不気味ながらもどこか愛嬌も感じさせるキャラクターと、ほとんど言葉を介さずに展開される謎の多いストーリーが魅力の『リトルナイトメア』。その続編となる『リトルナイトメア2』が、バンダイナムコエンターテインメントより発売される。発売日は、プレイステーション4版とNintendo Switch版が2021年2月10日、Xbox One版、PC版が2021年2月11日となる。

 また、プレイステーション5版とXbox Series X版での発売もアナウンスされており、両ハードとも2021年にはリリースされる予定だ。プレイステーション4版/Xbox One版をそれぞれ所持している方には無料アップグレードが提供される。

正統進化を遂げた『リトルナイトメア2』ベータ版プレイレビュー。一寸先に死が待ち受ける恐怖の世界の謎に挑む_01

 本作は、小人のようなサイズの主人公を操作し、3Dの世界を探索・謎解きをしながら進んでいくアドベンチャーゲーム。小さな子どもから見た世界のように、鍋や包丁、扉やベッドなどあらゆるものが非常に大きく、危険な物のように感じさせるサイズ感が印象強い作品だ。

 前作『リトルナイトメア』は巨大な船舶“モウ”を舞台に、黄色いレインコートをかぶる少女“シックス”が脱出を図る物語だったが、本作では電波塔に支配された世界に閉じ込められた“モノ”というキャラクターを操作することになる。

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 今回、モノとシックスが出会い、電波塔に辿り着くまでのベータ版を体験することができたので、プレイレビューをお届けしよう。

じっとりとした恐怖を与える奇妙な世界

 キャラクターのセリフやテキストによる状況説明などがなく、プレイヤーの想像を掻き立てるストーリー展開が印象深い『リトルナイトメア』。

 本作でもそれは健在で、主人公であるモノは薄暗い森の中で古いテレビのモニターに照らされていた。なぜこの場にいるのか、何をしたいのかは不明だが、とにかく立ち上がって先へと進んでいくことになる。

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 いきなり襲ってくる怪物がいるわけではないのだが、プレイ中はにじり寄るような恐怖を絶えず感じてしまった。

 森の薄暗い雰囲気に、大量の死体が入っている袋、その周囲に纏わりつくハエの羽音など、見ても聞いてもおぞましいものばかり。ビジュアル面だけでなく、静けさを感じさせる森の環境音やハエの羽音など、音による演出も不気味さを煽り立てる。

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 操作方法は難しくなく、歩く・走る、ジャンプ、しゃがむといった基本動作に加え、物を掴んで投げる・引っ張る操作で進行していく。フィールドは奥行きがあり前後左右に動くことができるが、メインは横移動。森にいるあいだは、とにかく右側に進むことが目標だった。

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走りながらジャンプすることで、崖を飛び越えるようなアクションも必要になる。
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しゃがむことで通れるようになる通路も。
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つかめる物を引っ張って、段差を越えるための足場にする場面も何度か登場。

 基本動作をひと通り使用して先に進むと、チュートリアルは終わりとばかりにトラップの数々が牙を剥き始める。

 本作の罠はいずれも引っかかれば即死となっており、ダメージを負って生き残るといった生やさしさはない。罠に引っかかるとすぐに画面が暗転し、トラップの前まで戻されることになる。

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枯れ葉に隠されたトラバサミを踏めば一発アウト。逃れる術はない。

 各所に仕掛けられた罠を回避しながら進んでいくのも本作の醍醐味で、周囲の物を使って罠を解除する、探索と謎解きの要素が多く盛り込まれている。

 物を投げてトラップを作動させたり、木の枝を使って枯れ葉を散らすなど、その場に落ちている物を活用していく。石橋を何度も叩いて、それでも壊れなかったら渡るくらいの疑い深さがあれば、死亡回数は大きく減らせるだろう。

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 どの罠も引っかかれば逃れることはできないが、かといって理不尽に感じることはなかった。死亡して戻ってみると、必ず自分の見落としに気づかされるのだ。死亡するポイントの前には必ず対処法が用意されているので、見落としていた自分のミスを確認しやすい。

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使ってくれと言わんばかりに立てかけられた木の枝。初見時は意外と見落としてしまう。

 死にたくなければ慎重にプレイする必要はあるものの、死亡によるペナルティーがなく、ベータ版時点での確認ではあるが死亡後のリトライもスムーズだった。長いロードが挟まることがないので、ひとまず突撃して覚えていくようなプレイでもストレスなく遊べるだろう。

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画面が暗転した後は、すぐにモノが立ち上がりリトライ可能。

パートナーの存在は恐怖を和らげる?

 森を進んでいくと、そこにはひとつの民家が。モノ目線だと巨大に見える家の中に侵入すると、キッチン家具や食材が出迎えてくれる。ふつうの大きさにも見えるコップや包丁が、主人公を通してみると巨大で不気味な物に感じてしまう奇妙なバランス感も、本作の持つ独特な魅力のひとつと言えよう。

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 多方面から物音が聞こえる家の中を恐る恐る探索していくと、木の板で閉じ込められた部屋の先にオルゴールを回す子どもの姿を発見。セリフはないが、前作『リトルナイトメア』の主人公であるシックスと思われる。

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 べつの部屋から斧を見つけて部屋から救出するも、主人公の手を振り払い逃げ出してしまうシックス。息が止まりそうになるほど不気味な人形がいる食卓を通り抜け、主人公顔負けの身体能力を発揮して逃げるシックスを追いかけていく。

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 奥へと進んでいくと、屋根裏に続く階段を出せずに苦戦するシックスを発見する。ここから、モノとシックスの奇妙な協力関係がスタート。ひとりでは届かない場所ではシックスが足場になり、大きな物もふたりで押すことで動かせるようになる。

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 協力して進むことで、前作にはなかったタイプの謎解きが加わったのも大きなポイントだ。跳び越えられない崖や、ずっと回し続けないといけないレバーなど、ひとりでは達成できない難問を達成するたびに、絆のようなものさえ芽生えた気がした。

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 ホラーゲームにおいて、相棒の存在は恐怖を損なう要因となってしまう可能性もあるが、シックスとの合流後もホラー要素が消えるわけではない。むしろ、ふたりで行動しているからこそ、単独で動かなければいけない場面での心細さが際立つ。

 ひとりで探索をする場面では、森を歩いていたときとは比べものにならないほどの恐ろしさがあった。不気味な人形の存在もそれを後押しし、強い孤独を感じさせる。仲間のいる心強さを知ってしまったからこそ、体感的な恐怖は増したようにも思えた。

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情け容赦なしに襲ってくる奇妙な敵も健在! すべての要素で世界観に没頭できる

 謎解き、探索と併せて、欠かせないのが主人公たちを襲ってくる奇妙な敵の存在だ。今回登場したのは、発見するなり猟銃を撃ってくる危険な猟師。

 どこまで逃げても追ってくる、異常な執着心の持ち主からふたりで逃亡することになった。

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一心不乱に獣の皮を剥ぐ猟師。よく見ると、腕からは綿のような物が飛び出ているようにも……?
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こちらを発見すると、躊躇なく銃を発射。遮蔽物に隠れていなければ、一発で倒されてしまう。

 小さな存在である主人公に対して、敵は巨大な上に武器まで所有している。圧倒的な劣勢の中、逃げ惑うしかない場面では、急いで逃げたり、物陰に隠れるアクションが重要になっていく。

 体格差を活かして狭い通路を通り、草むらに隠れ、何とかして逃げ延びるのが敵との遭遇の醍醐味。本作ではシックスもいっしょなので、ふたりで協力して生存の道を模索することになる。

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 はたして、ふたりは無事に猟師から逃げ延びることができるのか。その決着については、本編の楽しみに取っておきたい。すでに公開されている情報では武器を持って戦うこともできるようだが……?

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 主人公の操作性や死亡時のリトライの速さなど、プレイ中不便さを感じる点がなく、高い完成度になっていた今回のベータ版。

 静かに恐怖が迫りくる探索、慎重さが求められる謎解き、そして敵から逃げるアクションと、各要素が絶妙なタイミングで切り換わるので、手を止めることなくずっとプレイしたくなる魅力を秘めていた。敵との対決や、物語の舞台となる電波塔での謎解きなど、本編をプレイするのがいまから楽しみだ。