2020年9月2日~4日までの3日間、CEDEC公式サイトのオンライン上にて開催された、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けのカンファレンスCEDEC 2020。本稿では、会期初日となる9月2日に行われたセッション“『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』制作事例 長期運用でアイドルをより魅力的に輝かせる!3DCGビジュアルのアップデートと実装の手法”の模様をリポートする。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 本セッションでは、約5年間の長期運用の実績を持つスマートフォン向けアプリ『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(※以下、『デレステ』)のビジュアルアップデート内容において、3DCGの制作事例を紹介しながら、新しい技術を取り入れつつ、コンテンツを進化させるために取り組んだ施策の内容が語られた。

 セッションを担当したのは、サイゲームス 3DCGアーティストチーム プロジェクトモーションリーダーの五十嵐 蒼氏と技術本部クライアントサイド ゲームエンジニアの横山 亜弥氏のおふたり。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 まずは、本セッションにて取り扱われる『デレステ』についての紹介が行われた。本作は、2015年9月にリリースされた、アイドルが活躍するリズムゲーム。現時点で、登場するアイドルたちは190人となっている。

 続いて、『デレステ』の3DCGの特徴について。現在では、『デレステ』に登場する最高レアリティのSSレア衣装のモデル数は400着以上存在し、3Dのミュージックビデオ(MV)化されている収録楽曲は200曲以上となっている。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 ここからは、本セッションのメインとなる3DCG制作事例の紹介が行われた。3DCG制作事例の紹介は、MVにおける新機能の追加実装の実例紹介、衣装のアップデートについて、新規アプリコンテンツ“3Dコミュ”の制作事例紹介の3つの要素に分けて、順に行われた。
 
 まずは、MVにおける新機能の追加実装の実例紹介について。ここでは、3DCGデザイナーやエンジニアが、原案者の求める理想を実現するために具体的に行っているテクニックやその実装方法など五十嵐氏より語られた。

 まずは、『デレステ』のMV作成のための開発ワークフローについて紹介。ワークフローでは、MVキックオフから始まる。MVキックオフとは、ディレクターからMV制作担当者へ、ざっくりとしたMVのコンセプトの共有が行われる場のこと。このMVキックオフにて、制作するMVの表現方法の方針が決まるそう。そして、その内容を実現可能か、技術面における擦り合わせが行われた後、カメラや演出のコンセプト共有や背景発注、モーション、背景、カット制作が行われ、ディレクターチェック、最終調整ののちにMVリリースとなる。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 今回は、開発ワークフローの工程のうち、MVキックオフ、技術面の擦り合わせ、カメラ、演出のコンセプト共有において、どういった要望があったのか、新規仕組み実装を伴うMV作成について、ふたつのケースといくつかの事例とともに紹介された。

 最初に紹介されたケースは、『お願い!シンデレラ(GRAND VERSION)』における、“リアルなライブ感を演出したい”という要望について。“GRAND VERSION”とは、最大15人のアイドルがパフォーマンスを行うMVのことで、2019年に新しく追加されたシステムとなっている。本曲は、『デレステ』で初めて実装された、“GRAND VERSION”の楽曲となる。『お願い!シンデレラ』は、もともとゲーム内で実装されていたものだが、新しい“GRAND VERSION”というシステムをより際立たせるため、“リアルなライブ感を演出する”ということを方針として定め、MVが制作されたそうだ。

 では、方針として定められた“リアルなライブ感”を演出するために必要なことはなんなのか。開発陣で議論が重ねられた結果、ふたつの機能を追加することで、“リアルなライブ感”を演出できるのではないかと結論づけられたという。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 新しく追加された機能のひとつは、MV中に登場する“コール”。ライブといえば、楽曲中に観客より発せられる“コール”は欠かせない要素であるということから、MV中にも“コール”が追加されたそう。この“コール”は、社内の有志のプロデューサー(ここでは、『アイドルマスター』シリーズのファンを指す)たちの協力のもと、収録されたそうだ。

 追加されたもうひとつの機能は、“ダンス以外のモーション”。リアルライブでは、出演キャストが歌って踊るだけではなく、会場内に設置された花道を歩き、別のステージへ移動したり、間奏中における、プロデューサーへのアピールや煽り、キャストどうしが行うキャラクターからみなど、ダンス以外の動きも多数存在している。

 『お願い!シンデレラ(GRAND VERSION)』では、上記の“ダンス以外のモーション”を表現するため、60種類以上のモーションが追加されたそう。

 通常のMVでは、1曲を通してダンスを撮影が行われ、登場する人数や振り付けにもよるが、MVでは基本的に、1~5種類のモーションが使用されているとのこと。またMVの途中に差し込まれるポーズや演技の数によっても増減するという。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 『お願い!シンデレラ(GRAND VERSION)』の場合、大きなステージでの移動やアピールを想定していたため、1曲を通じて撮影を行うということはできなかったそう。また、“リアルなライブ感”を演出するために、アイドルどうしの動きに差を出したかったことから、同じモーションを使い回すということはなるべくせず、MV中のアイドルの似た動きも演技内容を変えて複数撮影を行った結果、『デレステ』のMVとしては破格となる60種類以上のモーションが使用されているとのことだ。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 そして、“ダンス以外のモーション”における、キャラクターのからみについてだが、これは、アイドルどうしのハイタッチを指すという。キャストたちがリアルライブでハイタッチや手繋ぎを行っているということもあり、ディレクターからMVでハイタッチをしている様子を表現したい、という要望があったそう。しかしながら、当時の既存の仕組みでは、身長差のあるアイドルどうしではハイタッチができない、という問題が発生。このハイタッチを実現するために、新しく“IKモーション”の導入が行われたそうだ。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 “IKモーション”とは、身長差のあるキャラクターどうしを、モーションの破綻を起こさずに接触が行える仕組みのこと。この“IKモーション”の導入により、ハイタッチ、手繋ぎを表現できるようになるそう。また、背景オブジェクトなどの固定されたものに対して、どのキャラクターも同じ箇所を触れることができるようになるとのこと。たとえば、ドアを開ける、本を開く、階段昇降の動作が挙げられる。

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 これらの動作を表現する“IKモーション”に必要なキャラクターたちの動きは、最小身長の横山千佳、最大身長の諸星きらりのモーションを作成し、これらをブレンドすることで、どの身長差のアイドルどうしでもハイタッチが行えることができるようになったそうだ。

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 以上の新機能を追加することで、『お願い!シンデレラ(GRAND VERSION)』における、“リアルなライブ感を演出する”という方針通りのMVが制作された。

 講演では、実際のMVの様子も上映。アイドルたちが歌いながら歩きつつ、客席にアピールしている様子や、いろいろなアイドルが身長差に関係なくハイタッチしている様子が紹介されていた。ちなみに五十嵐氏によれば、ハイタッチ用に作成された“IKモーション”の仕組みを応用することで、『M@GIC☆(GRAND VERSION)』の14人の手繋ぎや、『Secret Daybreak』の手合わせ、『幸せの法則 ~ルール~』の手繋ぎなどの表現も実現することができたそうだ。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 続いて紹介されたケースは、『Unlock Starbeat』における“アイドル全員に楽器を演奏させたい”という要望について。本楽曲は、『デレステ』で初めて楽器を用いたMVとなっている。これまで、アイドルたちに楽器を持たせる、という事例がなかったため、この要望を実現するために、あらゆる課題が見つかったそう。見つかった課題は、アイドルの体型差の対応、アイドルによる利き手への対応、モーションキャプチャーの撮影方法の3つ。ここからは、それぞれの課題への対応方法が紹介された。

 まずは、アイドルの体型差の対応方法について。楽器演奏に関わる体型差分は大きくふたつあるという。ひとつ目は、身長差分。これは、どの身長のアイドルが楽器を持っても違和感のないように、楽器にアイドルと同じスケールをかけることで対応したとのこと。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
最小身長の横山千佳だとキーボードが小さく、最大身長の諸星きらりだと大きくなっているのがわかる。

 楽器演奏に関わる体型差分のふたつ目は、胸差分。この胸差分は、楽器演奏におけるギターやベースのストラップの箇所の埋まりに干渉してくるそう。『デレステ』のモデルの胸のサイズは、SS、S、M、L、LLの5パターンあるが、この胸のサイズをそのままMVに実装すると、SSサイズだと胸とストラップの間に隙間が空いてしまい、LLサイズだと胸にストラップが大きく埋まってしまう、という問題が発生したという。

 この問題に対しては、胸のサイズによって、ギターやベースのストラップの位置が変わる機能を実装することで、どの胸のサイズのアイドルでも違和感なくギター、ベースを持てるように対応したそうだ。

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ストラップの位置を調整後の画像。モデルの胸のサイズに合わせて、ストラップの位置、形が変わっていることがわかる。

 続いて、アイドルによる利き手への対応方法が紹介。『デレステ』には、左手でギターを弾くことができる木村夏樹というアイドルがいるが、彼女のように、左手でギターを弾くことに意味のあるアイドルがいたため、左利きのアイドルには左手で弾かせたいと要望があったそう。この課題への対応として、右利きで作成したモーションを反転し、左利き用のモーションとしてデータを用意し、アイドルの利き手に応じて、右利き、左利きのモーションを読み分ける機能を実装して対応したそう。しかし、ただモーションを反転するだけでは、アイドルがカメラから見切れるという問題が発生。この問題は、モーションの反転に伴い、キャラクターの移動地も反転するため、本来想定されていた立ち位置よりも少しズレてしまうことが原因であったそう。

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 この問題に対応するために、モーションを読み分ける機能とともに、カメラを分岐させる機能、つまり、左利き専用のカメラを作成し、実装することで対応したとのこと。これにより、アイドルがカメラから見切れるという問題は解決されたそうだ。

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 また、カメラによってギターとベースの両方が映るときがあるが、ギターだけでなく、ベースにも左利きのモーション対応を行う必要があるので、カメラを利き手ごとに最大4パターン作成して対応したそうだ。

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 最後の課題は、モーションキャプチャーの撮影方法の対応について。楽器演奏を行うMVということで、しっかりと楽器を弾いている、という動きも重要であることから、これまでのMVのような振り付けのあるダンスではなく、楽器演奏時のリアルで生っぽい動きを再現するため、リアルライブに出演したバンドメンバーにキャプチャー撮影を依頼したとのこと。

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 その結果、アイドルが楽器を演奏している、という動きに説得力を持たせることができたそうだ。ただ、指の動きの箇所だけはキャプチャー撮影の精度があまり良くなく、撮影後にモーションの調整が必要な箇所が多数発生したため、手元だけの演奏を別撮りし、すべてモーションデザイナーが手付けし、撮影を行ったとのこと。

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セッションでは、実際にバンドメンバーが演奏している様子と、モーションデザイナーが作業を行ったデータの比較動画も上映。バンドメンバーが演奏している様子がしっかりと再現されている様子が映し出されていた。

 以上の3つの課題を達成することで、『Unlock Starbeat』における“アイドル全員に楽器を演奏させたい”というコンセプト通りに制作されたそうだ。

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 ふたつのケースが発表された後は、各MVでの新規仕組み実装の事例が紹介された。ひとつ目は、“カメラの表現方法を増やしたい”という要望について。こちらは“マルチカメラ”機能を実装することで対応したそう。

 “マルチカメラ”機能は、複数のカメラによるレンダリング(※1)結果を、好きなマスク(※2)で切り抜くことで、一枚絵だけではない、多様なカメラ表現を可能にする機能とのこと。この機能は、『Gossip Club』や『オウムアムアに幸運を』といったMVに活用され、カメラワークによる表現の幅が飛躍的に広がったそうだ。

※1.元のデータに処理や演算を行い、画像や映像を生成すること。
※2.指定した特定の箇所のみ抽出すること。

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 ふたつ目は、“ポーズや演技モーションをMV中に差し込みたい”という要望について。この要望については、“Chara Motion Overwrite”という機能により対応したそう。

 “Chara Motion Overwrite”は、ダンスモーションの途中に、別のモーションを差し込む機能のことで、これによりダンス以外の表現の幅が飛躍的に広がったそう。この機能は、『Fascinate』、『O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!』などの楽曲のMVで活用されているとのことだ。

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 “Chara Motion Overwrite”機能を取り入れるまでは、ダンスモーションデータの一部を削除し、削除した箇所にポーズや演技などのモーションデータを差し込んでいたそう。しかしながら、ボーズや演技のタイミングを変えたいときは、その度モーション担当者に依頼しなければならないため、カメラ担当者が気軽にモーションを差し込むことができず、効率が悪い状態であったという。

 “Chara Motion Overwrite”機能では、クリップ(※3)化してあるモーションデータを好きなタイミングで配置することが可能となったため、カメラ担当者の不要なやり取りが減り、作業効率が上がったそう。ちなみに、最初のケースで取り上げられた『お願い!シンデレラ(GRAND VERSION)』では、60種類以上のモーションがあったため、この機能がとても役立ったとのことだ。

※3.映像を編集するために利用される、個々の素材のこと。

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 3つ目は、“風が吹いているように演出したい”という要望について。これには、“風機能”を新たに実装することで、対応したとのこと。

 “風機能”はその名のとおり、実際に風が吹いているように装飾品などの揺れものを揺らす機能であるそう。特殊な例としては、海の中の揺らめきや浮遊感の表現にも使われているそうで、この機能の実装により、屋外を舞台としたMVにて、アイドルの自然な存在感を演出することが可能ととなったという。

 また“風機能”は、髪の毛の毛束などに自然な単位ごとに周期をずらした力を加えることも可能で、髪や衣装がバラバラに揺れることなく、ランダムで自然なそよめきを表現することにも一役買っているそう。この機能は『Secret Daybreak』や『ほほえみDiary』などのMVで活用されているそうだ。

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ここで、“風機能”を使用した実際の動画が上映。毛束や装飾品に少しずつ揺れ方に差を出す様子が表現されていた。ちなみに、右側のアイドル・速水奏の髪は、もともと揺れないようになっていたが、『Secret Daybreak』の制作のために“風機能”を実装した際、速水奏の既存のモデルすべての髪が揺れるように調整したそうだ。

 4つ目は、“特定のアイドルに固有の演出をしたい”という要望について。この要望を実現するために追加されたのは、“Timeline分岐機能”。この機能は、指定した条件によって、カメラやモーションが分岐する機能とのことで、キャラ固有やユニット限定の特別な演出が表現できるようなったそう。『Gaze and Gaze』のMVで使用されているそうだ。なお、この機能は『Unlock Starbeat』のケースで紹介された、利き手を判別し、モーションカメラを読み分ける機能を改良して作成されたとのこと。

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 以上で、MVにおける新機能の追加実装の実例紹介が終了。続いて、アイドルをより魅力的に見せるための衣装のアップデートについての紹介が、横山氏より行われた。『デレステ』における衣装とは、MVでアイドルをより魅力的に輝かせるアイテムを指す。各アイドルの個性に合わせてデザインされるため、衣装の種類もじつにさまざま。ドレスやワンピース、和服にきぐるみまで、多岐に渡っている。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
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 そんな、多種多様な衣装を3Dモデルを制作するにあたって、横山氏によれば、つぎの2点が厳守されているという。1点目は、ポリゴン数、テクスチャ容量などを規定の仕様内に収めること。その理由は、この仕様を無視してしまうと、FPSの低下や予期せぬ不具合が発生してしまい、MVの品質を低下させてしまうことにも繋がるからだという。

 2点目は、すべてのモーションに対応できるようにすること。これは、歩く、走る、しゃがむ、接近するといった、さまざまな動きに耐え、MV中に不自然さを感じさせないようにすることが重要であるからだそう。この2点は絶対条件として念頭に置いて開発が行われているそうだ。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 衣装モデル作成のワークフローは以下画像のとおり。まずは、衣装デザイン班がアイドルの個性に合った衣装のデザインを考案。つぎに、衣装デザイン班から発注を受けた3Dキャラモデル班が、仕様内での表現が可能かを検討。また、衣装を制作するにあたって新たな機能が必要となる場合、エンジニアによる機能開発も行われる。テストモデルを用いての検証が行われた後は、衣装デザインの最終決定を行い、3Dモデルの本制作へ。最後にさまざまなチェックや調整が行われ、リリースとなる。

 本セッションでは、発注から機能開発までの間の工程において、特殊な新機能開発が必要となった衣装の実例を交えての紹介が行われた。

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 ひとつ目の制作事例は、『デレステ』4周年衣装“レインボー・カラーズ”における“タスキの虹と星を動かしたい!”という事例について。本衣装では特徴的なタスキが掛けられており、その要望として、タスキ内の虹と星を動かし、豪華な印象にしたい、というものがあったという。虹と星の理想的な動きかたとしては、“テーマパークのイルミネーションのように”という要望もあったため、虹と星をそれぞれ違う動きをさせる必要があると判断し、制作に当たったとのこと。

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 『デレステ』のキャラモデルで現状使用可能なテクスチャは計3種。虹と星で違った動きを表現するためには、3種のテクスチャのいずれかに、虹のコントロール用、星のコントロール用、それぞれの情報を与える必要があったそう。制作においては、以下のように、限られたテクスチャ内で工夫を凝らすことで、虹と星に違った動きをさせることが実現できたそうだ。

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 ふたつ目の制作事例は、“裾を引きずらせたい!”という、ロングスカート衣装の実装例。制作事例として取り上げられたのは三船美優の衣装。豪華なドレス衣装で、裾を引きずるほどのロングスカートのデザインとなっているが、裾が床に埋まってしまうかも、という懸念があったそう。この問題を解決するために、以下の手法が取られ、裾が床に埋まるという問題も解決しつつ、しゃがんだ際の裾の広がり具合など、衣装の自然な動きも実現することができたそうだ。

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 3つ目は、“大きなツバサをつけたい!”など、大きな装飾をつけた衣装の制作事例。大きな翼の装飾がついた衣装などは、MV中にアイドルどうしが接近した際、隣のアイドルに装飾がぶつかってしまい、MV中に不自然さを感じさせない、という衣装の3Dモデルの制作における原則に反することとなる。そのために、隣合うアイドルを避ける仕組みを新たに追加したそう。これにより、アイドルどうしが近づいた際に、翼に当たらないよう、自然と避けるようなアイドルの動きが実現できたそうだ。

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 続いて、特殊な新機能開発が必要となった衣装の実例として、ドレスコーデ機能について取り上げられた。ドレスコーデ機能は、対応した衣装の各パーツのカラーをコーディネートし、MVやフォトスタジオなどでアイドルが着用する衣装として制作することができる追加機能として実装。2019年7月には、上下で組み合わせが変えられるレッスンウェアも登場している。

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 ドレスコーデ機能の仕組みは、衣装ごとに決められた5つのパーツそれぞれにカラーパレットを作成することで、衣装の色替えが可能。横山氏によれば、このドレスコーデ機能を追加するにあたってこだわった点は2点あるそう。1点は、衣装の色を変えるにあたって、より美しい色の表現を目指した、という点。もう1点は、全員が着用可能な上下バリエーション衣装を追加した、という点だそうだ。セッションでは、この2点について、とくにこだわったところと、工夫したポイントが紹介された。

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 まずひとつ目の、より美しい色の目指す、という点においては、カラーパレット機能にこだわったそう。『デレステ』の衣装テクスチャには、通常の色だけではなく、光沢色、影色など、さまざまな情報が書き込まれているとのこと。

 しかし、あらゆる情報が描き込まれているテクスチャに、ただ色の変更を加えるだけでは、色が濁ったり、くすんだりしてしまうため、アイドル衣装らしい、鮮やかな色の表現ができないことから、光沢色と影色の情報を抽出し、制御をすることで、鮮やかな色の表現を実現したそうだ。

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 続いて、ドレスコーデ機能へのこだわった点のふたつ目である、上下バリエーション衣装として追加されたレッスンウェア衣装について、開発実例とともに、とくにこだわったポイントなどが紹介された。レッスンウェアは、すべてのアイドルが着用可能なドレスコーデ対応衣装で、色のコーディネートだけでなく、上下の衣装が自由に組み合わせ可能な衣装となっているのが大きな特徴だ。

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 横山氏によれば、全員が着用可能な上下バリエーション衣装を追加するためには、既存のシステムでは、膨大な量の体型差分のモデルを用意する必要になる、という問題が生じたそう。そこで、エンジニア、デザイナーと相談した結果、衣装の上下を切り分けてモデルを作成し、ゲーム上で上下1対の衣装に合体させるという手法を取ることで、体型差分モデルの総数を抑えることができ、生産コストも大きく抑えることができたそうだ。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
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 ここからは、新規アプリコンテンツ“3Dコミュ”制作事例について、五十嵐氏より解説が行われた。

 3Dコミュは、楽屋や舞台裏など、アイドルたちの日常を3Dで視聴できるコミュのことで、VRでよりリアルな没入感が楽しめるVR VIEWと、端末を傾けて操作するGYRO VIEWの2パターンの視聴方法で楽しめる。

 この3Dコミュは、2019年9月に“『デレステ』をもっと楽しむためのアプリ”としてリリースされた『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトスポット』(以下『デレスポ』)のコンテンツのひとつ。ちなみに、『デレスポ』ではほかに、『デレステ』の楽曲をより楽しめるサウンドブース、アイドルに好きなポーズなどを取ってもらい、その様子を写真に収めることができるフォトスタジオといったコンテンツが存在する。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
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 五十嵐氏いわく、“3Dコミュ”制作にあたり、制作陣がいちばん重視したのは、“アイドルを身近に感じられるコンテンツにする”という点だそう。そのために、大きくこだわった点は3つあるという。1点目は、アイドルどうしの自然なやり取りを再現すること。2点目は、アイドルが存在している! と感じられるようにすること。3点目は、アイドルたちのいる世界を表現すること。この3点について、どのようにこだわったのか、五十嵐氏より順に解説が行われた。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 まずは、アイドルどうしの自然なやり取りを再現すること、という点についてこだわったポイントが紹介。五十嵐氏いわく、『デレステ』における、アイドルどうしの自然のやり取りとは、背景や小物を使った動きやアイドルどうしの複雑なやり取りができる、とのこと。これらを表現するために挑戦したことは、多人数でのモーションキャプチャーを行う前に、事前にリハーサルを行い、演技の導線確認を行ったそう。

 下記の画像のいちばん左シーンは、9人のアイドルがひとりひとり楽屋の扉より退出していく場面。ここでは、シナリオの通りの順番でアイドルが詰まることなく、想定された時間内で退出できるかの確認を行ったそう。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 続いて、中央のシーン。これは、アイドルが小物を取りに行くシーンだが、その撮影のために、小物の机などの位置、小物を取る際の衣装の埋まりがないかを確認したそうだ。

 右2枚の画像は、アイドルがほかのアイドルの肩に手を置く、ほかのアイドルを引き寄せる、といった、アイドルどうしでの動きのあるシーン。このシーンの撮影の際には、互いの髪の毛や衣装の干渉が起こっていないかの確認が行われたとのこと。

 このように、事前にリハーサルを行ったことで、シナリオや背景の不備に事前に気付き、修正が行えたことで、撮影時のリテイクが減り、アクターの負担を減らすことができたと五十嵐は語った。また五十嵐氏によれば、アイドルや小物の位置が正確になったことが、より自然な演技の表現にも繋がったそう。そうすることで、アイドルたちの自然な動きが表現でき、その後のモーション調整の負担も軽減されたそうだ。

 もちろん、シナリオは事前に読んで確認を行うが、それだけでは気付かなかった不備、仕様が自分たちで動いて確認するこで明確になり、それにより、撮影時のごたごたや、急な仕様変更などを減らすために、事前のリハーサルでの導線確認は必須といえる、と五十嵐は熱弁した。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 続いては、アイドルが存在している! と感じられるようにすること、という点について、こだわったポイントが紹介。この点については、リアルなサウンド、というところに、とくにこだわったそう。

 ここでのリアルなサウンドとは、アイドルたちから発せられる、声や足音といった、音。これらの音をそれぞれ、顔や足元などから聞こえるという、当たり前を実現するために、顔、腰、右手、左手、足の最大5箇所にキャラクターのオーディオプレイヤーを分割し、使用しているとのこと。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 ほかにも、アイドルの存在感や、自分がいまアイドルたちと同じ空間にいる、という没入感を演出するために、動作音などの収録も、映像を再生しながら、映像内の動作を別で録音するFoleyという手法が取られているなど、リアルなサウンドを追求するためにさまざまなこだわりのもと制作されていることが紹介された。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 3点目の、アイドルたちのいる世界を表現すること、という点については、舞台裏にはたくさんのアイドルがいてほしい、楽屋にはたくさん鏡があるはず、特殊な世界観でも表現したい、といった、『デレステ』の世界観をしっかりと表現するというところにこだわったとのこと。五十嵐氏によれば、これらを実現するためには、負荷対策という問題が大きくつきまとっていたとのこと。ここからは、横山氏による解説のもと、負荷対策のために行った施策が紹介された。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 ひとつ目は、メモリ負荷対策について。3Dコミュでは、10分以上の長尺に渡り、大人数のアイドルが出演し、自由に動き回ったり、会話を行っている。そのため、3Dコミュ制作するためには膨大サウンドやモーションを使うため、メモリ負荷対策が必須な状況であったという。

 そのための対策としては、サウンドの分散ロード機能を使用し、アイドルのボイスや動作音など、コミュ内の特定のタイミングで使用される音源をブロック単位で管理し、各ブロックごとに、ロードするタイミングを指定できるようにしたそうだ。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 ふたつ目は、fps負荷対策について。3Dコミュでは、描写物が多く、fpsが下がりやすいが、つねに60fpsをキープさせたいというこだわりもあったため、fps負荷対策というのもしっかり行わなければならない状況であったという。その対策の一例として、鏡の表現方法について、横山氏より解説が行われた。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 鏡の表現については、鏡の視点に設置された専用のカメラで描画が行われているそう。ここで、鏡が移す範囲やオブジェクトの種類を細かく設定することで、無用な描写負荷を減らしているそうだ。 

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 最後の負荷対策は、イテレーション(※4)の効率化について。横山氏いわく、負荷対策においては、負荷計測時における反復、イデレーションの効率化が大切とのこと。一度の負荷計測にかかる時間が少なければ少ないほど、細かな対策ができるゆえ、この負荷の計測手段については日々改良が重ねられているという。

※4.一定の工程を短期間で何度も繰り返し行うこと。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 以上で、3DCG制作事例の紹介が行われたところで、最後に横山氏によるセッションの総括へ。横山氏によれば、つねにユーザーに新しい体験を届け続けるためには、同時にいくつものコンテンツを開発、運営していくことが重要であるとのこと。そして、その中もっとも大切なことは、『デレステ』としてアイドルをより輝かせるための“目指すビジョン”、アイドルひとりひとりがアイドルらしくあるために必要な“譲れないポイント”、この2点を明確化することだという。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】
『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 そして、そのコンテンツでなにを表現したいのかを明確にすることで、大規模開発においても軸がブレることなく、既存のビジョンを追求でき、コンテンツどうしをまとまりのあるものにすることができると横山氏は語る。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】

 また横山氏はさらに、アイドルが魅力的になるために、新しくどのような表現をしたいのか、アイドルがアイドルらしくあるために、なにが譲れないポイントなのかをまず考え、そのために開発チームはコンテンツや機能を開発してきたと力説。続けて、それゆえ、約5年間、アプリの運用を続けることができていると語り、アイドルひとりひとりへの想いが開発の原動力となっており、開発スタッフはアイドルたちが大好きである、と開発チームへの本作への想いが語られたところで、本セッションは終了となった。

『デレステ』ユーザーに新しい体験を届け続けるには、アイドルたちへの“想い”がなによりも大切【CEDEC 2020】