを調整してメガドライブミニに収録したのだ。

 そして今回、そのメガドライブミニ版『ダライアス』に調整を加えたものが、単体発売されることが決定。しかも、互換機向けに実物のカートリッジでの発売だ(なぜメガドライブではなく互換機向けなのかの理由は、記事の内容を参照してほしい)。プレイステーション4版、Nintendo Switch版のダウンロード版も用意されており、こちらはAmazon Primeデーの限定特典となっている。本記事では、その単体版『ダライアス』について、開発陣や関係者たちを多数交えて、さまざまなお話をお聞きした。

ダライアス
※画像はメガドライブミニ版『ダライアス』のものです。

外山雄一氏

タイトー所属。『ダライアス コズミックリベレーション』ディレクター(文中は外山)

石川勝久氏

タイトー所属。『ダライアス コズミックリベレーション』サウンドディレクター(文中は石川)

堀井直樹氏

エムツー代表取締役社長。(文中は堀井)

辛島由紀子氏

エムツー所属。『ダライアス コズミックリベレーション』開発ディレクター(文中は辛島)

山田晋平氏

エムツー所属。サウンドドライバカスタム担当(文中は山田)

春日達彦氏

エムツー所属。サウンドテクニカルサポート(文中は春日)

駒林貴行氏

エムツー所属。メガドライブミニ開発ディレクター(文中は駒林)

小西秀樹氏

本業はクリニックを経営する医師。趣味として独学でプログラムを学び、ファンメイドのメガドライブ版『ダライアス』の原型を作った。本プロジェクトのメインプログラマー。(文中は小西)

WING☆氏

趣味でゲームサウンドなどを手掛け、メガドライブミニなどにも関わっている、本プロジェクトのサウンド周りを担当(文中はWING☆)(座談会の場には不参加)

奥成洋輔氏

メガドライブミニ コンテンツ統括/クラシックハードプロデューサー(文中は奥成)

謎の常連さん

ゲーム業界の第一線で活躍する常連さん。本プロジェクトのお手伝いをしたとか。その正体は謎。(座談会の場には不参加)

株式会社コロンバスサークル

カートリッジ版の製造、単体カートリッジ版の販売も担当。(座談会の場には不参加)

ファンメイドから、まさかのカートリッジ化

――まず小西さんにお聞きしたいのですが、メガドライブ版『ダライアス』を作ることになり、そしてメガドライブミニに収録されることになった経緯を教えてください。

小西『ダライアス』は高校生のときによくプレイしていて、大好きなタイトルです。アーケード基板なども購入して、自分で『ダライアス』のレプリカ筐体なんかを作ったりして……。凝りだすと、徹底的にやってしまうタイプなんですよ。子どものころはゲームのプログラマーになりたかったんです。あるとき、最新ゲームは難しいと思いますが、昔のゲームなら作れるのではないかと考えまして、独学でプログラムを学びました。そしてあるとき、PCエンジン版『スーパーダライアス』を3画面で遊んでみたいと思って、それを自分で作ったりしていました。

 またあるとき、メガドライブ版『ダライアス』があったら、どんなものになるんだろう? と考えました。そこからメガドライブのゲームが作れる開発キットがあることを知りまして、Twitterとかで制作物を公開したりしていたんですね。そしたらエムツーさんにお声を掛けていただき、メガドライブミニのメガドライブ版『ダライアス』制作に協力をさせていただいた……というのが経緯です。

辛島今回の単体で発売される、単体版『ダライアス』のメインプログラマーも担当しています。

――ありがとうございます。では、そのほかの皆さんが単体版『ダライアス』にどう関わっているのか、それぞれ自己紹介も兼ねて教えてください。

山田エムツーの山田です。私は趣味で古いゲームハードへの移植などをやっていたところ、堀井社長に声を掛けていただき入社しました。今回の単体版『ダライアス』では、サウンドドライバーへの機能追加や不具合の修正を担当しました。もともとのドライバーの使いにくいところに手を入れたり、たとえばリズムがよれるなどの不具合を解消できました。

春日エムツーの春日です。実質的な作業もいくつかしましたが、大きなところですとサウンドドライバーについてのディレクションと技術的なサポートがメインでした。

駒林エムツーの駒林です。僕はメガドライブミニ版『ダライアス』のディレクターを担当しまして、今回のプロジェクトでは企画・立案などを担当しました。座談会では賑やかし程度になればと思います(笑)。

辛島エムツーの辛島です。『ダライアス コズミックリベレーション』のディレクターを担当していまして、『ダライアス コズミックリベレーション』に今回の単体版『ダライアス』が特典として収録されるということから、関わっています。もろもろの取りまとめや、スケジューリングなどを担当しています。

堀井エムツー代表の堀井です。メガドライブミニのときに、奥成さんから突然「メガドライブミニに『ダライアス』を入れたい」と言われまして。じゃあどこまでやろうか、と考えたときに風呂敷をたくさん広げたんですね。そのときに入れることができなかった要素を、今回の単体版『ダライアス』に入れることに、オーケーを出す役割です。

外山タイトーの外山です。メガドライブミニに『ダライアス』を入れることになり、タイトーとセガさんで話し合いをし、実現しました。じつはその中で、メガドライブミニが発売されたあとは、メガドライブ版『ダライアス』の権利をタイトー側が自由に使えるという条件で、実現したものでした。それが今回、タイトー側からのMD互換機対応カートリッジ版『ダライアス エクストラバージョン』につながったわけです。

石川タイトー・ZUNTATAの石川です。メガドライブミニ版から引き続き、サウンド回りのディレクションを担当しています。メガドライブミニ版の移植なのだから、サウンドも同じだし楽だろうな、と楽観的に考えていたら、サウンド回りがイチから作り直されたので、ディレクションもイチからのやり直しでした(笑)。

奥成セガの奥成です。今回の単体版には一切関与していなくて、メガドライブミニ版での立ち位置は強いて言うならば、プロデューサー、プランナー、デバッガーあたりでしょうか。エムツーさんには「1面のスタート位置はここに変更することでプレイ再現度が上がる」、「ここの敵の配置が少ないからアーケードに合わせて増やして」とか、好き勝手に言って直していただきました(笑)。

外山あとは、音楽・SEの打ち込みを、WING☆さんが担当しています。また、監修などのお手伝いとして、誰なのかは明かせないのですが、謎の常連さんからも鋭い意見をいただいています。

※おふたりと、カートリッジ版の発売を手掛けるコロンバスサークルは、今回の座談会には残念ながら不参加。代わりにコメントをいただいたので、そちらは記事の最後にお届け。

――では、単体版『ダライアス』の企画が立ち上がった経緯を教えてください。

奥成わかりやすいと思うので、その前日譚を僕からお話しましょう。もともとメガドライブミニ版の交渉をセガとタイトーさんで行ったのち、いざ開発がスタートして完了するまでの期間というのは、決して長くはありませんでした。もともとあった小西さんが個人的に作っていたバージョンから、ああしたい、こうしたいというのはセガも、タイトーさんも、エムツーさんにもありました。

 とくに堀井さんの中にはやりたいことがたくさんあったのですが、さすがに間に合うわけがないだろうと、僕のほうから「無理です!」と諦めていただきました。その中でもとくに大きかったのが、サウンドの部分です。無事に発売もできましたし、プレイヤーの方々にも概ね好評だったので、その判断は正しかったと思います。で、先ほど外山さんが仰ったように、セガとエムツーで作ったものですが、最終的にはタイトーさんにすべてをお譲りする前提で、お話をしていました。……セガがメガドライブ版『ダライアス』の権利を持っていても、今後どうしようもないですから。

外山ダライアス コズミックコレクション』も発売しましたし、どこかでぜひ活用したいと考えていました。そこで、今回は単体版、カートリッジ版として発売しようと決意したのです。もちろん、『ダライアス コズミックリベレーション』に入れる案も考えました。ですが、こちらは3D作品である『Gダライアス』、『ダライアスバースト アナザークロニクルEX+』をまとめたものです。そこに2Dであるメガドライブ版『ダライアス』を入れるというのは、どうも座りがよくないですよね。ですので、プレイステーション4版、Nintendo Switch版は特典という形になっています。

――しかも、メガドライブで動くカートリッジ版まで発売するのは驚きました。

奥成おっと! ここは声を大にして言っておかねばなりませんね。今回のカートリッジ版は、MD互換機用ソフトであり、メガドライブ対応ソフトではありません。セガが許諾した商品ではございません。ですから、メガドライブミニのものはメガドライブ版『ダライアス』ですが、カートリッジ版は許諾していませんから、“MD(エムディー)版”という名前なわけです。

外山 ……そうなんです(笑)。今回のプロジェクトは非常にややこしいのですが、『ダライアス コズミックリベレーション』のAmazonプライムデー限定ダウンロード版として、プレイステーション4版と、Nintendo Switch版が出ます。そして、MD互換機用カートリッジ版が、『ダライアス コズミックリベレーション』の店舗特典として付く版と、ゲームパーツメーカー・コロンバスサークルさんが発売するもの。計4種のメガドライブミニ版から移植・追加された単体版『ダライアス』が発売されます。

奥成メガドライブ自体は30周年を過ぎたハードですから、保証期間というものは完全に終了しています。もしメガドライブにサードパーティーとして参入したいと言われましても、何バージョンもあるメガドライブすべての動作確認をしたうえで、もし不具合が出たとしても、セガとしては何もできません。

 ですから、ライセンス商品とは許諾できないのです。もしセガに「動かない」と言われても、どうしようもないわけです。もちろんイジワルを言いたいのではなくて、承認のしようがないというところです(笑)。なので、タイトーさんが発売するらしい、“MD”と書かれたカートリッジが、万が一メガドライブに入れて動いたとしても、偶然です。

外山(笑)。ダウンロード版は、メガドライブ版『ダライアス』と言えるので、またややこしくて申し訳ないです(笑)。

サウンド面を大幅に強化

――では、メガドライブミニ版からサウンドをメインに変更点を加えたそうですが、具体的な変更点を教えてください。

外山オリジナルの『ダライアス』は、いわゆる“OLDバージョン”と、調整を加えた"NEWバージョン"、"EXTRAバージョン"と、合計3つのバージョンがありますよね。今回の単体メガドライブ版『ダライアス』は、最終調整版である“EXTRAバージョン”にしようと考えました。ただ、小西さんが当時遊んでいたもの、そして購入された基板というのが、どうやら1回目の調整版である“NEWバージョン”だったんです。

 ですが、世の中には“OLDバージョン”ファンも多いですし、“EXTRAバージョン”が好きな人もいます。だったら、今回3バージョンを入れてしまおうじゃないかと。もちろん3画面ではないので、完全移植ではありませんが、それらのバージョンを模したものとなっています。

――プレイヤーとしてはうれしいところですが、開発側としては苦労もあったのではないでしょうか。

外山さまざまなスタッフのおかげで救われた部分が大きいですね。たとえば調整では、『ダライアス』の全国1位スコアラーである、“ダライアス神-KZS”さん、『ダライアス外伝』プレイヤーとして有名な"IMO"さんらに協力していただきました。もともとメガドライブミニ版の時点から、そういったことをやりたいとは考えていましたが、ボス26体は入っていますが開発終盤は「これメモリが足りなくなるんじゃないか?」とドキドキしてましたね。

奥成32メガビットも使ってるのに、メモリが足りなくなるなんて!

外山(笑)。「諦めたほうがよくないですか?」って言ってたのに、奥成さんは絶対に入れさせてほしいと言って、まあなんとか入ったわけですが……。ただそのとき、サウンド面を入れ替えれば、メモリにグッと余裕ができて、もっと楽に26体のボスを収めることができましたが、スケジュールの問題で入れ替えることができませんでした。

奥成メガドライブミニ版は、32メガビットで動いてはいるのですが、じつはその多くがサウンドドライバとサンプリングデータに割かれています。おかげでFM音源を再現したサウンドに高い評価をいただきましたが、それがプログラム上のネックだったりもしたわけです。このドライバがあるせいで、やりたい演出が再現できないですとか。あと、メガドライブミニ版の効果音が、じつはプログラム的に鳴らしてるのではなく、録音したものを使ってるんですよね?

駒林はい。サンプリング音なので、メチャクチャ容量を食ってましたね。

小西今回の単体版も、サンプリングの音は残っています。で、本来は音源によって音量の違いというものもあるのですが、メガドライブミニ版では実現できませんでした。単体版ではすごく作り込んでこんでくださって、同じ音程の音でも、音量が違うだけでも別のサンプリング音を使っています。……ですから、メガドライブミニ版より、さらにサウンドが容量を食っています(笑)。

石川そこがメガドライブミニ版でいちばん気になってたところなんですよね。サンプリング音ひとつとっても、同じ素材なのにメガドライブミニを通して聴くと違った音になったりして、なかなか調整も苦しかったです。今回の単体版は、だいぶよくなりました。とくに『MAIN THEME - CHAOS』(バンアレンベルトゾーンのBGM)とかは、かなり違いを感じると思いますよ。

奥成ボスの爆発は改良されましたか?

小西はい。容量にだいぶ余裕ができたので。

――ボスの爆発、ですか?

奥成メガドライブミニ版で、僕が最後まで小西さんに「どうにかならないか」と言っていたのが、ボスの演出シーンなんですよ。オリジナル版『ダライアス』では、ドドドドドとボスが爆発していき、画面外でドカーンと爆発音が聞こえ、ボスが大爆発しているんだなと分かるところも、『ダライアス』の美しい部分です。それが最初はまったくなくて、通常の敵を倒したときの爆破音くらいだったんです。それを小西さんにお願いして、なんとかそれっぽくはしていただきました。

小西それが今回は、オリジナル版により近づいていると思っています。

奥成楽しみだなぁ……!

堀井サンプリング音って、録音した素材をカセットに詰め込むものなので、もちろんサイズが大きいんです。メガドライブ内で鳴らせる音の楽譜を、ゲーム内で鳴らすほうが当然容量が空くわけです。空いた結果いろいろできるようになったのが、今回の売りのひとつですよね。

春日サンプリング音の音量のひとつひとつの違いですとか、そういったところは今回のプロジェクトが決まったときから絶対に変えないといけない部分だなと。アーケード版のサウンドドライバから全部の楽譜を取り出して、使ってる音量を網羅して、最適化していきました。

山田メガドライブミニ版のサウンドドライバには、音のフェードアウト機能がありませんでした。じゃあどうやってフェードアウトさせてたのかというと、フェードアウトする曲のデータを別に作って、それをボスに入るタイミングなどで流して、聞いた感じではフェードアウトに聞こえる、というものでした。なので、ふたつぶんの曲が入っていたことも容量を食っていた問題でした。ですので、私のほうでフェードアウト機能を追加したので、より容量が空けられました。

春日あとアーケード版の音を録音した音源って、そもそもフィルターがかかっているので、こもった音なんですよ。そこで今回そこも最適化したりしています。

石川じつは、サンプリング音とFM音源のバランスって、アーケード版は個体差があるんです。「あれ、このゲーセンではFM音源がデカいな?」みたいな。そこのバランスを整えてもらうのは、かなり大変だったと思います。どれが正解なのかって、正直ないんですよ。一応CD版がありますが、それもどれかひとつの個体を基準にしたものですので。ただ、単体版はそこのバランスが絶妙になっていますよ。

奥成『ダライアス』ってCDが出るたびに、そこの問題が出ますよね(笑)。

堀井あ、ちなみになんですけど、MD互換機って、まあいくつかありますよね。どれも性能が違うので、モノによっては今回のカートリッジ版は、メガドライブミニ版より「悪くなった」と感じる人がいるかもしれません。いちばんきれいに聴こえるのは、YM2612のFM音源チップを搭載したハードになるでしょう。……そんな互換機があるのかは知りませんが……。

奥成へぇ~……! おかしいですねぇ~。MD互換機向けのはずなのに! YM2612のFM音源チップを搭載しているハードといえば、メガドライブがありますが……?

堀井どうなんでしょうね!

――(笑)。これはまったく関係のないお話ですが、メガドライブもいくつか種類がありますよね。それによって音の聴こえかた変わるものですか?

奥成メガドライブとメガドライブ2でも、メガジェットでもワンダーメガでも全部聴こえかたは違いますね。ただ、多くの移植タイトルは初代メガドライブの音をもとにしています。

堀井ちなみに、プレイステーション4版、Nintendo Switch版である“メガドライブ版”『ダライアス』も、初代メガドライブのサウンドを再現しています。つまり、カートリッジ版もそれを基準としたものです。

ゲーム部分も細かな調整アリ

――サウンド面の変更はよくわかりましたが、ゲーム部分は何か変わりましたか?

辛島メガドライブミニ版にイージーモードがありましたが、さらにそれをパワーアップさせました。メガドライブミニはステートセーブがあるので、イージーモードと併用することでいろいろな人に楽しんでもらえました。これは、プレイステーション4版とNintendo Switch版にもあります。ただ、カートリッジ版はそれができません。カードリッジ版をプレイされた方も、エンディングに辿り着くハードルが高すぎないよう、コンティニュー機能を導入しています。

ダライアス

外山メガドライブミニ版で報告された不具合なども直しています。

小西あとボスまわりの調整ですかね。メガドライブミニ版は"NEWバージョン"を基準にしていますが、一部ボスが"EXTRAバージョン"ぽかったりしたので、そこを作り直したりしています。あと細かいところですが、ミサイルなどのプレイフィールを、よりオリジナル版に近づけました。

外山アーケード版でこういう避け方をしたら回避できるのに、メガドライブミニ版だと当たってしまう! なんてスタッフの声を参考に、いくつか調整を加えています。

小西あとファッティグラトン(ピラニア)も、だいぶアーケード版に近づけました。ただ、1画面ならではの微妙な匙加減があるので、そこはうまく調整しています。

辛島それと、連射設定を細かく変更できるようにしました。10連、20連、30連などなど、細かく変更できます。

小西連射って、早すぎるとゲームの難度が下がるのであまり好きではなかったのですが、ある日高速連射にしてみたら、サクサク敵を倒すのが意外と爽快感があって、気持ちよかったんですよ。これはこれであったほうがいいなと思って、心変わりしたんです(笑)。細かくできるようにしたので、自分の好みに合わせていただければと。

――それはうれしい要素ですね。

辛島あとエンディングクレジットを追加しました。注目してほしいのはWING☆さんのお名前で、お名前の最後についてる☆マークの文字は、エンディングのためだけに追加したものです(笑)。

外山ちなみに、古代祐三さん、藤島聡さんもクレジットに入ってます。

駒林サウンドドライバーの問題解決の際に、いろいろと相談・協力してもらったのですが、別の案での解決となりました。ですが、クレジットに入れています。

外山今回セガさんの商標を扱えないので、起動時に表示されるのはセガさんのロゴではなく、タイトーロゴになっています。ただ唯一、クレジットにスペシャルサンクスとしてメガドライブミニ開発チームの名を入れることだけは、オーケーをいただきました。それと、メガドライブミニには当時あった風のデジタル説明書をセガさんが作ってくれたのですが、今回それをタイトー側が引き取りまして、今回印刷する説明書のベースになっています。

ダライアス
ダライアス
ダライアス

奥成うちのデザイナーがノリノリで作っていました(笑)。

駒林カートリッジのイラストとか作ってましたよね?

奥成メガドライブミニの発売記念生放送の際に、小西さんがセガまで来てくださったのですが、そのときにデザイナーがメガドライブミニ用のメガドライブ版『ダライアス』レプリカカートリッジを作ってプレゼントしたんです。それだけはもったいない、ということで、1年後に新しいカートリッジミニのセットを発売しました。

あるのか!?"来年はダライアスIII"

――今後の『ダライアス』シリーズの展開などはあるのかお聞きしたいです。

駒林あの~、“ダライアスIII”は来年発売ですよね?

※『ダライアスII』のとあるゾーンをノーミスでクリアーすると、エンディングに“来年はダライアスIII”と表示される。なお当時の“来年”とは1990年を指す。

堀井今年には出ないってことですね!

外山……(苦笑)。タイトーとしては、アーケードで5作品リリースし、2Dが3作品、3Dが2作品ときたら、やはりつぎも3Dで大きいタイトルを出したいとは思いますが、しかしいまの市場にどういうモノを出せばいいのか、というのはいつも自問自答しています。『ダライアスバースト』のつぎの作品という道と、エムツーさんのようなところに力を借りて、“『ダライアス外伝』の外伝”みたいな道もあるでしょう(笑)。そこはまだ何も決まっていません。

石川『ダライアス』シリーズなのですから、アーケードでまず出してほしいなあと思いますよね。3画面が望ましいですが2画面でも1画面でもかまいません。やはり、アーケードこそ『ダライアス』って感じがします。

外山いやもう、2010年に『ダライアスバースト アナザークロニクル』がアーケードでリリースできたのが奇跡みたいなものですよ。しかも専用筐体でなんて。もしアーケードで出すとなったら、アーケードを取り巻く環境がどうにかならないと難しいでしょうし、タイトーが何か新たな策を思いつくかもしれません。

奥成ああじゃあ、『電車でGO!!』の筐体で遊べるにようにしたらいいじゃないですか。

外山なるほど、メインは3画面だし、手元にモニターがあるので4画面ですね(笑)。あとは、エムツーさんが何か企画してくれるのであればぜひ……。

堀井では、2画面版『ダライアス外伝』みたいなものやりますか!? 1画面版『ダライアス』があるのであれば、2画面版『ダライアス外伝』も許されるはずです!

奥成ということは来年は"ダライアスIII"?

堀井呼んでもらえるのであれば(笑)。

――『ダライアス コズミックリベレーション』が売れれば、本当にその道もあるわけですよね。

外山あるかもしれません。ぜひ買って遊んで、応援してほしいです。

――ありがとうございます。最後に読者の皆さんへ、メッセージをお願いいたします。

堀井メガドライブミニ版でできなかったことが、今回ひと通りできたと思います。ようやく風呂敷を畳めました。まさかカートリッジになるとは思ってませんでしたが(笑)。

辛島これまでも『ダライアス』ファンだった人、メガドライブミニで『ダライアス』を知った人、今回初めて遊ぶ人も、楽しんでもらえるものになったと思います。ぜひ遊んでみてください。

駒林メガドライブミニのときは小西さんとは何日もいっしょに仕事をして、ときにはすごくきびしいスケジュールを迫ることもありました。今回はそういうことはないようにしようと思っていたのに、小西さんに「OLDバージョン、NEWバージョンどちらを入れればいいか?」と聞かれたときに「両方入れましょう」とか言って、けっきょくタイトなスケジュールにしてしまいました(苦笑)。そのぶんいいモノができたので、ぜひ遊んでほしいです。

春日メガドライブミニのときからスゴイと思ってましたが、音については歯がゆい部分もありました。ただ、今回小西さんといっしょに調整できたので、かなりいいサウンドになっていますよ。

山田ゲーム面でもサウンド面でも、メガドライブミニ版より完成度が上がっています。何よりカートリッジで遊べるところがすばらしいです。実際に音源チップを通して音を出しているということに、思いを馳せて遊んでほしいです。

奥成メガドライブミニに新作が入るという夢から始まったタイトルが、こういった形で続いていくのは本当に立ち上げた身としてはうれしい気持ちです。タイトーさんはきっと、来年"ダライアスIII"が入った新たな"ダライアスコレクション"を発売されることでしょう! その際、エムツーさんにはぜひ、ゲームギア版『サーガイア』を作っていただき、ゲームギアミクロ同梱版として発売していただきたいですね!

石川いやまさかこの令和の時代に、カートリッジのゲームに関わるとは思ってなかったです! 音もゲームもぜひ楽しんでください。

外山メガドライブミニ版のときから、カートリッジ版は悲願でした。できれば偶然動くハードで、ぜひ遊んでみてください。

小西メガドライブミニ版を作ったときから、本当にありがとうございました。いろいろな人に協力していただき、勉強にもなりました。本当に感謝しています。バージョン違いはありますが、いちばんのポイントはやはりサウンドです。ぜひYM2612のFM音源チップを搭載したハードで遊んでほしいです(笑)。

そのほかの関係者の方々からのコメントをお届け

 記事の最後として、今回残念ながら参加できなかった、調整に協力してくれたという謎の常連さん、楽曲や効果音の打ち込み音を担当した、WING☆氏(以下、WING☆)、カートリッジ版の発売を手掛けるコロンバスサークルからのコメントを掲載する。

WING☆さん

――どのようにして今回のプロジェクトに関わることになったのでしょうか?

WING☆もともと、古代祐三さんの大ファンで、Twitter上で古代さんの曲ばかりを耳コピしては、ご本人に許可をいただきながら公開していました。それが、徐々にゲーム関係者の目に留まるようになり、メガドライブミニの時に駒林さんの推薦で堀井さんにお呼ばれされました。メガドライブミニ時点では、音はすでに完成していたのですが諸々の事情で私のデータはお蔵入りに。そして今回の件で忘れた頃に再び呼び出され、諸々検討した結果私のデータが採用されることとなりました。

――今回の単体版『ダライアス』の注目ポイントは?

WING☆特にサウンド面のパワーアップです! お蔵入りしたミニ版のときは耳コピレベルでいいというお話でしたが、今回のEXTRA Ver.ではより本物に似るようにとのことでしたので、いつもより3割増しの力で耳コピさせていただきました!(笑)

――サウンド面強化で意識したポイントを教えてください。

WING☆私はもともとFM音源チップYM2203を扱うことを得意としていました。AC版『ダライアス』はYM2203がふたつ搭載されておりましたので、まずは似た音源構成のいつも愛用している30数年前のパソコンPC-8801を使って効果音を含む全曲を耳コピし、これまた30年間壊れずに偶然MD互換用が動作するセガハードの実機を持っていましたので、それを使って調整をしていきました。AC版『ダライアス』、PC-8801、メガドライブが非常に似た音源構成だったので出来た手法だったと思います。

 あとは外部フィルターで音をコントロールしている部分もセガハードの実機の音源のみで再現しなければならず、少々手こずりましたが皆さんのご協力もあり、うまく再現することができたと思います。

――もし、今後『ダライアス』の完全新作が出るとしたら、どんな感じのゲームがいいですか?

WING☆音楽の一部でも良いのでFM音源を使ってほしい(笑)。

――『ダライアス』ファン、そしてメガドライブファンに向けて、ひと言メッセージお願いします。

WING☆今回新たにサウンド担当として参加しましたが、こんな素人にも皆さんやさしく接していただき、またたくさん勉強させていただきました。ありがとうございました。参加したからには誰からも文句が出ないほどのレベルに仕上げなければというプレッシャーの中、いつもより気合を入れて耳コピりました(笑)。

 新たに生まれ変わった単体版『ダライアス』のZUNTATA監修OGRサウンドを改めて堪能していただきたいです。そして偶然動くセガハードをお持ちの方は是非実機で聴いていただきたいし、アーケード基板もお持ちの方は聴き比べをしてみるのもおもしろいかもしれません!

謎の常連さん

常連さんいやぁ~、スゴい。何がスゴいって、メガドライブミニ版の時点でもビックリするくらいの音の再現度だったというのに単体版『ダライアス』ではさらに再現度が向上している。単純にエミュレートの精度と実チップの違いもあると思うけど、よく聞いてみるとひとつひとつの音色の鳴りかた、ボリュームバランス、パンポット指定などなど、いろいろ変更されている。

 さらにビックリしたのが、一部効果音をしっかりDCSGに載せ替えて鳴らしてるところ。オリジナルの『ダライアス』はSSGを3ch使ってSEをうまく作っている。これがもうね、すばらしいのよ。1chだけ抜き出すとよくわからない音階の物が鳴っているんだけどそれを3ch分合成すると立派なミサイル音、ウェーブ音、爆発音になるわけですよ。その辺、SSGとDCSGでは微妙に音が違う上にオリジナルは外部アンプでボリュームコントロールやフィルタコントロールをしているので再現はとても難しいはずなんだけど、すごくよく再現してる!

 メガドライブミニ版では効果音は全てPCMで鳴らすというX68000版『グラディウス』的なやり方だったわけだけどカートリッジ版はよりオリジナルに近い鳴らしかたになったわけだ。音源の適材適所、カエサルのものはカエサルにってヤツですよ。いや違うか。いやーサウンドテストで何度聴いても飽きないね! マスター! グレープフルーツサワーおかわり! ツナサシミも!

コロンバスサークル

コロンバスサークル今回、タイトー様から『ダライアス』パッケージ化の許諾をいただき、『ダライアスII』パッケージの横に『ダライアス』を並べる妄想をしていた者としては夢が叶った気分です。

 コロンバスサークルはゲームをパッケージ版で発売することにこだわってまいりました。それはパッケージ版が当たり前だった時代の人間しか弊社にいないからでもあるのですが(笑)、サービスが終了したら二度と遊べなくなるゲームもある昨今、手もとにゲームがあることは、いつでもそのゲームが遊べるのはもちろん、遊んでいたころの記憶もそこに残されるからです。長年発売されなかった『ダライアス』のMD版が、弊社のこだわるパッケージ版で発売させていただけることは大変喜ばしく、それと同時にたいへんやりがいを感じております。

 ダライアスファンの皆様に新たなコレクションとしていつまでも手もとに残してもらえるように、そして『ダライアスII』の横に並べてもらえるようにがんばります!

商品情報

 2020年10月13日(火)0時から14日(水)23時59分まで合計48時間にわたりAmazonにて開催される、プライム会員に贈る年に一度のビッグセール“プライムデー”の期間中『コズミックリベレーション』の限定商品が販売されます。

◆プライムデー限定特典
ゲームソフト『ダライアス EXTRA Ver.(メガドライブ)』DLC配信

ダライアス

 セガ社製“メガドライブミニ”に収録されたメガドライブ版初代『ダライアス』をもとに更なるアップデートを加えた、本商品オリジナルのバージョン『ダライアス EXTRA Ver.』を、PlayStation®4もしくはNintendo Switchでプレイすることができるゲームソフトのダウンロードコードです。

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