ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、クライムアクションゲーム『グランド・セフト・オートV』です。
【こういう人におすすめ】
- 衝撃的で刺激的なゲーム体験を楽しみたい
- 歴史に残る作品をその手で遊んでみたい
- モヤモヤした気分を晴らして、スカッとしたい
※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。
コンタカオのおすすめゲーム
『グランド・セフト・オートV』
- プラットフォーム:PS4、PS3、Xbox One、Xbox 360、PC
- 発売日:2014年11月18日
- 発売元:ロックスター・ゲームス
- 価格:5489円[税込]
- パッケージ版:あり
- ダウンロード版:あり
- 『グランド・セフト・オートV』公式サイト
※データはPS4版、Xbox One版のものです。価格は新価格版のものです。
※本ソフトはCEROより“18歳以上のみ対象”の指定を受けておりますが、掲載にあたっては週刊ファミ通の掲載基準に従い考慮しております。
『グランド・セフト・オートV』公式ゲームプレイ動画
初めて『グランド・セフト・オート』(以下、『GTA』)シリーズに触れたのは、2003年9月にプレイステーション2で国内発売された『GTAIII』だ。職場に海外ゲームが好きな同僚がおり、日ごろから好きな映画や音楽の話をよくしていたので、「たぶん好きですよ」と言われてプレイしてみたのだ。
映画『スカーフェイス』や『グッドフェローズ』のようなマフィアの抗争劇などが大好きだった自分にとって、架空とはいえ、明らかにアメリカのニューヨークを意識した“リバティーシティ”という、オープンワールドで構築された世界を自由に行動できるシステム。逮捕された主人公が刑務所への護送中に脱走し、あらゆる手段を尽くして復讐を果たすべくのし上がっていく、ある意味で“王道”のクライムストーリー。そのすべてが新鮮で、飽きるほど観まくった映画の主人公に自分がなっているという高揚感で、完全にハートをカツアゲされてしまった。
主人公がコロンビアのカルテルの一員である設定、人種や国境に関係なく、映画『アウトレイジ』(これも大好き)のキャッチコピー“全員悪人”な様相の登場人物が織り成す物語のピースがつながっていく見事なストーリーテリングは、いままで遊んできたゲームが幼くみえてしまうほどの衝撃だった。
『III』をきっかけにロックスター・ゲームスというデベロッパーを知り、彼らが映画や音楽に精通しており、その愛を恥ずかしげもなく作品にブチ込む姿勢に共感し、『GTA』シリーズはもちろん『マックス・ペイン』、『レッド・デッド』シリーズから『Bully』、『マンハント』、『テーブルテニス』などなど、ロックスター・ゲームスのタイトルをひたすら遊び続けることになる。ちなみに、『STATE OFEMERGENCY』(別メーカーだけどサメゲームの傑作『JAWS: UNLEASHED』も)を遊びたくて、秋葉原のカオス館で北米版のプレイステーション2本体を買い、そのまま“洋ゲー沼”にズブズブとハマった。いまのリージョンフリーな環境はマジで夢のようだ。
話が脱線した。『III』で始まった自分の『GTA』ロードだが、マイアミを想起させる“バイスシティ”で空気感を大きく変えた『GTA:バイスシティ』や、個人的にはいちばん好きな街並の“ロスサントス”が登場する『GTA:サンアンドレアス』など、物語の舞台となる時代のカルチャーを忠実に再現する、ロックスター・ゲームスのディテールに対する“執念”は、作品を重ねていくごとに進化。サントラやグッズにも手を出すようになり、手前味噌の話だが、本誌で2011年にロックスター・ゲームスを特集できたときには、死ぬほどうれしかった。
2008年にプレイステーション3で『GTAIV』が発売され、時が進んだリバティーシティを舞台に、今度はセルビア系の主人公が登場。より複雑で多様化した世界情勢を取り入れ、ロシアン・マフィアも入り乱れたストーリーラインは、多国籍国家であるアメリカでしか成立しない結末を見せてくれた。
その時代の最新ハードの性能を限界まで引き出すロックスター・ゲームスなので、『GTAIV』でも、カバーアクションを使った銃撃戦、携帯電話を中心にしたユーザーインターフェース、車両の挙動の改善から、破壊表現やモブキャラクターの挙動など、当時のオープンワールドゲームの水準を更新させたうえに、後に続くオープンワールドのスタンダードを築いた意欲作となった。とにかく“前作を超えるのはもちろん、詰め込めるものはすべて詰め込んで、もうひとつの世界を作るんだ”という執念を感じさせてくれた。
そして、2013年9月。制作発表から2年、ついに『GTA』シリーズの最新作となる『GTAV』がプレイステーション3で発売された。2013年11月にはプレイステーション4(国内では2014年2月)が発売されることになっていたが、前述の通り、ハードの性能を最大限まで活かすロックスター・ゲームスらしく、そのシステムと完成度に自分はおろか、世界中のゲームファンが驚いた。
舞台は2013年のサンアンドレアス州・ロスサントス。主人公は、証人保護プログラムで別人として暮らす元強盗のマイケル。野心に溢れるストリートギャングの黒人青年フランクリン。かつてはマイケルの仲間だったが、いまはホワイトトラッシュとなったトレバー。この3人の主人公を切り換えながらミッションを進めるゲームシステム、しかも任意のタイミングで切り換えることも可能な“キャラクターホイール”が、とにかく斬新。マイケルが前衛、フランクリンが後衛、トレバーが空中支援という役割を、ひとつのミッションでプレイヤーひとりが担うことができるという、いままで体験したことのないプレイが実現していた。
これでもかというくらい、多様なシチュエーションが用意されたシリーズ最大のオープンワールドも魅力だったが、マイケルからトレバーに切り換えたらどこかの誰かをブン殴っていたりするホイールのスゴさは、映像表現やストーリーではなく、純粋に「こんなゲームは初めてだ!」という喜びと驚きを提供してくれた。
全世界で1億3000万本以上のセールスを誇る本作だが、Epic GameストアでPC版の『GTAV』が期間限定で無料配信され(現在は終了)、一時期はアクセスできなくなった。オリジナル版のリリースから7年が経っているにも関わらず、だ。
それだけ本作は色褪せないものであり(古臭かったら配信すらしなかったはず)、その衝撃は時代を超える。現行機版も低価格で販売されているし、7年目に突入した無料で遊べる『GTAオンライン』も、15もの大型アップデートで昨年12月に『GTAオンライン』史上最高数のプレイヤーを記録したほど、いまも大盛況だ。未プレイならば、きっと来るであろう新作に期待して、“不朽の名作”とは何かを知ってほしい。
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