ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、一風変わったシミュレーションRPG『ユグドラ・ユニオン』です。

【こういう人におすすめ】

  • 一風変わったシミュレーションRPGをプレイしてみたい人
  • 過去にゲームボーイアドバンス版やPSP版をプレイした人
  • ドット絵のキャラが好きな人&きゆづきさとこさんのファン

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

ふじのっちのおすすめゲーム

『ユグドラ・ユニオン』

【Nintendo Switch版】ユグドラ・ユニオン PV

 僕が『ユグドラ・ユニオン』をオススメするのは、今回が初めてではありません。なんと12年ぶり3回目となります! 12年ぶりという数字も驚きですが、同じゲーム(正確には移植含む)を3回もオススメするというのも、我ながら「ようやるなー」と思います。でも、それくらい思い入れも強く、多くの人に遊んでもらいたい“名作”なんですよ。

 最初に本作をオススメしたのは、いまから14年前の2006年です。ゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売された“初代”『 ユグドラ・ユニオン』を、クロスレビュアーとして発売前にプレイしたのがきっかけでした。

 知らない人のために、どんなゲームなのかを簡単に説明すると、主人公のユグドラやその仲間たちを、カードを使ったタクティカルバトルで成長させながらシナリオを進めていくというものです。キャラクターはもちろん、カードにも成長要素があり、さらにカードごとに用意されたスキルの使いどころや敵との相性などを考えながらバトルを行う必要があり(難易度選択次第では、あまり考えずに進めても何とかなりますが)、戦略性の高いシミュレーションが好きな人にはピッタリの作品です。

 そんな本作をクロスレビューでプレイしたときは、洗礼されたシステム、センス溢れるユーザーインターフェース、魅力的なキャラクターと美麗なドット絵の融合、エッジの効いたサウンドなど、すべての面において大満足で、迷うことなく10点満点をつけました。発売後にプレイした人の評価も非常に高く、いいゲームに出会えたことに感謝したのを覚えています。

『ユグドラ・ユニオン』この“名作”を、もう1回紹介するチャンスがやってきた!【推しゲーレビュー】_05

 そんな『ユグドラ・ユニオン』ですが、2008年にはプレイステーション・ポータブル(以下、PSP)に移植されました。これが1度目の移植です。前述の通り高評価を得たゲームボーイアドバンス版でしたが、いかんせん発売のタイミングが悪すぎたかも? というのも、2004年にニンテンドーDSが発売され、ゲームボーイアドバンス自体がすでに盛り上がりに欠けていた中での発売だったんですよね。そういった事情も影響したのか、セールス面では大ヒットとはいえない販売本数となってしまったのです(売り切れになった店もあったので、そもそも受注本数自体が多くなかったのでしょう)。

 そんな本作のことを“隠れた名作”と呼ぶ声もよく耳にしました。でも、自分としては“隠れた名作”ではなく、純粋に“名作”と言われるソフトになってほしいと強く願っていたんです。そんななかでのPSPへの移植だったので、「より多くの人に『ユグドラ・ユニオン』を遊んでもらえるチャンスだ!」と思い、PSP版をプレイしてもらうために、インプレッション記事を書きました。これが2回目のオススメ記事です。

『ユグドラ・ユニオン』この“名作”を、もう1回紹介するチャンスがやってきた!【推しゲーレビュー】_03

 あれから12年。今度はニンテンドースイッチの配信専用タイトルとして、『ユグドラ・ユニオン』が帰ってきました。じつは昨年にスマートフォン用の買い切りソフトとして3度目の移植が行われているので、今回が4度目の移植となります。さらっと書きましたが、同じソフトが4度も移植されるというのもなかなかのものですね。

 ちなみにPSPに移植される際にも、オープニングアニメやボイスの収録、新ステージや新カードといった追加要素がありましたが、昨年リリースされたスマホ版やニンテンドースイッチ版にも、EASYモードの追加や戦闘スピードが自由に調整できる機能などの新要素が用意されています。

 その中でも個人的におもしろいなと思ったのが、ニンテンドースイッチ版オリジナルの要素として、ゲーム内で特定のコマンドを入力することで戦闘中にさまざまな効果を発揮したり、メインクラスのキャラクター“ミラノ”の見た目やクラスがチェンジしたりするといった“裏技機能”が追加されたことです。

 ファミコン全盛期のころには多くのソフトに用意されていたコマンド入力形式の裏技ですが(とくに“コナミコマンド”と“ナムココマンド”は有名ですね)、最近はあまり聞かなくなっていました。ファミコン世代ど真ん中の自分としては、こういう遊び心のある施策はうれしい限りです。ちなみに裏技のコマンド表は、プレイ中に“-”ボタンを押すことで表示される“電子取扱説明書”に書いてあります。これもファミコンっぽくていいですね。

『ユグドラ・ユニオン』この“名作”を、もう1回紹介するチャンスがやってきた!【推しゲーレビュー】_04

 今回改めてプレイしましたが、オリジナル版の発売から14年経ったいまでも古臭さは微塵も感じられません。むしろこのゲームを未プレイの人からしたら、これが14年前に発売されたゲームのリメイク作品とは信じられないのではないでしょうか。そう思ってしまうくらい、いま遊んでも斬新でハイセンスな作品です。

 こうして3回目の『ユグドラ・ユニオン』のオススメ記事を書いたついでに、スティングさんにお願いしておきたいことがあります。今回こうしてニンテンドースイッチ版『ユグドラ・ユニオン』が実現したのであれば、本作と同じ世界観を共有する“Dept. Heaven Episodesシリーズ”の移植を、とくに『Riviera~約束の地リヴィエラ~』と『ナイツ・イン・ザ・ナイトメア』の、スマートフォンとニンテンドースイッチへの移植をぜひ実現していただきたい! どちらもPSPへの移植からかなりの年数が経っているので、稀代の名作とも言えるこれらの作品を、最新のハードで多くの人に遊んでもらいたいのです。それが実現した暁には、今回のようにそれぞれの作品をオススメするための記事を十数年ぶりに書かせていただきます!!

『ユグドラ・ユニオン』この“名作”を、もう1回紹介するチャンスがやってきた!【推しゲーレビュー】_02
裏技コマンドを取得するために、電子取扱説明書は必ずチェックしておこう。