2020年9月2日~4日まで、CEDEC公式サイトのオンライン上にて開催された日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けのカンファレンスCEDEC 2020。

 本記事では、最終日におこなわれた『どうぶつの森』シリーズと、シリーズ最新作の『あつまれ どうぶつの森』(『あつ森』)に関する関するカンファレンス“『あつまれ どうぶつの森』~シリーズにおける伝統と革新の両立を目指すゲームデザイン~”をリポートする。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 セッションでは、『あつまれ どうぶつの森』のプロデューサー・野上 恒氏と、ディレクターの京極あや氏により、『どうぶつの森』の歴史を振り返りながら、『あつまれ どうぶつの森』に至るまでの、ゲーム自体の変遷、開発体制の変遷について語られた。

 2021年4月で20周年を迎えるシリーズであることもあり、内容も濃く、リポート自体も長めなので、じっくりと読み進めてほしい。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

初代『どうぶつの森』のコンセプト

 本題に入るその前に、野上氏は『どうぶつの森』シリーズは“かわいいどうぶつたちとのんびり暮らすゲーム”、“小さい女の子向けのゲーム”と思っている人も多いのでは? と視聴者たちに質問。『あつまれ どうぶつの森』のプレイヤーデータを例にすると、じつは男女比はほとんど同じで、しかも20代前後のプレイヤーがもっとも多いことを明かした。

 といっても、これは2020年7月と、発売から数ヵ月経った時点でのデータ。野上氏「子どもは自由にゲームを買える立場ではないので、こういう結果になっているのかも」という推測も語っていた。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
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『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

『どうぶつの森』とはコミュニケーションツール

 また、ゲームコンセプト自体は、初代『どうぶつの森』のころから変わらず、どうぶつといっしょにのんびり暮らすこと……ではなく、人と人とがコミュニケーションすること。

 『どうぶつの森』シリーズの公式ジャンル名が“コミュニケーション”となっているのは、どうぶつたちとのコミュニケーションという面でも間違ってはいないが、人と人とのコミュニケーションという意味合いが強いようだ。事実、初代『どうぶつの森』のパッケージには、たくさんの人といっしょに遊んでほしいという言葉が多数散りばめられている。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
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 『どうぶつの森』シリーズは基本的に、村というひとつのセーブデータを共有し、複数のプレイヤーが遊べるシステムになっている。村に植物を誰かが植えたら、ほかのプレイヤーもその植物を見ることができるし、収穫なども可能。非同期型のコミュニケーションが楽しめる。

 そこで重要となるのが、どうぶつたちの役割。たとえば、ひとりのプレイヤーがどうぶつと会話すれば、どうぶつはそのプレイヤーのことを記憶する。そしてその行動や会話内容をどうぶつたちは、ほかのプレイヤーに伝達してくれるので、どうぶつを介してプレイヤーとプレイヤーのコミュニケーションできるというわけだ。

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 また、ニンテンドウ 64の『どうぶつの森』や、ニンテンドー ゲームキューブの『どうぶつの森+』は、コントローラパックやメモリーカードを介して、ほかのプレイヤーの村に遊びにいくことができた。

 ほかのプレイヤーの村へ遊びに行き、たとえば釣りを楽しんだとすると、その村の住民であるどうぶつたちはそのことを記憶し、その村のプレイヤーへ「●●さんは釣りばかりしていた」というような情報を伝達してくれる。

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 さらに、初代『どうぶつの森』などでは、ほかのプレイヤーの村へ遊びにいくときに、こっそりデータの中にどうぶつたちが付いてきて、ほかの村へ引っ越しするという仕様だった。引っ越ししたどうぶつたちは、前に住んでいた村のことを覚えているし、前の村のプレイヤーの存在も覚えているので、引っ越しをすると「またあったね」と言ってくれるのだ。

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どうぶつたちが持つ、人格

 どうぶつのひとり、ニコバンを例に、野上氏はこの記憶こそがどうぶつたちの人格であり、唯一無二の個体になると語る。たとえば自分の村のニコバンに話しかければ「またあったね」と言うが、別の村にいるニコバンに話しかけても「はじめまして」となる。ニコバンはニコバンでも、完全に別の個体となるわけだ。

 ちなみにニコバンは『どうぶつの森』でいちばん最初に作られたどうぶつであるため、誕生日が1月1日であることを明かしていた。

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 なお、どうぶつたちはたぬきち、しずえ、とたけけなど、完全に役割と人格が決められたものと、記憶という名の人格を持つ住民となるどうぶつたちに分けられる。プレイヤーたちに、どうぶつたちへの愛着を持ってもらえるのは、単純に見た目がカワイイだけでなく、記憶を持っているからだと野上氏は考えているそうだ。

 ただし愛着というのは、ゆっくりと愛着が湧き、ゆっくりと染み出すものなので、すぐに魅力を伝えるのは難しい。どうぶつたちと長い時間をかけていっしょに過ごすことで、より実感のあるものになると野上氏は語った。

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 住民となるどうぶつは初代『どうぶつの森』の時点で200種類以上。『あつまれ どうぶつの森』では、400種類以上も登場する。なぜここまで多数のどうぶつを登場させたのかというと、ほかのプレイヤーの村に遊びに行ったときに、自分の村の住民と見た目がかぶらないようにするためだったそうだ。同じ種類のどうぶつがそれぞれ別の人格を持っているとはいえ、たとえばニコバンがふたりいるというのは、どうしても少し違和感がある。それを極力避けるために、豊富などうぶつの種類を用意したそうだ。

 どうぶつの中には、見た目で人気を博しているどうぶつがいることを野上氏は当然把握しているそうだが、プレイヤー各々が長い時間をかけて、どうぶつたちといっしょに過ごし、それぞれのどうぶつに思い出を共有していくことこそが、プレイヤーそれぞれにとっての、いちばんのどうぶつになると、野上氏は語った。

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ネットワークを介さないオンラインゲームを目指した

 さて、“おでかけ”するという要素の魅力は、ほかのプレイヤーのセーブデータに相互に関係を持つことにある。より近しいプレイヤーどうしのセーブデータともなれば、村どうし行き来もしやすいので、別のセーブデータではありつつも、完璧につながりを持ったセーブデータになるだろう。

 それが複数のプレイヤーとつながりを持てば、数多のセーブデータとのつながりにもなる。つながりを持ったセーブデータが、さらにほかのセーブデータともつながれば、無数のセーブデータとのつながっていく。ひとつのゲームのセーブデータが、全プレイヤーとつながりを持つことも可能というわけだ。

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 ひとつのデータを大多数のプレイヤーが共有するというのは、いまでいうMMORPGのようなゲーム設計。初代『どうぶつの森』が発売された2001年は、まだまだインターネット黎明期。インターネットは大人の趣味という感じで、大衆が気軽に触れられるものでもなかった。

 そんな時代に、じつは『どうぶつの森』は“インターネットを使わないオンラインゲーム”というコンセプトで作られたのだ。もちろん時代を経て、『あつまれ どうぶつの森』などはインターネットを使用しているが、基本構造は変えていないとのこと。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 『どうぶつの森』は、交換日記のようなシステムだと野上氏は語る。自分のペースで情報を伝えることができるし、好きなことをしているうちに自然と情報が蓄積され、それがほかのプレイヤーに伝わる。さらに現実の時間に合わせて、ゆっくりと変化していくので、長く続けられる空間を作ることができたそうだ。

 サカナ釣りや、ムシとりなど、さまざまな遊びが用意されている『どうぶつの森』。じつはこれらは、プレイヤーそれぞれが“なにをしたか”を記録するため、そしてどんなことが好きなのか、などということをほかの人に共有するために生まれたものなのだとか。

 インターネットを使用したゲームならば、ネットを介して、チャットなどの直接的なコミュニケーションを瞬時におこなえる。非同期型のコミュニケーションだからこそ、『どうぶつの森』は『どうぶつの森』ならではのアイデンティティを獲得することができたのだ。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 けっきょくのところ、『どうぶつの森』シリーズというのは、“どうぶつたちといっしょにのんびり暮らすゲーム”という認識は間違っていない。ただ、それはすべて“人と人がコミュニケーションを取るため”に用意されたものだということを野上氏はアピールしていた。

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『どうぶつの森』シリーズの変遷

 続いては、『どうぶつの森』シリーズの変遷について、野上氏と京極氏が解説。先述したように初代『どうぶつの森』では、どうぶつたちがほかの村へ引っ越しをするという要素があった。しかし、引っ越さない限り、自分の村に登場するどうぶつは完全に固定化してしまい、200種類以上も用意されているのにも関わらず、ほかのどうぶつを見ることができなかった。

『どうぶつの森+』への進化

 「いろいろなどうぶつを見たい」というプレイヤーの要望も汲み取り、続編である『どうぶつの森+』では、どうぶつたちがどこかの村へ引っ越しをすると言って、代わりに新たなどうぶつが住民となる要素を加えた。ただ、この要素はいいことばかりではなく、村に住んでいた住民の記憶、つまりセーブデータにセーブされた住民の記憶データも失われてしまうということ。また、ほかのプレイヤーの村にいる住民とかぶってしまう確率も大きく上がる。そのデメリットを把握しつつも、要望を優先して仕様を変更したそうだ。

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『おいでよ どうぶつの森』でインターネット導入

 ニンテンドーDSで発売された『おいでよ どうぶつの森』以降は、メモリカードなどを介さず、ローカル通信やインターネット通信を導入。さらに、ひとつの村で複数のプレイヤーが同時に遊べる、同期型コミュニケーションが採用された。ただ、ほかのプレイヤーが取った行動をどうぶつたちが記憶するので、非同期型のコミュニケーションも健在。気軽にほかのプレイヤーの村へ遊びに行けるので、セーブデータの交換もより加速。ということは、非同期型コミュニケーションも加速していったのだ。

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 野上氏は思い出のひとつとして、『おいでよ どうぶつの森』のイベントのひとつ“カウントダウン”を紹介。これは12月31日の大晦日に起きるもので、来年の1月1日を迎える0時をカウントダウンし、年明けをゲーム内で楽しめるというもの。

 野上氏は当時、インターネット掲示板の『おいでよ どうぶつの森』に関するスレッドでプレイヤーたちの様子を眺めていたが、年明けになったとたん、スレッドが一気に「あけましておめでとう!」で埋まったそうだ。ゲーム内では複数のプレイヤーと同期していないのだが、ゲーム内のイベントで同じ時間を複数のプレイヤーが共有しているので、非同期型でありながらも現実世界で同期しているのがとても新鮮だったそうだ。

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 そういったこともあり、『どうぶつの森』シリーズは、必ずしもゲームを通してのコミュニケーションだけではないと野上氏は考えている。たとえばお父さんがレアなサカナを釣って、子どもに自慢するなど、日常のコミュニケーションの加速するのだ。こういったやり取りは、じつは初代『どうぶつの森』のコンセプトを考えたときには、想像もしていなかったことだと明かしていた。

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『街へいこうよ どうぶつの森』の反省

 Wiiで発売された『街へいこうよ どうぶつの森』では、インターネットを介した同期型コミュニケーションをさらに発展させ、さらにメールのような機能などで非同期型コミュニケーションの強化も目指した。しかし、野上氏はそこがプレイヤーにうまく伝わらなかったと反省。

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 非同期型コミュニケーションは、先述の通りじっくりと染み出してくる魅力だ。その前に、通常の遊びの部分に変化が少なく、プレイヤーからは「『おいでよ どうぶつの森』と何も変わらない」という印象を持たれてしまったと、野上氏は語る。今後シリーズを続けていくには、まず大きな変化をアピールすることが大事だと痛感したという。

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『とびだせ どうぶつの森』の革新

 そこで、ニンテンドー3DSで発売された『とびだせ どうぶつの森』では、開発初期から“変化”というのを大きなテーマにしたと、京極氏は語る。そのために、何があれば『どうぶつの森』で、何を消すと『どうぶつの森』となるのか、イチから見直したところ、それはやはり“コミュニケーション”だった。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 『街へいこうよ どうぶつの森』では、コミュニケーションの種となる要素を十分に蒔けていなかったと考え、時代とハードに合わせたコミュニケーションを再構築。そして「今度の『どうぶつの森』は、村長になって村起こしから始まるぞ!」という、既存のプレイヤーにも遊ぶ前からわかりやすい新しさを用意したのだとか。

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 コミュニケーションでは、ニンテンドー3DSのすれ違い通信を利用した“住宅展示場”や、通信でみんなでいっしょに楽しめる“南の島”、インターネットを介して気軽に人の島を観光できる“夢見の館”など、携帯機の特徴にあわせた方法を用意。そういった取り組みの結果もあり、『おいでよ どうぶつの森』の累計販売本数を大きく上回り、『とびだせ どうぶつの森』はシリーズ史上もっとも売れたタイトルになったと、京極氏はアピールした。

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 なお、ゲームデザインの変遷は3つに分かれており、『あつまれ どうぶつの森』は第三世代にあたるという。記録媒体を介したものが第一世代、インターネットを介したものが第二世代で、『とびだせ どうぶつの森』はその集大成にあたるそうだ。ただ、『とびだせ どうぶつの森』は目新しい要素を既存のプレイヤーへ大々的にアピールすることがメインであったため、新規のプレイヤーにはやや遊びにくいものになってしまったと京極氏は反省していた。

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シリーズ第三世代となる『あつまれ どうぶつの森』

 そして、シリーズ最新作『あつまれ どうぶつの森』へとつながっていく。開発の方針としては、コミュニケーションの種を時代に合わせて蒔き直すこと、そして遊ぶ前から目新しい要素が分かるようにすること、と前作と何も変わってはいない。『あつまれ どうぶつの森』ではさらに、『どうぶつの森』シリーズを体験したことがない人や、iOS、Androidでサービス中の『どうぶつの森 ポケットキャンプ』からシリーズに初めて触れた人たちにも遊んでもらいたい、という新規プレイヤー層の開拓も狙ったそうだ。

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 コミュニケーションの強化面では、ひとつの村に複数のプレイヤーが住んだ場合、これまでは別々の時間でしか遊ぶことができなかった。『あつまれ どうぶつの森』ではパーティーモードを用意し、同一の村で複数のプレイヤーがローカルで遊べるようになった。

 また、自分のデザインを洋服などにするマイデザイン機能が、世界中のプレイヤーに共有できるようになったほか、一時的なパスワードで気軽にほかのプレイヤーを島に迎え入れるようになるなど、既存システムの強化・変化をもたらした。

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 新たなプレイヤー層を開拓するという点では、ゲームの間口を広めるためにさまざまな要素を加えた。『どうぶつの森』シリーズは“生活する”というのがゲームのメインで、言ってしまえば終わりのないものだ。『どうぶつの森』シリーズを辞めるときというのは、やることがなくなったとか、飽きてしまったときになるだろう。そこで、終わりのないゲームでも、ゲームクリアーのような達成感を残して、プレイヤーの思い出になるように取り組んだという。

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ゲーム導入部分の革新

 具体的に言うと、『あつまれ どうぶつの森』では、プレイヤーは無人島に訪れ、無人島ライフを送る。その中で無人島を開拓していき、つぎに島おこしをするようになっていく。『とびだせ どうぶつの森』の“村長になり、村おこしをする”というように、ひとことで伝わる新しい要素となるように、“無人島ライフを送る”と分かりやすくしたそうだ。さらに『あつまれ どうぶつの森』では、無人島生活を送る中で島が発展していき、最終的には、伝説的なミュージシャン・とたけけを招いてライブを開催するという最終的な目標を取り入れた。

 序盤からある程度ストーリーの流れに沿った体験をプレイヤーに味わってもらい、とたけけのライブが開催されれば、ある意味ゲームクリアー。それ以降は、これまで通りの『どうぶつの森』シリーズと同じく、自由気ままに遊んでもらうという2部構成にしたという。

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新要素をうまく体験してもらうために

 そこを『あつまれ どうぶつの森』では、ひとつのことが解放されると、複数の要素が遊べる、または解放できるように体験の幅を広げたそうだ。『とびだせ どうぶつの森』も1個1個の要素が解放され、村に変化が生まれるものの、それでも既存の村での生活が変わるものではなかった。シリーズの続編を作り、目新しさを感じてもらおうとする場合、基本的な仕組みを変更したり、新たな要素を加えるといった、さまざまなやり方が存在する。

 しかし、『どうぶつの森』の場合は、新要素を加えたとしても、その新要素を体験するタイミングがあとになってしまうと、結局のところ前作でやった同じことだと感じ取られてしまうため、ひとつの要素の解放で、新要素や既存の要素など、さまざまな選択肢につなげるようにしたそうだ。もちろん、すべての要素でそれをやってしまうと、取れる選択肢が膨大になりすぎてプレイヤーが戸惑ってしまうので、いくつかの要素で採用したという。

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 たとえば『あつまれ どうぶつの森』では、植物などから素材を取得し、家具を作るDIYの要素がある。これまでのシリーズ作での植物は、花を育てたり、村の景観づくりに活用するというのがおもな楽しみかた。そこに、素材を取得するという要素が加わったことで、植物自体の役割が増えたのだ。

 さらに、道具や家具はこれまでは購入するのがおもな入手方法だったが、DIYにより道具や家具を作るか、それとも買うのかという選択肢も生まれた。素材自体も、そのまま売るのか、それともDIYで家具にしてから売るのかなど、選択肢を大きく増やすことに成功。これにより、何もない無人島でありつつも、序盤から過去作とは異なるプレイフィールを実現した。

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 また、『どうぶつの森』シリーズは決まった目標が存在しない。いろいろな遊びかたが用意されていることもあり、新しいユーザーは何をしていいのかとまどってしまうし、そもそもその遊びかたがわからない、何ができるのかわからない、ということもあるだろう。

 そこで、新システムのたぬきマイレージを導入。ご褒美がもらえる目標を達成することで、何ができるのか、どうやって生活すればいいのか、いわばチュートリアルのような役割を用意した。さらに、これまでムシとりを積極的にしていなかったプレイヤーに、ムシとりの楽しさを知ってもらう、ということも狙ったそうだ。

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 また、たぬきマイレージは既存のプレイヤーにとっても新しい遊びかたを生むことができた。たとえば、これまでのシリーズ作では売値の高いレアなムシを捕まえて売ったほうが効率がよく、『どうぶつの森』シリーズに慣れているプレイヤーは、売値が低く頻繁に出現するムシは基本的にスルーしてしまうだろう。しかし、たぬきマイレージの目標に“ムシを5匹とる”というものがあれば、頻繁に出現するムシを捕まえたほうが効率がよい。既存のプレイヤーならば、固定化している遊びかたを崩すことにも成功したそうだ。

既存プレイヤーにも新体験を

 これにより、これまでのゲーム進行とは大きく異なる『どうぶつの森』を構築できた。京極氏曰く「『どうぶつの森』はまず、たぬきちに半ば強引にローンを背負わされるところから始まります」というのは、『とびだせ どうぶつの森』までのお決まりの流れだ(ちなみに、視聴者から「半ば……?」、「完全に強引では?」疑問の声があがっていたのはちょっとおもしろかったポイント)。たぬきちへのローン返済生活が始まり、いつものゲームプレイと同時にどんどん新要素が解放されていくというもの。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 それに代わり、『あつまれ どうぶつの森』では、導入部分のボリュームが非常に大きくなった。『とびだせ どうぶつの森』の導入は1日目のみで終わる要素だったが、『あつまれ どうぶつの森』は、毎日プレイしてだいたい2週間程度かかる。その中で、新要素を体験しつつ、たぬきちへのローン返済も必要となり、さまざまな遊びを覚えていくことになるのだ。そして導入が終わると、島を自由にカスタマイズできる島クリエイターなど、上級者向けの要素が解放される。

 なお、『あつまれ どうぶつの森』はアップデートでのコンテンツ追加にも対応。これまでも1年通して遊ぶプレイヤーが多いシリーズだが、2年目以降も新鮮な気持ちで長く遊んでもらうために、生活の選択肢をどんどん広げるという狙いがあるそうだ。

 まとめると、ゲーム前半の導入部分を大きく革新し、無人島生活とは何なのか、どうやって暮らしていくのかという、新要素の紹介を兼ねたチュートリアル。そして発展後は、これまでに学んだ暮らしかたを活用し、ユーザーひとりひとりが好きな目標に向かって遊ぶという、『どうぶつの森』の伝統的な遊び方となるパート。最初に新要素を体験し、後半に伝統的な遊びに還っていくというのが、『あつまれ どうぶつの森』のサイクルなのだ。

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開発体制の変遷

 セッションの後半は、開発体制の変遷について。初代『どうぶつの森』~『どうぶつの森e+』までは、野上氏の先輩である江口勝也氏と、野上氏のふたりがディレクターを務めたという。最初にコミュニケーションゲームだというコンセプトを決めたあと、江口氏はゲーム進行、そしてどうぶつたちなどのメッセージのディレクターを担当。野上氏は、もともとデザイナーだったということもありグラフィックと、システム面のディレクターを担当した。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 『おいでよ どうぶつの森』以降では、江口氏がプロデューサーとなり、野上氏が単独ディレクターに。江口氏が担当していた部分を賄うことになったほか、通信という新たな要素も加わったので、各項目にディレクターを立てて、野上氏はそれをまとめるディレクターとして立ち回った。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 『とびだせ どうぶつの森』以降は、野上氏が1度開発から離れ、毛呂功氏と、京極氏がディレクターになり、グラフィック面に関しては専用のアートディレクターが担当した。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 そして『あつまれ どうぶつの森』では、野上氏がプロデューサーに、京極氏が単独ディレクターとなり、『おいでよ どうぶつの森』と同じような体制に。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

シリーズ持続化の重要なポイント

 開発体制も時代とともに変わっていったが、京極氏はゲームを遊ぶ人たちにとって、「誰がどういう組織でゲームを作っているのかは関係ありません。あくまでも“そのゲームがおもしろいか”、“シリーズとして期待に応えられるのか”がすべてです」とアピール。

 続けて、シリーズ作品であるからこそ、まったく同じようなゲームにしてしまうと、飽きられてしまうというのが宿命だと京極氏は語る。そこで重要となるのが、シリーズ作品のよさはそのままに、過去作とは異なるものを作るというバランスだ。そこがシリーズ開発の醍醐味でもあり、難しいところ。京極氏は経験上重要なポイントを3つ挙げた。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 ひとつは、スタッフへの認識。たとえば新たに入るスタッフは、それまでシリーズを開発していたスタッフよりも、初めてシリーズに関わるスタッフのほうが、じつはゲーム内容を変化させることに慎重になってしまうという。また、ゲーム制作にはさまざまな制約があるため、その制約をクリアーしたものを作った結果、当初の目標とは異なるものになってしまうこともあるそうだ。そのために、過去作でなぜ採用されたのか、どのような変遷を経たコンテンツなのか、という知識をしっかり身に付けることで、変化させることを判断する自信が大事なのだという。

 そのため、京極氏はそういった開発方針や開発の心得を、開発チームのみが閲覧できるホームページで公開している。また、スライドを用いて、開発方針や開発の心得をレクチャーする機会も設けているそうだ。前提条件を全スタッフで擦り合わせ、過去作で作ったものも、いま作るならばどうなるのか、ということを考えることが重要なのだという。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 ふたつ目は、組織について。プロジェクトが大きくなれば、人員も大きくなり、当然全員が共通認識を持つことは難しい。スタッフそれぞれの役割を細分化するのではなく、チームそれぞれがひとつのゲームを作っているという意識が重要だと、京極氏は語る。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 最後は、ゲーム制作自体について。開発中、1度作ったものがボツになるというのは、時間の無駄ではあるし、避けたいところ。しかし、1度試みたこと自体が、ゲーム制作の大きな1歩とも言える。トライ&エラーのトライを避けるのではなく、トライ&エラーをしっかりやり続けることが重要とのこと。また、過去作にあったコンテンツほど、油断しやすいそうで、そのまま過去作から持ってくるのはNG。その要素が、新たな要素とどう絡むのか、しっかりと見極めてから導入するのが重要なのだとか。

 そして、それらは“注文通りに制作できたか”で判断するのではなく、“ゲームとしておもしろくなったのか”という意識が大切だとして、シリーズ持続化の重要なポイントの解説を締めくくった。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 最後に、京極氏は「同じシリーズ作の仕事だとしても、前のシリーズと同じ仕事に感じる、前のシリーズより楽だ、なんて感じることは1度もありません。関西弁で言うと“しんどい”なのですが、このしんどさこそが、変化や成長の証であり、ゲーム制作の楽しさでもあるのです」と語り、本セッションは終了となった。

『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】
『どうぶつの森』がインターネットを介さないオンラインゲームとして開発が始まり、『あつ森』に至るまで。シリーズの歴史と変遷を開発者たちが語る【CEDEC 2020】

 ゲームファンとしては、セッション前半では『どうぶつの森』シリーズを振り返りながら、開発秘話を覗き見るというような感覚に。そして後半は、いかに『どうぶつの森』開発チームが、プレイヤーを本気で楽しませようと考えているのか分かる、熱いセッションとなっていた。

 京極氏がカンファレンス中に、「誰がどういう組織でゲームを作っているのかは関係ありません。あくまでも“そのゲームがおもしろいか”、“シリーズとして期待に応えられるのか”がすべてです」と語ったように、遊ぶ側の人間としては開発の内情を知っても、何ら意味はないかもしれない。それでも筆者としては、より『どうぶつの森』シリーズが好きになり、より開発陣をリスペクトできる、素晴らしいセッションだったと思う。

※画像は配信映像をキャプチャーしたものです。