ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、3DダンジョンRPG。『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』です。

【こういう人におすすめ】

  • 天真爛漫な幼女の笑顔に癒されたい
  • ダンジョンの探索に無類のロマンを感じる
  • 底なし沼のような育成要素にとことんハマりたい

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

阿部ピロシのおすすめゲーム

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』

  • プラットフォーム:PSVita、Switch、PS4、PC
  • 発売日:2016年6月23日
  • 発売元:日本一ソフトウェア
  • 価格:PS Vitaパッケージ版6578円[税込]、PS Vitaのダウンロード版5238円[税込]、PS4版7678円[税込]、Nintendo Switch版7678円[税込]
  • パッケージ版:あり
  • ダウンロード版:あり
  • 『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』公式サイト

※発売日はPS Vita版のものです。

ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 プロモーションムービー第1弾

 大昔に『ウィザードリィ』にハマって以来、大の3DダンジョンRPG好きになった僕。近年このジャンルから離れていましたが、友人に「まだ遊んでないの?(嘲笑)」という具合に勧められ、「い、いまから遊ぼうと思ってたし!! 」と慌てて手に取ったのが本作でした。

 なになに、領主代行の求めに応じてルフラン市にやってきた魔女ドロニアと弟子のルカ。人形兵を派遣して、地下に広がる大迷宮の探索に乗り出すのでした……と。そのルフランの地下迷宮を探索する3DダンジョンRPGなわけだね。確かにおもしろそうだ。

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』マジ天使なルカちゃんが導く珠玉の物語。遊べ、そして泣け!!【推しゲーレビュー】_01

 そして、遊び始めるや否や夢中! 大絶賛!! ……となったかというとそうでもなく、序盤の感想としては「ひくわー……」というのが正直なところでした。まず、物語の中心的人物である魔女ドロニアさんの性格が、まーキツイ。超ドSで、弟子の幼女ルカちゃんに、めっちゃキツくあたるんですね。容赦なく叱るし、手も上げる。さらにゲームを進めていく中で綴られるエピソードも、いわゆる童話的な残酷さがあり、敵も味方もけっこう悲惨な成り行きになったりして、これもなかなか精神的にくるものがあります。キャラクターデザインのかわいさとは裏腹に、こんなにエグい世界観のゲームだったとは。予想外だった……。

 それでも遊び続ける手が止まらなかったのは、とにかくルカちゃんが尋常じゃなくカワイかったから! 見た目はもちろん、献身的にドロニア様に尽くす健気さや、おいしいものやかわいいものに大はしゃぎする無邪気さも、じつに天真爛漫でかわいらしい。そして何より、種崎(※崎はたつさき)敦美さんの魅惑のボイスで発されるセリフの数々! なんとも愛らしくて、この子のためにもどんどん探索を進めてあげたい! とモチベーションが高まります。

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』マジ天使なルカちゃんが導く珠玉の物語。遊べ、そして泣け!!【推しゲーレビュー】_02
同じフレーズをくり返してしゃべるのがルカの癖。あぁ、微笑ましい……。

 ルカちゃんのために探索を進めていくうちに、3DダンジョンRPGとして抜群におもしろいこともわかってきました。マップを一歩ずつ歩き、地図を埋めていく楽しさはダンジョンRPGの基本ですが、本作のマップはとても練り込まれていて、非常に探究心が掻き立てられるんです。落とし穴やワープといった定番のギミックに加え、本作では壁を破壊して進めてしまうというある種掟破りなシステムもあり、これらが緻密に組み合わさって歯応えのあるマップに仕上がっています。

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』マジ天使なルカちゃんが導く珠玉の物語。遊べ、そして泣け!!【推しゲーレビュー】_04

 地図とにらめっこして、「上のフロアのここに行くには……ここの落とし穴を落ちて、こっちの壁を壊して……」などと推理しながら進んでいき、見事お目当ての場所にたどりついたときの達成感は、やみつきになるほど。マップのロケーションも、王道の深く深く潜っていく地下迷宮だけでなく、広大な地上マップや、連結された複数の塔で構成されるマップなどバリエーション豊かで、どんどん先に進みたくなります。

 戦闘の楽しさも、外せないポイントです。本作のバトルは、ターン制コマンド式という点では王道ですが、パーティー編成の構造がかなり独特なものになっています。

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』マジ天使なルカちゃんが導く珠玉の物語。遊べ、そして泣け!!【推しゲーレビュー】_05

 ざっくりまとめると、複数の人形兵で構成された小隊“カヴン”を、最大5部隊まで組み合わせて“旅団”を編成し、戦うという仕組み。オーソドックスなタイプのバトルと比べると、わかりにくい部分があるのは否めません。僕も当初は、考えるのが面倒で適当に編成していましたが、ある程度バランスに気をつけていれば、進められずに詰まるということもありませんでした。

 しかしそんな僕でも、終盤に差し掛かるころには、底なし沼のごとき育成要素にズブズブになってしまっていたのが本作の恐ろしいところ。僕の場合、最終的には22人を同時に育成していましたが、極めている人から見たら序の口でしょうね。

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』マジ天使なルカちゃんが導く珠玉の物語。遊べ、そして泣け!!【推しゲーレビュー】_03
尋常ではない情報量の編成画面。その気になればどこまでもこだわりまくれる。

 そんな具合で、本作の優れたところを挙げていくとキリがないのですが、僕がいちばん本作に惹かれ、今回もっともおすすめしたい1本として選ぶに至ったいちばんの理由は、ストーリーの魅力です。

 本作では、探索が一定程度進むごとに、イベントが発生し、メインストーリーが少しずつ進展していきます。ルフランの地下迷宮とはいったい何なのか、ドロニアはなぜこの迷宮の探索にこだわるのか……? 詳しくはネタバレになるので伏せますが、謎が明かされるにつれて、「ドロニアさんマジ容赦ないわー」とか、「ルカはいい子だなぁ~」などとのんきに眺めていたエピソードに、じつは深い意味があったことに気づくことになります。

『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』マジ天使なルカちゃんが導く珠玉の物語。遊べ、そして泣け!!【推しゲーレビュー】_07

 冒頭で“童話的な残酷さ”と表現しましたが、探索の中で見てきたエピソードを通じて、本作の世界観が「そうはいっても最終的には助かっちゃいました」的なやさしさではできておらず、不幸な人は容赦なく悲惨な末路をたどることを思い知らされています。だからこそ、登場人物たちが秘めている思いや決意の重さが、より胸に響くのですが……ネタバレを避けながら書いていると、うまく伝えられなくてもどかしい!! とりあえずルカちゃんだけ見てみるか、という軽い気持ちでいいので、とにかく遊んでみてください!

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